音に生きろ。   作:千推し箱推し

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外から見たあの子の話。


この後はRe:member2巻が発売されるまでお預けです、ああ長い……。
時系列整理とユキモモ二人の発言記録とやることは膨大ですが。ああ遠い……!


およそ一万日の中で。

 その頃、俺たちは無敵だった。

 

 

 

 千と知り合って、少ない時間ながらだんだん千のことが分かってきて、少しだけ疑問に思った。

 

 友達いなさそうなのに、なんか慣れてないか……?

 

 初めて会った時の態度はそれはそれはもう見るに堪えないような有り様だったのに、友達としての関わり方は案外そうでもなくて。……いや思ってたよりはマシなだけで酷いことには変わりないんだけど。

 で、なんとはなしに聞いてみたら。

 

「……一人、音楽の友達、が……いる」

 

 聞けば、()とは音楽室で出会って、そこから音楽の話で盛り上がったらしい。

 曲の趣味はいまいちって言ってたのに、しばらくすると彼は千の趣味に合わせられるようになったとか。

 なのに彼の音は損なわれることもなく、非常に心地いいとか。

 珍しいだろう千の弁舌な姿に、千にそう思わせて言わせる存在に興味を持って。

 

 ……紹介してくれと頼んだら何故か炎天下の下、マンションの入口で待たされることになったのは遺憾だ。

 しかも彼って言ってたのに現れたのは女子高生。

 いや、まあ、“彼女”と言い切れない事情を抱えていることを聞いて納得はしたんだけどな?

 

 千が言ってたことを強く実感した。

 自分の知らないジャンルを前にして彼――京は、あっという間に自分のものにして取り込んでしまった。

 思わずドキドキした。千の時もそうだけど、二人の音楽は心に高揚が染み渡っていくようで。

 

 京のルーツを知った時はあまり驚かなかったように思う。ああ、だからか、なんて。腑に落ちたんだろう。

 

 篠山。

 日本じゃだいたい誰でも知ってる超巨大企業。

 日用品、家具、業務用品、食品、娯楽、建築、教育、商業、芸能、その他エトセトラ。

 そのどれもで成功を収めて、なおかつ海外にまで進出しちゃってるちょっといろいろとおかしい会社(一応褒めてる)。

「篠山の家系は実力主義で有名」なんてのが一般常識に含まれるくらい、……やっぱりおかしいなあ。

 

 ともかく、そんな家に生まれた京ならきっとそれくらいはやり通すんだろうなっていう思いがあった。

 それが天才とか才能って言葉だけで片付けられるものじゃないことも。ないとは言わないけど。

 

 

 

 夏頃、千に誘われて(独断で決められて)始めたバンド『Re:vale』はそこそこ順調と言えた。

 ただまあ、どうにもトラブルが尽きなかったんだけど。

 

 だいたいの原因は千。

 顔と性格の差で常に絶えない女性関係。俺が仲裁してはいるけど、正直面倒臭い。直してくれと言うものの、千は音楽にしか興味がない。

 

 そして、いくつかの原因が京。

 ファンとの間にもメンバー(仮)との間にも早々トラブルを起こすようなことはしないが……。

 

 

 バンド結成からそう日が経ってない頃に、()()()()()()に遭遇した。

 曰く、彼は彼女である、と。

 ……うん、もうわけが分からない。

 

 京は心と体の性別不一致に大きく悩んでいる様子はなかった。

「自分は男だと思ってるし、女の体にはきちんと対処してやりたい」と考えているとかで、私服は男物だったりするけど、指定された制服だったり体の仕組みとして避けられないことにはちゃんと向き合っていた。

 

 だから、まさか二重人格で女の子の人格がいるなんてことは想像も出来なかったんだ。

 千は対して驚いたりはしてなかった、というかあまり興味はなさそうでいつも通りだった。

 

 彼女は()()()()、の時期に出やすいらしい。今なんかは思春期だからか、思ってるより情緒不安定らしいと聞かされた。

 少し子供っぽくて大人しめな彼女は、全くの別人だと思い知らされた気分になった。

 

 そういう時にライブが被ったりもしたけど、彼女は上手く『京』として頑張ってくれた。

 

 

 ……ただ、少し貞操観念が緩かった。

 本当に少しだけ。言い切れるかは分からないけど。

 相手は誰でもいいってわけじゃないらしい。でも、心を許した相手との距離がものすごく近い。

 千が女になったみたいだな、と思った。

 

 着替えも無頓着で、トラブルのほとんどがそういう事故だった。

 その、男女の仲みたいな関係は阻止したし、あまりそういうことを公の場でしないように注意もしておいた。

 ……頬チューは、うん、海外式挨拶だと思って諦めた。

 あと千にはキツく言っておいたけど、手を出してないことを祈るしかない。……頭が、いや胃も痛い……。

 あと、ほとんどはそういう事故なのに、何故か時々女の子と揉めてたりするのはもう本当に、どうしようもない。女の子に好かれたり、男を挟んで女の子に絡まれたり。千と京、血は繋がってないんだよな……?

 

 

 

 そんなドタバタ騒ぎに振り回されつつ、あっという間に時間は過ぎていく。

 学園祭のアイドルコンテストをきっかけに俺たちはバンドからアイドルになったし、最初は嫌そうだった千もファンレターを貰ってからは楽しそうにする。

 京の性別は男で通してたけど、少しずつ気付く人も増えてきて。一時期は噂になったりもして、それを見た京がライブ前のトークで気持ちを吐き出してからは、……いや、その後のライブで大きく観客の心を震わせて、味方にしていった。

 

 

 そうして五年後、これからデビューだって時に俺は頭に怪我をした。

 千は憔悴して九条という音楽プロデューサーに付け入られるし、京は見たこともない形相で千に怒っていた。

 声をかけてもらってた事務所からは顔の傷を理由に白紙にされて、九条に(そそのか)されて千はたったひとつの宝物を生贄に俺を救おうとする。

 俺も京もそんな千を見ていられなかった。

 

 

 俺は二人の前から姿を消した。

 京がどうしたかは知らないけど、歌うのをやめないことは知っている。

 そして、千には京がいる。

 崩れることのない()()を知っている千は、歌うことをやめられないだろう。

 二人は天才で、二人はそれぞれの形で音楽と共に生きている。

 二人は、歌うことの心地よさを知っている。

 

 

 

 小鳥遊事務所の社長に拾われた後、Re:valeの名前をテレビで聞いた時は安堵した。

 千のことは誰かが放っておかないだろうしその誰かは京だと思ってたから、ファンレターの主であり千を笑顔にしてくれた頼れる狂犬の百くんがメンバーだったのには驚いたけど。

 

 三人共がアイドルをやって、Re:valeをやってくれていることが、俺にはたまらなく嬉しいと思った。

 

 きっともう大丈夫。

 Re:valeはそこにあるんだ。




ふと思い返してみたら、某あだるてぃゲーの悪役、いえ善役(?)の敵さんな努力型才能マン……才能型努力マン?どっちだろう……の某人とポリシーとか似てそう。
その方最近知ったんですけれども。ハーメルン様で。
そんなぶっ壊れ精神がオリ主に搭載されてるかはさておき。

作者と方向性真逆なのでメッキなハリボテ感ありましたら作者のせいです。上手く掘り下げられれば良いのですが。
誤字脱字誤用等ありましたら教えていただけると嬉しいです。

……文章変じゃないかな……?
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