ニコルの元婚約者がdestinyの世界で復讐する話。
主人公もキラ並みにチート。ヒーローはシン。
私こと、エリア・ノイエフォードという人物の人生は惰性で生きていた。
UC0079.12月31日9時40分。ドロス級大型空母一番艦《ドロス》
「ドロスが沈む!」
「Nフィールドはもう持たないぞ!」
収容されたドロスの爆発が目の前に迫っているというのに彼女は静かにその光景を見つめる。補給のための空母は誰も逃がさない死の牢獄となったのだ。
一年戦争において彼女の激動の人生はまさに修羅場の連続であった。
キシリア中将、直属のマ・クベ大佐が指揮をしていたオデッサ基地のMS守備隊員として配属された彼女は愛機のザクⅡに乗り戦闘を行いなんとかHLVにて脱出。
ヅダを主力とする輸送部隊に拾われソロモンに降ろされた彼女はそのままソロモンの防衛部隊員として組み込まれた。
連邦の攻撃によりソロモンから逃げ、ア・バウア・クーに辿り着いたと思えばこの始末、全く笑えない。
(これで死ぬのか…)
自身の死が目の前に迫っているというのに全く実感が湧かない。この戦争に参加したのだって友人や両親に流されるままだった。ただ惰性に生きて、殺して、技量を磨いた。友達も同期も上司も部下も皆、死んでしまった。
(もし次があるなら…)
明確な意思を持って生きたい。こんな死に方は嫌だ…そんな感情が彼女にとっての最初で最後の意思だった。
ーー
C.E.70年。地球連合軍は農業用プラント《ユニウスセブン》に核ミサイルが撃ち込み、24万名以上にも及ぶ死者が出した。
「また…戦争が始まるか…」
宇宙世紀にて戦死した筈のエリア・ノイエフォードは新たに生まれ変わった家の中で連日流れるニュースを見ていた。この空気は似ている、あの頃の交戦ムードという奴だ。
「エリア、どうしたの?浮かない顔をして」
「いえ、お母さん。自分の運命というのを呪っていただけです」
「まさか…行くの?」
意識が完全に目覚めたのは自分が10歳の頃だ。全く知らない世界、唯一の共通点と言えば自分がまたスペースノイドと言うことだ。父も母も端的に言えば良い人だ、少なくとも自身の娘を戦争に送ろうなんて奴ではなかった。
「私にはそれしか特技がありません」
人並みに生きて人並みに過ごしてきたがやはりあの血まみれの戦場に羨望の念を抱く自分がいる。
「違うわ…貴方にはもっと他にも…」
「カリーナ、もうダメだ。エリアは決めてしまった」
戦争に向かおうとする娘を止めようとする母、それを悲しそうに父は止める。
「あんな物を見せられてじっとしていられないのは皆、同じだろう。整備志望か?」
父はマイウス・ミリタリー・インダストリー社の開発主任だ。後の《ゲイツ》を開発する精鋭企業となる父親の遺伝子を受け継いでいるのなら整備士が適任だろう。
「いえ、パイロット志望です」
「…そうか」
親としてはあまり千条の最前線には立って欲しくない。だが娘の明確な意思をもった目にそれを否定することは出来なかった。
「わがままをお許しください…」
意識が覚醒し7年間、お世話になった。そんな両親を悲しませるのは忍びないがエリアは再び、戦場に戻ることを決意する。今度はあんな最期は迎えないと言うささやかな覚悟を持って。
ーー
その半年後。無事にアカデミーを卒業したエリアはあの写真に写る。当時の赤服組、アスランたちと供にニコルを抱き抱えて満面の笑みを浮かべるエリアの姿があった。
ーーーー
ザフト軍の養成学校《アカデミースクール》エリアは最終的に赤服の座に収まったが当初のスタートは最悪の一言であった。
「操作系統、全然違うじゃないか…」
座学も対人訓練でもある程度の優秀な成績を納めたがMS操縦に関しては彼女は最下位であった。
問題は明らか、MSの操作系統の違いである。前世ではザクⅡを愛用しており機種変更などは行わずに戦死した。
当然ながら世界が全く違う機体の操作系統がザクⅡと同じわけがなく。つい癖でミスを連発してしまったのだ。
「聞いたか、MS操縦だけ壊滅的な奴が居たらしいぞ」
「あぁ、でも対人訓練は教官を倒したらしいけどな」
「でも、そいつってパイロット志望だよな」
「絶望的だな…」
このように入学当初から有名人となってしまったエリアは緑色の制服を着て入学式に出席するのだった。
「不味いな…」
そんな彼女は焦燥を感じていた時。何故か真っ先に絡んできた奴がいた。銀髪の偉そうな奴《イザーク・ジュールだ》
彼が絡んできたのは彼女の順位に問題があったからなのだがそれは当時のエリアからしてみれば知らないことだった。
射撃 1位
モビルスーツ戦 最下位
ナイフ戦 1位
情報処理 5位
爆薬処理 3位
総合成績 13位
ぶっちゃけMS以外なら1.2位ほどの腕前である。まぁ、実戦系の奴が軒並み一位を取られているせいで目をつけられていたと言うことだ。(実はアスランも目を着けていたりする)
まぁ、彼とのファーストコンタクトが自分が襲われそうな勢いだったので咄嗟に捩じ伏せてしまい。さらに関係が悪化したのを追記しておく。
ーーーー
「くそっ!なんなんだアイツは!」
「いやぁ、凄かったな。イザークが一瞬で消えたもんな」
捩じ伏せられたイザークは体の間接を痛めながら怒りを露にする。同室のディアッカも対人戦でそこそこの成績を残したが彼女の腕の質が違うのは理解できた。
「まぁ、MSは最悪なんだしパイロットにはなれないかもな」
「奴には強くなってもわなくてはならん!」
「なんで?」
「俺は弱い者虐めが嫌いだ!」
潔いのだかなんだか…。同室のイザークにおもわず苦笑いをするディアッカ。だが彼の最後の言葉でこのイザークとは仲良くなれそうな気がしたのだった。
ーー
「これが…ふむ……」
入学して一週間、エリアは解放されていたシミュレーションシステムの中で悪戦苦闘していた。体が勝手にへんな動きをしてしまう。この癖をどうにかしない限り、MSの成績が底辺なのは変わらないだろう。
「うーむ…」
癖を癖で塗り潰すという大変な作業を行わなければならないのを考えて思わずため息が出る。
「随分とお悩みのようですね」
「君は?」
「申し遅れました。ニコル・アマルフィと申します。よろしくお願いしますね、エリアさん」
それが彼との最初の出会いだった。
ーー
ザフトは軍を名乗っていても従来の軍ように階級によって縛られない自由な軍隊である。それの影響かアカデミーも訓練以外の時間はかなり自由に設定されている。
体を休めるのもいいし自身の研鑽に使うのもいい。親睦も深める為には必要な時間だ。パイロット志望の最大の目玉であるMS課程に必要な操縦技術も基本はマスターしているなら自由にシミュレーションを使ってもいい。
「ふぅ…」
努力家でもあるニコルもそこに通う常連であった。シミュレーションであってもかなりの体力を使うものなので使える時間は限られているが一人だけケロッとしている人がいた。
「うーむ…」
銀髪が美しい女性。エリア・ノイエフォード、彼女は同期の中でも一等の有名人。MS課程だけ最下位で次席のイザークと喧嘩してボコボコに返り討ちにしたという。
知り合ったアスランも彼女をどうにかして抜こうと躍起になっている。凄く優秀な人間なのだ、MS以外は。
(綺麗な人だなぁ…)
常人なら耐えられない長時間シミュレーションでも何ともないような顔をして出てくる彼女。誰よりも努力している彼女が少しだけ哀れになって思わず声をかける。
「随分とお悩みのようですね」
「君は?」
「申し遅れました。ニコル・アマルフィと申します。よろしくお願いしますね、エリアさん」
ーー
突然、話しかけてきたのは緑の髪を持った少年。人懐っこそうな笑みを浮かべながら寄ってきた彼を座らせるために隣を空ける。
「すいません」
「いや、なぜ私の名前を?」
「それは、貴方が有名人だからですよ」
「うむ…」
銀髪をねじ伏せてしまった事だろうか。あれは悪いことをしたがこっちも襲われると思っただけだ。
「どうですか、MSの方は?」
「慣れないな。慣れてくれれば楽なんだが」
操作系統の問題もそうだがこのシミュレーションの機体。ザフトの主力機である《ジン》の物らしいが全然だめだ。
パワーも機動力もザクⅡと比べてまるでダメだ。まるで作業用のポッドに乗っている気分だ。
(やはりバッテリーではこれが限界なのか…)
「僕で良ければお手伝いしますが?」
「いいのか?」
ニコルの申し出に思わず聞き返す。対戦相手がいるのはかなり助かる。シミュレーションの相手は手加減をしてくれない上にパターンがあるのでやりつらいのだ。
「はい、その代わりに…」
「ん?」
「いえ、ナイフとか射撃を教えてもらえると嬉しいです」
「もちろんだ」
こうして二人の協力関係が成立。お互いに教え合うとい関係始まったのだった。
ーーーー
「いえ、このOSの場合はこうすると…」
ニコルには操作系統を中心とするMS操作技術を
「違う、目をつぶるな。引き金を引く最後の一瞬まで相手を見つめろ」
「格闘戦は反射神経だけじゃない。相手の最も嫌がるやり方で立ち回るんだ」
エリアはMS以外の科目を出来る限りニコルに教えた。
こうしてニコルは総合順位を10位から5位まで伸ばしエリアも赤服の昇格試験を受けるまでに至った。アカデミーに入学してから3ヶ月の出来事だ。
「とうとう来ましたね」
「あぁ、少し緊張するな…」
「大丈夫ですよ!」
子犬のようにこちらを見てくるニコルは無性に心惹かれるが感情を押し殺して頷く。
「本当にエリアには敵わないからな。これでMSまで抜かされたらと思うと少しな…」
途中からニコルと供によく会うようになったアスランも少し緊張しているようだった。彼自身、物凄い負けず嫌いなのでどんどん上達しているエリアに対して気が気でなかった。(ちなみに現時点で射撃は同率一位である)
「本来なら10位のロンナックくんが相手だったらしいんですけど。申し出た生徒が居たらしくて」
「随分と物好きなんだな」
「いや、俺は予想できてしまう…かも……」
「そうだ、俺だぁ!」
疑問符を浮かべる二人に対してアスランは嫌な表情を浮かべる。それに答えるようにシミュレーションルームに響き渡る怒声。
「待っていたぞ!このイザーク・ジュールがお前を叩き潰してやる!」
「あ、あの時の変態か」
「誰が変態だ!そんな目で見るな!」
うん、最高にノリが良い。登場、早々に肩で息をしているイザークは一緒にいたディアッカに宥められながら息を整える。
「お前、俺だけじゃなくエリアにまで絡むのか?」
「ふん!実技が軒並み上だろうがいつか抜かしてやる!それに強くなったお前とずっと戦ってみたかったんだ」
「まぁ、要するにこの日を楽しみにしてたって事」
「変な要約をするな!」
うん、ツンデレだなこいつ。凄くめんどくさそうな人種だが憎めなさそうな性格してるな。あくまでも正々堂々、正面から相手を叩きのめしたいと言うことだろう。
「とにかくだ!俺がお前と正々堂々戦う。俺はお前を全力で叩き潰す!」
「分かった…なら私はお前を完膚なきまで叩き潰す」
赤服への昇格試験というだけあって観衆も大勢居る中での宣戦布告は観客を沸き立たせる。
「よし、なら勝負だ!」
イザーク対エリアの戦い。これは後に同期生たちに語り継がれる名試合となるのだった。