明日香と香澄がお風呂に入って1時間。2人が引っ付いたり、はしゃいだり、明日香が香澄に胸を触られたりと過ごしていた。これだけの時間、お風呂に入っているとどうなるかと言うと…。
「暑い…。」
「しんどい…。」
2人ともすっかり逆上せてしまい、脱衣場の長椅子に寝転んでいた。ちなみに、あまりの長風呂に、様子を見に来た六花が、湯船に浸かりながら伸びている2人を見つけたのだった。
「2人とも大丈夫ですか?」
六花が苦笑いしながら言うと「大丈夫…。」と2人は返事をした。明日香は恥ずかしさからなんとか下着だけ着たが、香澄は真っ裸のままで、六花は顔を真っ赤にしていた。
「お、お姉ちゃん…。下着くらい…。着なよ。」
「暑くて、無理~。」
先ほど、六花から受け取っていた冷たいタオルを首元や顔に当てながら香澄は言った。
「か、香澄さん!せ、せめてタオルだけでもかけてください!」
「ねぇ、ロック?女の子同士だよ?なんで恥ずかしがってるの?」
「そ、それは!か、か、香澄さんの裸を見るなんて!む、む、無理です!でも、香澄さん綺麗です!」
「六花?落ち着いて…。」
明日香は体を起こしながら言った。さっきの冷たいタオルと一緒に受け取った水を明日香は飲むと、立ち上がった。
「明日香ちゃん?大丈夫?」
「うん。だいぶ良くなったよ。ありがとう。」
明日香はそのまま立ち上がった。少し、フラフラはするが、歩けない事はない。
「お姉ちゃん、帰れそう?」
「無理!」
「はぁ~。私が支えるから帰ろ?これ以上は迷惑になるから。」
「明日香ちゃん!うちは大丈夫だよ?」
六花は慌てながら言うが、明日香は静かに首を振った。
「だよね…。あっちゃんが支えてくれるなら頑張る!」
香澄は体を起こすと、明日香に向かって抱きついた。
「お姉ちゃん!服、着てよ!」
明日香は叫んだが、香澄は「無理~。まだしんど~い。」と言いながら明日香を抱き締め続けた。
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明日香はまた夢の中である、靄が色濃くかかる場所に来ていた。
「またか…。」
明日香は憂鬱そうにため息をついた。
「いやいや…。私、お姉ちゃん、失わなかったよ?仲良く帰ったよ?半分以上おんぶしたけど…。」
夢の中で帰宅した時の事を思い出した明日香は「大変だったなぁ…。」と呟いた。改めて、左右をキョロキョロ見るが、相変わらず、靄以外は何も見えなかった。
「はぁ~。やっぱりか…。この間は桜見れなかったから…。今日は見たいなぁ。」
明日香はそう言うと、ゆっくりと歩を進めて行った。香澄と仲直りをし、気分が良い明日香は今までとは違い、足取りは軽いものであった。
「…あった。」
足取りが軽かったというのもあるのか、すぐに桜の木が明日香の前に現れた。
「相変わらず、色が薄いなぁ。まだ私、世間に流されてるのかなぁ?」
明日香は苦笑いすると、その場に腰かけ、風でサワサワ揺れる桜を眺めていた。
「でも…。なんか綺麗…だな。もう夏なのに、桜が見れるのはラッキー…なのかな?」
色は確かに薄く、よく知っている淡いピンクではなく、白に近い色をしている明日香の夢の桜。しかし、風に揺れ、一生懸命に咲く花に強い生命観を感じる事が出来た。
「さて…。」
明日香はそう呟くと、また左右をキョロキョロしたり、座ってる部分を確かめたりしていた。
「そろそろ…。穴が空いて落ちたり…。靄に包まれたり…。何が来るんだろ…。」
明日香は今まで、見てきた夢の結末を想像して警戒していた。しかし、待てど暮らせど、何も起きず「サワサワ」と桜が揺れる音しか聞こえなかった。
「…あれ?おかしいなぁ。」
明日香は怪訝そうな表情を浮かべながら立ち上がった。何も起きないならも少し、この夢の世界を楽しもうと思う程の余裕も出来ていた。
「桜の木の下まで行こうかな?」
明日香はそう言うと、顔を上げ、ゆっくりと桜の木に向かって歩き出した。明日香は歩いている間、考え事をしていた。
「飛川さん…ねぇ?」
姉である香澄がベタ惚れしているあの人。やはり、あの人は私の事が好きなのか。この前、告白はされたが、結局、最後はおちゃらけて流されてしまった。
「飛川さん…よく分からないなぁ。さくらちゃんは可愛いけど。…あれ?」
歩きながら考え事をしていた明日香はある事に気付いて足を止めた。
「桜の木近づいてる?あれ?」
明日香は桜をじーっと見つめていたが、桜の大きさは全く変わっていなかった。
「…え?…嘘?」
歩けども、全く近づかない桜の木。その事に気付いた明日香は「上手くいかないなぁ…。」とため息をついた。その瞬間、夢の世界は大きく揺れた。
「きゃ!」
明日香は叫ぶと、揺れながら、夢の世界は終わりを告げるのであった。
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「きゃぁぁぁ!」
また絶叫と共に、明日香は目を覚ました。以前みたいに汗はかいてないが、目覚めは最悪であった。
「び、びっくりした…。」
「お、お姉ちゃん?」
明日香が声のした方を向くと、ちょこんと香澄がベットに腰掛けていた。
「もう!ずっと、起こしてるのに起きないだから!」
香澄にしては珍しく、少し怒った様子だった。
「ご、ごめん…。どんな風に起こしてたの?」
「え?こんな風に…。」
香澄は言うと、明日香のお腹の上と太ももに手を置くと、ユサユサと揺らし始めた。
「(夢で、突然揺れ出したのって…。これか…。)」
明日香はそう思うと、香澄をギュッと抱き締めた。
「あ、あっちゃん?どうしたの?…また嫌な夢見た?」
「ううん。夢は見てたけど、嫌では無かったよ。…ただね。」
「うん?」
「き、昨日…。昨日のさ、仲直りが夢じゃなかったんだなぁって。」
明日香は照れて、赤くなった顔を隠す為に、更に香澄の胸に顔を押し当て、強くギュッと抱き締めた。
「…そっか。ごめんね…。」
「…大丈夫。大丈夫だよ。ただ…嬉しい…な。」
「あっちゃーん!」
香澄は明日香を引き剥がすと、そのまま明日香を巻き込みながらベットにダイブした。
「きゃっ!」
「あっちゃん!あっちゃん!」
「わ、分かったから!は、離れてよー!」
明日香は一生懸命、香澄を引き剥がそうとするが、香澄の力は強く、それは叶わなかった。
その後、香澄が離れて「準備してね!」と言いながらリビングに降りると、明日香はのんびりと制服に着替えを始めた。
「全く…。お姉ちゃんは…。」
明日香は小言を言いながらも、表情はとても嬉しそうにニコニコしていた。
「そういえば。」
パジャマの上を脱いだ所で、明日香はふと夢の事を思い出していた。そして、スマホを掴むと検索サイトをタップし「桜 夢占い」と最近お世話になっているサイトを開いた。しかし、そこで、明日香の指は止まった。
「…あれ?桜が出てきただけ…だよね?何を調べれば良いの?」
明日香はそう思いながら指を動かし、サイトを眺めていた。
「…あ。」
スクロールをしている最中、明日香は気になる文を見つけてしまった。
「季節外れの桜
季節外れの桜は運気が低下している事を暗示します。」
読んだ明日香は盛大なため息をついた。
「夏なのに、桜の夢…。せっかく良いことがあったのに…。てか、また運気が落ちるの?ん?よくよく考えたら私、ずっと季節外れの桜の夢を見てた?」
明日香は頭を抱えた。
「あっちゃん!まだ支度…出来ない…の?」
「あっ。」
今の明日香の状態は上半身は下着姿、と言うよりはキャミソール1枚。下はパンティーだけと言う姿で、椅子に座って頭を抱えていた。
「おねおねおねお姉ちゃん!?」
「…し、失礼しま~す。」
香澄は苦笑いをすると、扉をそっと閉じた。
「ち、違う!ま、待って!お姉ちゃん!」
明日香は慌てて叫ぶも、既に香澄は去ってしまっていた。
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朝の出来事のせいで、またブルーになりそうに明日香はなっていた。しかし、今回に限っては全面的に明日香が悪い為、どこにもぶつける事が出来ず、反省するしかなかった。
「明日香ちゃん?どうしたの?」
「大丈夫。」
「本当に?」
「うん。今回は、私が悪いし、それに言いたくても…言えない。」
明日香は遠い目をしながら言った。そんな明日香の姿を見て、六花は首を傾げた。
「あっ。私、ここだから。」
六花はそう言うと、バイバイと言いながら建物に入って行った。明日香は六花のバイト先まで着いて来ていたのだった。
「…さて、暇だから着いてきたけど…。これからどうしようかな?」
明日香はう~んと考えていると、いきなり肩をポンポンと叩かれた。
「よっ。明日香ちゃん。」
「…げっ。」
明日香は肩を叩いた人物が素生だと気付いた瞬間、眉間に皺を寄せた。朝の事といい、こうして素生に会う辺り、運気が下がっているのかと思っていた。
「明日香お姉ちゃん!こんにちは!」
明日香は声がした方に目を向けると、素生の後ろからひょこっとさくらが出て来た。
「さくらちゃん!こんにちは!」
「待って!?俺の時と違い過ぎない!?」
素生は文句を言ったが、明日香はそれを無視し、しゃがむと両手を広げた。それを見たさくらは明日香に飛び込んだ。
「えへへ~。明日香お姉ちゃん、良い匂い!」
「ホントに?ありがとうね!」
愛くるしいさくらに明日香は癒されていた。やはり、運気は下がっていないように感じた。現金なものだ。
「はぁ。明日香ちゃん、こんな所でどうしたの?」
「…友達がバイトだったんで、着いていっただけです。」
「そっか。じゃあ、今は暇なんだね?」
「…忙しいです。」
素生には冷たい態度をとってしまう明日香。香澄が何でこんな奴の事が好きなのかますます謎に感じていた。
「明日香お姉ちゃん…。忙しいの?」
明日香は目線をさくらに向けると、さくらは目を潤ませ、眉を八の字にしていた。
「へ?ど、どうしたの!?」
「実はさ、さくらの水着を買いに行ってるんだよ。母さんが仕事で忙しいから行けなくてさ。だから、お願い!ついて来て!俺、水着とか分からないし。」
「明日香お姉ちゃん…。一緒に行こ…?」
さくらはギュッと明日香の袖を掴んだ。こんな事をされては、明日香に断ると言う選択肢は無くなっていた。
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ご機嫌なさくらを真ん中に3人はショッピングモールの中を歩いていた。平日の夕方である為、お客の姿は少なくのんびりと歩く事が出来た。
「さくらちゃんはどんな水着が良いの?」
「可愛いピンクが良い!」
ニコニコしながら言うさくらに明日香までニコニコしていた。
「本当に助かった。ありがとうね。明日香ちゃん!…明日香ちゃん?」
素生は感謝の気持ちを伝えたが、明日香は無視をした。実は、ショッピングモールに来るまでの間に素生はさくらに「どんな匂いだった?」と聞いており、それに気付いた明日香は「最低…。」と呟いていた。
「まだ怒ってるの?そんな眉間に皺寄せたら老けちゃうよ?」
素生はニヤニヤしながら言うと、明日香はキッと素生を睨んだ。
「2人とも…仲良くしなきゃ、メッだよ!」
そんな2人の空気にさくらは叫ぶように言った。子供ほど、意外と空気の変化に敏感なものだ。
「ほら。さくらもそう言ってる事だし、仲良くしよ?」
「はぁ。」
素生は勝ち誇ったように言うと、明日香はため息をついた。
「お兄ちゃん!お兄ちゃんが悪い!だから明日香お姉ちゃんに謝って!」
「へ?な、なんで?」
「う~ん…。なんとなく?」
さくらは首を傾げながら言った。そのやり取りを聞いて、明日香は「あはは!」と笑い出した。
「明日香ちゃん?」
「明日香お姉ちゃん?」
突然笑い出した明日香に2人は驚いた。
「ごめんね。2人の会話が面白くって。」
明日香は笑った時に出た涙を指先で拭うと「はぁ。笑ったなぁ。」と呟いた。
「…ごめんなさい。」
そんな明日香を見ながら素生は謝った。
「へ?」
「いや…。さくらが謝れって言うからさ。さくら、言い出したら聞かないから。」
素生はツンツンにした髪の後ろを掻きながら言った。
「変態なとこ、治してくださいね?」
「分かりました。」
最早、どちらが年上か分からない状況になってしまっていた。
「明日香お姉ちゃん!早く行こう!?」
立ち止まってしまった明日香の腕を引っ張りながらさくらは言った。
「うん!行こうね!…あっ。飛川さん?」
「な、何?」
先程の事もあり、何を言われるか緊張しながら素生は言った。
「後で、お話しがあるのですが、大丈夫ですか?」
「うん?良いけど。」
素生はそう言うと、明日香は「よろしくお願いします。」と言い、さくらと共に水着売り場に向かって行ってしまった。
「何を…言われるんだ?」
明日香の言葉に素生は恐怖を感じながら2人の後を追うのであった。
やっと出てきました。
オリ主の素生君。
皆さん、覚えてましたか?笑
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