異世界の英雄は艦と海を往く   作:榛猫(筆休め中)

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前回までのあらすじじゃ......。

こちらの世界のことを駆逐艦『朝潮』より説明を受ける悟空。
艦娘や深海棲艦の話を聞き、今までは戦ったことのないその強敵の話に、悟空は期待を大きく膨らませるのだった。


初戦闘!?悟空VS深海棲艦

sideナレーション(界王)

 

 

「ふっ...ふっ...ふんっ...!」

 

まだ日の昇る前の暗い部屋の中、そんな声が聞こえてくる。

 

そんな声と共にポタポタと微かな水音も聞こえている。

 

そんな二つの音を出している張本人にはといえば......。

 

 

「ふぅ...。とりあえずこんなとこにしとくかぁ!」

 

汗を全身から滴り落としながら立ち上がる、半裸の孫悟空である。

 

と、そこに......

 

 

「シレ...ンンッ!!悟空さん!もうすぐ起きてください!直に起床の時間です...よ...」

 

そう言って部屋へと入ってきた悟空の部下である駆逐艦の艦娘『朝潮』は眼前に飛び込んできたその光景を目の当たりにして言葉を失ったように閉ざす。

 

心なしかその顔が赤くなっているようにも見える。

 

しかし悟空見られているはと言えば......。

 

 

「ん?よう!アサシオ、おめえももう起きたんか?早えんだなぁ」

 

 

「し、司令官!!な、なんて破廉恥な格好をしているのですか!!す、すぐに服を着てください!!」

 

何を気にした風もなく平然と振り向く悟空を見て朝潮は慌てて言葉を重ねだす。

 

その顔は諸に悟空の半裸を見てしまい耳まで真っ赤に染まっている。

 

 

「ハレンチ...?いや、けどさ...腹筋してたら汗かいちまってよ、このまま着ちまったらベタベタして気持ち悪りいんだよ」

 

「だ、だったら早くお風呂に入って汗を流してきてください!!」

 

 

「ん?こんなの拭いときゃ乾「早く行ってきてください!!」お、おぉ...」

 

朝潮の勢いに押されるように、悟空は入渠ドックへと向かうのだった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

そんな早朝の一件から数時間後。

 

 

「シレ...悟空さん!今日はどうなさいますか?」

 

執務室にて朝潮は提督服を着用した悟空に尋ねる。

 

しかし聞かれた当の悟空はといえば......

 

 

「なあ、アサシオ。オラこれ着てなきゃダメなんか?」

 

全く見当違いな事を聞き返している。

 

 

「はい!提督たるもの!常に威厳あれ!です!よくお似合いですよ?悟空さん」

 

 

「そっか...?けどオラ、道着のが着てえよ...」

 

 

「道着...ですか?せめて提督のお仕事をされる時だけでもいいのでそれを着ていてください」

 

 

「うーん...ま、いっか!」

 

朝潮の言葉に渋々といった様子で納得した様子の悟空。

 

......まあ、道着を着用して勤める提督なんてものの方が想像が難しいのだが......。

 

 

「それで、司令官!どうなさいますか?」

 

そして先程のやり取りをなかったもののようにもう一度問いかける朝潮。

 

この娘、意外とやるようである。

 

 

「んー...そもそもそのテイトクって奴は何をすりゃいいんだ?オラそんなことしたことねえから分かんねえぞ」

 

 

「やること...ですか、そうですね...基本的には書類整理...でしょうか」

 

その言葉に悟空は不思議そうに首を傾げる

 

 

「なあ、そのショルイセイリってなにすんだ?」

 

 

「えっと...そうですね、説明するよりも見てもらった方が早いですね。悟空さん、こちらを見てください」

 

そう言うと一枚の用紙を渡す朝潮。

 

 

「ん?なんだこれ、何か書いてある?えーっと...?」

 

それを受け取り書類を睨み出す悟空。

 

 

「............」

 

数分間たっぷり睨み合った後、力が抜けたように脱力した。

 

 

「アサシオ...悪りい、全然読めねえぞ...」

 

 

「仕方ないですね...どれどれ?艦娘を建造せよ...と書いてありますね」

 

特に気にした様子もなく、悟空から書類を受け取った朝潮はその書類の文面を読み上げた。

 

 

「ケンゾウ...ってなんだ?」

 

 

「はい、ケンゾウとはですね、文字通り、資材を投入して新たに艦娘を作り出すことです。悟空さん!」

 

しかし朝潮の説明にも悟空はよく分かっていないのか、不思議そうに首を傾げている。

 

 

「うーん、よくわかんねえぞ...他になんかねえんか?ほら!昨日言ってたシンカイセイカンってやつと戦うとかさ!!」

 

 

「...?出現ですか?出来ますけど、戦いに行くのは私ですよ?」

 

 

「へっ...?オ、オラは戦えねえんか?」

 

まさかの言葉に悟空が驚きの声を上げる。

 

 

「いえ、戦えない...というよりは人類の攻撃が効かないんです。昨日も説明した通り、深海棲艦は私達艦娘の攻撃でしか倒せません...って、聞いてますか?シレ...悟空さん」

 

 

「ん?あぁ、聞いてっぞ、けどよ、おめえ達の攻撃が効くんならオラの攻撃も効くかもしんねえじゃねえか!やってみなくちゃ分からねえ!」

 

 

「いえ、だからですね...」

 

 

「よーし!そうと決まればすぐ行こう!!いやー!オラワクワクが止まらねえぞ!!」

 

 

「ちょっ...悟空さん!?私の話を聞いてくださーい!!」

 

行く気満々の悟空は朝潮の手を引き執務室を離れる。

 

最早朝潮の言葉は、悟空の耳には聞こえていないようである......。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

出撃ターミナルの外。

 

駆逐艦『朝潮』は困惑の極みに突入していた。

 

「.........えっと、悟空さん。ひとつ聞いてもよろしいですか?」

 

 

「ん?なんだ?」

 

 

「どうして司令官...いえ、悟空さんは、その...宙に浮いているのでしょう?」

 

 

「なんでって舞空術使って飛んでからだ」

 

平然と答える悟空の言葉に朝潮は更に困惑を極める。

 

 

「そ、そうですか...では、その『ブクウジュツ』...?というのはどうやってやっているのですか?」

 

 

「どうやってって...気をコントロールしてるだけだぞ」

 

 

「.........えぇ...」

 

最早説明にもなっていない悟空の言葉にさしもの朝潮も頭を抱える。

 

当然といえば当然だろう。朝潮や艦娘の中では、人は空を飛んだりはしない。気...という概念は艦だった頃に聞いた記憶があるが、見たことなどあるわけがないのだから......。

 

 

「もう、何が何だか分かりません...」

 

 

「そんな不思議なことか?オラから見りゃおめえの方が不思議だぞ。それ、どうやって水の上に立ってんだ?」

 

悟空の疑問も最もではあるが、今は置いておこう。

 

 

「それは艤装が...いえ、それよりも早く行きましょう。いつまでもここにいても仕方ありませんから」

 

 

「あぁ!」

 

こうして、朝潮は海の上を、そして悟空はその後を追うように空を飛び大海原へと出撃して行くのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャガアアアアァァァッ!?!?」

 

 

「だりゃっ!!だりゃりゃりゃ!!!だらぁッ!!」

 

 

「.........人間ってなんでしょうか」

 

しばらくして海の上では一人の人間の手によってしばき倒されている駆逐型の深海棲艦を見て遠い目をしている朝潮の姿があったという。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

後に、朝潮の中で様子を見ていた装備妖精さんは語る。

 

 

『あんなのはにんげんじゃないです!!いまのていとくってみんなあんななのですか!!!!?』




オッス!オラ悟空!

やっと出撃?出来たぞ!!
深海棲艦ってのがどのくらい強えのか楽しみだ!!!
なんか強えやつと戦えるって思ったらワクワクしてきたぞ!!

次回!異世界の英雄は(ふね)海を往く!
開戦(海戦)だ!野菜VS深海棲艦!

ぜってえ見てくれよな!

悟空の指揮下にいて欲しい艦娘達は?

  • 駆逐艦達一択!ロリロリ艦隊結成!
  • 軽巡、重巡選り取りみどり!
  • 空母、軽空母の空から特攻!
  • 男なら戦艦!!ガンガンせめて強くなれ!!

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