ワンパン世界にほむほむ(憑依体)がIN   作:政田正彦

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続かないと思った?俺も続かないと思った。



時を止める少女

「お?」

 

「あっ、ど、どうも」

 

 

 隕石の件から三日、ほむらは伝えられたサイタマ宅へ、修繕費とお詫びのしるしとして、上級お肉セットとお茶菓子を手にサイタマの家に訪れたが、丁度出かける所だったらしい。

 

「お前は……えーと……」

 

「あっ、私は暁美ほむ、じゃなかった、時魔女というヒーローです。その、3日前に隕石の件であなたのヒーロースーツの、その……おしりの部分に穴を開けてしまった、ので、その修繕費と、お詫びの品を……」

 

 

 サイタマは今からパトロールに行くつもりだったのもあって、流石にそのことを忘れてしまったわけではなかったが、肝心の時魔女がこんないたいけな中学生だったという記憶は無かった。

 

 これは普段忘れっぽい彼だから、という訳ではなく、純粋に魔法少女じゃない姿での対面は、これが初めてだからである。

 

「お、おー……悪いな、なんか。ってこれひょっとして肉?肉じゃん!よっしゃあ!」

 

 ……そして、彼女がお詫びにと持ってきた肉セットでそれすら忘れたらしい。

 

「じゃあ、なんだ、せっかくだし上がってく?」

 

「いいんですか?」

 

「いいよ。どうせ三日前のでノルマは達成してるしな。あと、今日の飯が鍋に決まったから、お前も食ってけ」

 

 

 そう言うサイタマはどこかご機嫌な様子だった。確かこのタイミングだと、C級五位にまで上がっていたはず。そして「アレくらいでランク上がるなら、パトロールでもしてみるか~」という流れで外出する。

 

そして本来なら、砕いた隕石の破片によってZ市が崩壊し、その責任を擦り付けられたりといったすったもんだがあるのだが、この世界ではほむらの助力により、Z市の被害は最小限に抑えられている為、Z市は今も健在だ。

 

…………とは言え、怪人の出没率が段々上がっているのが原因で、若干の過疎化の気配が漂っているのだが。

 

 

そしてこれは単なる補足だが、この世界での現時点でのサイタマはC級五位ではなくC級二位まで上がっている。

 

些細な差異だが、これは、協会への隕石事件の詳細について報告する際、ほむらがサイタマの実力に関して正しく協会に伝えた為、協会が彼がインチキなのではというデマ情報に踊らされる事が無くなった為だ。

 

ほむら本人には彼のデマを払拭するというような意図は無かったのだが、そもそも、事態は誰の目から見ても明らかに解決している為、自由奔放なS級ヒーローは基本済んだことの報告等しない。

 

変な所で生真面目だったほむらは、今回の一番の功労者であるサイタマの名前を報告し、その結果協会は「わざわざ報告する程サイタマというヒーローの活躍が凄かったのか」と、S級ヒーローの中でも、中学生ということ以外至って常識人なほむらの勝ち取った信頼が、素直に協会に功績を認めさせるに至った。

 

 だが、それでも、やはり現場に三人もS級ヒーローが居た事もあって、サイタマよりその三名に上層部の目が向いてしまった。

 

 

 彼にデマや悪評が流れることは無くなった。

 

 だが上層部がそんな彼とほむらの齎した情報を大して気にも止めず「やっぱりS級に任せておけばなんとかなるもんだな、え?C級も現場に居たの?しかも結構活躍した?ふーん、でもS級が居たからでしょ?」という評価を下してしまったが為に、サイタマはまだC級止まりでいる。

 

 

 さて、話を戻そう。

 

 

 いつになくご機嫌なサイタマによって夕食の鍋に誘われたほむらは勧められるがままにサイタマ宅へ入っていく。今更だが成人男性二人が住む家に女子中学生が一人で訪れるというのは犯罪臭が凄いが、原作のほむらはこの比ではない事(軍事施設から重火器を奪ったり住居に不法侵入したり)をここで追記しておく。

 

 

「ん?お前は……」

 

「あれ?ジェノスさん、どうしてここに?」

 

「俺は先生の弟子だからな。こうして先生からあの強さの秘密を学ぼうとしている」

 

 

 無論、ほむらもそんな事は百も承知ではあるが、いちいちこうして「自分の知るはずのない情報は聞かなければならない」というのが、原作知識を持った者のめんどくさい点でもある。

 

 ……が、ほむらは「今!私!ジェノスさんと会話してるう!!」と嬉々として「隕石を割った力は凄かったですもんね」とか「ジェノスさんはどうしてヒーローになったんですか?」などと聞いている。

 

 サイタマは、ほむらからもらった茶菓子を頬張りつつ、あのジェノスのマイペースな長話を嬉々として聞く奴が居るとはなあ、と若干驚いていた。

  

 「それよりお前あんときと雰囲気違いすぎねーか」

 

 ……と、同時に、当たり前とも言える、むしろ何で今まで聞かずにいたのか不思議なほどごもっともな疑問を抱いていた。

 

「それはその……」

 

「俺も気になっていた……何故わざわざあの格好に着替える必要がある?」

 

「き、着替え?あれは着替えてるんじゃなくて、その……私の持つとある能力に関係するんです」

 

 

 能力ぅ?と首を傾げるサイタマ。こういってはなんだが……全く信じていないようだ。一応その力の一端である光の矢のせいでこうなっているのだが。

 

「サイタマさんとジェノスさんさえよければお話ししますよ」

 

 別に確認を取るまでもなく、魔法少女に変身できる事や、その他の魔法についてのことも、この二人になら話してしまっても構わないだろうと思う暁美ほむらだったが、原作知識で、サイタマは長い話を嫌う傾向にあることを知っていた為、念の為に聞いておく。

 

「……その話長い?」

 

 聞いておいて良かったようだ。

 

 サイタマとしては、一応はこうなっている原因でもあるし、何より知らないままだとすっきりしない。どうしても知りたいというわけじゃないが、聞いておいたほうがいい気もする。

 

「頼む」

 

 一方でジェノスは意外な事にほむらの持つ能力というものに興味津々だった。なにせ自分のフルパワーをもってしても砕けなかった隕石を、砕けたあとの小隕石であるとはいえ、粉々に粉砕し、本来出るかもしれなかった小隕石による余波の被害を食い止めたのは彼女の能力の物であると理解していたためだ。

 

二人がほむらに目を向ける中、ほむらはコホンと咳払いした後、二人にこう告げる。

 

「私は魔法で色んな事が出来ます」

 

 

 

 

 

「…………えっ、説明終わり?」

 

 説明終了である。それに対して不満が出ると思っていなかったのか、ほむらは首を傾げていた。てっきり、「ふーん」とか「へー、そうなんだ」程度の反応だと思っていたのだが。折角二十文字以内に収めたというのに。

 

「もっとこう、具体的に教えてくれないか?特にあの光の矢の事とか」

 

「(や、やだ、近い……)えっと……じゃあ変身見ます?」

 

「おう、あとその魔法?とか言うのも見せてくれ」

 

「わ、分かりました」

 

 

 ジェノスの意外な食いつきように、顔を赤らめながらほむらは変身を見せることにした。とはいえ、特殊な準備は必要ない。変身には彼女が常日頃肌身離さずもっているソウルジェムが必要だが、逆にそれ以外は何も必要ない。

 

「あ、着替えるならそっちで」

 

「ああいえ、大丈夫ですここで」

 

 ほむらはそう言うと、メガネを外し、懐からソウルジェムを取り出す。

 それは透き通った青紫色の宝石を、卵のような形にして、それを守護するかのように装飾が施されている。普段から肌身離さず持っており、変身する際と、穢れを浄化する際にしか取り出さない。

 

 彼女がそれを手に掲げると、ソウルジェムは彼女の意思に反応したかのようにキラリと光る。そう思ったのも束の間で、光は部屋の中を覆うほど大きく輝きを増していく。

 

 

「うおっ、眩し」

 

「っ!?(高エネルギー反応……!?)」

 

 

 そして、光は帯となり、彼女の体に収束していき、ほむらの身を光がすっぽりと包んだかと思うと、パシュンッと光が弾け、一瞬で彼女の身に纏っている服や雰囲気が変わっていた。

 魔法少女の姿とはいえ同一人物であるはずなのに、オドオドした小動物を思わせる少女から、凛としたクールな美少女の雰囲気が一変し、他人かと見紛う程の変身を遂げたほむらに二人は目を白黒させた。

 

 

「これが変身後の状態よ。私はこの状態のことを、”魔法少女”と呼んでいるわ」

 

「すっげーな、アニメみてえ」

 

「こんな事が……」

 

 

 流石のジェノスとサイタマも、目の前で人が変身すればそれなりに驚くらしい。いくら非現実的な事が起こっても、ここまでファンタジーじみたものはそうそう無い。

 S級第二位、エスパーであるタツマキですらここまであからさまにファンタジーな力を行使したりしない。

……約一名変身する変態も居るがここでは触れないでおこう。というか永遠に触れたくない。

 

 

「その盾とか服とか、どっから出てきてんだ?」

 

「変身すると身につけた状態で出てくるわね。私にもこれが何なのかは厳密には分かってないわ。何ができるかは分かるけど。……そうね、例えばこういう事も出来るわ」

 

 

 そう言いながら、盾の中から昨日使った弓を取り出す。

 

 

「それは今盾から取り出したのか!?それはつまり盾の中は別の空間に繋がっているとか……あるいはその弓が特殊なのか?いや、そもそもその弓と盾は……」

 

「ええと、お、落ち着いてくれるかしら……(ち、近いよお、あのジェノスさんがこんなに近くに……)ええと、あの、ジェノスさんの予想通り、この盾は別の空間へと繋がっていて、自由にものを仕舞ったり取り出したり出来るわ」

 

 

 そう言いながら、ほむらは飲み終わったお茶の湯呑を盾に仕舞ったり、取り出したり、昨日使った弓を取り出したりしてみせた。至近距離のジェノスという緊張のせいか、若干、変身前の雰囲気が顔を出している。

 

 ジェノスはそんな事は毛ほども気にとめず、未知の技術に興味を示しており、サイタマは純粋にマジックでも見ているかのように目を見開いていた。

 

 ちなみに盾の中には弓だけじゃなく重火器や爆弾なんかも入っているのだが、ここでそれを取り出したらジェノスに誤解されそうなので控えておく。

 

 

「そして私の能力の真骨頂なんだけど……ジェノスさんは、昨日私より早く出たのに現場にジェノスさんよりも早く私が着いていた事に驚いていたわよね?」

 

「そうなの?」

 

「ええ、事実です。だから俺は、時魔女とは、超スピードで時間を感じさせないほど素早く敵を瞬殺するヒーローだと思っていました」

 

「それはある意味では正解よ。……ええと、話すより実際に見せたほうが早いわよね……」

 

 

 言いながら、少しだけほむらは考える素振りを見せた。

 

 能力を見せるには色々と方法はあるが、時間を止めて少し移動しただけでは先程のジェノスのように、目で捉えられないほどの超スピードで動いただけだろう?とどこぞの戦闘民族の王子のような勘違いをされかねない。

 

 一番わかりやすいのは彼らにも止まった時間を体験してもらう事だ。

 

 都合がいいのか悪いのか、彼女の能力には「事前に体のどこかに間接的にでも触れていると、触れている者も止まった時間の中を行動することができる(尚、その状態で身体から離れるとそいつも止まる)」というものがある。

 

 彼らを止まった時間の中に招待し、その中で時計を取り出して「はい、時間を止めました。時計を見てください」と言えばわかりやすいかも知れないが、芸が無い。

 

 そして、少し考えた後、ほむらはたまたま手に届く所にあったペンを手に、顔を上げた。

 

 

「ちょっと、私の肩に手を置いてくれないかしら?」

 

「こうか?」

 

「何をするつもりだ?」

 

 

 サイタマはわくわくした様子で、ジェノスはほむらの能力の真骨頂とやらとどう関係があるのか、訝しむような様子であったが、どちらも素直にほむらの肩に手を置いた。

 

 

「(ふああ、ジェノスさんがめっちゃ近いぃ)じゃあ、行くわよ」

 

 

 

 

 機械仕掛けの盾は回転し、内蔵された砂時計の砂が遮断される。

 

 

 そして、周囲は静寂に包まれる。

 

 その場の空気が固まるといった比喩的な表現ではなく、どんなに静かにしていても聴こえてくるはずの環境音、風の音、それらが全て消え、世界は静寂のまま停止し、動かない。

 その上、部屋や外が先ほどと比べると少し暗くなったように感じる。だがほむらを含む自分達三人だけは明確に見えるという、妙な空間がそこに広がっていた。

 

「……え、なんだこれ?」

 

 サイタマも説明無しに明らかに何かが起こっている、というのは理解できたものの、何がどうなっているのかはこれだけではあまり理解出来ない。

 

 

「はい、ではご注目。種も仕掛けもございません」

 

 

 手品師のような口調でほむらは手にとったペンを、何の取っ掛りもない空中に()()()。置かれたペンはまるでその空間に固定されたかのように、重力を無視してびくともしない。 

 

「おお?どうなってんだこれ?」

 

「……!!ま、まさかお前……!!いや、そんな馬鹿な!こんな事が……!?」

 

「そう、この馬鹿げた能力こそ、私の能力の真骨頂」

 

 

 時間停止。

 

 

 それが時魔女こと暁美ほむらの持つ魔法少女としての能力だった。

 

 そして、ほむらはその後すぐに時間停止を解除して、余りにも早すぎる移動のトリックや、一瞬で怪人との戦闘に片が付いてしまうことへの説明をした。魔法少女になっていると自信が沸いてきて性格が変わることも。

 

 

「うわ~、それいいな。移動も一瞬なんだろ?すっげー便利じゃん」

 

「まぁ、確かに便利だけど、交通機関も停止しているから、自分の足で歩かなきゃいけないのがネックね。免許が取れればバイクか何かを使ってもう少し楽が出来そうなのだけれど」

 

「いや……だがヒーローという面で見てもその能力は破格過ぎないか?どんなに離れていても間に合うんだろう」

 

「……それは少し違うわね。実際に私が動くのは被害が出た後、ヒーロー協会に連絡が入り、そして私の下に連絡が入って、ようやく時間停止で現場に急行する。だから、必ず間に合う訳じゃないのよ」

 

 と言ったところで、そんなシステムなぞ知らんと言う無知な民間人に、ほむらの力が知れ渡りでもしたら「何故あの時に間に合わなかったんだ」と言い出す輩が当然のように現れる事も分かる。

 

「……だからこそ私はこの時を超越した力をヒーロー協会でも極少数の信頼できる人とS級のヒーローにしか教えていないし、これからもそのつもりよ」

 

「えっ、それ俺達に話しちゃってよかったのかよ?」

 

「S級ヒーローであるジェノスさんには元からいつか教えるつもりだったし、サイタマさんも……どうせ近いうちにS級に上がってくるだろうから」

 

「当然だ」

 

「いや当然なの?」

 

 

 まぁ、既に実力という面で見ればS級レベルのヒーローの中でもぶっちぎりだと思うけど、とほむらは心の中で付け足す。

 

 

 

「…………あっ、じゃあさ、今からここのスーパーで白菜買ってきてくんね?今、丁度タイムセールで半額んなってると思うんだよ。お金は渡すから」

 

「え、ええ……もちろん、それくらいお安い御用だわ」

 

 

 

……きっと、時間を止められると知るや否やおつかい(パシリ)をさせるような人物は、後にも先にも彼だけだろう。

 

 

この後、彼らは三人で仲良く鍋をつついた。

 

 

その際、話の流れでほむらがS級三位だと知り「女子中学生にもヒーローランクで負けてる俺って……」「(その理論だと俺も負けてるということに……)」と二人の成人男性が軽くショックを受けていたりしたのはまた別の話だ。

 

 




以降、来ても無いのにさもこういう質問が来たかのように装って質問に答えていくコーナーです。




Q.シリアスじゃねーのかよ
A.タグ見ろ


Q.時間停止中に人に触れたらどうなんの
A.事前に触れていれば止まった時間の中を行動できるが、止まった時間の中、既に時間が止まっている人には触れても時間が動き出すことはない。DIO様状態になる。でも原作だとどうなのか分かんね。ここではそういうことになってる、第二弾。


Q.記憶操作とかできんの?
A.仮に出来たとしてこのほむら(偽)がそれやる意味ある?


Q.ぶっちゃけDIOとかメイド長でも良くね
A.じゃあお前はDIOとかメイド長がワンパンにINするSS書けよ。大丈夫。ここに一人、読者になるであろう人は確実に存在するからよ。(親指で自分の胸をトントンする)


Q.重曹で穢れが落ちるってなんだよふざけてんのか
A.うるせえ!こまけえこたあいいんだよ!
 この件に関しては「この世界ではそういうもんなんだ」と思って下さい。多分穢れについてはこんな扱いなので触れることすら無いです。

ぶっちゃけ触れるのめんどくさい

皆でアラサーマミさんシリーズ読もうね。読めよ(豹変)
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