ニーアオートマタ 〜機械仕掛けの神〜   作:River vilege

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1話

エレベーターは到着の合図を鳴らし、ゆっくりと扉を開けた。

 

 目の前に広がるのは瓦礫が散乱している廃ビルの一階だった。

 

 奥には出口がありコンクリートの裂け目からは逞しい程に緑が根を広げていた。

 

 ユウはぐるりと周囲を見回し、罠などが無いか確認したが、そういった形跡は見当たらなかった。

 

 しかしながら、右足のホルスターに装備してある銃をいつでも構えられるよう右手を添えながら出口に向かって歩き出す。

 

 何事も無く外に出ると朽ちた車があちこちに乗り捨てられ、高速道路だったものは柱の支えがなくなり途中で崩れていた。

 

 道は植物に殆ど覆われており、廃墟都市そのものだった。

 

 人類が絶滅したことによって自然は元の姿に戻りつつあるのだった。

 

 少し進んだ所で中央部付近の広場に奇妙なロボット達が闊歩している姿が目に写った。

 

 そのロボットはドラム缶に丸い頭と手足を付けたような極めて雑な構造をしており、目的もなくフラフラと辺りを歩いているようだ。

 

 ユウは興味本位でそのロボットの目の前まで移動する。

 

 それは緑色の目をこちらに向け立ち止まると、興味を無くしたのかまた違う方向に歩き始めていった。

 

「あれがアンドロイドな訳は‥‥ないよな?」

 

 ユウは苦笑いをしながら歩いて行ったロボットを見つめた。

 

 一先ず無害である事を再確認した彼は再び目的地に向かって歩き出した。

 

「なんだ‥‥?あれは」

 

 交差点付近を歩いていると、突如ジェット機のような音が微かに聞こえ始めたので、ユウは訝しげに空を見上げた。

 

 そこには無数の光が点在しており、それは規則的な軌道を描き四方に散らばって降下しているようだった。

 

 その内の何組かが、こちらに向かってきているのが見て取れた。

 

「あまり長居は出来なさそうだな」

 

 ユウは近くにある廃ビルの中で外の様子を伺う事にした。幸いにも隠れられそうな場所があったので彼は駆け足でその場所へ入った。

 

 小型機は炎を上げながら降下していた。降下というよりも墜落に近いかもしれない。

 

 墜落したのは2機。その内の1機はユウとは真反対のビルへと墜落した。

 

 爆発音が辺りに響く。近くにいた小鳥は音に驚き、何処かへ羽ばたいて行った。

 

「あまり良いとは言えないが」

 

 ユウは呟く。

 

 情報というのは今後の目的達成の為には必要不可欠で今の状況は絶好のチャンスである。

 

 しかし、危険というリスクは当然のように纏わりつくものなので、敵だった場合は全力を尽くして対処するしかない。

 

 だが、ユウの答えは既に決まっていたようだ。

 

「行くか」

 

 周囲の警戒を最大限に引き上げ、墜落現場一階の廃ビルへと進んで行った。

 

✳︎

 

 現場に到着すると墜落の衝撃によって壁は大きな穴が空いており、小型機はバラバラに損壊していた。

 

 ユウは魔素銃を構え、小型機だった物の目前まで迫った。

 

 パチパチと電気が発光しており、小さいながらも炎が上がっていた。

 

 彼は慎重に辺りを見回しているとシンボルのような破片が落ちていた事に気付いた。

 

「ヨルハ‥‥か?」

 

 破片のマークを暫く見つめ、それを背負っていたバックパックに入れた。

 

 他に何かないかと周囲を散策していると、近くに何者かの足音と声が聞こえた。

 

「苦しい‥‥寒い‥‥ニゲ、ナきゃ」

 

 ユウは思う。この声は間違いなく、この小型機の乗組員だ。

 

 苦しそうな女性の声だった。

 

 声の主は黒煙の中から姿を現わす。

 

 戦場には不釣り合いな黒色のワンピースにハイヒール。そして手には白銀の刀が握られていた。

 

 極め付けはその女性は絶世の美女だった。真っ白な髪がより幻想的な姿を醸し出している。

 

 彼女はこちらの存在に気付き、目を大きく見開いた。

 

「追手‥‥! くっ!!」

 

 敵意を現わにした事により、ユウは銃の照準を合わせ引金に手を掛けた。

 

「動くな」

 

 彼女はピクリと反応し立ち止まる。

 

 視界が覚束ないのだろうか、止まったはいいものの、フラフラと体を揺らしていた。

 

「追手とやらが何かは分からないが、一先ずその刀を下ろしてくれないか?」

 

「お、願イ‥‥見逃して」

 

「それは君が武器を下ろしてから考えよう」

 

 彼女は刀から手を離し、その場に膝を立てて崩れた。立っているのも限界だったのだろう。

 

 ユウは銃をゆっくりと下ろし、ホルスターに仕舞った。

 

 彼の動作に驚いたのか、彼女の瞳はこちらを見つめていた。思わず見惚れてしまう程、綺麗だった。

 

 ユウはゆっくりと近づき、片膝をついた。

 

「さっきはすまない。大丈夫か?」

 

「追手ジゃ、ないの‥‥?」

 

「あぁ、違う。俺はマシロユウ"人間"だ」

 

「ニン‥‥ゲン? 嘘‥‥」

 

 そう言うと彼女は手を差し出し、ゆっくりとユウの頬に当てた。

 

「あたタかい‥‥」

 

 薄く微笑んだ彼女は安心したかのような表情を浮かべていた。

 

 一方でユウは彼女の表情に見惚れてしまい心臓の心拍数が上昇し始めた。

 

 しかし、注意力が散漫になった事により後方への警戒が疎かになっていたのは致命的だった。

 

 カツンとハイヒールの音が室内に響いた。

 

 ユウは全速力で背後に振り返り、銃を構えた。

 

「くそっ、ついてないな」

 

 背後にいたのは後ろの美女と同じく非常に顔立ちが整った女性で違うと言えば髪は黒髪で短く切り揃えられていた。

 

 手には大振りの刀が握られており、瞳は真っ直ぐこちらに向けられていた。

 

 ぞくりと背筋が凍りつく錯覚に襲われた。

 

 刹那、女は物凄い速度で距離を詰め刀を振りかざした。

 

 咄嗟にユウは銃を刀に合わせ、引金を引く。

 

 ガキンと鈍い音が響き、女の刀は後方へと弾き飛ばされ、女は即座に距離を取った。

 

「やるしないようだな‥‥!」

 

 ユウは気を取り直し、銃を構えた。

 

 戦いの火蓋は切って落とされた。

 

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