ニーアオートマタ 〜機械仕掛けの神〜 作:River vilege
アニメ版ニーア…いいですね……
緑に覆われた道路を二人は並んで歩いていた。
直ぐ横には透き通った水が流れておりよく見ると小魚が泳いでいる姿が見える。
魚を見て思ったが、食糧について考えなければならないとユウは思っていた。
研究所は地熱を利用して発電しているようで、ほぼ永久的に稼働可能であり、水についても地下水をろ過して利用できる為ライフライン関係は全くと言って問題は無かった。
しかし、食糧はどこの部屋を探しても見当たらなかったのだ。
とある一画に畑のような自家栽培が可能な部屋はあったが、種も何も無いので今の所は使用不可能だろう。
あったとしても栽培には時間がかかるので、今は当面を凌げるだけの食糧が彼には必要なのだ。
そんな事を考えながら目的地に向けて歩みを進めていると、数メートル先に大きな猪が一匹、草を食べている姿が見えた。
「イビー、あれは?」
「なに? ‥‥あぁ、猪ね」
ユウは前方の猪に対してイビーに問いかけた。
彼女は至って平然とした態度で答えた。
「人間がいなくなってから殆どの動物は昔と比べて大きくなったんだよね。 ‥‥本来の姿を取り戻したかのように」
「そう、か」
ユウは少し複雑な表情を浮かべた。
人間がいなくなるだけで、地球は明らかに、あるべき姿へと元に戻りつつあった。
「キャンプで用事を済ませたら少し手伝ってもらいたいんだが、いいか?」
「うん」
ユウの言わんとしている事に勘付いたイビーは位置情報を自身の記憶データに保存し、いつでも戻ってこれるように経路をマッピングしておいた。
食糧について考えながら、時折違う話題を振りつつも彼らは着実にレジスタンキャンプへと歩みを進める。
大きくも浅い水溜まりを越えると、ビルとビルの間の路地裏から微かに人の声が聞こえてきた。
目的地はすぐそこだ。
「イビー」
「なに?」
「君はここで待っていてほしい」
どうして。と彼女は言いかけたが、ユウの思惑に気付いたのか、残念そうにわかったと告げた。
イビーは脱走兵であり、大勢のアンドロイドがいるキャンプ等で公にするのは非常にリスクが高い。彼らの持つ網に囚われてしまっては目的達成の障害でしかない。
出来るだけ目立たずに行動し、件のアンドロイドと接触する。これが二人の第一目標なのである。
「‥‥気を付けてね」
「わかってる」
ユウはイビーに別れを告げるとレジスタンスキャンプへ向けて歩みを進めた。
ビルとビルの間を抜けると広い中庭に出た。そこには大勢のアンドロイドが作業に没頭しており、その内の一体が彼の存在に気付き顔をこちらに向けた。
そのアンドロイドは頭におかしな球体の被り物を被っていて、周りのアンドロイドと比べるとその異質な雰囲気に不安しか感じなかったが、意外にも彼女は陽気な感じで話し掛けてきた。
「見ない顔だね。 新入りさんかな?」
「あ、あぁ。気が付いたら近くの茂みで倒れていてな…声がしたから気になってここまで来たんだが」
「そうかいそうかい! それは、大変だったねぇ。ま、ここは比較的安全だからゆっくりしていくといいよ、旅人さん」
彼女はユウの方を軽くポンと叩くと奥の作業場へ消えていった。
「……警戒されている、か。 まぁ仕方ないな」
消えていった彼女は恐らくここのキャンプの監視人だろうと推測したユウは見れる範囲で周囲を確認する。
どこにいるかは不明だが、目立たぬよう彼は歩き出す。
少し期待をしつつ、露店を覗いたがあるのは潤滑油や燃料といったものばかりで、食糧になるようなものは一つも無かった。
「無いとは思っていたが……はぁ、腹が減った」
腹の虫がなりかけたが必死で堪え、GPSが示す位置まで歩いていく。
器械が示した位置は広場の外れだった。
そこにはボロ布を頭まで覆った二人組のアンドロイドがいた。
GPSは二人を示している。
周囲には不自然なほど人の気配が無かったので、ユウは好都合だと思い、二人組へ近付いた。
「デボルとポポル…だな?」
彼がそう聞くと、二人は顔を上げた。
二人の目が大きく見開かれ、覆われていたボロ布を投げ捨てるかのように脱いだ。
綺麗な赤色の髪が風に揺れ、活発そうな顔立ちの子−−−デボルは手を掴み、ユウに詰め寄った。
「マシロッ、なんだな!?−−−あぁっ、ずっとこの日を待っていたっ……」
「まてまてまてまて!!!!あまり体重を乗せるんじゃない!腰がっ!砕けるから!」
「 デボルッ…待ち望んだ日がっ…やっと…やっと!!」
「ふたりとも来るんじゃねぇぇ!!ちょっ、ほんとに待っ−−−」
−−−パキッ。
鈍い音が辺りに響き渡った。
「こ、腰がッ………!!」
「マシロッ!?どうしたんだ!?ポ、ポポルっあたし…」
「 だ、だ、だ大丈夫よデボル。マシロは普通に喋っているからパーツ交換してしまえば……」
「 俺は機械じゃねぇぞ…!!」
痛みに悶絶しながら、慌てふためく二人を説得して2人が住んでいる家屋まで運んでもらうのであった。