ニーアオートマタ 〜機械仕掛けの神〜 作:River vilege
引き続きよろしくお願い致します。
「「ご、ごめんなさい」」
「………」
椅子に腰掛け、苦笑いをしているユウの目線の先には、地面に頭を突っ伏して謝罪を述べているデボル・ポポルの姿があった。
俗に言う―――土下座。である。
「や、やめてくれ。二人とも悪気はないだろう?ならもうお終いだ」
「うぅ……。優しいのね、マシロは」
「いや、普通だよ、多分。……それより、君たちがデボルとポポルで間違いないな?」
そう言って、ユウは正座している彼女達に視線を向けた。
二人とも顔立ちがそっくりな双子であり、活発そうな見た目がデボル。温厚そうな見た目がポポルでありイビー同様にかなりの美少女である。
ポポルはニコリと笑みを浮かべユウを見つめた。
ユウは恥ずかしそうに視線を逸らしたが二人は気にすることなく立ち上がった。
「改めて――。はじめまして、マシロ。あたしがデボル」
「はじめまして、マシロ。わたしがポポル。よろしくね」
「あ、あぁ。はじまして、マシロユウだ。人類の繁栄のためよろしく頼む」
挨拶を終え、三人はそれぞれ握手を交わした。
彼女たちは満足そうに頷くと、ユウにベッドでうつ伏せになるよう指示をした。
ユウは突然のことで驚いたが、腰の具合を見るとのことだったので警戒しつつもベッドにうつ伏せになった。
「心配しないで。あたしたちはマシロに危害を加えることは絶対にないよ」
デボルは慎重にユウの腰に手を当てながら、彼の様子をうかがっていた。
ポポルはベッドの横にある椅子へ腰掛け、待機しつつ周囲の警戒をしているようだった。
ユウは警戒するのも彼女たちに悪いと思い、体の緊張を解いて静かに目を瞑ることにした。
暫くの沈黙が続き、ふと、デボルが独り言のように呟いた。
「……ずっとこの日を待っていたんだ。長い間ずっと」
彼女の言葉は微かに震えていた。
「 マシロはあたし達――。いや、アンドロイド達にとってどんな存在だと思う?」
急な質問にどう答えようかとユウは悩んでいた。
アンドロイド達は人類によって作られた存在だ。
人類を守護すべき存在とインプットされているが、アンドロイド達も感情を個々に持っている。
親のような存在として認識しているのではないか。そうユウは推測していたが、彼女の回答は予想を遥かに超えていた。
「―――生きる目的だよ」
その言葉はユウの心を動揺させた。
「そ、そこまで……なのか?確かに君たちは人類によって作られた存在だが……。というか人類は月に存在して――」
「 人類は月にいないわ」
ユウの言葉を遮るようにポポルがそう呟いた。
「人類がいない……? そんな、まさか」
「 断言するわ。 人類はとうの昔に絶滅している……。新しく生まれた人類もいない……」
彼女の表情を見れば嘘ではないことは明白だった。
心の何処かでユウは自分以外にも人類は存在しているだろうと考えていたが、例の手紙の内容のとおり、彼は一人だということを改めて認識させられたのだった。
たった一人の人類に、しかも子供を授かることの出来ない自分にどうやって子孫を繁栄させる事が出来るのだろうか。
未来は暗く、何も見えなかった。
「……そう、か」
「でもっ……マシロは人類の最後の希望だから、あたし達が一人にさせないし、それに"人類繁栄の策"は考えてある!」
デボルの言葉にマシロは体を起こし、胡座をかいた。
彼の様子にデボルは治療していた手を止め、近くにあった椅子へと腰掛けた。
「……今のままでは、マシロ一人で人類を繁栄させることは不可能……。それはマシロも分かってると思うけど子供を授かることが出来る母体がない」
「あぁ…。そうだな」
「 それに、純粋な人類では、この世界はあまりにも危険過ぎるし、白塩化症候群がまた再発してもおかしくない……。様々なリスクを考慮した結果、あたし達は一つの策を思いついた」
マシロはデボルの言葉を食い入るように聞いていた。
ゴクリと彼の喉が鳴る。
「―――アンドロイドとの融合。"新人類の創造"を」
その言葉にマシロは驚いたと同時に疑問を抱く。
それは本当に人類を救う唯一の手段なのか。
一瞬、自分が人間でなくなるかもしれないという恐怖が胸を過ったが今の状況ではそれが唯一の道だと自分に言い聞かせた。
悩み続けても答えは出ない。
今は受け入れて進むしかない、と彼は腹をくくった。
「 そう、だな。少し驚いたが、現状はそれが一番の解決策だろうし、二人の策に全力で取り掛かることにするよ」
その言葉に二人は互いに見つめ合い笑みを浮かべた。
「……ありがとう。マシロ」
「いや、こちらこそありがとう。悩み抜いた上での解決策だから大丈夫だと思うし、良い結果に繋がるよう修正していけば良いさ」
「本当に、ありがとう……。―――もう、絶対に間違えないから」
彼女の言葉に確かな決意を感じたユウはベッドから下り、体を大きく伸ばした。
「腰の具合も良くなった。―――未来への第一歩として、研究所に戻ろうか」
彼女らはお互いに顔を見合わせ頷くと、急いで出発の準備を始めたのだった。