image   作:小麦 こな

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こんにちは!

次回作「change」は8月6日(火)の22:00に公開します!
その間にTwitterなどで最新情報も上げていくと思います。

では、「image」最終回をお楽しみください。
あとがきはエンドロールとなっております。ゆっくり下にスクロールしていってくださいね。


未来に向けて、これから③

「私も、巴みたいな恋をしたいなー」

「ひまり!声がでかいって!」

「ちゃんと伝えないと、悲しい思いをするだけだから、ちゃんと言わないと!」

「……そういう時に正論はやめてほしいな」

 

 

〆のラーメンを食べ終わった後、僕は鍋や食器類を洗っていた。

その時に聞こえた、巴ちゃんたち幼馴染5人のガールズトークが耳に入ってしまった。

 

僕は一瞬、鍋のふちを円を描くようにゴシゴシしていたスポンジの手を止めてしまった。

女の子が揃ったらガールズトークが始まるのは想像できていた。

だけどまさか恋の話をするなんて……。

 

それに上原さんの「巴みたいな恋をしたい」という言葉に引っかかった。

巴ちゃんは誰かに恋をしているんだ。

 

「ともちんから告白、しないの~?」

「こういうのって男から言ってほしい、かな」

「ともちん、それは漫画の見過ぎだって~。ね~?蘭~」

「あたしはあいつから告白するとは、思えないかも」

 

わざと僕に聞こえるようにしているのか、だんだん声のトーンが大きくなってきた。

あいつが誰なのか、そもそも巴ちゃんは誰に恋しているかなんて僕が考えても分からないから良いんだけど。

 

そんな女の子の恋の話を聞くのは正直、気まずい。

 

「みんな、ちょっと僕……買い物に行ってくるね?」

 

僕は巴ちゃんたちにそう言って家から出た。

特に買いたいものなんてないし、強いて言えばコンビニに行ってミント味のガムを買うぐらいだろう。

 

でも家から出たらすぐにコンビニがあるため、あえて遠い方のコンビニに行くことにした。

 

そして僕は上を見上げる。

星がきれい、だとか今日は月が満月できれいに輝いている、だとかを見るために上を見上げたわけでは無い。

 

「今日、巴ちゃんに告白しても良いのかな……」

 

そんな夜に消えてしまいそうな、か細い声で僕は呟いた。

 

その時に、冷たい風が急に僕に吹き付けてきた。

その風は僕に「良いから早く告白しろ」って言っているように感じた。

 

他人事だからそんな簡単に言えるんだよ?

僕はそう吹き付けてきた風にそう言ってやろうって思ったけど、風にそんなことを言っても仕方がない。

 

遠くにあるコンビニにやってきて、最近噛み始めたミント味のガムをボトルで購入する。

ガタイのよさそうな店員さんに渡して会計をしてもらった。

 

そのままの足で、そのままの思考をしながら歩いて帰っていたから、気づいたら僕の家の前まで来ていた。

僕は階段を上って部屋に入る。

 

「ただいまー」

 

僕がそう言って自分の部屋に入る。みんなに「おかえり」という返事が返ってきただけなのに、僕の心はポカポカと温かくなった。

今年の4月から一人暮らしだったから、僕が何を言っても返事なんて来なかったけど今日は違った。

 

「ねぇねぇ、佐東君!巴ちゃんの首に掛かってるネックレス、佐東君がプレゼントしたの?」

「えっ、うん。そうだよ」

「これ、すごく高そうだよね……良いなぁ、巴ちゃん」

 

僕が部屋に入ると、顔を赤くした巴ちゃんとニヤニヤ顔をしている彼女の幼馴染たちがいた。

 

そして羽沢さんは僕にネックレスについて聞いてきた。

僕はこのネックレスを見ると、ちょっと前の自分を殴りたくなる。

 

だけど巴ちゃんは毎日、僕の買ったネックレスを付けてくれている。

 

「それじゃあ、あたしたちは帰るね~」

「そっか。また今度ね」

 

もう幼馴染たちは帰るのか……。

そんな悲しい気持ちを抑えて、僕は笑顔でみんなを送ることにしたんだけど……。

 

「……正博、巴は置いていくから」

 

美竹さんがそう言ったから後ろを見ると、僕の家から出ていく4人の幼馴染とは対照的に居間で座ったままの巴ちゃんが、そこにはいた。

 

 

 

 

「ま、まさか巴ちゃん……何かの罰ゲーム?」

「そ、そんなんじゃないって!」

 

僕は巴ちゃんの前にゆっくりと紙コップを置く。中身はお茶で、ジュースではないところはちょっと申し訳ないなって思っている。

 

今日は鍋を食べたからだろうか、ちょっとのどが渇く。

 

「それじゃあ、どうして巴ちゃんだけ残ろうって思ったの?」

「そ、それは……その、ほ、ほら!パーティの後って後片付けが面倒だろ?」

「後片付けは明日、僕がやるよ。でも、巴ちゃんとゆっくり話したかったし、僕はちょうどよかったかな」

「そ、そっか……」

 

巴ちゃんはさっきよりも頬が赤くなった。

鍋も食べたことだし、多分僕が外にいる間はしゃいだのかもしれないから暑いのかもしれない。

僕はエアコンの風を弱にして温度を設定し直した。

 

「巴ちゃん」

「ど、どうした?」

「『とにかく、今日の鍋パーティは楽しもう、な?その後、二人の時間を作ってその悩みを一緒に考えようよ』って言ってくれたの、覚えてる?」

「ああ、覚えてるよ」

「それを今、聞いてくれる?」

 

僕がそう言った後、巴ちゃんの表情がスッと変わっていくのを見た。

さっきまで赤く、トロンとした目からまじめな、そして僕をしっかりと見つめてくれる。

 

こんなにも僕に真摯に向き合ってくれる人なんて今までいなかった。

だからかな?

 

「僕って、情けない男でしょ?」

「正博、お前まだそんな事を……」

「もう二度と巴ちゃんと話せなくなったらどうなるんだろうって」

「正博、アタシはずっと……」

「大学も途中で辞めて、働き始めているけど自分の生活とネックレスの返済で精いっぱい」

 

自分で話しながら、ほんと、どうしてこんなにも情けない生き方をしているんだろうって思った。

だけど、そんな僕にも……人生をかけて、幸せにしたいって、守りたい人が出来たんだ。

 

「そんな僕だけど、好きな女の子がいるんだ」

「……」

 

巴ちゃんは黙って、目を少しウルウルさせながら僕をまっすぐ見つめていた。

少しずつ、さっきのような頬の赤さが彼女の顔に戻ってきた。

 

そしてきっと、僕も頬を赤く染めているんじゃないかなって思った。

 

さっきのガールズトークで巴ちゃんには好きな人がいるって分かった。

それが僕である可能性はどれくらいあるのか、なんて分かるはずもないんだけど。

 

フラれたら気まずくなって、今までのような関係ではいられなくなるかもしれない。

だけど、前に進まなくちゃいけない。

 

それを兄さんや巴ちゃんに、教えてもらった気がするんだ。

 

「巴ちゃんには好きな人がいるのは聞いた。だけど言わせてほしいんだ」

「うん……」

「僕は、巴ちゃんが好きです」

 

 

僕は目をつぶったけどはっきりと、この部屋に響き渡るような声で彼女に、巴ちゃんに好意を伝えた。

 

目を閉じたから真っ暗な視界の中、僕は巴ちゃんの返事を待っていた。

待っていたのだけど、中々返事が返ってこないから僕は不安になって目をゆっくりと開けることにした。

 

真っ暗闇の長いトンネルを抜けたような感じで、ゆっくりと視界に光が、景色が僕の目に映し出される。

 

そしてその目に映し出された光景に、僕は目を疑った。

 

「どうしたの……巴ちゃん。そんなに……」

「ばか……」

 

どうしてそんなにも、涙を流しているんだろう。

巴ちゃんの目から流れる、きれいに輝いた涙は頬をゆっくりと伝いながら床に落ちていく。

 

巴ちゃんには悪いけど、涙を流す彼女はとても麗しく感じた。

 

突然、巴ちゃんは僕に抱き着いてきた。

僕は驚いたけど、バランスを崩すことなくしっかりと胸に飛び込んできた巴ちゃんを受け止めることが出来た。

 

「やっと……やっと言ってくれた……遅いよ、正博」

 

僕の胸に顔をうずめたまま言った彼女の言葉を聞いて、どういう意味かを理解した。

だから僕は、こういう時に言うべき言葉を口にして紡ぐことにした。

それが今、僕がやれることなんだって思う。

 

「巴ちゃん」

「ぐすっ、ぐすっ……」

「僕と、付き合ってください」

「当たり前……だろ」

 

涙を流しながらも、ニコッと笑っている巴ちゃんの口に、僕の口をくっつけた。

触れるだけの優しいキスなんだけど、少しの甘い味と涙によってつけられたしょっぱい味が交差していた。

 

僕はゆっくりと口を離す。

 

「……しょっぱいね」

「全部、正博のせいだからな……」

「ねぇ巴ちゃん」

「なに?」

「まだ僕、巴ちゃんから僕に対して持っている気持ちを聞いてないから、聞きたいなぁ」

「正博っていつからこんな意地悪になったんだ?」

「いつから、だろうね」

 

 

ほんとに、いつから僕は巴ちゃんを好きになったんだろうね。

好きになったからこそ、意地悪してしまうんだって自分で思っているから。

 

最初は女子大に潜入して不審者と間違わられて出会った僕たち。

その時はただ、他の人と同じように僕を嫌な目で見ているだけだと思っていた。

 

だけど彼女は違って、僕の事を理解してくれるだけでなく手をも差し伸べてくれた。

 

そして彼女に僕が聞いた時からかな、僕が好意を寄せるようになったのは。

巴ちゃんは覚えているのかな?

 

 

正博は素直で、一緒にいると楽しくなれる男であり、アタシの友達だろ?

 

 

そう言ってくれた事を。

初めて巴ちゃんと羽沢珈琲店に行った日の帰りに言ってくれた言葉だったよね。

 

「巴ちゃん、今巴ちゃんが持っている僕のイメージって何?」

「アタシが正博に持っている気持ち、まだ言ってないのにもう他の質問か?」

「あはは、そうだね。僕は意地悪だから」

 

巴ちゃんはゆっくりと僕の胸から離れた。

僕の胸のあたりは巴ちゃんの涙でグショグショだけど、不快になんて思わない。

 

巴ちゃんは僕にしっかりと抱き着いてくる。

そして巴ちゃんは僕の耳元でこう呟いた。

 

耳元で呟くなんてこそばゆいし、彼女の優しい吐息が僕をフラッとさせるんだから。

だけど彼女が呟いた言葉に僕は安心した。

 

「正博は素直で、一緒にいると楽しくなれる男であり、アタシの大事な彼氏だろ?」

 

そして最後に彼女はこう付け加えた。

 

 

「アタシは正博の事、大好きだ」

 

 

 

fin.

 





image



作者


小麦 こな



キャスト


佐東正博
宇田川巴


美竹蘭
青葉モカ
上原ひまり
羽沢つぐみ


月島まりな




佐東貴博




結城拓斗(友情出演)





テーマソング


楽曲名『Y.O.L.O!!!!!』

  歌 Afterglow
 作詞 美竹蘭
 作曲 Afterglow


劇中歌

楽曲名『Scarlet Sky』

歌 Afterglow
 作詞 美竹蘭
 作曲 Afterglow




アシスタント


ジャングル追い詰め太郎
咲野皐月
和泉FREEDOM
タマゴ
伊咲濤
しおまねき。
沢田空
No.4
鐵 銀
シフォンケーキ
シュークリームは至高の存在
黄金炒飯
ちかてつ
霧隠内臓
RTO@ガリア
せきしょー
梓弓
miyake
託しのハサミ
由夢&音姫love♪
結夢ヶ崎 コア
〔福〕良太鼓
赤の断末魔
なんかヤバイやつ
猫又侍
空中楼閣


ぴぽ
ジャムカ
Ydl/ヤディ



Twitterアシスタント


シス(弱い男)
こーでぃ・たろう・らんさむ
進撃のワト
みゃーむら
しおまねき。@作家垢




ファンアート


伊咲濤
ミノワール



エンドロール賛同


柊椰




スペシャルサンクス


べっこう飴ツカサ
柊椰
シフォンケーキ
ちかてつ
進撃のワト
赤の断末魔
黄金炒飯
Miku39
和泉FREEDOM
ヨコリョー
タマゴ
ぴぽ
終焉の暁月
霧隠内臓
ジャムカ
ジャングル追い詰め太郎
てしゅん
摺河
かぁびぃ
鐵 銀
シュークリームは至高の存在
旭のアサヒ
結夢ヶ崎 コア
弱い男
mos,
silverhorn
猫魈になりたい
ブブ ゼラ
ケイローン
蒼龍セイヤ
カエル帽子
詩記
ベルファール
ゴリお
T-Ki
T田
セトセト
空中楼閣
伊咲濤
咲野皐月
石月
ニコアカ
せきしょー
よもぎ丸
しおまねき。
託しのハサミ
おれんじレンジ
美味しいご飯
阿久津@谷口学園高校
Wオタク

鴨凪
ミルクチョコレート像
お茶の香り
宇宙
cross
Aran
Solanum lycopersicum
クロクロ
カフェイン大好き
risumo
Orlaya
Phenomenon
move333
てるまっちょ
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さおとめ
yoshi4815
フユニャン
使露
タマザラシZ
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「ぱちぱちぱち~」
「そのあとのふたりはどうなったの?」
「それは~、のぶ君も知っているんだよね~」
「おれがっ!?ママはすぐにうそつくからあやしいんだよなー」
「それじゃあ、ママがヒントを出してあげよう~。……今日、のぶ君は誰と遊んだ?」
「ともひろと!あいつ、おれとみょうじがいっしょだからってすぐおれのマネをするんだ!」
「のぶ君はちゃんと、とも君と仲良く小学校に行ってる?」
「ママ~。ともひろのママとおなじこといってるよ!ともひろのママ、おこるとこわいんだっ!かみのけもあかいから、おにみたい!」
「そんな事言うのはメッだよ~」
「うぅ……ごめんなさい」
「それより~、のぶ君はね?ママと~、パパの出会い、聞きたい?」
「きくっ!さいきんパパ、あそんでくれないし」
「パパに怒っとくね。あたしとパパはね?このお話のすぐ後に出会ったんだよね~」
「ふーん……」
「あたしが初めてパパに会ったあの日はまだ『変わる』前だったんだよ」
「このはなしがおわるころには、パパかえってくる?」
「うん!きっとのぶ君の好きなパンを買ってきてくれるよ?」
「じゃあ、はやくおしえてっ!」
「むかーし、むかし……」


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