第一話−とある街クリュネルにて−
商業都市クリュネル。総人口25万人ほどのこの街は、ドンドルマに並ぶ大都市である。この街は、ハンターズギルドを中心に8つの通りが伸びる。そして、他の都市にはない特徴……
ハンターズギルド直轄の小規模ギルドが5つ存在するのである。その中でも、群を抜いて成果を上げるギルドがあった。
そのギルドの名は、『銀の飛竜亭』。酒場を営む一方で依頼を受ければ着実に完了する。知り合いの情報屋曰く、
『クリュネルを守る何でも屋』。そんな彼らのもとに、また新たな依頼が持ち込まれる……。
雲一つ無い晴天の日。酒場『銀の飛竜亭』のドアが開かれ、一人の少年が出てくる。長い白色の髪は朝日を浴びて輝いている。
「ふあぁ……眠い……」
寝ぼけながらも看板を『Closed』から『OPEN』へと変える。
少年の名は、『シルヴァ・バーナード』。『銀の飛竜亭』を
営む若き亭主である。そこへ、一人の少女がやって来た。
「シルヴァー?おはよー。いるー?」
「うん…いるよ……。おはよう。ミラ。」
少女の名は『ミラ・エルネット』。『銀の飛竜亭』ギルド員にして、彼の幼馴染だ。
「今日の依頼はどうなってるの?」
「確か……村の付近に出たイャンクックの討伐が入ってたかな?僕が行ってくるよ。」
「りょーかい。貴方なら大丈夫だと思うけど、気をつけてね?」
そう言うと、彼にギルドの支給品を手渡すミラ。
「分かった。それじゃ、行ってくる!」
そう言うと、シルヴァはリオレイアSの剣士一式を身に着けると、依頼されたクエストへと向かうのだった。
−遺跡平原−
「確か、このエリアに……。」
そう言いながら進むシルヴァ。その横をトテトテ歩きながらついて来る一匹のアイルー(ハンターの手助けをする獣人種の猫である)がシルヴァに語りかける。
「ニャーニャー、ご主人。エリア4の辺りにいるみたいだニャ!」
「分かった。そっちに行こうか。ありがと、ニャル太。」
そう言うと、彼はまた歩き出した。その時だった。
「イヤァァァァァァッッ!!!!」
「!」
悲鳴が聞こえてきたのは……。
「………!急ごう……方角は……エリア4!?」
「早く行かないと手遅れになるのニャ!ご主人、急ぐニャ!」
走り出した彼らは、エリア4へと向かった………。
−遺跡平原 シルヴァ達が来る数分前−
「ここが遺跡平原かぁー!」
遺跡平原に現れた一人の少女。彼女の腰には、ハンターナイフが装備されている。
「確か、依頼はジャギィ8頭の討伐……だよね?」
首をかしげる少女。そう、今日の遺跡平原はあまりにも静かだった……。
「とりあえず、ジャギィ探すかぁ………。」
そう言うと、少女は歩き出した。
「あーー!もう!どこにもいないじゃん!」
クエスト開始から早1時間。ジャギィを一匹も見つけられない。
「ジャギィがたくさんいたんじゃなかったのぉ……。」
そんなときだった。
「クェアァァァァッッ!!」
モンスターの鳴き声が聞こえてきたのは。
「もしかして、ジャギィ!?」
新米ハンターの彼女に、気づけるはずがなかった。
その鳴き声がイャンクックのものであると言うことに……。
「あっれぇ?確か、こっちから声がしたんだけどなぁ……?」
そうひとりごちながら歩き続ける少女。すると、足音のようなものが此方へ近づいて来ることに気付く。
「……。何?この音……?」
ズシン……ズシン……!
「クェアァァァァァッ!!」
「!?!?!?!?!?」
彼女の前に現れたそれは、彼女を見つめると、
ゴウッ!
火炎球をはいてきたのだ!
「誰ぇぇっ!?」
何度も言うが、そのモンスターの名前はイャンクック。新米ハンターの登竜門であり、飛竜と言われる鳥竜種のモンスターだ。
それが今、彼女へと猛烈な敵意を向けていた。
「クェアァァァァァッ!!」
「何よコイツーー!?」
そう言いながらも武器を構える少女。火炎球をガードしながらイャンクックへと接近し、ハンターナイフで斬りつけた!!
が…………。
カンッ!
その刃は通ることなく弾かれた。
「なんでよぉぉっっ!!」
そして、イャンクックは彼女へと攻撃を仕掛ける。
「キャアッ!!」
咄嗟のことで避けられなかった少女は、激しく吹き飛ばされた。
「ううッ……。イタイぃ……。」
彼女は大きなダメージを受け、地面に倒れ伏していた。
そこへ、イャンクックが猛然と迫る!
「い……イヤ……」
「イヤァァァァァァッッ!!!!」
そして、彼女は逃げ出した。しかし、イャンクックは火炎球で追撃する。
「アグゥゥゥッ!」
まともに被弾した彼女からは、抗う気力は失われていた。
「お願いだよぉ……誰か……。」
「助けて…………。」
「任された!」
「!!!」
声が聞こえた方を見た少女。そこには
翡翠色をした鎧を煌めかせ、イャンクックの攻撃を受け止めたハンターとオトモアイルーの姿があった。
その光景は、彼女が幼い頃に読んだお姫さまを守る騎士のように見えた。
そして、ハンター………シルヴァはこうイャンクックに告げる
「一狩り……行こうか!!」
続く
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