気晴らし程度に見ていただけると嬉しいです。
思い付きで書いたものです。
ではどうぞ。
私は、メディチ家からのご依頼で、今だかつてない像を作る様に命じられ、工房に籠っては悩む日々を過ごしていた…
嗚呼…これは一体どうしたら良いのだろうか…
案が浮かばない…!
一体…どうしたら……
どう………したら………
っ!?
いかん!寝てしまっていた!
ん?ここはどこだ?外であるのは分かるが…見たこともない造形の建物だな…なっ!?焼けているではないかっ!!
一体何が起こっているんだ!?
ああ、何とも勿体無い!こんなに芸術的な建物を……一体誰がやった!?大火事ではないか!芸術は爆発だと言いたいのか?これでは炎上ではないか!!
「ん?そこのお前!」
なんだろうか…こちらの方を指差し向かって来ているが…怒っているのか?私が何をした?にしても良い肢体だな?
「そこを動くな!ここは我ら鉄血の領地なるぞ!!」
な、なんだあの獲物を見つけた様なヤバそうな勢いは…
あ、こっち来た!なんかヤバそうだから逃げよう。
「あ!逃げた!?待てーい!」
っていうか、なぜ私は逃げている…
あれは銃か?銃にしてはやけに短いもので狙われている。なるほど、外の世界は進んでいるのだな…見慣れている銃よりも短いというのに…近くの倒壊している建物に小さな穴が開いている。射手が優れているからか?
というか逃げよう…じゃないと私殺られてしまう!君主のご依頼どころではなくなる!!
「はあ、はあ、待て…待てったら……」
なにか言葉を発している。
もしそれが『待て』だとしても、待てと言われて待てば死あるのみだ。うん?バテたのか?ならばこれは好機だ!
………ふう、適当な物陰に隠れたお陰か、あの野蛮そうな者たちをやり過ごせた様だ……あの『滴のような図柄』を体に描かれていたな、あの野蛮そうな者たち…。
私はなにか罪を犯したのだろうか?いや、確かに依頼の締め切りが迫っているのに今だこうして着手せずそのまんまなのではあるのだが…
それか、何かの闘争に巻き込まれてしまったのか?それともここは別の国の領土に来てしまったのか?
何が何だかわからぬまま歩いていると……
「あの…そこのあなた」
ん?桃色の髪の毛の人間が話し掛けてきたぞ?。私に様か?今思考を巡らせているのだが……
この容姿だと歳幾ばくもないな…ん?
胸が……平たい…!
しかも銃らしきものを持ってる…!
…いやあの蛮族そうな者たちのものとは違うな。
なんか造形の意匠が違うというか…。
「ちょっと待ってください!そこは危険ですよ!」
なに?なるほど、言葉は分からぬが、彼女は私にその先へは行くなと言いたいのだろうか。
……だがここはあの不思議な短い銃を構えた野蛮そうな者たちがまだ彷徨いている筈だ。どうか止めないでくれ!というか、君も逃げなければならぬだろうに。
「兎に角、こちらへ来て下さい!ご案内致しますから!」
腕を捕まれ私は引っ張られていく。この少女、なんて力だ。しかも、そんな必死な顔して、私を何処へ連れて行く気だ?
ん?私にはその銃を向けぬのか?
おお、となると敵ではないのか。
この必死そうな少女から、どこか親切さや丁寧さを感じるぞ!なに?私を守ろうとするつもりか?よくわからぬ…が、彼女は情熱的というべきか…。
よし、ひとまず付いていこう。
それにしても、ここ一帯の建物の造形と来たら素晴らしいの一言に尽きる…。これを作ったものは天才だな。ん、なんだあれは?
「どうしたんですか?ああ、あれですか?あれは劇場です。現在はこの情勢故、閉館しているのですが…」
ふむ、何だか寂れているな。もしや、先程の様な野蛮そうな連中により、封鎖されているのではないのか?と私は思った。
「指揮官、逃げ遅れた方を発見しました」
少女は何処かに話しかけている…発している言葉はわからぬが、耳に手を当ててるのをみると、離れた位置から遠くの誰かに疎通を行っていると言うのか……?
おお…!なんとも魔法の様ではないかっ…!
ん?この少女、良く見ると、首にぶら下げているものに何かの紋様が入っている…鳥の様に見えるが……?
「…?どうかされました?ああ、申し遅れました。私たちはグリフィン&クルーガー社の…」
「AR-15!そこにいたんだね!」
「あ、SOP ii!」
ふむ、黒い服装の少女か…この少女の友人だろうか。手を振る仕草と僅かに表情が緩んだのだから、きっとそうなのだろう。
「あ、安心してくださいね?鉄血の奴等は私たちが全部やっつけておきますから!」
笑顔で何かを訴えてくる黒服の少女。ふむ、眩しい笑顔だが、どこかに狂気さを感じるのは気のせいだろうか…
ふむ、まさか私を捕らえに来たのか?余裕の笑み?なるほど、ここが私の潮時か…作品が間に合わなかったのは私の落ち度…確と受け入れよう…。
そうして、私は彼女たちに連れられていく。恐らく処刑場だろう。
途中で走るために馬を必要としない、走る箱のような乗り物や、長い板が回転すると空を飛ぶ乗り物に乗せられ、人の多い建物までやって来た。この様に高いところへ人間は行けるのか…!
神よ、これは死に逝く私への褒美とでも言いたいのか…気が付くと、私は絶望よりも感動を覚えていた。
ふむ、この乗り物たちには操る者がいるのか。ほほう…その椅子の近くのスティックでこの乗り物の舵取りを…?興味深いな…!
ああああ!
フィレンツェにもこんなの欲しいぞ!見事な発明だ!
これがあれば、作った作品を迅速に運ぶことが出来るというのに…!!
……しかし、この様な乗り物を作るにも、職人たちは相当な苦労をしていたことだろうな…まさか量産するだけの体制が整っているでも言うのか?
来世のフィレンツェでは、それらが当たり前に存在していることを祈りたい…。
「おかえり、AR-15、SOPii。おや、逃げ遅れた方ですね?こちらへどうぞ」
ん?着いたのか?というか、丁寧に手招きされている。処刑場にしては明るいな。この男、中々逞しい出で立ちをしている。ふむ、言葉は分からないのだが、なにやら歓迎されている様にも思えなくはないな?その手の仕草は何だ?ふむ、もしや、そっちへ向かえと?よし、行こう。
なんだ?あの赤いスカーフを巻いてる白く大きなモコモコは?猛獣か?
ここは、兵の訓練施設か基地なのだろうか?うーむ…。
「一先ず、混乱していることでしょうし、今日のところは基地でゆっくりしていってくださいね。AR-15、宿舎の12番の部屋をこちらの方にご案内してあげて?」
「了解しました」
この施設の長であろうか。この男は私に語り掛けてきている。もしや言葉か?すまない、言葉は分からぬが、慈悲深そうな柔らかい表情だ。
む?待てよ、もしや、締め切り日を伸ばしてくれるという話しか!?
……ああ、神よ……!感謝いたします!!
さて、何はともあれ、命を拾ったはいいが…ん?桃色の髪の少女が手招きしている。
つまり、こちらに来いと?…では行くか。
それにしても、ここは女人が多いのだな。あ、あの者たちも鳥の紋様が刻印されているではないか。ということはここは訓練施設というより基地なのか?マトに向けて銃を向けている兵たちがいるくらいだし…。
そんなこんなで、私はなにやら個室に案内された。そうか、ここで作品を作れと!しかし道具や材料が見当たらないな…寝床に、机か?それとこれはなんだ?
先程の桃色の髪の少女が私になにかを渡してきた。
「これをどうぞ。飲むと落ち着きますよ」
ふむ、私にくれるというのか…?
おお、これはなんだ?飲み物?ワインにしては……驚きの黒さ…
い、戴こう…少女のどこか心配そうな面持ちを見てしまった以上、無下にはできぬ…
おお、芳醇な香り…。
ん、苦い…!
だが、美味い…!
目が覚めるような味わいと香りだ…!作品が出来た後の休息とかに飲みたくなるぞ…!
そう言えば、先程の滴のような図柄の野蛮そうな者たちは一体…やはり、どこかの蛮族だろうか?
そしてこの者たちは……?
そう言えば、この桃色の髪の少女…体躯から他の女人の者と対して歳は変わらなさそうに見えるのだが……
それにしても………
………胸が……平たい……!
「それでは、失礼しました。ごゆっくりどうぞ」
平たい胸族の少女は、淑やかに部屋を出ていった。
ふむ…
しまった…久しく多くの感動を覚えたためか…疲れが……
おかしいな…この黒い水を飲んでもだめだ…
Zzz……
はっ!!?
あ、あれ?工房に戻っている…!
あの黒い水は…?ない!
あの平たい胸族の少女は!?
居ない……
うむ…
……そうだ!閃いたぞ!
早速作業開始だっ!!
………………………………………………
「ふむ、では、作品を拝見させてもらおうか」
メディチ家の皆様に見てもらう。果たして喜んでもらえるのか…一先ずベールを取るとしよう。
「こっ……これは………!!」
当主様が震えていらっしゃる…!
まずったか…?
「これは何だね…!?人が乗っている様に見えるが…!」
これは、空を飛ぶ未来の乗り物でございます…
その上の薄く長い板が回転することで中に浮くことができるのです…
「すばらしい!見事な造形であるぞ!」
当主様方は、他にも、『平たい胸族の少女』や『野蛮そうな者たち』の彫刻、私が見たものの絵画、鳥の紋様の金細工を見て回り、うんうんと頷き、さぞ喜んでもらえた…!特に平たい胸族の少女の像は気に入ってもらえた様だ。
………………………………………………
グリフィン前線基地。
「指揮官、ただいま戻りました」
「ただいまー指揮官!」
「AR-15、SOPiiおかえりなさい」
「何か読まれてましたか?」
「ああ、これを見ていたんだ」
「社内報だね?」
「そうだ。ちょっと気になる記事がな…」
社内報にはこう書かれていた。
『イタリアはフィレンツェにて、これまで発見されなかった秘蔵の絵画や彫刻、金細工等の作品が発見される』
その発見された作品の写真を三人で見ていると、SOPiiが何かに気付いた。
「ねえ、これってAR-15っぽくない?」
SOPiiは彫刻の写真に指さして訊ねる。
「え?おお…本当だ…」
「はあ?そんな馬鹿なことあり得るわけ……えええっ!?」
「これなんか、グリフィンのマークみたいだね?こっちの彫刻は鉄血のやつらかな?すっごーい!……んん?なんか文字掘られてない?」
「んー、確かに何かあるな」
「解読ソフトあるから、解読するよ?…ええと、『平たい胸族』…?」
SOPiiと指揮官は、思わずAR-15の方を見た。そこには濁ったような目をしたAR-15が立っていた。
「「あっ…」」
本日も基地は平和であった。
ある日、テルマエ・ロマエの存在を思い出してたら思い付いて執筆したものです。
主人公はメディチ家とかフィレンツェとか出てますが、まぁ、ルネサンス時代の人です
当作品の歴史考証はガバガバです。