【艦隊これくしょん】「雨」合同作戦誌【合作】   作:ウエストポイント鎮守府

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前回のあらすじ
グラーフ「ガングートとタシュケントまで……クソッタレが。無駄にしないためにもやらればならないことをしなければ」
アクィラ「今はもう、ただただ悲しいです。グラーフが頑張るならついて行きますけど……」
サラトガ「無駄にはしないわ、絶対に。そのためなら猿芝居にも付き合う」



気狂い

「さよなら、タシュケント。ヴェールヌイ、ガングートと共に安らかに眠れるよう祈る」

 

聞こえないと解っていながら私はそう洩らした。全てが片付いたら鎮魂碑を建てようと考えながら。

私を先頭に射撃場の中を抜けていく。三時間前にはここでワイワイとみんなで射撃を楽しんでいたことを考えると非情な現実が私の頭に満ちてくる。アイオワ、矢矧、雪風、鈴谷、熊野、ウォースパイト。伊401(しおい)U-511(ゆー)。ヴェールヌイ、ガングート。プリンツ・オイゲン(オイゲン)、リシュリュー。笑い合い、共に生き残っていた仲間はみんな、みんな死んでしまったんだ。タシュケントだってもう助からない。私が気を抜けば陽炎や不知火、提督だってしんでしまう。CIWSの掃射で誰が死んだかは確認したくもない。もう少しで対深海棲艦戦役が終わるというところで死んだんだ。私達が戦わなくてもいい時代が来るというのに。このまま揃って終戦を迎えられると思ったのに。できる限り意識していなかったものが急にのしかかってきた。

そこら中に転がっている基地職員や警備隊員、穴だらけだったアイオワ、バラバラで焼け焦げていたウォースパイト、頭が割れた矢矧、処刑された雪風、二人で消えていった鈴熊、ヴェールヌイの鮮血で染まったコンクリート、奇妙な最後を迎えたガングート……。見ていないリシュリューやオイゲン、しおいとゆーの死際まで頭の中に映し出されてしまう。泣きたくなるほど悲しいが、ぐっと堪える。泣き顔を見せるつもりは無い。アクィラはこれを乗り越えてなお、あんな風に振舞ったのか? だとすると……。私は自覚している以上に弱いのかもしれない。

地下へと続くハッチがある部屋に着いた。弾薬庫の先にある部屋で普段は物置部屋として使われている、埃だらけの部屋だ。

 

「このカーペットをどけるぞ」

「手伝います」

 

サラトガが外を警戒して私とアクィラで敷かれていた敷物を丸める。動かす度に埃が舞って、それが灰に思えてさらに気分が悪くなる。顔には自信ありげな表情しか出さないよう努めているが、それが崩れそうになりくしゃみの振りで誤魔化した。実際、今アクィラがくしゃみをしたから上手くいった気がする。敷物をどけるとさびた金属製のマンホールが露わになる。本当にただの円盤を被せてあるだけで掴むところがないため、部屋の中にあったバールを使い蓋を動かすと気分が紛れるほど酷い匂いがしてきた。梯子が見えたがこういう状況でなければ触りたくない。

 

「本当にここにはいるんですか?」

 

適当な棒を使って蓋を外したらアクィラにそう言われる。

 

「ああ、そうだ。そこにあったライトはどうしようもないからつけて行くが嗅覚を鈍らせるなよ。嗅ぎたくないのは重々承知しているが硝煙の臭いや人の匂いを漏らすのはよくない」

「わかってますよ……多分」

 

艦娘が自身の感覚をある程度弄れることいいことに既に嗅覚を鈍らせていそうだが、追求する気のない私は溜息をついた。しかし私は聴覚の感度を上げているのに銃声も爆発音も聞こえないのが奇妙に感じる。こう思うのは侮辱しているようで不快だがタシュケントにはまだ銃弾はまだあるはずだ。室内に戻ってから既に数十秒は経過している。敵の前進速度もそこまで遅すぎるという訳ではなかったはずだが……。

これは考えても仕方ないので降りる前にP90にしっかりと装弾されていることを確認し扱いにくかったためスリングベルトを少し長めにした。部屋内にあった電池とフラッシュライトを組み合わせしっかりとつくことを確認する。

 

「よし、降り」

「ん、グラーフ。足音複数。多分裏口から射撃場に入ったわ」

 

裏口だと? まさか敵が回り込んできたのか。タシュケントは一体何を──彼女から通信だ。

 

「タシュケント、どうしたんだ」

「ごめん、同志グラーフ。できなかったよ」

「一体何が」

 

大きな爆発音が振動とともに響いてきた。室内の埃が舞う程だ。窓があったら小さいキノコ雲のようなものが見えたかもしれない。当然ながら通信は切れている。

 

「Scheisse!」

 

タシュケントが……。できなかったとは一体……。響いていた爆発音が収まると私の耳にもハッキリと足音が聞こえてきた。今、射撃場内で私達を探しているようだ。扉を蹴破る音や手榴弾の爆発音が偶に混じっている。

 

「ちぃ。これじゃあ、タシュケントの死は無駄に」

「サラトガ、言わないでくれ。わかっているから」

「グラーフ、こんなんじゃあやり切れないわ。どうかしないと」

「私だって、どうにかタシュケントとガングートの死を無駄にしたくないんだ。……ああ、もう。感傷に浸ってる場合じゃない。私が先に行く」

 

よくわからないもので覆われた汚れた梯子を一段ずつ滑らないよう慎重に降りていく。五メートル下まで降り足元に何もないことを確認してから手を離した。直径二メートル以上はありそうなコンクリート製の地下通路に着地音が響く。底面は通路と枯れた水路があり音に驚いたネズミが這いずり回った。ライトをつけて前後の安全を確認しアクィラに降りてくるよう合図する。アクィラが梯子を下る音をBGMにもう一度代用施設に行くルートを確認する。走れば十分で行けるが、陽炎から通信が来てから既に十五分経った。あと十五分、妨害を受ける可能性を考えるとそんなに余裕がない。

降りてきたアクィラを受け止める。被せたままの彼女の帽子がズレたため直す。上を見上げてサラトガにも降りてくるよう声を上げる。彼女の白いスカートが見え毅然とした表情が見えた。中身を見る気にはならなかっため目線を逸らす。

ダダン、と小銃の連射音が聞こえ顔を上げると液体が顔にかかり影が落ちてきた。顔より遅れてきた手元のライトがそれを照らす──。

 

「サラトガ!」

 

ライトを捨て両手を広げしっかりと地面を踏みしめた。彼女は縦穴の壁に体をぶつけながら落ちている。腰を少し落として……受け止める!

 

「ぐぁ!」

「きゃ!」

 

手だけでは彼女の体を受け止めることができなかった。尻もちをついて横たわり彼女の体が私の上にうつ伏せで乗る。衝撃を結構くらった私よりもサラトガが先に立とうとしていたが、立てなかった。

 

「大丈夫か……っ」

 

生暖かさを感じて顔を上げると彼女の白いスカートが真っ赤に染っていた。彼女を私の体から降ろして仰向けにスカートを捲ると、両足が撃ち抜かれていた。

 

「クソッタレが……」

「危ない!」

 

アクィラがマテバオートリボルバーを抜き上に向けた。つられて見上げると銃身が見える。慌ててサラトガを引きずりながらFiveseveNを引き抜いてやたらめったら撃つ。私達を捕まえようと思わない限りここに手榴弾を投げれば一発で片付くだろう。アクィラも撃つがいかんせんオートリボルバーは装弾数が少ない。.454カスール弾を直ぐに撃ち切ってしまい、アクィラはシリンダーを倒して装填に入るがFiveseveNだけの牽制になると少々心許なかった。再び銃身が見え撃たれると思った時、サラトガが右手をガバメント(M1911A1)を持った手を上げ撃ち始めた。.45ACP弾を恐れたのか銃身が引っ込んだ。その隙にアクィラが装填を終え再び撃ち切るがその時にはサラトガを物影まで引っ張りいれることが出来ていた。引きずったことで出来た血糊が彼女の傷の深さを現している。早く治療しないと……。アクィラが上を見ているのを確認して応急処置を行う。バケツという便利な回復薬はないのでサラトガ自身がどこかから拾ってきたファーストエイドキットを受け取り止血帯と包帯を取り出す。彼女の元に跪いて止血帯を押し当て、包帯を強く手早く巻き、最後にモルヒネを打つか尋ねる。

 

「サラトガ、モルヒネはどうする?」

「……お願い」

「分かった」

 

彼女の左腕の袖を捲り静脈注射を行う。透明な液体が彼女の中に吸い込まれる。これで彼女の苦痛が和らいでくれるはずだ。このまま置いて行く訳にも行かず私が背負おうとすると差し出した手が払いのけられた。

 

「貴女を置いていく訳には」

「グラーフ。サラを背負っていくと時間がかかりすぎるわ。あとから行くから先に行って」

「その足でか?」

「ええ、そうよ。折れても、這ってでもそっちに行くから先に行って提督を助けてあげて」

 

私の直感が、いや理性でもサラトガは嘘をついていると言っている。私やアクィラと一緒で演技をしていると。今ここで嘘つき呼ばわりして彼女を背負っていくのは簡単だ。だが……。

 

「……お願い、行って」

 

提督の元に十五分で着けなくなる選択をする事はできない。彼女を背負えば確実に間に合わない。そして、ここに置いて行けばどうなるかは……。だから、だから私は嘘に嘘を重ねる。

 

「了解した。提督を救ったら必ずバケツを持って助けに来る。それまで生き残ってくれよ」

「Off course。アイオワの弔いだってまだちゃんとやってないし、そうそう死ねないわ」

 

足を撃ち抜かれていたなお彼女はいつもの明るさで振舞った。なら、それ相当に対応することが一番彼女のためになるはずだ。目から溢れそうになる涙を堪えて右手で顔を拭う。アクィラに帽子を渡したのは失敗だったかもしれない。これ以上サラトガを見ていられず立ち上がって上を向いた。どうして、こうなってしまったんだ……畜生。コンクリート越しに地上にいるであろう敵を睨み、頭の中でここを去る踏ん切りをつける。心はここに残りたがっているが時間があまり無い。サラトガがアクィラを呼んだのでP90を構えアクィラと警戒を少しだけ代わると彼女はサラトガの元へ行く。幸いにも敵は手榴弾を使い切ったのか何もしてこない。流石に捕まえようとは思ってないと思うが……。

 

「サラ、頑張って下さい。アクィラ達も提督を救ってくるから」

「ふふ。アクィラ、ちょっと……」

 

サラトガがアクィラを引き寄せて耳打ちをしている。私が横目で様子を伺うとアクィラが驚いて抗議の声を上げようとするもサラトガが口を手で塞いだ。そしてまたサラトガが囁く。私としては内容が非常に気になるだが。何度かアクィラが頷くとサラトガの頭を撫で一言二言話してから立ち上がった。アクィラが帽子の位置を調整し深呼吸をする。

 

「すぅ……はぁ。よし、グラーフ。行きましょう?」

「ああ、行こう。私に続いてくれ。それとサラトガ。あとは頼んだぞ」

 

ええ、と彼女はぎこちない笑顔を浮かべ頷いた。……叫びたい、この状況をどうにかして打破したい……。しかし、妥協して負けた例は古今東西いくつもある……。提督の死という負けを迎えたくはない私は後ろ髪引かれる思いでアクィラとともに駆け出した。数十歩もいかないうちに後ろから声が投げられる。

 

「ガンビーとイントレピッドによろしくお願いね!」

 

返事をしたかったが声が詰まって何も言えなかった。サラトガ、それは卑怯だ。とても、卑劣で、意地悪で、性悪女(ヘルキャット)だ。今更気づいたが、タシュケントの死を無駄にしたくなかったというのもあったのだろう。ふと、気がつくと私は泣いていた。両手がP90とライトで塞がっている今、拭くことも出来ず涙は私の頬を伝っていく。とめどなく流れる私の涙は光を反射してその存在をアクィラに伝えるかもしれない。泣き顔は見せたくないが、彼女も泣いているようだ。鼻を啜る音が聞こえてくる。これなら私が泣いても別にいいと思う。アクィラだって受け止めきれないんだ、私だって……。

やがて銃声が背後から響いてきた。

 

「これは……サラトガのトンプソンですね」

「ああ、それに5.56x45NATO弾系の銃声が聞こえる。始まったか」

 

サラトガ、生き残ってくれ……。さらにSCAR-Hの銃声までもが響いてくる。かなりの激戦となっているようだ。確実にアクィラは不安げな顔をしていると思い振り返りたくなるがそれをすると私の顔が見られてしまう。腫れぼったい目を見られるのは流石に嫌だ。走りながら聞いているため少しずつ遠くなっていく銃声が断続的に一分ほど聞こえたかと思うと急激に止みはじめ5.56x45NATO弾系、おそらく89式小銃系の銃声を最後に何も聞こえなくなった。まさか……。

 

「ちぃ、サラトガ!」

「サラ、返事をして!」

 

二人で通信をするが全く応答が無い。なりふり構っていられず、立ち止まりアクィラの顔を見ると、とても悲しそうな顔をしている。目が合い彼女は目を閉じて首を振った。サラトガが死んだ……のか。予期していたとはいえ現実に耐えきれず、左手に持ったライトを壁に投げつけたくなる。だが、そんなことをやっても無駄だと考え腕から力が抜けた。ああ、もう……。右手をP90のレシーバーから離して顔を覆う。長めに調整したスリングベルトとP90が振り子のように動いて私の体に当たる。これで残ったのは私達二人だけか……。対深海棲艦戦役で武勲を誇った私達の基地が数時間でここまで凋落するとは。誰が予想しただろうか、敵以外で予想できたのは神ぐらいかもしれない。ちぃ、何を考えてもサラトガのあの表情を思い出してしまう。でも、やっぱり背負って行った方が、いやそれでは間に合わなくなってしまう……。

 

「グラーフ、大丈夫ですか?」

「……ん、ああ。大丈夫だ。進もう」

 

迷わないよう周囲を注意深く走ることがサラトガに関する思考をこれ以上させなかった。電球一個すら無い地下で唯一の光源であるフラッシュライトが壁を照らし、私達の足音が響き、澱んだ空気が息を詰まらせていく。別れ道や細い配管がいくつもあり迷いそうになる。偶に見かける金属のプレートに書かれた番号を確認しないと地図を持ってても迷うだろう。それに湿ったコンクリート床は滑りやすく気を抜けば転けてしまいそうだ。

私の心も何かのきっかけで滑って転けて折れてしまうような気がして寒気が走った。不吉な予感(・・)は頭を駆け巡りこれが本当に起きるんじゃないかと考えてしまう。もし提督を救えなかったら、もしアクィラも死んでしまったら……もう立ち直れない。やめろ、考えてしまえば現実になるかもしれない。この未来だけは絶対に掴みたくない……こんな風になったら死んだ方がマシだ。だが、どうしても考えてしまう。

危うく、曲がらないといけない分岐点をそのまま直進しそうになった。若干行き過ぎたため身を翻して戻ろうとするとアクィラが突っ込んでくる。

 

「うぉ!」

「きゃあ!」

 

目の前まで迫っていた彼女を受け止めず、私は後ろに倒れる。背中から着地してしまい、衝突の衝撃もあって肺の中から空気が絞り出されてしまう。流石にすぐには起き上がれず、アクィラが先に立ち上がって私の手を引いてくれた。

 

「いたた……」

「ごめんなさい、グラーフ。ちょっとぼーっとしてました。怪我はないですか?」

「ああ、大丈夫だ。私こそ済まない。そこの角を曲がらないといけないんだ」

 

ライトで照らそうとして左手を上げて、そのライトが手の中にないことに気づいた。慌てて周囲を見回すと二メートルほど離れた場所に転がっていた。自分自身で思っている以上に私の精神はやられているのかもしれないと、ライトを拾いながら感じてしまう。

 

「そこだ、戻ってそこを曲がる」

 

ちゃんとライトで照らして行先を告げる。アクィラが理解したことを確認して再び走り出す。若干上り坂が続いたかと思うと今度はさっきよりは新しいコンクリートでできた、基地設立時に作られた洞道に出る。どこかから来た配管が幾つもある上、この洞道自体そんなに大きくないため非常に走りにくい。腕を振りすぎれば両脇にある配管に手が当たり帽子を被っていたら天井と擦れて脱げていたかもしれないほど狭い。だが、さっきの地下通路に比べれば分岐点や目印が多く走りやすかった。その上、僅かではあるが照明がある。

だから、私の思考にも余裕ができてしまう。考えたくないのに提督かアクィラが死ぬシーンがいくつも、何種類も浮かび上がっては消えていく。ある時は手遅れで、ある時は私も死に、またある時は私だけが取り残される。拳銃で殺されたり、手榴弾で殺されたり、どこかから飛んできたCIWSの弾幕や中口径砲からの射撃で弾け飛んだり、絞め殺されたりしている。

いつの間にか足の感覚が遠くなり自分が走っているのか歩いているのか、はたまた止まっているのかすら分からなくなってきた。

 

やめろ

 

目の前で死んだり、亡骸が晒されていたり、消し飛んだり。小銃で殺され、ナイフで首を裂かれ、嬲り殺される。

 

ああ……ぁ

 

何かの爆発に飲まれたり、撃たれたり、斬られたり。

視界が揺れて平衡感覚が失われていく。遠くからアクィラの声が聞こえて近くから銃声が聞こえる。いや、逆か?

 

「うぅ、ああ゛」

 

死んで、殺され、殺られて、間に合わず、亡くなり、消え失せ、逝って、くたばり、死に、殺され──。ドンッ!

気がつくと私は倒れていた。初めはなぜ倒れているか状況が飲み込めなかったが、頭の痛みや目の間に梯子があったり、アクィラが私に覆いかぶさってきたあたり頭をぶつけたようだ。

 

「なあ、アクィラ。私は一体」

「ごめんなさい、グラーフ。……グラーフの様子をアクィラは全然わかってませんでした……」

 

泣きながら彼女はそう話す。一体何をと思ったが体を起こそうとした途端、倒れる前に考えていたことを思い出す。途端に頭痛がして、苦痛を覚えるがアクィラの姿を見ていると落ち着いてきた。

 

「大丈夫だ。問題ないから」

「問題なかったら、こうはならないですよ。グラーフ! 私だって貴女のことをすごい心配しているんです! 余裕が無いことは知ってますけど、だからこそ、もっとアクィラを頼って……」

 

何か言葉を出すべきだと知っているが、何を掛ければいいのか分からない。

 

「その……すまない」

「謝らないで下さい! これだから日本に長くいた艦娘は……。ああ、こうします」

 

アクィラは自身の胸元に手を回し、首元にある綺麗な緑色をしたリボンを取った。それを私の右手首に巻きつけようとする。私は止めようと、理由を聞こうと口を開いたが腕で口元を塞がれる。左手で腕を剥がした時にはリボンは右腕に巻きついていた。

 

「アクィラの姿が見えなくて辛い時はそのリボンを見て下さい。グラーフがくれたように、アクィラからのお守りをあげます。しっかり自分自身を保って下さい」

「その、ありがとう……」

 

アクィラにとって私が渡した帽子はお守りだと思ったのか。本当のことは……言わない方がいいな。

付けられたリボンは不思議と輝いて見えた。何の変哲もないはずなのに、美しい腕時計のような輝きだ。まじまじと見つめていると吸い込まれるような錯覚に陥り慌てて目を逸らした。何気なく上を見上げて梯子とその先のハッチを見上げると、なにか違和感を感じた。立坑の穴が空いている天井、そこにある金属のプレートのナンバーは……。

 

「アクィラ。ここだ」

 

 




アクグラはいいぞ、最高だ。でも正直アクィラのキャラが掴みきれてない気がするけどアクグラを書く。
私、この作品が完結しなくても平和なアクグラ書いて死ぬんだ。ついでにこの世界線で日常も書く。幸福感と罪悪感と劣等感を感じて砂糖と血を同時に吐いて死ぬ。
ここの話の後半は特に某少年の精神がよく殺されるロボットじゃないロボットアニメを参考にしました。やったねグラーフの精神が死ぬよ。でも、幸せになって欲しいけど絶(ry。

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