【艦隊これくしょん】「雨」合同作戦誌【合作】   作:ウエストポイント鎮守府

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エピローグ:汚れた紙の資料

印刷番号BB555D117

 

極秘

持ち出し厳禁

 


 

■■■軍情報部

CC.

■■■日本軍情報部 副本番号:11

番号:KK■■■■2171

機密階級:極秘

閲覧権限:大佐以上


 

──以下我々が回収したある医師の記録である。

 

 

私は当時、一度在野に降りた医者だったが艦娘基地に人間の大規模な襲撃があったという報道を受け居てもたってもいられず元部下数名と共に第二陣で襲撃を受けた基地に向かった。

到着の五分前にその基地の艦娘部隊と海軍特殊部隊、陸軍特殊部隊が共同で敵を殲滅したと情報が入ってきたが正直その時はこの選択を後悔していた。誰だって死にたくはないものである。

しかし、現着した瞬間にそんな思いは吹き飛んだ。ここが内地だとは信じられないほど、基地は荒廃し、軍属していた五年間で幾度となく見た戦場そのものだったからだ。敵味方問わず死体がそこら中にあり、黒煙や炎は至る所から上がっている。十年のブランクなんて関係なく私は倒れているものを救おうとしたが引率して来た大佐に引き止められた。

何故、と問いかけると私と一番の部下である大石には見てもらいたい者がいると大佐が答える。他の元部下に臨機応変に対応するよう指示をし私と大石は案内されるままに基地内を進んだ。

どこもかしこも死体だらけで嫌になる中、一際新しい建物の破壊された玄関を潜るとそこも死体だらけ。血の匂いが篭っている。私達を連れ回してどうしたいのか大佐に尋ねようと考えているとここにある死体は海軍の制服や先程まで見ていた民兵のような服ではなく陸軍の南方方面軍であることに気づいた。

何故陸軍の、しかも本土には訓練部隊しかいない南方方面軍の制服を着た者が此処に。不思議に思い大佐に聞いたが、軍機の一言で帰ってきた。大石くんが私に耳打ちをしてくる。

 

「千畝さん、なんか怪しくないですか?」

「ああ。海軍基地に陸軍部隊がいることですら珍しいのに南方方面軍となると……結構な事態が起きたのだろう」

 

どのみち私は患者を救うことだけに集中すればいい。下手に首を突っ込んで政治や十年前の硫黄島防衛隊司令官のようなものに振り回されたくないからな。その時はそう考えていたのを記憶している。

階段を上がり二階に着くと血の匂いがいっそう濃くなる。窓を開ければいいんじゃないかと大石くんがぼやくがどうせ現場保存云々で開けられないだろう。豪華そうな扉とレッドカーペットの上をひたすら歩く。奥まった場所にある先程までよりそれなりに豪勢な扉の前で大佐が立ち止まった。

 

「お二人に見てもらいたいのはここです」

 

と言い扉を開けた。すぐに重厚な木の扉に遮られて聞こえなかった女性の泣き声が聞こえてくる。まだ若い大石くんが好奇心で扉の前に立ち覗き込むと表情が固まった。

 

「どうぞ、入ってください」

 

恐る恐る中を見ると会議テーブルを挟んで艦娘が二人、泣いているのが見えた。他に海軍特殊部隊の兵士や高官もちらほら見える。部屋は薄暗く硝煙の匂いと血の匂いが詰まっている。中にいた高官に呼ばれ私は部屋の中に入りテーブルを回って向かう。

死体が三つ、いや五つあった。荒れ果てている三つのうち二つは南方方面軍の迷彩服を来ていて一つが海軍の正装。残りの二つは誰かが整えたようで綺麗に横たわっている。片方は艦娘でもう片方は……私でも顔は知っている、この基地の提督。自体を詳しく把握する前に高官に声をかけられた。

 

「君が硫黄島防衛戦で最も優秀な軍医と表彰された千畝君か。私はある海軍高官だ。君たちにはこの二人を治療してもらいたい」

 

そういい、提督と艦娘を指さす。明らかに死でいるのに治療しろだと? 呆れた心情を表に出さないよう気をつけながら死んでいる事を指摘する。

 

「そんなことはどうでもいい。我々はこの二人を失っては行けない。だから君に頼んでいるんだ」

 

馬鹿らしさで肩を竦めたくなった。私達は医者であって魔法使いでも祈祷師でもない。大石くんが、他に救えるものがいるかもしれないのに何故私達に死者の相手をさせるととって係る。彼の腕を掴み引き止めると背後から艦娘が抱きついてきた。

 

「お願いデス……ワタシの提督を、仲間を救ってください……」

 

突然の事に驚いて一瞬固まるがその艦娘をゆっくりと離して向き合う。

 

「できる限りの事はします」

 

若い時ならもっとカッコつけたり力強い言葉を言ったかもしれなかったが、数々の"地獄"を見てきた以上、これ以外に何も言えなかった。

 

その後の記憶は正直曖昧だ。反発する大石くんを宥め私は提督に、大石くんは艦娘に簡単な処置を行った。そして大石くんを先に他の負傷者の元へ行かせ私は泣き崩れる艦娘に話しかけた事は覚えている。

その艦娘は私の記憶では硫黄島防衛戦では空挺降下していた戦艦金剛タイプの艦娘だった。横で涙が溢れないよう上を見ているのは確か空母イントレピッドタイプだったはずだ。

泣き崩れるに金剛に陳腐な言葉をかけた結果平手打ちされ、般若の顔で言葉を浴びせられ私は必死で謝った。すると力が抜けたように倒れまた泣き出した。

ただ、高官に促され会議室から退出する時に空母イントレピッドが奇妙な事を言った事を今でも覚えている。

 

「ああ、グラーフ、何処へ言ったの」

 

意味を聞き出す前に扉が閉められ、聞き出す機会は二度となかった。

 

P.S.

今では陸軍の反乱部隊が基地を襲い壊滅させたということが世間に広まり、この出来事のせいで時代が終わったと言われているが私は締め出された時に崩れ落ちる音を聞いた気がする。

様々な説や噂が飛び交っているがこれだけは言える。崩れ落ちなかった世界も大変だっと思うが少なくとも今この瞬間の世界よりはマシだっと考える。

 

以上が医師記録である。現在この医師は在野で診療所を開き患者を見ている。なお協力を要請した際に見聞きしたものに関しては箝口令をしき情報を統制済みである。

 

 

■■■軍情報部

CC.

■■■日本軍情報部 服本番号:12

番号:KK■■■■2191

機密階級:極秘

閲覧権限:大佐以上

 

■■基地襲撃による艦娘被害情報

 


 

戦艦ガングート- 死亡

死因:頭部に受けた銃創

備考:損傷が激しく優先的に検死を行った。

レコーダー:回収不可

 

戦艦リシュリュー-死亡

死因:腕部及び脚部からの出血

備考:そばに重巡プリンツ・オイゲンの死体あり。

レコーダー:確認済み

 

戦艦ウォースパイト

死因:手榴弾による爆死

備考:損傷が激しかったため識別に時間がかかった

レコーダー:確認済み

 

戦艦アイオワ-死亡

死因:胸部銃創からの出血と頭部の銃創

備考:頭部の銃創は死亡後につけられた可能性あり

レコーダー:回収不可

 

空母サラトガ-死亡

死因:大量の被弾による出血

備考:血で書かれたメッセージが彼女の近くにあったものの判別不能

レコーダー:確認済み

 

空母アクィラ-死亡

死因:背に受けた大量の銃創

備考:何者かが死亡後、整えた形跡あり。現在調査中

レコーダー:確認済み

 

重巡洋艦プリンツ・オイゲン-死亡

死因:頭部の銃創

備考:即死だった模様

レコーダー:回収不可

 

軽巡洋艦矢矧-死亡

死因:頭部の銃創

備考:損傷具合から南方方面軍のもつ対物ライフルで撃たれた可能性あり

レコーダー:回収不可

 

駆逐艦雪風-死亡

死因:頭部の銃創

備考:彼女を殺害する様子を移したライブ配信は世界中に拡散され削除は絶望的である

レコーダー:回収不可

 

駆逐艦ヴェールヌイ-死亡

死因:機関銃による銃撃

備考:遺体の一部は完全に潰れ回収不可

レコーダー:回収不可

 

駆逐艦タシュケント-死亡

死因:MV-22の爆発に巻き込まれ爆発

備考:遺体の一部は焼失し回収不可

レコーダー:確認済み

 

駆逐艦陽炎

死因:胸部銃創からの出血

備考:提督を庇った模様

レコーダー:確認済み

 

駆逐艦不知火

死因:頭部の銃創

備考:小口径弾で撃たれた模様

レコーダー:確認済み

 

潜水艦伊401

死因:ショック死

備考:腹部に大きな銃創、海に落ちた状態で発見

レコーダー:確認済み

 

潜水艦U-511

死因:頭部銃創

備考:死亡後に暴行された模様

レコーダー:確認済み

 

 

生死不明

航空巡洋艦鈴谷-MIA

護衛駆逐艦■■■の爆発に巻き込まれ蒸発した模様

備考:死体回収出来ず、他の艦娘のレコーダーに書き込まれた情報のみ

レコーダー:回収不可

 

航空巡洋艦熊野-MIA

同上

備考:護衛駆逐艦爆発時、既に致命傷を負っていた模様

レコーダー:回収不可

 

空母グラーフ・ツェッペリン-MIA

アクィラのレコーダーの情報から

グラーフが反乱部隊の兵士に突撃するのを確認。

その後彼女は当時かなり負傷していたのにも関わず部屋から消えた。以後消息不明。反乱部隊は殲滅されたため彼らに持ち出された可能性は低い。現在調査中。

我々情報部及び艦娘の運用経験がある士官の見解では海へといった説が有力ではあるが証拠は何一つとして存在しない。

 


 

メモが貼ってある

 

──あの馬鹿共は何も理解していない! 艦娘を全て退役又は他国へ異動させるなんて! この貧弱政府が、クーデターや新たな戦争が起きても知らんぞ!

その下に殴り書きが書かれている

 

もう遅い、ことは始まってしまった。神の救いがあらんことを

 




これにて私の二作目は完結です。ぱっぱと進めた割には総文字数は十万字を超えてしまいましたが反省も後悔もしていない(キリッ。
毎日ノルマ500字を続けた結果、だいたい五ヶ月ほどかかりました。書いた本人が、あれここどうだっけって言うのが沢山ありましたが多分回収予定の伏線は全部回収できたはず。自信はない。
最後のは時間とやる気が出てきたら回収したいけど……うーん。私の執筆能力ではいつになることやら。
そのうち修正版を私のところで出すと思います。時間掛けすぎたせいで修正したい箇所が多すぎるんじゃ。
最後に一つだけ言いますが、私は艦娘に幸せになって欲しいと願うただの提督です。嫁である金剛はプロットを立てる度に死ぬか置いていかれたり、グラーフはだいたい絶望に叩き落とされたえり、同じ世界線で『あ、どうせこの後この艦娘は死ぬんだな』とか思いながら日常書いてたりしますが。みんな幸せになって笑顔で終戦迎えてくれ……。
でも、やっぱり、グラーフの死亡シーン集か(自主規制
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