【艦隊これくしょん】「雨」合同作戦誌【合作】   作:ウエストポイント鎮守府

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2話 会議

 次の日、元原はものすごい勢いで仕事を終えると、まっすぐに家へと帰宅する。そのままの勢いでパソコンの電源を入れると、カシカワが指定したあるページに飛び、自分の持つ銀行口座を入力した。

 

「ふっふっふ……。これで提督としての報酬をゲットできる……!」

「司令官、すごい悪い顔してますよ」

 

 いつの間にか艦これが起動しており、秘書艦として母港に表示されていた。

 

「おっと人聞きの悪い。お金というものは現代社会で必要不可欠な超重要アイテムだぞ。これがなきゃ生きていけないからな」

「そうですかね?」

「あれから少し調べたけど、お金というのは君たち基準でいうと資材だからね?」

「分かってますよ、そのくらい」

 

 吹雪は頭を抱えたようなジェスチャーをする。

 

「そんなことより、今日も頑張って攻略しますよ!」

「はいはい。次は1-2に行けばいいのか?」

「そうです。では早速行きましょう!」

 

 吹雪はかなりウキウキモードである。とにかく元原は、昨日ドロップによって得た霞を第一艦隊へと編成させて出撃させる。こちらも昨日同様、ごく簡単に突破することが出来た。

 そして母港に帰投させると、補給と入渠を行ってまた出撃させる。理屈が分かればあとは単純な作業ゲームとなった。

 だが、艦これというゲームはそこまで単純なゲームではない。耐久値の回復という時間があるものの、彼女たちには少しづつ、確実に疲労が蓄積していた。

 そして、それは予定調和のごとく現れる。

 元原は鎮守府近海を制覇し、2-1であるカムラン半島に出撃しようとした時だった。

 

「ちょっと……司令官?」

「どした?」

「少し休ませてほしいんですけど……」

 

 そういった吹雪には、オレンジ色のアイコンが表示されていた。

 

「そう?そこそこ休ませてると思うけど?」

「そうは言いましてもね……。本当のところ、私たち艦娘には疲労度というものが設定されていまして、それを回復させてほしいんです」

「疲労度?」

「調べればすぐ出ますよ。基本は同じなので」

 

 そう言われて元原は検索サイトを使って、疲労度について調べた。どうやら疲労がたまると戦闘時にバフが発生する。そのため、疲労を回避するためインターバルを置いたりするのが基本とされる。

 

「なるほど、こんな概念が実装されているのか」

「なので10分程度でいいので、休憩をさせてください……」

「まぁ、それもそうだな。ちょっと休もう」

 

 そんな感じで、しばしの間放置することになった。

 俺は飲み物を取りに行き、飲みながら戻る。一方、画面では吹雪が艤装を外して楽な姿勢になっていた。

 

「そういえば私、司令官のことあまり知らない気がします」

「……そうだけどさ、いる?」

「いると思います」

「うーん、どこから話せばいいか」

「じゃあ、お仕事の内容からお願いします」

「仕事はIT系だな。主に中小企業向けのソフトウェア開発をしているよ」

「ご家族とかは?」

「長野の実家に父と母、あと弟、妹がいる」

「趣味はゲームですか?」

「いや、そういうわけでもないんだけど……。なんでそう思った?」

「特務提督の通知って、カシカワ関連のアカウントを所有していることが必要条件なんですよ」

「カシカワのアカウント?……そういえば一回GMMでアカウント作った記憶があるなぁ」

「GMMはカシカワと業務提携してますから、もしかしたら個人情報の取引があったかもしれませんね」

「それダメじゃね?」

「いえ。アカウント登録時の利用規約や個人情報取り扱いに関する規約に書いてあれば、法的には問題ないですからね」

「あれ読む気になんないじゃん」

「ああいう所にとんでもないこと書いてあったりしますから、読んでくださいね」

「次から気を付けます……」

 

 最終的に元原は説教された形にはなったが、そこそこいい休憩にはなっただろう。

 

「さて、そろそろ出撃するか」

「はい!頑張ります!」

 


 

 東京都某所にあるカシカワ株式会社。その本社ビルの会議室に強面の男性たちが勢ぞろいしていた。

 

「皆さん揃いましたね?では官民合同ネットウイルス対策本部の定例会議を開催します。ではまず我が社のほうから報告を行いたいと思います」

「対策本部カシカワ株式会社担当の久保です。前回の定例会議から、新たに18人に対して特務提督の参加促進通知を郵送しました。現在までに4人が特務提督に志願し、現在も継続してプレイしています。以上です」

「では警視庁公安委員会の方お願いします」

「はい、公安委員会担当の大山です。現状、深海棲艦と呼称されるインターネットウイルスについて、現在も極秘に捜査を続けていますが、正直に申し上げますと成果無しです。まず手がかりが掴めていません。これに関しては捜査当初に検討された、自己進化する人工知能型マルウェアの線が濃厚かと考えられます」

「では最後に、内閣府の方、お願いします」

「内閣府担当、内閣官房副長官補室事務官の網嶋です。現在、諸外国との情報共有ではアメリカの他にロシア、中国、イギリス、ドイツ、イタリア、フランスなど、先進国を含めた44ヶ国で深海棲艦の出現を確認しています。被害を受けたとされる通信機器は把握しているだけで世界累計23億7000万以上と見られます」

「はい、ありがとうございました。何か質問などあれば受け付けますが?」

「私から」

「大山さん、どうぞ」

「深海棲艦の正体究明を担っているのはカシカワさんでしたな?現状、どれだけのことが分かっているか教えてもらってもよろしいですか?」

「それは技術主任の我孫子から報告してもらいましょう」

「あ、どうも。ソフトウェア開発部門セキュリティ課課長の我孫子です。えー、簡潔に申し上げますと、いまだよく分からないというのが本音でして……。深海棲艦がなぜ我々が開発していたウェブアプリケーションで姿かたちを現し、動作出来たのか本当に不思議なんです。しかも解析しようにも、まるで見たこともない言語を使用している感じですので、もう手が付けられない状態です……」

「なるほど。内閣担当の網嶋さん、国外で個人が作成したウイルスがネットワーク上に放出されたという可能性は否定できませんね?」

「えぇ、その通りです。公安委員会にも諸外国からの捜査情報が入っていると思いますが、世界中で同時多発的に発生した所を鑑みるに、そういったことは十分にあり得ると思います」

「せめて痕跡が残っていれば追跡可能なんですけどね……」

「とにかく、深海棲艦の猛威が振るわれ始めてから早10年。唯一の対抗策とも言える艦娘の登場で均衡を保っている状況を変えなければなりません」

「あ、ちょっと失礼。質問を」

「所属と名前をお願いします」

「公安委員会サイバー部門チーフ補佐の阿左美です。先ほどの……我孫子さんの話から深海棲艦は謎の塊である旨をおっしゃっていたと思いますが、それなのに何故艦娘の技術を完成させられたのですか?」

「阿左美!資料読んでないのかお前は。すいません、まだ新米なもので……」

「資料は読みましたが、ここ矛盾が発生しているのが納得いかないんです」

「だからってなぁ……」

「大丈夫ですよ、大山さん。えー、では我孫子さん、説明をお願いします」

「はい、えー、実は艦娘の技術も原理はよく分かっていないんです。当時の担当者が、深海棲艦が残していった破損データを解析していた途中で偶然が起きたようで、それが現在の艦娘に繋がるアンチウイルスソフトの始まりとなったんです。艦娘自体の研究はかなり進み、現在のようにソフトとして運用できるような状態にこぎつけたのですよ」

「そうなんですか……。説明ありがとうございました」

「さて……。今日はこのあたりで終了としましょうかね?」

「報告はほぼ出尽くしたでしょうからね」

「では本日の定例会議は以上をもって終了とさせていただきます。次回はまた6ヶ月以内に我が社から通告いたします。お疲れ様でした」

 

 こうして男たちは席を立ち、部屋から出ていく。

 最後まで残っていたカシカワ社員の数名は、会議で使用した物の片付ける作業に入っていた。

 

「そういえば我孫子さん、例の計画の進捗はいかがです?」

「ひとまず実験は成功しました。あとはネット上にアプリケーションとして問題なく動作するか確認する作業に入ります」

「そうですか。これが完成すれば、すべてを終わらせることができますね」

「はい。そのために我々が動いているんですから」

「その前に深海棲艦防御システム強化のための大規模作戦を展開予定していますが……」

「それは後々対応するとしましょうか」

「はい」

 

 そうして彼らは会議室から退室していった。

 

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