少女とおじさんが駄弁るだけ(凍結)   作:ヤマニン

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こんにちは、ヤマニンです!

お気に入り登録も気付けば20を超え、UAも800を超えました。これも皆様のおかげでございます。皆様、ありがとうございます!これからもどうぞよろしくお願いします!

今回はおじさん視点です。では、どうぞ…


思い出について おじさん視点

Chapter 思い出について

 

 本格的に梅雨に入り、じめじめとした空気が出てきた。だが、今日は天気は曇り。風もあってなかなか過ごしやすい日かもしれない。

 

「はぁ…なんで日曜日に出勤なんだよ」

 

そう、今日は日曜。多くの人はどこかに出かけたり、ゆっくり休んだりするだろう。そんななか俺は重い足取りで仕事場に向かう。一応、公園に寄るが日曜まであの子はいないだろうな。

 

「…いるんだよな、これが」

 

あの子は休日まで公園に来てこんな早い時間に本を読んでいた。彼女と休日で会うのは何気に初めてだからいつもと違う感覚だ。

 

「休日まで早いね。おはよう」

「…あっ、おじさん。…おはよう」

 

少女は俺を見上げながら軽く解釈をして挨拶をする。

 

「今日は制服じゃないんだね」

「…うん、さすがに休日まで制服は着ないよ」

 

彼女の私服は、白いTシャツに通気性の良さそうな黒のパーカー、そしてホットパンツに白のハイソックスを履いていた。

 

「…よく似合ってると思うよ。でも君がホットパンツを履いてるのは少し意外だな」

「…ありがと」

「…でも、私もホットパンツぐらいは履くよ?」

「そうか、なんか君は肌を露出する服装は嫌ってるのかと思ってたよ」

「…極端に露出するのはイヤだけど、お母さんがファッションを意識しろっていうから」

「あぁ、もしかしてそれってお母さんのコーデ?」

「……」

「うん、答えなくても大丈夫だよ」

 

彼女が黙ったってことはそういうことなんだろうな。

 

「…おじさん、座らないの?」

「あぁ…どっこいしょ」

「…おじさんがおじさんっぽい」

「そんなに何回もおじさんって言わなくてもいいの」

 

俺は少女にそういって隣に座る。

 

「…おじさんはこれから仕事なの?」

「うん、そうだよ」

「…大変だね」

「まぁ、昨日休みだったし、そうでもないよ」

 

昨日は嫁さんと遠くに買い物にいったりしてあんまり休めてないけどな。

 

「…ねぇ、おじさん」

「ん?なんだい?」

 

少女は読んでいた本をぱたりと閉じて俺を見る。

 

「…なにかおじさんの思い出話が聞きたい」

「俺の思い出?」

「…うん、なんでもいいから」

 

俺の思い出か…うーん、何がいいかな……あっ!これにしよう。

 

「あれは俺が小学校4年生の時だったかな」

「…うん」

「家族で岐阜の下呂まで旅行に行ったんだよ。その時の話だ」

 

________________________

 

俺の家では毎年1月に恒例になっていた家族で旅行に行くというものがあった。当時、まだ俺は小学4年生で初めて行く『岐阜県』に興味津々で、道中もずっと起きてて窓の外をずっと眺めていた。

 

 高速を降りて、何事もなく宿泊予定の旅館に到着。家を出るのが少し遅かったせいかもう時刻は夕暮れ。着いてチェックインを済まして少し休憩してから、俺たちは温泉に入ることにした。やはり、温泉で有名なことだけあって、とても気持ちよくて危うく眠りそうだった。それほど下呂の温泉は気持ちよかったのを今でも覚えている。

 

温泉から上がってみんなで部屋に戻ろうとすると、来た道が分からなくて少し迷子になったんだ。

 

「…えっ、家族みんなで迷子になったの?」

「うん、その旅館がなかなか道が複雑でね。案内図とかもなかったから自力で戻るしかなかったんだ」

 

道に迷った俺たちは、非常階段を見つけた。室内ということもあって中はうす気味が悪いくらいに暗かった。しかし、自分たちが登って温泉までの道のりを歩いてきたのは分かっていたから、俺たちはその階段を下りてみることにしたんだ。そうしたら…

 

「…そこで話止めないで。少し怖いから」

「なにがあったと思う?」

「…ホラー路線でいくなら幽霊とか?」

「…筋は惜しいかな」

 

そこにあったのは、不自然に設置してあったトイレだった。そのトイレは入り口の壁に大きな穴が開いていて中には男性用の便器が置いてあった。個室も見たところ10個以上はあるんじゃないかと思うぐらい広かった。なにより不気味だったのが、男性用の便器から個室のトイレまでの距離が広かった。だいたい1mはあったんじゃないかと思う。

 

「…そんなトイレがあったの?」

「嘘だと思うだろ?実話なんだぜ」

 

俺たちはそのトイレをみて近寄らないほうがいいと思ったが、なぜか母親だけがトイレに行きたいと言って入り口の正面にある個室に行ってしまった。母親は何事もなく用を足した様子で戻ってきていたが、俺は見てしまった。……その個室の壁に無数のお札が貼られていたのを……。

 

「…私、すごい今、鳥肌立った」

「うん、俺も話してて鳥肌立ったわ」

 

実を言うと俺の母親は霊感があって、当時はよく悪霊なんかに憑りつかれて自殺しようとしていた。その時も母親はどうやら霊に体を乗っ取られていたみたいだ。そりゃあ、そんな薄気味悪いところ、普段の母親ならまず近寄らないしな。当然と言えばそれまでだった。

 

「…大変だったんだね」

「まぁね、俺は霊感がないからあんまりわかんないけどそういった不思議現象に遭遇したことは何回かあるけどね」

「…まだあるんだ、そのあとはどうなったの?」

「その後は何事もなく終わった……といいたいところだったけど、母親の様子が激変した」

 

そのトイレの件があった翌日、俺たちは旅館をチェックアウトして父親が車を持ってくるまで待ってたんだ。しかし、母親はいきなり駅の方に向かって歩き出した。母親が言うには父親は浮気をしているから、私たちで帰るのだと言う。もちろん、父親は浮気をしていないし母親のでたらめだというのは子どもの俺でも分かった。しかし、なかなか駅が見つからず、父親が追いついた。父親は母親の様子がおかしいことに気づき説得しようとするが、いきなり母親が人前にもかかわらず叫びだした。

 

「…いきなり叫んだの?」

「そう、あの時はめっちゃ恥ずかしかったな」

 

その後、父親の説得により母親は落ち着いた。後々聞いたことだが、あの時母親に憑いていたのは、浮気が原因で自殺した女の霊だったらしい。

 

________________

 

「まぁ、これが俺の思い出パート1かな」

「…パート1の時点でクライマックスだよ。というか、思い出というより怖い話だった」

「でも、実話だからね」

 

「おぉ、もう7時半か。もう行かないとな」

「…うん、私は見送る側だね」

「君はこの後も読書?」

「うん…今日は過ごしやすいからあと少しだけいるよ」

「そっか…じゃあ、俺は行くよ」

 

俺はベンチから立ち上がり、軽く伸びをする。

 

「また、俺の思い出話が聞きたかったら話してあげるね」

「…うん、楽しみにしてるね」

「あぁ」

 

「じゃあ、またな」

「…うん、行ってらっしゃい」

「行ってきます」

 

 

 




ご精読ありがとうございました!

今回は【服装】【思い出(ホラー)】でお送りしました。

ちなみに今回の話、私の実体験でございます。皆様も摩訶不思議な体験をしたことはございますでしょうか?

アドバイスですが、霊に憑りつかれた人の対処は、とにかく興奮させないことです。だいたいの霊は恨みや後悔を残して亡くなられた方ばかりです。刺激を与えずに、お話を聞いてあげるのが一番の対処法です。

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