少女とおじさんが駄弁るだけ(凍結)   作:ヤマニン

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こんにちは、ヤマニンです。

最近は暑くて執筆速度が落ち気味です。こんな出来の悪い私を許してください!

では、どうぞ!


怪談について おじさん視点

Chapter 怪談について

 

ペラっと少女の本をめくる音が鮮明に聞こえるくらい静かなこの時間。喋る話題も特になく、お互いが好きなように時間を過ごしていた。まぁ、俺はコーヒー飲みながらぼぉーとどうでもいいことを考えながら辺りを眺めてることしかしてないんだが。

 

____この公園、ベンチに屋根付けても良くないか。暑すぎて参るんだが。

 

ほんと我ながらどうでもいいことを考えるものだ。人間というのは無心の時はどうでもいいことを考えるものなのだろうか。俺だけかもしれないけど。

 

「…さっきから何ぼそぼそ呟いてるの?」

 

「…えっ?聞こえてた?っていうか漏れてた?」

 

「…うん、なんか参るとか、どうでもいいとか」

 

「……」

 

……もしかして俺って普段から考えごとしてる時、声に出しちゃってたのか。だからたまに会社の同僚から訝し気な目線で見られるわけだ。

 

「…どうしたの?」

 

「いや、自分の中の疑問が今解決したところだよ」

 

「?よく分からないけどよかったね」

 

あのそんな保護者みたいな温かい目で見ないでくれませんか、地味に傷つくんですが。俺は不思議っ子じゃないぞ!

 

「…不思議か」

 

「…?」

 

「いやね、この世界は不思議な出来事もあるものだと思ってね」

 

「どういうこと?」

 

「前に俺の母親が霊感があるって話はしただろ?それ関連さ」

 

夏と言えばやっぱりホラーだよな!俺はこの手の話が好きだからわくわくしてしまう。

 

「突然だが、そこの電信棒付近の道路に何か見えたりするか?」

 

「…見えないけど」

 

「まぁ、当たり前だよな」

 

これは母親の話なんだが、霊というのはそこら中にいるらしく、車に乗っていても霊が普通に道端を歩いていたりするのを見るらしい。それでよく父親がビビっていた。そりゃ、父親からしてみればそこに人なんていないのに、今人が歩いてなかった?とか言われればビビるよな。

 

「だから、もしかしたら俺らに見えないだけで俺らの後ろや前で話を聞いてるかもな」

 

「…あんまり怖いこと言わないでよ」

 

「ホラー苦手?」

 

「…別に苦手じゃないけどおじさんのお母さんのお話は真実味があるからちょっと怖いの」

 

「ほかにもあるよ」

 

これは霊感ない人(俺とか)に関係がある話なんだが、日中に立ち寄らないほうが良いのは人気がないところ。裏路地とか、廃屋、古びた家や寺があるところなんかは立ち寄らないほうが良いらしい。特に気分が落ちている時に行くと霊に憑りつかれやすいらしい。普段、霊に憑りつかれたことがない人の方が大半だろうが、憑りつかれたらどこかしらが不意に重くなる。肩や腰が代表的だが、それは霊が寄りかかるようにして憑りついているから重くなっているようだ。気分がナイーブだからといってそういった所に不用意に近づくのはオススメしない。

 

「だから君も気を付けてね、この前も遅い時間に散歩?サイクリングしてたみたいだし」

 

「…あれはたまたまあんな時間になっちゃったんだよ」

 

「怖い話って真実味がないけど母親の話だけは妙にドキドキするんだよな」

 

「…ほんとこの話聞いただけでも鳥肌が立つよ」

 

「ふふっ、じゃあ君が怖がっちゃうから違う話でもしようか」

 

「…ムスッ。別に怖がってなんかないもん」

 

「ははっ!ほんとに君はかわいいね!」

 

少女の頭をやんわりと撫でる。

 

「……むぅ」

 

少女は子ども扱いされるのが好きじゃないのかムスッとしていた。俺は少女に謝りながら次の話題へと移る。

 

「この前スーパーでスイカを買ってきて食べたんだがおいしかったな」

 

「どうやら今年は日照りが少なく梅雨が少し遅かったおかげで水分が多い野菜が育ってるみたいだな」

 

「…きゅうりとか?」

 

「そうそう、だけどかわりに桃とか梨が甘みがなくて育ちが悪いみたい」

 

「…そう。私、桃好きだから少し残念」

 

へぇ~桃が好きなのか。だけど今の桃はどうなんだろうな、甘い果実があまり育ちがよくないと聞いてたから今年は一回も買って食べたことがないんだよな。スイカはうまかったけど。

 

「まぁ、次は日照りが強くなるだろうから作物がちゃんと育てばいいんだけどね」

 

「その前に俺がこの暑さでへばりそうだけど」

 

「…おじさんは暑いのだめって言ってたもんね」

 

「その通り」

 

というかこの暑さで平気と言える人の方が異常だと思う。

 

「知ってるか?天気予報でやる最高気温っていうのは気象庁近くの日蔭で測られているからコンクリートとか土とかの照り返しは考慮されてないんだ」

 

「…じゃあもっと暑いの?」

 

「実際はアナウンスされた温度より5度は違うって話だけど真実かどうかは分からないな。でも、実際35度と予報されても、体感温度は絶対35度より暑いと感じるよな。そう考えると本当なのかもしれないな」

 

「というか女性の君に聞きたいんだが」

 

「…女性。……何でも聞いて!」

 

「…お、おう」

 

なんでこの子は急に目をキラキラし輝かせたんだ?あれか、女性扱いされたのが嬉しくなったのか?よくわからん。

 

「昔、バイトしてた時に40歳ぐらいのおばちゃんが4月ぐらいで寒い寒い言ってたんだけど女性ってそんなに冷えやすいの?」

 

「……知らないっ!」

 

……あれっ?俺もしかして地雷踏んだ?……よくよく考えたら14歳の子に40歳のことを聞くのって相当失礼なんじゃないのか…。

 

「ごめん!あまりにも今のはデリカシーが無かったな、謝るよ」

 

「……別に気にしてないっ」

 

いやあからさまに気にしてますやん。首まで横に背けちゃって。擬音付けるならまさにプイッだよ。

 

「ほら、アメちゃんあげるから許して」

 

俺は懐から飴を取り出し少女に差し出す。少女は渋々といった様子で受け取る。

 

「……次はないからね」

 

「かしこまりました」

 

「……んっ」

 

「うまいか?」

 

「…おいしい」

 

「そうか」

 

二人の会話はそこで途切れた。しばらくして俺が会社に行く時間が来てしまったので今日はそこで別れたがなにか釈然としない一日となったのであった。

 

____女の考えてることって幾つになっても分からないな

 

あいかわらず女心が分からない俺なのであった。

 

 




ご精読ありがとうございました!

今回は【怪談】【作物】【女心】でお送りしました。

私の経験上、一番霊に憑りつかれやすいのは、日中の寺と夜中のお墓です。

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