GWが始まり、世間では10連休なんてお話もあるみたいですが、私の連休は2日しかありません!!やってられるか!!
ストレス解消に小説書いてたら、スムーズに筆が進みました。
今回は、少女視点のお話となります。では、どうぞ・・・
Chapter2 近況について
おじさんと出会ったあの日の翌日、おじさんは約束通り、公園のベンチに座っていた。おじさんはあの日の後に起こったことを簡単に話してくれた。どうやら私が話したことを参考にしたらしい。おじさんは私に"ありがとう"と何回も言ってくる。そんなにお礼を言われたことがないので、なんだか気恥ずかしい。
私とおじさんはあの公園で一か月たった今でも会い続けている。私はいつも通りにあの公園に行くだけなのだけど、なぜかおじさんもいて一緒に朝のひと時を過ごしている。私と一緒にいるぐらいならお嫁さんと一緒にいた方が有意義だと思う。
「最近、学校の方はどうだい?」
「どうって?」
「いや、うまくいってるかなって意味」
おじさんはコーヒーを飲みながら私に最近の状況はどうだと聞いてきた。
「……ぼちぼち」
「少し間があったね。なんか嫌なことでもあった?」
「…いや、これからあるの」
「…この時期は中学校で何があったかな~もう何年も前だから思い出せないな」
「……二者面談」
「…えっ。二者面談って先生と一対一で話すアレだろ?」
「…私は喋ることが苦手だから、あまり自分が言いたいことが相手に伝わらないの」
「…俺と話してる限りでは苦手という感じはしないんだけどな」
それはおじさんとこの1か月で少し親密な関係になったから喋れるだけ。
「…どういった二者面談になるんだ?少し話してくれ」
「…えっと」
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「…なにか困ってることはないか?」
「…ありません」
「別に遠慮しなくていいんだぞ。君があまりクラスでほかのこと喋らないの知ってるから、何か話しづらいんだろ?」
「…いや、本当にないです」
「……そうか。困ったら遠慮なく、先生に言うんだぞ。できる限りフォローはするし、相談にも乗るからな」
「…その時はお願いします」
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「…みたいなかんじかな」
「なんか先生が喋って、それに返事してるだけみたいな面談だな。まず先生が情に厚そうで良かったな」
「…分からない。最近はいい人そうな顔の教師がわいせつ行為をすることが増えてるから」
「…まぁ、そうかもな。いつの時代も人と罪は隣りあわせだから警戒しとくことに越したことはないかもな」
「でも、本当に優しくて良い人もいるということを忘れてはいけないぞ。その先生だって善意で君のことを気にかけてくれているのかもしれないからな」
確かにおじさんが言うことも一理あるかもしれない。誰もがみんな疚しい気持ちで接してる訳じゃない。
「俺の言葉もすべてが正しい訳じゃないから気にとめておくぐらいの気持ちで聞いておいてくれ」
「…うん、だけどおじさんの言葉は優しいから…好きだよ」
「……そうか」
おじさんは私の方を見て少し照れたように頬をかいていた。
「まったく、君が将来いろんな男を誑かさないか心配だよ」
「…なんの話?」
「いや…こっちの話だ(無自覚なのもたちが悪い)」
「……??」
よく分からない。誑かすとはどういった意味だろ。いや、言葉の意味は分かるけど。
「…おじさんの方はどうなの?」
「ん~?俺はそうだな…」
おじさんは顎に手を当てながら考えるそぶりをする。
「あ~なんかのろけ話になるかもしれないけど」
「かまわない」
「嫁さんと1泊2日の旅行に行った」
「…遠出?」
「いや、車で少しいったところの旅館だからそこまで離れてる訳じゃないよ」
旅行…もうしばらく行ってないような気がする。
「君はご家族とは旅行に行かないのかい?」
「…いかない。もう数年は行ってない」
「…そうか、行きたいとは思わないのか?」
「…とくには思わないけど、綺麗な場所なら行ってみたい」
私は幻想的な景色や純粋にきれいな景色が好きだから、もしそういうところに行けるなら行ってみたい。
「きれいな場所か…バラ園とか植物園とかはどうだ?」
「植物園…いいかもしれない」
静かに花を愛でるのもいいかも。
「ご家族に言ってみたらどうだ?旅行に行きたいって」
「…なんか伝えにくい。私の妹なら遠慮なく言うと思うけど」
「へぇ~妹さんがいるのか」
「うん、私の2歳下で小学6年生」
「仲いいのか?」
「…悪くはないよ。だけど私が口下手だからあんまり喋れない」
「家族にまで影響があるのか」
おじさんは少し驚いたように眉が上がっていた。
「だから、私から旅行に行きたいなんて言えない」
「子供なんだから遠慮しないで言ってみてもいいんじゃないか。親というのは自分の子供の我が儘を聞いてあげるのも親の仕事だから」
「…あんまり子ども扱いされるのは好きじゃない」
「おっとそこはまだデリケートな年頃なんだな。可愛らしい」
おじさんは私のむすっとした顔を見て微笑んでいた。私はおじさんの反応を見てさらに不機嫌になる。
「ごめんって、嬢ちゃんのむすっとした顔が可愛くてな。つい、いじめてしまった」
「…次からは本気で怒るよ」
「お嬢様の気の赴くままに」
おじさんはまるで私をあやすかのように大袈裟なリアクションをする。私はそんな仕草がおかしく思い、くすっと笑ってしまった。
「お!機嫌が直ったようでなによりだ」
「……これはおじさんがあまりにもおかしかったから嘲笑っただけ」
「でも、笑ってくれたのならこちらとしても嬉しいよ」
おじさんはまるで私の気持ちが分かっているかのようににっこりと笑う。…本当にこの人は卑怯だと思う。
「…おじさんは卑怯だね」
「ふっ、大人は卑怯なぐらいが丁度いいんだよ。君も成長していくうちに大人の汚さを学んでいくのさ」
そうしないと生き残れないぐらいにね。とおじさんは続けた。
「…大人って楽しい?」
「…ん~そうだな。見方にもよるね」
「見方?」
「そう、例えば君がこのまま中学校を無事に卒業、高校も受かり、高校を卒業するとき。君の周りにはどれぐらいの人がいるかな」
「人?」
「うん、友達や先生、ご家族。そういった人たちが君のことをどれだけ知っていてくれているのか。これは本当に大切なことだよ」
「言い方は悪いかもしれないけど、気が知れた人が周りにいるってことは使える人材がいるってこと。そういった人材は多いに越したことはない」
「そういった人材を高校生のうちにたくさんとは言わないけど5人ぐらいはつくっておいたほうがいいよ。自分が悩んだとき、今言った人たちが相談に乗ってくれる」
「過去の偉人は言った、『人は一人では生きてはいけない』と。俺もここまで生きてきて思ったけどそうだなと思ったよ」
「…それは両親も含む?」
「もちろんだよ。君を産んでくれたのはお母さんだし、日夜働いて君の食費や住居、衣服や生活費、学費を払っているのはご両親なんだからね。この時点で君は少なくとも二人の人間に支えられているんだ」
「だから、昔から親孝行はしなさいと言われているんだ。君ぐらいの歳の子はあまりこういった話をしてもよく分からないかもしれないけどね」
「…ううん。おじさんの言いたいこと、よく分かった」
「おっ!なら、俺が言ったことを簡単にまとめられるかい?」
…えっと、これからの人生で何回も悩む場面が訪れる。だからそう言った時に相談できる人をそばにおいておく。そして、成長するうえで忘れてはいけないのが人は一人では生きてはいけないってこと。自立している人間も一人で生きてるわけではなく、いろいろな人に支えられて生きている。だから、恩返しも含めて親孝行することだけは忘れてはいけない。
「……こういうこと?」
私は今考えていたことをおじさんに伝える。
「……ええと、君は本当に中学生か?よくそんな難しい考え方ができるね」
「…間違いなく中学生」
「…それで質問の続き」
「えっと…」
「大人って楽しい?」
「ああ!そうだった」
「つまり俺が言いたいのは、相談できる人っていうのは自分が信頼している人でもあるんだ。そういった人と遊びに行ったり、旅行に行くと本当に楽しいぞ」
「だから、君も君なりのやり方で信頼できる友人をつくっていく努力をしたほうがいいよ。これは少し先に生まれたおじさんのアドバイスだ」
「自分のやり方で探す…」
「…うん。頑張ってみる」
「そうか、がんばれよ」
そう言っておじさんは私の頭をそっと撫でてくれた。
「……」
「おっと嫌だったか」
「ううん、驚いただけ。それにおじさんの手、温かい」
「…そうか」
私はしばらくおじさんに撫でられていた。おじさんは頭から手を放し、手首にはめている腕時計を見た。
「もうこんな時間か、そろそろ出社しないと遅刻しちまうな」
「…ほんとだ」
もう時刻は7時50分。いつもは20分ぐらい前には別れているので少しタイムオーバーしている。
「じゃあ、今日はここまでだな」
「うん、私もそろそろ行かないと…遅刻」
「それはお互いに大変だ。じゃあ、俺は行くね」
「…私も学校に行くよ」
私とおじさんはベンチから立ってお互いを見て…
「また、明日な!」
「…うん、また明日ね」
別れを告げ、それぞれ別の出入り口から公園を出るのだった。
ご精読ありがとうございました!
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漢字の読み
1.誑かす…たぶらか(す)
2.赴く…おもむ(く)
3.嘲笑う…あざわら(う)