最近では鹿児島あたりが梅雨入りしたとか天気予報で報道していましたね。皆さんも、この時期は晴れ予報が出ていても、突然雨に変わることはよくある事なので折り畳み傘を常備しましょう!
ちなみに私は折り畳み傘を持っていなかったので、ずぶ濡れで家に帰ることがよくあります・・・
では、ごゆっくりお楽しみください。
Chapter 梅雨について
「なぜ…雨は降るんだろうな」
「……いきなりどうしたの?」
俺は隣に座って本を読んでいる少女に向けて喋りかける。
「いや、昔から雨は天からの恵みだの言われてるけどさ、天からの恵みで水害起こってたら最悪だよな」
「…それは昔のこと」
「まぁね。昔は今より降水量が少なかったらしいし、地域によってはそれこそ全く降らない地域もあっただろうしな」
それなら雨は恵みと言われても納得ができる。
「ていうか天気予報で梅雨入りしたって言ってたけど、本当に梅雨はイヤだな」
「…みんなそう思ってるよ?」
「だろうね、特に社会人はイヤだと思うよ。雨だとスーツ着てるからすぐに蒸れるし、電車だって遅延しやすいしな」
「…私も制服が濡れるからあまり好きじゃない」
「服が濡れるのは困るよな」
「…うん」
俺もスーツの裾が濡れると嫌だな。俺は久々に顔を見せた太陽を見据えながら少女と話を続ける。
「…なにか雨に関する面白い話ないの?」
「ん?面白い話?」
「…うん」
「ん~そうだな」
俺は頭の中を整理しながら、引き出しのネタを引っ張り出す。
「あれは俺が四、五歳の時だったかな」
「たしか五月で、雨が降った後の夜だったんだ。まぁ、まだその時も降ってたけどな」
「で、俺は父さんと一緒に近場の公園にセミの幼虫を捕まえに行ったんだよ」
「…幼虫?」
「ん?見たことない?セミの抜け殻って夏場になるとそこら中にあるけど、もちろん抜ける前にはセミが入ってたんだ」
「で、セミは六月の終わりから七月にかけてかな。地面から出てきて脱皮するんだ」
「そのタイミングを狙って五月ぐらいに捕まえに行ったんだ」
俺はその時の光景を思い出しながら語っていく。
「…でもどうやって見つけるの?」
「最初は地面…要するに土だね。幼虫が出た跡を探すんだ」
「で、穴を見つけたら近くの木を見渡していく」
「これがまた大変でね、穴があってももう羽化した後の幼虫だったりするからなかなか見つからないんだ」
「話戻すけど、その日の夜も探しに行ったんだよ。で、まだ俺は四歳ぐらいだったから背丈も小さい訳よ」
「地面との距離も近いから視野が狭くてな、目の前にいた存在に気付かなかった」
「…な、なにがいたの?」
少女は珍しくびくついたような表情をしていた。俺はにやりと笑って少女に問う。
「なにがいたと思う?」
「…わからない」
「20cmぐらいのウシガエル」
「…ウシガエル?」
「うん、俺その時片手に懐中電灯を持ってて穴を見つけるのに必死だったんだよ」
「で、前を照らすとそこそこでかいカエルがいたから驚いてな、大慌てで逃げちゃった」
「追いかけてきた父さんがカエルだったって知らせてくれたからもう一回戻って確認したら件のカエルだったわけさ」
「…ふーん、結局幼虫は見つけられたの?」
「なんとかね、それを虫かごに入れて家に持ち帰ってカーテンにひっつけて観察してたよ」
「いやーあれは一度は見たほうがいいね!ちょうど羽化するタイミングが夜が明ける時でね!」
「セミの羽は羽化した時は緑色なんだけど、朝日と重なってまるでエメラルドみたいな輝きだったからすごく印象深く覚えてるんだよ」
「まぁ、俺がセミの幼虫を羽化させたっていうお話だよ」
俺は一息ついたところで缶コーヒーを飲む。
「…でも私、虫は苦手だから」
「女の子は苦手なのかな。でも安心して」
「……なんで?」
「今は俺、セミに触れないから!ていうか虫自体苦手だから!」
「…そこは自信満々に言うべきではないと思う」
少女は呆れたような目でこちらを見てくる。仕方ないだろ、見た目が気持ち悪いんだから。
「…君はないのかい?」
「…私は…特にない」
「そうか、まぁこれから面白い体験もするさ」
…比例してつらい体験もすると思うけど、この子にはそう言ったつらい体験も乗り越えて欲しいね。
「ところで…」
「…ん?なに」
「君は今、何の本を読んでるの?」
少女が何の本を読んでるのかが気になったので聞いてみる。
「…【日本の歴史 ミステリー】だよ」
「歴史ね…興味あるの?」
「…少しだけ」
「どの時代が好き?」
「…面白いのは戦国だけど、関心があるのは江戸」
やっぱり戦国時代はいろんな武将がいたから面白いよな。江戸は現代日本の基礎をつくりあげた時代だしどちらも重要な時代であることは間違いない。
「ミステリーていうとあれか。明智光秀の本能寺の変とかか?」
「…うん、それもあるよ。他には新田義貞の太刀とか、徳川埋蔵金の謎とか」
少女はいつもよりも嬉々とした表情で話してくれる。それが信頼されているみたいで嬉しくなる。
「へぇー俺はあんまり日本史に詳しくないから為になるな」
「…私もそこまで詳しくはない。授業も今は明治時代だし」
「懐かしいな日本史」
「…覚えてる?」
「ん、まったく覚えてない」
「大化の改新が中大兄皇子と中臣鎌足が起こしたとか大まかなことしかわからんな」
「…単語とか年号?」
「そうそう。やっぱり当時なんかテストに出るところを押さえればいいとか考えてたしな」
で、テスト終わったら記憶がほぼなくなるんだよな。まぁ、一夜漬けのテスト勉強なんか短期記憶でしかないし、覚えられるわけないよな。
「…どんな年号覚えてるの?」
「…すぅーえっと・・・645<無事故>の改新。710<なんとでっかい>平城京。794<鳴くようぐいす>平安京」
「1192<いい国>の鎌倉幕府。1467<ひとよむなしい>応仁の乱。1582<以後、犯人は分からず>本能寺の変。1590<戦国王>豊臣秀吉、天下統一。えーと…1914<いくとし>の第一次世界大戦。1945<遠く死後まで安らかに>太平洋戦争終結。・・・こんな所かな」
「…結構覚えててびっくりしてる」
「記憶力は良いほうだしな。ちなみに人物は全く覚えてない」
「…一番好きだった人は?」
「マッカーサー」
「…なぜ」
「日本に降り立つ姿が堂々としててかっこいい」
「…当時の人からしてみれば恐怖の象徴だっただろうけどね」
「違いないな」
「さぁ、もう時間だ。久しぶりに会えて楽しかったよ」
「…うん、私も」
少女は微かに微笑んだ。最近は、少女の微かな表情の変化も分かるようになってきたな。
「…ははっ」
「…っ!どうしたの?」
俺は無性に嬉しくなって少女の頭を撫でた。
「いや、なんでもないよ」
「……そう」
俺は満足して少女の頭から手を放す。
「じゃあ、行くね」
「……またね」
「…あぁ、またな」
そうして俺は少女に手を振って公園を後にしたのだった。
ご精読ありがとうございました!
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言葉に表せられないくらいとても嬉しいです!私の作品を皆様に読んでいただけていると思うと嬉しい限りでございます。
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