6月になって暑い日々が続きますね。皆様も体調管理だけは怠らずにこの暑い日々を乗り越えていきましょう!
追記…ジェームズランゲ説→末梢起源説
キャノンバード説→中枢起源説に変更
それでは、第7話です。どうぞ
Chapter 感情について
「そういえば知ってるか?」
「…なに?」
少女は俺の問いかけに首を傾げた。
「感情の表れって、【何かがあって感情が出る】か【感情が出て、なんらかの行動に出る】かの2つらしいな」
「……?」
「あぁ…よく分からなかったか。要するにな」
人の感情というのは、【笑うから楽しい】と【楽しいから笑う】の2説がある。現代的に考えると後者の方が選ばれる可能性が高いだろう。面白いから笑う、悲しいから泣く、興奮するからはしゃぐ。感情というのは表情の後付けなのだ。
「まあ、その2つの説があるんだけど俺的には前者の説の方が人間の本質に近い気がするんだよね」
「…私は後ろの方」
「ほぉ…なぜだい?」
「…よく分かってないけど、人って楽しいから笑う」
「そうだね、大体の人はそう答えるだろうね」
「じゃあさ、多分前者の方がよく分かってないと思うから例えを出してあげよう」
「…うん、欲しい」
前者の説…末梢起源説と後者の説…中枢起源説の違いは、刺激があって表情に出るか、感情が出て表情に出るかの違い。
「末梢起源説の方でよく取り上げられてるのは『吊り橋効果』だね」
「…揺れてる橋で告白すると成功しやすいっていうあれ?」
「うん、合ってるよ。あれは要するに【ドキドキしてしまうから、相手のことが好き】と勘違い…なのかな?そう思ってしまう」
「今ので中枢起源説の方を例えると、【相手のことが好きだから、ドキドキしてしまう】ということかな」
「…なるほど」
「分かってもらえたようだね」
「まあ、これって恋愛漫画でありそうだよね。交差点でぶつかるやつ」
「…ぶつかった衝撃でドキドキしてしまったから、相手に好意を抱いてしまう?」
「極端に言えばそういう感じ」
「…でもなんでこの話を?」
「あぁ、この前ドラマで三角関係泥沼恋愛ドラマを嫁さんと見てな。そういえば、大学でこういったの習ったなって思ってさ」
「…よくわからない、どういうこと?」
「ドラマのセリフで、婚約者がいるのに婚約を迫られた男の人が心理カウンセラーの人に相談する場面があったんだが、『取られて本当に悔しい人を選びなさい』って言われたんだよ」
「…そういうこと」
「だからこの感情の話を出したんだ」
彼女は少し考えて俺を見据える。
「…おじさんは取られて悔しい人って、やっぱりお嫁さん?」
「当たり前だな!俺の嫁さんは別嬪さんだから1番悔しいな」
「君はいるかい?取られて悔しい人は」
「……私は家族」
「欲張りさんだね」
「…だって本当に大切だから」
「……」
(良い子に育ったもんだね…この子の両親は育て上手だな)
彼女は両手を膝の上で頑なに握っている。その様子から、彼女が本当に家族が大切なのだと伝わってくる。
「その気持ち、君が大人になっていくと同時に薄れていってしまうものだ」
「だから、君にはいつまでもその気持ちを大切にしていってほしい」
「…うん、言われなくてもそうするよ」
彼女はこくっと頷き、少し微笑む。
(あぁ、やはりこの子の思いは本物だ)
「…んぅ~」
彼女は少し疲れたのか伸びをする。
「肩こりかい?」
「…そう、かも?最近はおじさんに渡された本とか別の本を読んでるから」
「あぁ、そうか。疲れたと思ったら肩を回さないといけないぞ」
「凝ったままだと余計に肩こりがひどくなるからな」
俺はぐるぐると肩を回しストレッチする様を彼女に見せる。彼女は頷き、俺と同じように肩を回す。
「俺も最近はデスクワークばかりで首と肩が痛いんだよなあ」
「…そうなの?」
「大人になると必然的に肩こりが激しくなるんだ」
「でも自分でほぐしてもなかなか治らないんだよ。首と肩こりだけは他の人にほぐしてもらったほうが気持ちいいし、早く治る」
彼女はそれを聞くと、すっと立ち上がりベンチの裏側に回り俺に背後に立った。
「んー?どうしたの?」
「…さっき、人がもむと治るって言ったでしょ。ほぐしてあげる」
「えっ?わざわざいいよ、それに悪いし」
「……私が勝手にするからおじさんはじっとしてて」
「…あ、はい」
(へんなところで強情なんだな)
彼女は俺の肩をコンコンとたたき始めた。
「…たたくより揉んだほうがいい?」
「あぁ~どちらでもいいんだができれば頼む」
「…ん、分かった」
…嫁さんにも偶には揉んでもらおうかな。彼女の肩もみは若干力足らずで弱弱しい。だが、それが無性に気持ちよく感じる。
(これが人の温かさなのかな)
「…おじさん、どう?」
「……」
「…おじさん?」
「あ、あぁ…すまない。気持ちよくてついな」
「…そう、嬉しい」
彼女の表情は見えないが、抑揚で嬉しそうというのは伝わった。
「あいたた!」
「…あっ、ごめんなさい。痛かった?」
「ううん、たぶん結構凝ってた部分刺激された反動だと思う」
「…ならよかった」
「もう大丈夫だ。ありがとう」
「…もういいの?」
「あぁ、君が揉んでくれたから楽になったよ」
「…どういたしまして」
「どうだい?君も揉んであげようか」
「…私はいい」
彼女はそういって座りなおす。
「遠慮することないのに…これでもマッサージは上手なほうなんだぞ」
「…誰に言われたの?」
「両親だけど」
「…あまりあてにならない情報」
「おっ、信用してないな」
「…そもそも私はそこまで肩凝ってないから」
「まぁ、あまり若いうちに筋肉を強くもみすぎるのも良くないと聞いたことがある気がするし、今回はやめておこうか」
「…うん」
「さぁ、肩の疲れも取れたことだし仕事に行ってまた疲れてきますか」
「…それじゃ私が揉んであげた意味がない」
「少しでも疲れがとれたんならそれは意味のある行動だよ。それに対して俺は君に感謝しているしな」
「…そう」
俺は腰に力を入れ、よいしょと立ち上がる。
「じゃあ、またな」
「…うん、またね」
彼女は小さく手を振る。その姿が妙に大人な印象を受けた。
「おう」
俺は片手を少し上げて振り返した。また、今日が始まる。
ご精読ありがとうございました!
今回は「感情」「肩こり」でお送りしました
皆様は今回取り上げた二つの説に関してご存じでしたでしょうか?私はなんとなく覚えていました。皆様はどちらの説が一番納得できるでしょうか?
誤字報告・お気に入りありがとうございます!!着実にUAも伸びてきて嬉しいです!
今後ともよろしくお願いします