少女とおじさんが駄弁るだけ(凍結)   作:ヤマニン

9 / 16
こんにちは、ヤマニンです。

本土もようやく梅雨入りして雨の日が続くようになってきました。非常時のための折り畳み傘は忘れずに!

今回は少女視点のお話です。
では、どうぞ…


初夏について 少女視点

Chapter 初夏について

 

春の暖かさも過ぎ、今では肌に刺さるような暑さを放つ太陽が輝いている。私の制服も夏服の物に替わり、いやでも夏だという事実を感じさせられる。それは隣に座るおじさんも例外ではないようで、Yシャツを腕まで捲り、扇子で自分を扇いでいる。

 

「ったく、何だこの暑さは…。まだ初夏に入ったばかりだぞ」

「…確かに暑いね」

 

私の首元からつぅーと汗が流れるのを感じる。おじさんは私に気をつかい、扇子で私にも扇いでくれる。今日は風が出ているので扇子で扇がれるとなかなか気持ち良い。

 

「こんな暑さだと参っちゃうね。あぁ~アイス食べたい」

「…外で食べるとすぐ溶けちゃうよ」

「…だよね」

 

おじさんは落胆し、渋々ぬるくなったであろう缶コーヒーを飲む。

 

「ぬるっ!」

「…この暑さだと飲み物もすぐにぬるくなる」

「これだと扇子で扇いでても疲れて汗が出てくるな」

 

するとおじさんはなにかを思い出したかのように「あっ!」と声を出す。

 

「そういえば、少し前に流行った小型扇風機…確か名前は…なんだっけ?」

「……?」

「なんかゾウみたいな名前だったんだよな」

「小型で手に持てる…handyは便利で、扇風機…fan…あっ!おもいだしたわ」

「ハンディファンだったような気がする」

「…はんでぃふぁん?」

「USBで充電できる言ってしまえば小型扇風機だよ」

「…便利そう」

「扇子と違って労力いらないしな」

 

おじさんはこれこれと言ってスマートフォンに写る画像を見せてくれる。写っていたのはおじさんが言っていたように片手で持てる小型の扇風機だった。

 

「…こんなのがあったんだね」

「おう、なんか去年の夏に流行ったらしいよ」

「…全然知らなかった」

 

どうやらUSBで充電して数時間稼働するらしい。最近の文明の利器は本当にすごいと思う。

 

「そういえば6月になったけどなんか学校行事あった?」

「…あったよ」

「なにが?」

「…避難訓練」

「あぁ~確かにやるよね。【おはしも】だったよね?」

「…うん。押さない、走らない、喋らない、戻らない」

「避難訓練か…朝礼とかで火の元とか注意されるくらいだな。最後にやったのは大学かな」

「…たくさんの生徒が合流するから苦しかった」

「君も思春期だし、男子が近くにいると嫌かい?」

「…ううん、さして気にしてない。ただ単純に人混みが嫌なだけ」

「あ、あはは…そっか」

 

(普通、この子くらいの歳になると嫌がるものなんだけどな…)

 

おじさんは苦笑気味で私を見てくる。何だろう?

 

「…あとは中間テスト」

「テストね…中二くらいから少しずつ難しくなるね。まぁ、社会人の俺からしてみれば英語と数学、国語を押さえておけばいい気がするけどね」

「本格的な数学や物理は高校からだしな」

「…数学は苦手」

「中二の最初って確か連立方程式とか文字式だよね?」

「…うん」

「…そっか、中二から本格的に未知数とかが出てくるのな」

「…うん、xとかyが出てくるとこんがらがる」

「まぁそれが連立方程式で最初につまずくところだよ。小学校と違って実数で示されてないしな」

「でも中二って代入法とかだから優しい問題だとx=□って出てくるだろ?」

「…それは解ける」

「まぁ君のことだ。誰かに教えてもらったんだろ?」

「…お父さん」

 

あの時はお父さんに頭下げて教えてもらった。

 

「へぇ~今は大丈夫なのか?」

「…ぼちぼち。解けるようにはなったけどまた教えてもらうことになるかも」

「ははっ、困ったら俺に聞いてくれてもいいからな」

「…その時はよろしくお願いします」

「おう!任せな」

「…おじさんは苦手な科目ってなに?」

「俺か…俺は古文かな」

「…なんで?」

「…難しくない?慣用句とかって」

「で、古文で転ぶと後々の古典でも転ぶという訳よ」

「…源氏物語とか?」

「うん、それもあるしいろいろだね」

「だからもし君が古文に躓きそうなら先生に教えてもらったほうがいいよ。後々のためにね」

「…わかった、そうする」

 

私はこくっと頷く。するとおじさんはやけ気味に叫ぶ。

 

「俺に古典や古文を教えれる気がしないからね!むしろ俺も教えて欲しいくらいだよ」

「…おじさんでもまだ勉強したいと思うの?」

「…まぁしたいかな。でも俺の歳ぐらいで資格とか取るために勉強する人はいるけどやる気がないと勉強する気にはならないよな」

「やっぱりそうやって目的があって勉強するより中学や高校みたいにのびのび全教科勉強したいね」

「俺は大学は理工学だから数学系か英語しかやってないし、文系は全く駄目だよ」

「…私は感想文とか文章書くのは得意」

「そりゃいいね。本を読んでおくとそういった文章書くの得意になるでしょ」

「…うん、なんかすぐに文が浮かんでくる」

「いいな…俺は感想文とかものすごい考えてギリギリ三枚目とかだったし、後から見返したら文法めちゃくちゃで担任にやり直しさせられるしで苦手だよ」

「…そんなによく喋れるのに文章書くの苦手なの?」

「ふっ…覚えておきな。よく喋るのと文章をうまく書けることは比例しないのだよ!…まぁ、当時のことであって今では多少は書けるようになったけどな」

 

おじさんはくすくすと笑い、コーヒーを飲み干す。

 

「さて、ひとしきり喋ったことだし会社に行きますか」

「…うん、そうだね」

「君も学校頑張ってな!」

「…おじさんもお仕事頑張ってね」

「おう、ありがとう」

 

「じゃあ、またな」

「…またね」

 

 

 




ご精読ありがとうございました!

今回は【ハンディファン】【避難訓練】【テスト】でお送りしました。

皆様はハンディファンをご存じでしたか?2018年にニュースで取り上げられたりして有名だったと思いますが…私はこの間知りました。で、なにこれ?便利じゃん!!と思い、近くの某電化製品店(エディ〇ン)に行き、安物のハンディファンを買ってホクホクしながら帰ってきました。使ってみると意外と風量も強くて涼しいので、オススメです!

誤字報告・感想等お待ちしております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。