「Roselia、青薔薇。不可能を成し遂げる、か」
燐子さんも無事にバンドに加入した数日後
湊さんのバンドはRoseliaという名前になり
すでにライブをおこなったそうだ
燐子さんになぜ教えてくれなかったのか聞いたら
「もっと大きな舞台で聞いてほしい」だそうで
はぁ…とため息をついた横目には以前母さんが
持ってきたPastel❇︎Palletesのポスターが貼られていた
「そういえば今週末か、ライブ」
そう、今週末はPastel❇︎Palletesのライブである
つくづく思うのだが、いろんなバンドが
ライブしすぎじゃないか…。いやまぁライブしないと
バンドやってる意味がないのだが
「おっと、すみません。大丈夫ですか?」
「………」
色々考えながら帰ろうとすると人とぶつかってしまう
ぶつかってきたことに怒ってるのか水色の
ショートカットの女の子は黙り込んでしまう
……あれ?どっかで見たことあるような
「あの、大丈夫ですか?」
「……るんってきた!」
「はぁ!?」
る、るん?なんだこの人、モカと同じタイプか?
「ねぇねぇ!
「あたしたち…??」
その子とポスターを見比べてみると…
「あぁ…氷川、日菜?」
「あっ!あたしの名前知ってるんだ!」
「まぁ、はい…」
「まぁいいや!来て!」
「えっ、ちょっ!」
そう言われ腕を掴まれ強引に引っ張られる
モカと同じなんて前言撤回
モカよりタチが悪い!
─────────
「……日菜ちゃん、説明してくれるかしら」
「るんっ!てしたから連れてきちゃった!」
「あのね…」
なんと連れてこられたところはアイドル事務所
目の前にはあの白鷺千聖がいる
「うちのメンバーが迷惑をかけました」
「いえ、自分も止められれば良かったんですが…」
正直テンパっててそれどころじゃなかった
まさかこんなに強引にこられるとは思わなかった
長居は無用だし帰ろうとすると
「タノモー!」
「イ、イヴちゃん、だからここ道場じゃないから…」
あ、嫌な予感がする
「あっ!カナデさん!なぜここに?まさかカナデさん
ドージョーヤブリですか?」
「やぁイヴちゃん、道場を建てた覚えはないし
そこのピンクの人が言ったようにここは道場じゃないから」
「イヴちゃん、知り合いかしら?」
おいこれ収集つくのか…
「チサトさん!オハヨウゴザイマス!カナデさんは
ワタシがアルバイトしてるお店のジョーレンさんです!
いつも仲良くさせてもらってます!フーフです!」
いきなりとんでもない爆弾を投下しやがった
白鷺さんのほうを向くと、そう例えるなら
般若のような形相でこちらを見ていた
「奏さんと言ったかしら?どういうことか
説明していただけるかしら?」
「うーん、どっちの誤解から解こうかな!?」
──────────────────
「そう…失礼したわ」
「納得してもらったようでなによりです…」
「イヴさんらしいっすね!」
説明すること約10分、なんとか誤解は解いてもらえた
大和さんの言う通り、イヴちゃんらしいのだが…
「ヒマリさんがカナデさんとワタシのカケアイは
まるでフーフのようだと…」
「うん、夫婦漫才のことだね。ひまりの言うことは
あんまり鵜呑みにしないほうがいいよ」
後でひまりには言っておくか…
「じゃあ、長居しても仕方ないし帰ります」
「えーっ!せっかくるんっ!ってきたのに…」
だからなんだるんって…
「えぇ、そうね。マネージャーさんに見つかったら
余計に面倒なことになりかねないわ」
白鷺さんが常識人で助かった…
「あ、白鷺さん、丸山さん。うちの母親が
ずっと応援してて、ライブも行くっていってるんで
楽しみにしてますよ、ライブ」
「…っ、そう。ありがとう…」
なにやらライブの話をしたらメンバー全員の顔が
急に暗くなってしまった
また、地雷を踏んでしまったのか?
「あ、ありがとう!頑張るね!」
「はい。じゃあこの辺で…」
丸山さんが暗い空気を払拭するように笑顔で話す。
うまくいってないのだろうか?
──────────────────
ここ数日、明らかに密度の濃い日々を
過ごしてるような気がするが、気のせいだろうか
燐子さんがバンドに加入し、Pastel❇︎Palletesの
メンバーに会い…。
数こそ少ないものの内容が濃すぎる。
なんだよ、特にアイドルに会うって…
「あれ?氷川さん?」
「彼方さん、ですか。帰りですか?」
「えぇ、まぁ。それよりそのポスター…」
「…っ!」
Pastel❇︎Palletesのポスターの前に立っていた氷川さん
ポスターの話をすると顔が強張る。
「そういえばさっきそのポスターの水色の髪の子に
連れ回されましたよ。今はその帰りです」
「そう…ですか。妹がご迷惑を」
「…はい?」
「…?ですから妹がご迷惑をおかけしました」
今なんて言った?妹?いや、苗字は同じだし
顔はよく似てるけれども…
「…?紹介されなかったのですか?その水色の髪の子
氷川日菜は、私の双子の妹です」
本日2度目の爆弾投下、双子の妹だって?
「え、まじですか」
「えぇ、まじです」
双子でこんな性格が真反対ってあるのか…
「それより彼方さん。」
「なんでしょう?」
ここでまさかの氷川さんの口から
思いもよらない言葉が
「少しお時間ありますか?
お話を聞いていただきたいのですが」
──────────────────
「氷川さん、それ1人で食べるんですか…?」
「お店の人に……勧められたので」
氷川さんと来たのは近くのファストフード店
彼女の持つトレイにはポテトが山のように盛られていた
店員との会話を聞いていたが勧められた様子はなかった
そんなにポテトが好きなのか…
「ところでお話とは?妹さんのことですか?」
「察しが良くて助かります。本当に意外ですね」
相変わらずチャラついてるイメージは
払拭してくれないようである。
「あの子こと、どう思いましたか?」
「どうって…?」
「あの子と会ってどう感じましたか?」
なんかいつもより表情が怖い気がする
その表情のままポテトを食べてるのがまた面白い
「んー、なんと言うかうちのバンド、Afterglowにも
似たようなやつがいるんですけど、なんというか
独特?って言うんですかね。未だに氷川さんの
双子の妹だなんて信じられないですよ」
そう、まるで雰囲気がモカのようなのである
るんってきたってだけで連れまわされたし
「そうですか」
「あぁ後、付け加えるなら…」
「……?」
そう、モカと雰囲気が似てるのである
「あーいう子はきっと天才肌なんでしょうね」
「…っ!」
ひまり曰く、モカは授業中に寝てても
勉強は出来るらしいし、ギターだって蘭よりも
早く出来るようになってた。
自分でも天才、だなんて言うだけはある。
「あなたの言う通り、日菜は天才です。
私とは違い、なんでも出来てしまう」
氷川さん曰く妹さんは天才。
昔から姉である氷川さん…ややこしい。紗夜さんの
真似をしてきてわずかな時間で追い抜いてしまうほど
だからこそ日菜さんがまだやってないギターに
没頭していたのだがそれも真似されて…
そういえばポスターで持ってた楽器、ギターだったな
「んー、なるほど。ところで氷川さん。」
「なんでしょう?」
「あなたは俺にどうしてほしいんですか?
話を聞いてほしいのか、それとも
「…っ!!」
妹が姉の真似をするのは普通のことだと思ってた
現に、あこちゃんがドラムを始めたのは巴がきっかけだ
しかし話を聞いていると、どうも
妹に負けている私を慰めてくださいと言われてる気がする
弟や妹がいたことないから、気がするってだけなのだが
「ていうか妹さんとは話しただけで
ギターの演奏は聞いてないですし氷川さんのギターも
2回しか聞いてないので。正直どっちがうまいかなんて
そんなの分かりませんよ」
「そう…ですか」
「まぁ今週末、母親にライブ連れてってもらうんで
その時聞いてきますよ。どっちがうまいのか」
そう言って立ち上がる
兄弟姉妹ってもっとこう宇田川姉妹みたいに
仲がいいと思ってたのだが…
うん、なんだか難しいな
イヴちゃん爆弾投下させるの楽しかった