Pastel❇︎Palletesのお披露目ライブ
結果としては散々なものだった。
かろうじてドラムはちゃんと演奏していたが
機材トラブルがなければ周りはなにも
気づいてなかったのかもしれない。
「『新生アイドルバンド、Pastel❇︎Palletes
お披露目ライブで口パク、アテフリがバレる』か」
「奏が新聞読むなんて珍しいね」
「まぁちょっと気になる見出しがあったからさ」
Pastel❇︎Palletesのライブから数日後
世間はゴールデンウィーク、Afterglowのみんなと
遊園地に出かける日で、電車に揺られていた
「(白鷺さんがあの時、表情が曇ってたのは
これがすでに決まってたことだったから、なのか?)」
「かーくん、どーしたのー?そんな難しい顔をしてー?」
「なんでもないよ。ほらちゃんと座れ、モカ」
「はーい」
ちなみに席は目の前に蘭、その隣にモカ
俺の隣にはつぐ。別のボックス席に巴と
ひまりが座っている
「暇だねー。かーくんなにか面白い話ー。」
「俺に振るのか…。だったら、こういうのとか」
「心理テスト?奏、そんなの読むんだ」
「新聞見つけたついでに買ったんだよ。
普段からこんなの読むわけじゃない」
鞄から取り出したのは『簡単!心理テスト!』
というタイトルの本。電車の中での
暇つぶしになればと思い、新聞を
買ったついでに買っておいた。
「ほい、じゃあ1問目いくぞ」
──旅先で寝るとき、必ず必要なものは?──
A:普段着ているパジャマ
B:スマホのアラーム
C:アイマスク
D:アロマオイル
「あたしはA」
「んー、Aかなー?」
「私はBかな!」
蘭、モカはA、つぐはBっと…
「はい、Aを選んだあなた。
───変化を好まない───
旅先に普段着ているパジャマを持っていくあなた。
たいていの旅館やホテルには備え付けの
ガウンや浴衣があります。それを着るのが嫌なあなたは、
日常の変化を好まない人です。旅先でぐっすり眠るためには、
いつものパジャマでないとダメ。そんな頑なさや
不器用さがある人なのでしょう。」
「Bを選んだあなた。
───変化に対応しようと努力する───
いつもと違う場所で眠ると、予定通り
起きられないかもしれません。スマホのアラームを
きちんとセットするあなたは、真面目で几帳面なタイプ。
変化があるとちょっとビビりますが、
冷静に対処法を考えて、着実に実行していくタイプです。
きちんと変化に対応しようと、努力し克服する人でしょう。」
──────────────────
「着いたっ!」
「かーくん、なにその謎のポーズ」
「着いたポーズだよ」
長い移動距離を心理テスト、トランプで時間を潰し
ようやく目的地へとたどり着く
「最初一番乗り気じゃなかった奏が一番ノリノリだよな」
「まぁ来た以上は楽しまないとな。さて、どれから乗るよ?」
パンフレットの地図を広げる
もちろん最初に乗るのは…
「はい、やってきましたコーヒーカップ。腕が鳴るぜ」
「「「「「嫌な予感しかしない…」」」」」
どうしたみんなそんな、やべぇぞこいつ…みたいな。
コーヒーカップってどのカップが1番
回転数出したか競うやつじゃないの?え、違う?
「じ、じゃあアタシたち5人で乗るから奏は1人な!」
「なんでそんなつれないこと言うかな、巴さん!」
じゃんけんの結果、つぐ、巴、モカの3人
負けた蘭、ひまり、そして俺の3人で別れた。
負けたほうってそんな罰ゲームみたいな…
「奏、顔が怖い…」
「か、かーくん。お手柔らかに、ね?」
「加減は、しない!」
この日、一番の叫び声が響いたらしい(周辺の人談)
──────────────────
「おえっ…」
「自業…自得、だって…」
「首が……飛ぶかと…思ったぁ…」
「3人ともお水飲む?」
つぐが水を買ってきてくれた
うん、調子乗りすぎた。こんなに回せるなんて
思わないじゃん。つい、楽しくなっちゃった。
「ありがとう、つぐ。ちょっと休憩」
「この調子で大丈夫なのかなぁ…」
「かーくんの、ばかぁ…」
「絶対、奏とはコーヒーカップに乗らない…」
ちなみにつぐたちのカップはめちゃくちゃ平和だった
「で、次なに乗るよ」
「平和なやつがいい」
平和なやつ…遊園地で平和なやつといえば…
「やっぱ……やめない?」
「いや、蘭の希望だぜ?平和なやつ」
「だからって、ほかに…」
そう、平和にくるくる回る回転木馬
メリーゴーランドである。平和じゃん?
「巴!あの椅子座ろっ!」
「おっ、いいな!行こうぜ!」
ひまりと巴は馬車みたいな椅子に座り
「蘭ー、諦めなってー。ほらー、行くよー」
「ちょっ、モカ引っ張らないで…」
モカは蘭を引き連れ、別々の木馬に乗る
「さて、つぐ。」
「うん、どうしよっか」
もちろん、他のお客さんもいるのだが
なんと残った木馬は2人乗り用なのである…
「俺たちだけ止めておくか?」
「い、いや、乗ろう!」
つぐみさーん!?本当に言ってる!?
え、ちょ、引っ張らないで!
──────────────────
「かーくん。だいじょーぶー?」
「ニヤニヤしながら言っても説得力ないぞ、モカ」
結論、俺の心が平和じゃなかった
いくら幼馴染であっても、このお年頃には
少々メンタルにくるものがあった
正直、ひまりじゃなくてよかった。
「見て見てー、この写真。かーくんが
本当の王子様に見えるよー?」
「は、写真?」
後ろからカシャカシャ聞こえてたのはそれか
「消せ」
「えー、どうしよっかなー?あっ…」
モカの声と同時に携帯のバイブが震える
画面には─Mocaが写真を送信しました─の文字が
「手が滑ってしまいましたー」
「わざとだろ、こら…」
そう、Afterglowのグループチャットに
先ほどの写真が載っけられたのである。
もうどうしようも出来ない。
──────────────────
その後もいろいろ絶叫系だったり乗り
お化け屋敷も入ろうと思ったのだが整理券が
事前に必要らしく、すでに受付は終了していた
特にひまりと蘭が安堵していたのはここだけの話
「遊園地の締めといえばこれでしょっ!」
時間はすでに夕方、ひまりに連れてかれたのは
そう、観覧車である。
「ひとつ4人乗りだけどどうやって分けるんだ?」
「わたしと巴と蘭とモカの4人でいいんじゃない?」
「雑かよ!?」
コーヒーカップはじゃんけんしてたくせに…
と思いながら、すでに4人は乗り込んでいた
「はぁ…」
「あっ、えっとごめんね!」
「あ、いや、つぐと乗るのが嫌なんじゃなくて
今日、楽しかったけど疲れたなぁって」
「ふふっ、そうだね。」
一発目のコーヒーカップから全力だったからな…
絶叫系でも叫ぶ叫ぶ。そりゃ疲れる。
まるでPastel❇︎Palletesのライブを忘れるかのように
全く見ず知らずの人のライブなら、まぁそんなもんか
と、割り切れるのだが、イヴちゃん含め
全員、曲がりなりにも顔見知りなのである
「イヴちゃんのこと、心配?」
「…っ!なんで…?」
「新聞読んでから、乗り物に乗ってる時は
そうでもなかったけど、それ以外はなんだか
上の空、だったから…」
「…そりゃ、心配だよ」
あの現場を直に見たこと。
ライブの前、日菜さんに連れまわされPastel❇︎Palletesの
メンバーと顔合わせしたこと、全部話した。
「日菜先輩がああいうのはいつも通りだとして…」
どうやら日菜さんはつぐたちと同じ羽丘らしい
「やっぱり、奏くんは優しいね」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「イヴちゃんのこと、心配?」
朝、電車の中で奏くんが読んでいた新聞の見出しには
イヴちゃんが所属しているバンドの内容でした。
なんだか無理をして楽しんでるような
並んでる時は上の空だったから、きっと
イヴちゃんことを考えてたのかなって
「やっぱり、奏くんは優しいね」
「…そんなことないよ」
そうやって否定するけど、奏くんは
誰かのために何かを迷わずできる人なんだと思う
たまに迷っちゃうときもあるけど
きっと日菜先輩に連れまわされなくても
ライブに行ってなくても、遅かれ早かれ
手を差し伸べてたんだと思う。
いつも周りを見ていて、困ってる人がいたら
手を差し伸べて、まるでヒーローみたい。
昔からそう。奏くんは私たちには恩返しだっていうけど
きっと昔からそういう人なんだ。だからこそ…
「好き…なんだよ?」
「ん?なんか言ったか?」
「ううん、なんでもない!あっ、夕日!綺麗だよ!」
「おー、これはまたすごいな!」
聞こえるか聞こえないかの大きさで伝える気持ち
きっと昔から感じてたけれど、やっと気づいた
この気持ちの名前
私のこと、そんな風に見てないかもしれないから
まだ。この気持ちは閉まっておいて…
「私、頑張るからっ!」
「…?おう!また明日から練習だからな!
また倒れないように、ほどほどにな!」
「もーっ!それはなし!」
心理テストの引用はこちらから
https://matome.naver.jp/m/odai/2137377592327939601?page=2
C Dの回答は…まぁページに飛んでもらえれば
着いた!の謎のポーズはわかる人はわかります