日曜午前10時、羽沢珈琲店
人が少なく暇を持て余す時間。
ひまりが蘭の愚痴をこぼしに来店する時間であり…
「やっぱ羽沢珈琲店のコーヒーが1番落ち着くなぁ」
「かーくん、また行ってきたんだ」
「始発で3駅隣まで行って、新しく
開店したところに行ってきた。」
GWも最終日の日曜日、いつも通りのカフェ巡りで
早朝から並んでコーヒーとケーキを頂いてきた
「でも、やっぱりうちのコーヒーなんだね」
「まぁ飲み慣れた味だしケーキも
美味しいし何より近いし」
「かーくん、べた褒めだね」
身内贔屓無しにしても羽沢珈琲店のコーヒーは
ものすごくうまい。なんなら毎日飲みたいぐらい
なんて、コーヒーを味わいつつゆっくりしていると
カランコロンと入口のベルが鳴る
「いらっしゃいませ!…あっ、日菜先輩!」
「つぐちゃん、やっほー!あっ!いたっ!」
「日菜さん、忙しそうですね…ってちょっと!」
「つぐちゃん!かなくん借りてくね!」
まるで嵐のように。腕を引っ張られる
なんか、前にもあった気が…。ってかなくんって俺?
「つぐ!帰りまた寄るから!」
「あっ、うん。大丈夫だよ!いってらっしゃい!」
──────────────────
「で、なんで俺はまたここに連れてこられたんですかね」
「ご、ごめんね!私が日菜ちゃんに頼んだの!」
日菜さんに連れてこられたのはまたしてもあの
Pastel❇︎Palletesの所属する事務所の練習スタジオである
「一体、何の用ですか…丸山さん?」
「えっと、ライブ来てくれてたんだよね?」
「えぇ、まぁ」
「どう、思ったかな。って」
"どうだった?"と"どう思った?"は似ているようで
聞いている内容が違う。前者はライブについての感想
後者は、今回でいうならあのニュースのことだろう
それも踏まえて、述べる
「機材トラブルがなければ、最後まで
騙し切れてたんじゃないですか?素人から見ても
ちゃんと演奏して歌ってるようには見えましたよ。」
「そう…」
「それと、この一環の出来事があなたたちの意思じゃない
ことも、分かってるつもりではあります」
「えっ…?」
"人一倍の努力家"というのが丸山彩というアイドルを
表す言葉、と母さんが言っていた。
本番では噛み噛みでとちるけど絶対に諦めない
夢が叶うように一生懸命努力する。
そういうアイドルだからこそ応援してる。
だからあのライブはきっとメンバーたちが
望んでやったことじゃないと、そう言っていた。
「ありが…とう…」
そう、お礼を言う丸山さんの目には涙が
大したこと言ったつもりはないんだけどなぁ…
「そういえば丸山さん」
「…??」
このスタジオには今、話していた丸山さん
そして、俺を連れてきた張本人日菜さん
会話に入ってこなかったが大和さんにイヴちゃん
…しかいないのである。
「白鷺さんはどこへ?」
「あっ、えっと…千聖ちゃんは…」
白鷺さんがいないのである。
あのライブ以降、ほとんど練習に
顔を出さなくなったらしい。
「まぁいいや。応援、してますから」
「うわーん!ありがとう!」
「って、うおっ…」
まさかの抱きつかれると言う事態
あの、アイドルなんですよね、丸山さん?
「カナデさん、アヤさん!ハグですか!?
でしたらワタシも!ハグハグゥ!」
「え?なになに?るんってきた!あたしも!」
「ちょっ…や、大和さん、止めてっ…!」
この中で唯一、飛び込んで来ない大和さんに
助けてを求める。なんだこの状況…
「彩さん、イヴさん、日菜さん。奏さんが困ってるんで
早く離れて練習しますよー!」
大和さんが3人を引き剥がそうとするその時
練習スタジオのドアがガチャリと開く
「遅くなりました、白鷺入りま……す」
あ、これ詰んだかもしれない
「もしもし、警察ですか」
「先に誤解を解かしてくださいー!!」
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「そう、失礼したわ」
「この状況、前にも見たんですけど気のせいですかね」
「気のせいよ、きっと」
説明すること数十分、なんとか誤解は解けた
危ない、下手すれば社会的に抹殺されるところだった
「じゃあ誤解も解けたところで帰ります…」
「あら、そう。アイドルと同じ空間にいれることなんて
そうないんだからもっとゆっくりしていけばいいのに」
何言ってるんだこの人は…
はやく羽沢珈琲店に戻ってコーヒー飲みたい
「あ、丸山さん。これ、渡しておきます」
「へっ?あっ、これ…」
「日菜さん経由だと俺の身がもたないのと
予定が狂わされるんで、なにかあったら、そこに」
紙とペンを借り、丸山さんに渡したのは
電話番号とチャットアプリのID
今日みたいに日菜さん経由で連れまわされるのは疲れる
「あっ、うん!ありがとう!」
「あら、帰るのね」
「帰ります、疲れたので…」
羽沢珈琲店に戻ってコーヒー飲んでケーキ食べるんだ
と言う予定は、また白鷺さんの一言で潰される
「この後時間あるかしら?少しお茶しない?」
疲れたって言ってるし
だから、さっきから何言ってるんだこの人は…
──────────────────
「奏くん…おかえりなさい。」
「うん、つぐ、ただいま…」
Pastel❇︎Palletesの練習はすぐに終わり
白鷺さんに連れてこられたのはなんと羽沢珈琲店
なんとまさかの白鷺さんも常連らしい
世間って狭いな…
「あら、知り合いだったのね」
「知り合いもなにも、幼馴染ですし…」
「そうだったのね」
イヴちゃんからはなにも聞いてなかったのだろうか
「で、わざわざ呼びつけて何の用ですかね」
「そうね、私もあまり時間があるわけではないし」
コーヒーを一口すする。うん、やっぱりうまい。
「まず、1つ目。彼方奏、聞いたことある名前だと
思ったら、
「そうですか…。もう昔の話ですけど」
「もう歌わないのかしら?」
「……どうでしょうね」
白鷺さんは俺のトラウマのことは知らない
歌わないのではなく、歌えないことを
「そう、まぁいいわ。じゃあ2つ目…」
「一体いくつあるんですか…」
「これで終わりよ。昔、歌の天才と
称されたあなたに聞くわ」
うっわー、懐かしい響き。
当時は嬉しかったけど今になって聞くと
ただの黒歴史だよな、これ
「俺に答えられることならなんでも」
「そう、じゃあ聞くけど…
「急に深い話になりますね」
Pastel❇︎Palletesの練習を少しだけ見せてもらった
丸山さんはちゃんと歌って踊れてたし
イヴちゃんは多少のミスもあったものの
ほとんど完璧に弾けてた。
大和さんはさすがプロって言ったところ。巴や
あこちゃんと比べるても抜群にうまい、と思う
日菜さんは、さすが天才といったところか
本当に初めて楽器を触ったのか怪しいレベル
量の違いはあれども"努力"の賜物だろう
「
実らない。これに尽きると思いますよ。
前者のいい例が丸山さん、後者のいい例は、そうですね…
白鷺さん、あなたですかね」
「……っ!どうして?」
白鷺さんには他の4人にから感じていたものが
なにも感じられなかった。
"ここまで出来ればいいだろう"と自分の限界を
決めている、そんな感じ。それ以上を求めない
頑張ることを、しない。
「それは自分が一番分かってるんじゃないですか?」
「……そう、参考にさせてもらうわ」
「そりゃどーもです」
そう言って白鷺さんは立ち上がってテーブルに
お札を2枚置いて店を出ようとする。
「お金、多いですよ」
「いいわよ、付き合ってくれたお礼だから」
「そうですか…」
そう言って白鷺さんは店から出て行く
「奏くんにしてはめずらしいね」
「そうか?」
「うん、いつもなら真っ先に助けそうな気もするのに」
「まぁ白鷺さんがどんな人かまだわかってないから
下手に口出しできないって感じかなぁ」
長い付き合いのAfterglowのみんなや燐子さん
あこちゃんなら付き合いも長いので
喜んで手助けするのだが…Pastel❇︎Palletesは
他のRoseliaのメンバーは会って日も浅いので
下手に手を出すと悪化しかねない、故に
あまり踏み込まない、いや踏み込めない
と言った方が正しいか。
「まぁなるようにはなると思うよ。
…コーヒーのおかわりいただいても?」
すっかり冷めたコーヒーを飲み干し
新しくおかわりを求める。ほんと
何杯でも飲んでいられる
「奏くん、流石に朝から飲みすぎだからダメだよ?」
「ダメか…」
コーヒーはまた明日かな…
Afterglowではボケとツッコミの両方
Roseliaではボケ担当
Pastel❇︎Palletesではツッコミ担当
パスパレメンバーに(特にイヴちゃん)ボケさせて
突っ込まさせるのが考えてて楽しい
Roseliaでボケさせて友希那さんと紗夜さんに
突っ込ませるのが考えてて楽しい