配布のりんりんがめちゃくちゃえっr
「(ガルジャムまで残り2週間。
みんな上手くなってきてる…けど、私は。)」
「つぐ、みんな帰ってるぞ、帰ろう?」
「(やっぱり、もっと練習しなきゃ…!!)」
あれ?聞こえてないのかな?
「つーぐみさーーん…」
「ひゃっ!!!」
耳元で囁くように名前を呼び掛ける
呼び掛けられた本人は耳まで真っ赤にしてる
セクハラだって?そこは、ほら
幼馴染パワーということで、な?
「ど、どうしたの、奏くん!?」
「どうしたのって言われても、帰る時間だぞ
みんな帰ってるのにつぐだけ帰らないからさ」
「あっ、えっと!残って練習しようと思って!」
またこの頑張り屋さんは…
この間、無理しない程度にって言ったはずだし
巴に頼まれて一緒に出掛けたのも
息抜きの為だったのに、まったく…
頑張り屋さんはつぐの長所だが
長所は短所になりうる、って学校の先生が
言ってたような気がするな…
「わかった、スタジオの延長はしておくから」
「えっ?奏くんは帰って大丈夫だよ!
夜通しって訳じゃないし、おさらいしていくだけだから」
いやまぁ赤の他人とかだったら置いていくけど
さすがに幼馴染みの女の子を夜に
1人で帰らせるわけにはいかない。
「いいのいいの。女の子1人で帰らせるのは危ないから
じゃっ、延長してくるから。」
「えっ、ちょっと奏くん!」
つぐからの呼び掛けに聞こえない振りをして
受付へと向かう。その途中でメッセージアプリで
巴に連絡をいれておく
『つぐが残って練習するってさ
たぶん相当無理しそうだから、学校で
ちゃんと見ててあげて』
そう送ると既読はすぐに付き、返事が来る
『了解!スタジオでは頼む!』
「ほいほい、任されましたよっと」
差し入れに何か飲み物でも買っていってあげるか
なんて思いつつ、受付で延長を済ませてスタジオに戻る。
◆◇◆◇◆
「いいのいいの。女の子1人で帰らせるのは危ないから
じゃっ、延長してくるから。」
何て言われて、私の声に振り返らず
奏くんは受付に行ってしまいました。
心配してくれるのは嬉しい、けど
きっと私だけじゃなくて、ひまりちゃん
巴ちゃん、蘭ちゃん、モカちゃん。誰かが
1人で残ってっても同じ事をするんだろうなぁって
奏くんは優しいから。周りをしっかり見てて
一人一人もしっかり見てて。
ショッピングモールで「無理しない程度に」って
言われたときは、見透かされてるようで
ちょっとドキッとしちゃいました。
「迷惑かけちゃってるかなぁ…」
「好きでやってるんだから迷惑なわけないだろ」
「ひゃっ!!!」
ほっぺたになにやら冷たいものが触れるのと同時に
後ろから急に声をかけられる
差し出されたのはスポーツドリンクでした
「頑張ってるつぐにちょっとした差し入れ」
「あっ、えっと…ありがとう」
「おう、気にするな。」
迷惑なわけない、か…
もっと上手くなって、奏くんを安心させないと…
◇◆◇◆◇◆
少し練習しすぎちゃったのか授業中も
頭がぼーっとしちゃってて
授業どころではありませんでした
巴ちゃんにも「顔色悪いぞ?大丈夫か?」なんて
言われちゃって、思わず大丈夫と返事を
してしまったけれど…。フラッとしてしまって
説得力がない、かな?
でも遅れてる分、たくさん練習しないと
ごめんね、巴ちゃん
「そうだ、私ちょっと寄るところがあるから
先に行くね、遅れちゃったらごめんね」
「おい、つぐ…!」
寄るところがあるなんて嘘です
早くスタジオに入って練習して皆に追い付かなきゃ
「あ、奏…くん。今からスタジオ?」
「あ、つぐ。…の予定だったけど予定変更」
「え?」
スタジオに向かう途中、同じくスタジオに向かう
奏くんに会いました。今日も一緒に残ってもらおうと
思ってたけど、予定変更ってなにかあったかな?
なんて疑問は奏くんの言葉で一蹴されました
「つぐ、
え?今から練習…だよね。
帰るって私も?
「巴から連絡が来た。つぐを見かけたら
無理矢理にでも帰らせてくれって。
やっぱ無理してるだろ。マネージャーとして
そんな体調のつぐを練習させられない」
待って。ガルジャムまであと約2週間なんだよ
私だけ遅れてるのに、練習しなきゃなのに
だから今日も早く向かおうと…あれ?
なんだか頭が働かない…
スタジオに向かう足が動かない。
どうしちゃったんだろう…
「あ…れ?」
そのまま奏くんに身を預け、奏くんがなにか
叫んでた気がするけど、何も聞こえませんでした
◇◆◇◆◇◆◇
巴から『つぐを見かけたら無理矢理にでも帰らせてくれ』
なんて連絡が来るもんだから学校の友人たちには
申し訳ないがいつもより早く学校を出て
つぐを探しながらスタジオに向かうことにした
学校でも顔色が悪く、足取りも悪かったらしい
さらに悪いことに、「寄るところがあるから」と
つぐも早めに学校を出たらしい
頑張り屋さんのつぐのことだから、
十中八九、早く練習するためについた嘘である
「(ていうか、相当な運ゲーだぞ…
会えないままスタジオについたらどうするんだ)」
考えてても仕方ないので頭動かすより
足を動かす。運が良ければ通り道で
会えるかもしれない。
なんてことを焦りながら思っていた矢先
「あ、奏…くん。今からスタジオ?」
噂をすればなんとやらというほどではないが
探し人である羽沢つぐみ本人に出くわした
夕焼けで少しわかりづらいが、巴の言うとおり
顔色が悪い。視点もなんだか定まってない感じがする
これではさすがに練習させるわけにはいかない
予定は変更である。
「つぐ、帰るぞ」
最善の選択、当の本人は驚いた顔をしているが
本当にそんな体調で練習しようと思ってたのか…
「巴から連絡が来た。つぐを見かけたら
無理矢理にでも帰らせてくれって。
やっぱ無理してるだろ。マネージャーとして
そんな体調のつぐを練習させられない」
何かを言いたげにしながら身体を
自分の方へと傾けてくる。
帰ろう、と手を引こうとした矢先
「つぐ?…つぐっ!!!!」
つぐは自分の身体からずり落ち
そのまま倒れてしまった。
「「つぐっ!」」
「巴、ひまり、静かに。今寝てるから。」
「悪い…。つぐは大丈夫なのか?」
「急に倒れたって聞いたけど…」
「過労だってさ」
連日の練習やら生徒会やらで無理が祟ったのだろう
つぐは過労で倒れた。特に心配することもなく
すぐ目を覚ますだろうし、様子を鑑みて
2日から3日ほどで退院は出来るとのこと
「悪い、ちゃんと見てやれなかった」
最初から気付ければよかった。
無理矢理にでも残って練習させるのを
止めさせればよかった。もっとちゃんと
一人一人のことを見れていれば…
「奏だけが悪い訳じゃない。
アタシたちだって周りを見れてなかった
学校で、無理矢理にでも止めれればよかった」
そう言って巴は俺の頭を軽く叩く
女の子から頭を軽く叩かれるなんて
男のプライドが…なんてものはなくて
ただただその言葉が少し、嬉しかった。
「かーくんも結構1人で考え込んじゃうタイプだからね
幼馴染なんだからもっともっと頼ってもいいのに」
「そうだなっ!」
「…ありがとう」
「つぐみっ!!」
遅れて、蘭とモカが病室に入ってくる
「蘭、つぐ寝てるから」
「なんで!奏がいながら、つぐみがこんなことに!」
「おい、蘭!?止めろ!!」
一直線に俺に向かってきて胸ぐらを捕まれる
すぐに巴に引き剥がされたが蘭は怒り心頭の様子だ
こうなることはだいたい予測は付いていた
大事なAfterglowのメンバーが、大事な幼馴染が
倒れただなんて。しかもマネージャーとして
俺がいたにも関わらず
「悪い…」
それしか言えなかった。
「悪いって、あんたっ…」
「やめろ、蘭!病室だぞ!」
「…っ!!」
耐えきれなくなったのか、病室から
駆け足で出ていく。何も言えなかった。
いや、今の蘭の状態で何を言っても
言い訳にしか聞こえないだろう。
俺からはなにもしないのが最善だ
「モカ、蘭のこと頼めるか?
たぶん、家のこともあって頭がパンクしてるんだと思う」
「あいあいさー。今度パンねー」
「…はいよっ」
現金なやつめ…。でも今の蘭に寄り添えるのは
きっとモカしかいないのだから
燐子さんだせって?
慌てない慌てない。