小走りで駆け出す。
別れてからそこまで時間が経ってないから
すぐに追い付けるはず…
「(見つけたっ…)あのっ!」
わりとすぐに追い付いた。
呼び掛けに噂の友希那とギターケースを持った
水色の長髪をした女性が振り替える
「あなたは、さっきの…」
「何か用ですか?私たちには時間がないのですが」
えーっ…水色の人、口調きつくないですか…
まぁいいや気にしちゃ駄目だ
「あの、友希那さんとお話ししたくて」
「さっきのドラムの子の説得ならお断りよ」
「あ、違います。」
「…じゃあ、なに?」
「あなたの歌についてです」
<歌>という単語が出た瞬間、ただでさえ
無表情だった顔が更に険しくなる。
なにか、地雷でも踏んでしまったか
「…いいわ、聞かせてちょうだい」
「…!?湊さん?」
「ありがとうございます。いくつか質問させてください」
「えぇ、どうぞ」
「あなた
まず1つ、技術はプロにも勝るとも劣らない
ならなぜこんな小さなライブハウスで
バンドメンバーを探すのか。
ライブハウスで歌うことにこだわる必要はない
自分の技術に自信があるのであれば
直接大きなところに売り込めばいいはず
「FUTURE WORLD FES.に出て頂点を取る。
ただそれだけよ。」
FUTURE WORLD FES.日本最高峰の音楽フェス
名前だけは聞いたことはある
詳しいことは分からないが数多くのバンドが
目指しているらしい。母さんが詳しかったはず
「…もういいかしら?」
あ、やばい。ただでさえ無表情が
だんだんしかめっ面になっていく
なぜここでメンバーを集めてるのかとか
もっと色々聞きたいこともあるが、
時間が許してくれないらしい。
「最後に1つだけ聞かせてください」
「…なにかしら?」
「
「…っ!!」
あ、これ地雷踏んだわ。
「…答える義理はないわ。行きましょう、紗夜」
「分かりました。では、失礼します。」
「あっ、ちょっと!」
踵を返し、2人は帰っていくが
湊友希那さんだけがまたこちらを振り返る
「あなた、名前は?」
「彼方…奏です」
「そう、覚えておくわ」
覚えておくわ、って…
目をつけられた感じか?いや、いったい何だ。
なんだか、【孤高の歌姫】だなんて
呼ばれる理由が何となく分かった気がする
◇◆◇◆◇◆
「ていう話があったわけよ」
「ふふっ、なんだか奏くんらしいね」
「そうか?」
孤高の歌姫、湊友希那のライブから数日後
つぐのお見舞いに来ていた
明日には退院できるとのことらしい
「まぁいいや、次の練習からは
絶対に無理させないからな」
顔が少し沈んだ顔になる
あれ、何か地雷踏んだ?なんでこうも
地雷踏んでいくんだ俺は。
「その…練習のことなんだけどね。
巴ちゃんとひまりちゃんと話して、バンド自体を
一度お休みしないかって話をしてるんだ」
「理由、聞いていいか?」
幼馴染がいつも通りで居たいが故に結成したAfterglow
ちょっとやそっとじゃそんなこと起こらないとは
思ってたが、いったい何をもって…
「それはアタシたちから説明するよ」
「やっほー、かーくん」
「巴、ひまり」
丁度いいタイミングで、巴とひまりがやってくる
話を聞くと言い出したのはつぐだった
最後に俺と蘭が別れたあと、蘭は学校には来てたものの
授業には出ず、屋上にずっといたらしい
家のことと、バンドのことの板挟みで蘭は傷ついている
誰かを傷つけるためにバンドを始めた訳じゃないから
誰かが傷つくぐらいなら、蘭のためにも
バンドを一旦お休みにした方が
いいのではないかと言う結論であった。
「蘭はこのことは?」
「今日、言うつもり」
「そっか…」
「つぐー来たよー」
「モカちゃん、それに蘭ちゃんも!」
ちょうどいい、といえばいいのか蘭とモカがやってくる
なんだか蘭と巴が気まずそうにしているが…
「なんかあったのか?」
「2人、ちょっとね」
「ひまり、この空気なんとかしてくれ」
「えーっ!私!?」
無理だったみたいだ
「うんうん、とりあえず蘭とトモちんの
仲直りが先かなぁー」
こういうときに、モカがいて助かると思ってる
いい意味で空気が読めないというか
モカの言葉で先に巴が次に蘭が謝る
これで仲直り…というわけにはいかなさそうだが
続けて巴は先ほど蘭たちが来る前に話してたことを話す
「いや…だっ!辞めたくない!」
蘭はそう叫び、病室から去ろうとする
それを止めたのは意外な人物だった
「蘭…!!」
「離して!!」
「…離さない」
「モカ?」
去ろうとする蘭の腕をつかんだのは意外にも
モカであった。そして少し考えたような顔をすると
「…蘭の、腰抜け」
「…は?」
いやまぁそうなるわ。腕捕まれたと思ったら
言われた言葉が悪口って…
でも、モカの言うことにも一理ある
言いたいことがあるなら言えばいいそれもせずに
逃げ出すのはモカの言う通り、腰抜けなのかもしれない
「うるさい…!放っておいてよ!」
「うるさくないでーす。トモちんとも、あたしたちとも
向き合えないようなやつがお父さんと
向き合えるわけないよね。蘭のヘタレ、腰抜け」
いつも適当な感じなのにたまに的を射た発言をする
さすが、天才を自称するだけはある
「あと。えーっと…ばーか」
前言撤回、言葉選びが下手か
「はぁ…!?サイテー、モカのバカ。」
「もう見てられない…2人ともやめなよー!」
「…何?」
「ひーちゃん、喧嘩の仲裁、
向いてないんだからやめときなよ」
「おい、ちょっと待てよ。ひまりはお前らのこと…」
「巴、いい加減そうやってカッコつけるのやめたら?」
ひまりの仲裁をきっかけにつぐと俺を除いた
Afterglowのメンバーが一触即発の空気になる
え、これどうしたらいいの?
つぐの言葉も全く聞こえてないみたい
俺?俺も喧嘩の仲裁は向いてないから、無理
「奏も、黙ってないでなんか言ったら?」
「は?」
「そうやって遠目から見て、関係ないみたいな顔をして
そうやってカッコつけてるの似合わないよ」
「蘭、てめぇ。喧嘩売ってるんなら買うぞ」
「え、ちょっと奏くん!?」
つぐごめん、さすがに我慢の限界だわ
病室とか関係ない、一発…
「あなたたちうるさいわよ!!!
ここは病室なんだから、静かに!!!」
「「「「「……すみません」」」」」
やっぱ関係あったわ。ここ病室だ
それに婦長さんの注意で一色触発の空気もなくなった
緊張の糸も切れ、みんなで笑いあう
「で、アタシらなんの話してたんだっけ?」
「さぁなんだったっけ?」
「忘れちゃったねえー?でもめっちゃスッキリしたー」
「いや、俺は胃がキリキリしてんだけど……」
「かーくんは意外とメンタル弱いからねぇ…」
「モカ、売るなら買うぞ」
この空気で胃がキリキリしないほうがおかしいと思う
「あたし、決めた。バンドが続けられるように
父さんと話してみる。」
「素直でよろしいー」
「モカ…からかうな」
「私たち、お互いのことが大事すぎて
今まで言いたいことが言えなかったのかもね」
お互いが大事だからこそしっかりと言い合えることが
大事なのかもしれない。言わないことに言われないことに
甘えてたら、それは友達、親友、幼馴染ではなく
ただの表面上の馴れ合いにしかならないのだから
「なんか、喧嘩しちゃったらお腹すいちゃったー
帰り、パン屋さんよってこーよー。」
「相変わらず、モカはマイペースだな」
「はは、でも見てると安心するよ。
それじゃ、行くか。今日からまた<いつも通り>だ」
よかった。これでまた<いつも通り>
みんなで過ごせる
色々詰め込んだら6000字越えそうだったので
分けました。まぁ話も変わるのでちょうどよかったです。
たぶん、翌日の同じ時間に投稿されるかと
そうそう自分のTwitterアカウントでPeing?質問箱作りました
マイページにも載ってますが
nisshi_kraynrmがTwitterアカウントになります