ガーリーエアフォース 黒色の狩人   作:ロングキャスター

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到着

石川県 小松市 航空自衛隊 小松基地

 

上海上陸作戦以後、鳴谷 慧、グリペン、イーグル、ファントムは古巣の小松基地に戻っていた。

 

鳴谷 慧は八代通に呼ばれ〈サンカク〉、三番格納庫へ来た。

 

「慧、体大丈夫?」

 

サンカク内に入り歩いていたところを鳴谷は呼び止められた。

声がした方を見るとそこには、単発エンジンの小型ボディにデルタ翼とカナード翼を付け、全身を真っ赤に染め上げた機体があった。

 

その声の主はその機体の上、コックピットから長いピンク色の髪をたらしてこちらを見ていた。

 

「ああ、グリペン。俺は大丈夫だよ。そっちは?」

 

鳴谷はアニマであるグリペンの質問に答える。

 

「私はなんともない。慧が大丈夫なら良かった。」

 

鳴谷は上海上陸作戦でアメリカのアニマ、〈F/A-18E ライノ〉との戦闘で負傷し、つい最近まで入院していた。

 

「病み上がりに悪いな。グリペン用の新しい部品が届いてな、室長が『鳴谷も退院したことだし、早めに調節を済ませてしまおう』って言い出してな」

 

日本のドーターのほぼすべての整備を担当する整備士の舟戸が部品が入った箱をごそごそとあさりながら言った。

 

「相変わらず適当ですね、あの人も。いつものことですから、もう慣れましたけど」

 

慧は肩をすくめながら言った。

慧が言うあの人とは、八代通 遥の事だ。毎度突然面倒なことに巻き込んでくる。

 

「ところで八代通さんはどこにいます?」

 

「さっきまで居たんだけどなぁ。部屋に戻ってるんじゃないか?」

 

舟戸が答えると同時に慧の携帯がなった。メールにはすぐに部屋まで来いといった内容があった。

 

「ちょうどメール来ました。ちょっと行ってきます」

 

「おう」

 

慧は舟戸とグリペンに別れを告げて八代通のもとへ急いだ

 

 

ーーーーーー

「やっと来たか」

 

部屋に入るなりそう野太い声が響く。

 

「病み上がりなんですよ?ちょっとは気遣ってくださいよ」

 

「いつザイが来るか分からないんだ、やれる時にやっておくべきだろう?」

 

八代通はこう返すが、そこに謝罪はない。

まぁ、慣れっこだが

 

「で、呼び出した理由はなんなんですか?」

 

鳴谷は聞いた

 

「鳴谷、お前はPMCって言うのを知っているか?」

 

八代通はタバコを一本取り出すと、火を付けタバコを吸いだした

「PMC?」

 

「private military company 、つまり民間軍事会社のことなんだが...」

 

八代通はくわえたタバコを口から外し、煙を吹き出す

 

「その民間軍事会社である、ラーフってとこの空軍部隊が日本にやって来るんだが...」

 

「ニュースでやってましたね。あの作戦の失敗によるものって聞きましたけど」

 

鳴谷は八代通の言葉を遮り言った。

民間軍事会社であるラーフ社が日本の支援にやって来るというのは事前に防衛省長官や総理大臣等から公式に発表があったため、メディアは飛び付いていた。

 

歓迎するもの、批判するもの、意見は十人十色だ。

 

「勿論この小松にも、一個飛行隊と一個実験部隊が来る」

 

八代通タバコを吹かし、机の上に置かれたファイルを鳴谷に渡した。

 

「これは?」

 

「今回来る奴らの資料だ。目を通しておけ。」

 

八代通はそう言うとタバコを灰皿に押しつけ、席を立ち上がった。

 

「悪いが、俺はこの後少しばかり用事があってな。失礼させてもらうよ。

あと、奴らは午前中...そうだなぁ、昼前位に到着する予定になってる。」

 

八代通はそう言い残し部屋を後にした。

 

「ほんと、自分勝手だな...」

 

鳴谷は頭をかきながら呟いた。

そして手渡されたファイルをじっと見つめて自らも部屋を後にする。

 

 

ーーーーーー

 

「あら、熱心にお勉強ですか?慧さん」

 

サンカクの外の日陰でファイルを見る鳴谷を誰が呼んだ。

鳴谷はその声がした方を見遣る。

そこには貴族のご令嬢のような出で立ちで、エメラルドグリーンのおかっぱ髪をなびかす女性がいた。

 

「まぁ、そんなとこだよ。ファントム」

 

鳴谷は一瞬ファントムに目をやると、すぐにファイルに目を戻し、ファントムの問いに軽く流すように返した。

軽く流されたファントムは鳴谷に近づき

 

「何のお勉強ですか?」

 

と興味津々気にかつ冷やかすかのように覗き込んできた。

 

「八代通さんに目を通しとけって言われたんだよ」

 

「もしかして、この基地に来る民間軍事会社の資料ですか?」

 

「そうだよ。どうせお前の事だ、もう調べてるんだろ」

 

「どうせとは酷いですね。ま、その通りですけど」

 

ファントムが肩をすくめ、

 

「ラーフ・インターナショナル・ディフェンス・フォース。

世界的に大規模かつ影響力のある軍事会社で、その規模は一国の軍隊と同格...

軍隊の練度や規模を合わせると、下手をすればアメリカ軍以下自衛隊以上...

今回派遣される部隊は軍でトップとも表されるエース部隊。そしてもうひとつの実験隊は...

詳細不明っといった感じでしょうか」

 

ファントムはさらりと調べた知識を述べていく

 

「ファントムにしては浅いな」

 

「もちろん、個人の情報も引き出しましたよ。でも、少し長くなりそうなので」

 

「相変わらずだなファントム 」

 

鳴谷はファントムの言葉に少し呆れつつ、こいつらしいと思った。

資料を読み、ファントムから浅いながらの情報を聞き、期待とフアンが入り交じる。

 

彼らはどれ程の手慣れなのか、俺達いや、グリペンやイーグルそしてファントムと、ザイの部品で作られたこいつらにどんな感情を持っていて、それを受け入れてくれているのか。もしくは受け入れてくれるのか...

 

そもそも、彼らはこいつらの事情を知っているのか...

 

グリペンと知り合った俺と同じように...

 

そんな事を思っていると

 

「おお、鳴谷ここにいたのか。とりあえず、部品の取りつけ終わったぞ」

 

鳴谷を探していた舟戸が鳴谷を見つけるなり言ってきた。

 

「すいません、すぐ行きます。」

 

鳴谷はすぐに駆けていった。

サンカクに入るなり、ファントムがついてきていることに気づいた。

 

「何でついてくるんだ?」

 

「あら、ご迷惑でしたか?」

 

ファントムは鳴谷の質問に答える。

鳴谷は別にと返し、戦闘機の方のグリペンへと向かった。

 

「あぁ鳴谷、とりあえず機体をエプロンに出すだけだ。室長に、支援にやって来る部隊が到着するまで離陸は控えてくれってな」

 

舟戸は言った。

 

「そうなんですね。てか、だったら昼から呼び出しでも良かったじゃないか...」

 

その後、サンカクから飛行テストのためにグリペンをエプロンまで移動させる。

ついでに他の機体の調節をしようと、イーグル、ファントムも外に出された。

 

移動作業はそこそこ時間を食わされた。

気付けばもう直ぐ11時だ。

 

移動を終え、最終チェックに入ろうとした時、大気を震わせる轟音が響いた。

この音は毎日といっていいほど聞いている音だ。

そう、ジェットの轟音だ。

だか、この音は旅客機のそれじゃない。易々とマッハを出せるほどのパワーを持つエンジンの音だ。

 

滑走路に目をやると着陸態勢の戦闘機隊が見えた。

戦闘機隊は2機ずつ着陸していく。不安を感じさせない完璧な着陸だ。

 

「おお、いよいよお出でなすったな」

 

舟戸は着陸し、タキシーウェイを移動する戦闘機隊を見つめながら言った。

 

戦闘機隊はゆっくりと航空自衛隊基地側まで移動し、エプロンまで進入してくる。

 

先頭はF-15Cでさっきの資料には1番機だとあった。それを象徴するかのようにコックピットのすぐ下に[01]とある。

 

進入してくる4機の戦闘機を見るとエースパイロットであることが用意に予想できた。

なぜなら、それぞれのパーソナルカラーなのだろうか、カラフルな色で塗られている。

 

1番機のF-15Cはダークグレーのボディーに主翼、垂直尾翼両端がスカイブルー

2機機のSu-33は黒に限りなく近いグレーに赤

3番機のF-14Dは三色のグレーを使ったスプリッター迷彩に主翼両端、垂直尾翼全面が白

4番機は2色のグレー迷彩に主翼、垂直尾翼両端が黒のカラーリングが施されている。

 

機体の色のせいだろうか、4機からは何やら特別な、感じたことのないオーラを感じる。

 

空自の誘導員に誘導され、所定位置に停止した4機がキャノピーを開きエンジンを切っていく。

いよいよ対面だ。鳴谷は緊張していた。

 

やがてパイロット達が降りてくる。ヘルメットを脱ぎ、こちらの存在に気づくと、こちらに向かってきた。

 

「ようやくお出ましか」

 

突然、鳴谷の背中から声がした。

聞き覚えのある野太い声だ。

 

「八代通さん、来たんですね。」

 

「当たり前だ。来客が来るのに呼んだ張本人な出迎え無いわけにはいかんだろ」

 

八代通ど話しをしていると

 

「あなたが八代通かな?」

 

降りて来たパイロットが八代通に向かって言った。

 

「そうだ、俺は防衛省技術研究本部、特別技術研究室室長の八代通だ。」

 

「我々はラーフ・インターナショナル・エアフォース、第2航空戦闘団、第5航空戦闘中隊、第1航空戦闘小隊隊長、ランディ・バーンズ大尉だ。」

 

二人は自己紹介すると握手を交わした。

それが終わるとランディは鳴谷の方を向くとこっちにも手を差し出す。

 

「よろしく、ランディだ。」

 

「あ、お、俺は鳴谷 慧です。」

 

「慧君かよろしく。」

 

ランディはその後もその場にいた全員に握手をしていく。それに合わせて残りの隊員達も握手をしてくる。

 

「よし、詳しく紹介しておこう」

 

八代通が改めて言った。

 

「聞いているとは思うが、対ザイへの切り札である『アニマ』と『ドーター』だが...

ピンクの長髪のこいつがグリペン、こいつはイーグルでファントムだ。

で、ここの青年はひょんな事からこの『ドーター』に乗ることになった、鳴谷 慧だ。」

 

(ただ、拉致しただけだろ)

 

鳴谷は自分に対する説明を聞き、心の中でつっこんだ

 

「なるほど、噂はかねがね聞いていたよ。

俺達はさっきも言ったし、長くなるからな。手短に

まず俺達4機のコールサインは『グリフォン』だ。で、俺がその『グリフォン1』で隊長のランディー・バーンズ。こっちが『グリフォン2』ブランドン・ワイナーズ、『グリフォン3』ブライアン・シュービル、リドリー・ハンセン、『グリフォン4』のマイク・ドナーだ。」

 

ランディーも自らの部隊員を説明していく。

 

「今は少し離れに機体を止めたせいで居ないんだが、俺達の空中管制官のテイラー・D・ファイバーがいる」

 

「君らの任務と、俺達『独立混成飛行実験隊』の説明をさせてもらいたい。」

 

八代通は改めてランディー達、グリフォン隊の面々に言った。

 

「そうさせて貰いたいのは山々なんだが、こっちも長旅で疲れててね。

それに、重要なうちの指揮官も、実験隊も遅れててね。

実験隊に関しては前日にトラブって1日ずれたんだ。それに合わせて指揮官も遅れると」

 

ランディーは説明会を1日ずらしてくれるよう頼んだ。

 

「仕方ないか。わかった、明日の午後説明会を開こう」

 

ランディー率いるグリフォン隊は了承し、その日は解散した。

 

 

 

 

次回、「人形と鷲獅子と鷹匠」

 

 

 

 

 




今回は少し長くなりましたが、その日の気分や話の内容から長くなったり短くなったりがあると思います。
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