ガーリーエアフォース 黒色の狩人   作:ロングキャスター

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トップシークレット

 

 

 

「おい!離せ!その子をどうするつもりだ!」

 

政弘は男に取り押さえられていた。たった一人だが、明らかに政弘とは難いが違う。抗うがびくともしない。

 

なぜこうなったのか、それはおよそ2時間前にさかのぼる...

 

 

 

 

 

「いたた...すいません、前、よく見てなかったです...」

 

 

 

政弘は転けた反動で強く打った肘をさすりながらぶつかった人の方を向く。

そこには美しい金色の髪に透き通った青い瞳に幼い顔つきの少女が座り込んでいた。

 

(かっ...かわいい...)

 

彼女を見て真っ先に思ったのはそれだった。

政弘はすぐハッとなり、少女の助けにまわった。

 

「大丈夫ですか?」

 

少女の容体を確認しようとした。

しかし、少し様子が変だった。なんだかビクビクしている様子で時折キョロキョロと周りを見たりしていた。何かに怯えたいるみたいに

 

「ね、ねぇ、あなた...小松の人?」

 

少女が聞いてきた。震えた声で

 

「そうだけど...」

 

「なら!私を匿って!人目のつかないところに連れてって!」

 

「ひ、人目のつかないとこ!?」

 

少女のその言葉に政弘は声を裏返してしまった。初対面の男に頼む事ではないがしつこくお願いと言われ続ける。

 

だが...

 

「居たか?...ったく、どこ行きやがった」

 

その声が聞こえた瞬間、少女の顔は引きつった。そしてまた怯え出す。こんなに怯えるのは尋常ではない。もしかしたらとてつもない事に巻き込まれているのかもしてない...

 

政弘は放っては置けなかった。意を決し少女の手を握ると

 

「付いてきて」

 

とだけ言った。少女も驚いた顔をしたが、すぐにコクリと頷いて政弘に付いていった。

 

 

 

 

二人はモールの中を少し荒い足取りで歩き回っていた。

 

「ねぇ、ここは人が多過ぎ...もっと人がいないところに...」

 

少女が不安そうに言う

 

「誰かに追われてるんだろ?だったら人ごみの中の方が、かえって人目につくからあいつらも手荒に捕まえれないはず」

 

政弘は得意気にそう語る。何かの映画で見た。こうやってあえて人だかりに行くことで相手に手を出しにくくすると

 

「たぶんあの人たちならお構いなしに来ると思うけど...」

 

予想外の言葉に面食らった政弘だったが、

 

「ま、まぁ時間ぐらいは稼げそうだし...」

 

と、さらに付け加えた。

だが、その言葉にさっきまでの自信は無かった

その時だった

 

「げっ!有美のやろう、まだ帰って無かったのか」

 

ふと顔を向けた方向に有美が歩いていた。

 

「今もしここであったら、厄介な事になる...」

 

政弘の足取りが少し覚束なくなる。

 

「どうしたの?もしかしてあなたも逃げてたの?」

 

「いや、逃げてた訳じゃないんだけど...鉢合わせすべきじゃない人に会ってしまったというか...」

 

政弘は言葉を詰まらせた。この状況で有美と会ってしまったら、なんと言われることか...

 

「ショッピングモールは駄目だ...場所を変えよう」

 

政弘はそう言うと出口の方に歩き出した

 

 

 

 

「とりあえず、ここまで来れば大丈夫でしょ」

 

二人は徒歩とバスで市内の大きな公園に来ていた。ショッピングモールからは離れられたし、周りには子供ずれの家族もいる。少なからず人目もあるし大丈夫そうだ。

 

「モールの中ではどうなるかと思ったけどなんとかなりそ」

 

政弘と少女は公園のベンチに腰かけた。だが、すぐに政弘だけ立ち上がりちょっと待っててとだけ言い残すと走り去っていった。

見知らぬ地の見知らぬ公園に一人取り残された少女は不安になった。

だが、少ししてすぐに政弘は戻ってきた。

 

「ごめんごめん、さすがに喉乾いたでしょ」

 

そう言うと政弘は近くの自販機で買ってきたグレープソーダを差し出した。

少女は安心したようにありがとうと言いそれを受け取った。

 

「そうだ、色々ありすぎて自己紹介してなかったよね。俺は、岩間 政弘。よろしく」

 

「あ...私はXD-01 航空戦術ドール シャンティです。」

 

「ん???」

思いがけない自己紹介に政弘は一瞬思考が停止した。

 

「えっと...なんて?」

 

「私はXD-01 シャンティです。」

 

聞き直しても謎の形式番号のようなものを言われる。だが、シャンティという部分は聞き取れた。

 

「えっと、シャンティちゃんだよね」

 

政弘は改めて聞き返した。シャンティはそう、とうなずいた。

 

「そっか、シャンティちゃんかよろしく。名前的に外国人だよね?どここら来たの?」

 

「どこ...えっと座標、北緯...」

 

「いやいや、座標とかじゃなくて、国のこと」

 

「国...わからない...」

 

シャンティは困った顔で答える

 

「あっ...そっか、なら仕方ないね 」

 

(なんだろこの子、さっきの自己紹介といい、今の座標といい...不思議ちゃんにもほどがあるけど...)

 

政弘は少し引っ掛かった。しかし、それ以上詮索しないことにした。探るのも彼女に悪い

だが、一番の疑問については聞くことにした。

 

「シャンティはなんで逃げてたの?というか、あいつらはだれ?」

 

「...あの人達は、小松...基地の人...」

 

シャンティは弱々しい声で語った。

これを聞いた瞬間、政弘の中に点々としていた物が全て繋がった。

昼間会ったランディが話していた『超重要機密』は、目の前にいる『シャンティ』だったのだ

でも、さらに疑問も生まれる。

なぜ彼女が機密なのか、軍は彼女を使って一体なにをしているのか...

 

「軍は君を使ってなにをしてるの?」

 

政弘は自分の推理を決めつけて彼女に問う。合っているかはわからないが政弘は十中八九間違いないと踏んだ。

だが、この事は恐らくは聞いてはいけないことだ。これが機密。これに一般人が触れると言うことが何を意味するか、そういう系統が好きな政弘にとってはそんなのは容易に想像できた。

だが、聞かない訳にもいかなかった。

 

「それは...」

 

シャンティが声を絞り出したとき、あの男達の姿が見えた。

 

「ヤバい、ここまで来やがった!シャンティ、行こう!」

 

政弘はシャンティの左手を強く引っ張りその場から逃げ出した。

 

再び二人は徒歩とバスで海岸まで向かった。さすがに土地勘がない彼女がこんなところまで来るとは思うまい。

 

「今度こそ大丈夫だと思うけど...」

 

「うん...」

 

「で、さっきの続き聞かせてくれる?」

 

「それは...ごめんなさい、できない...これを話すともっと大変なことに巻き込んでしまう...」

 

シャンティは体操座りのままうつむいて言った。

 

「それもそうだよね...

...このまま逃げるの?」

 

「逃げ続けるつもりはない...ただ、少し自由が欲しかっただけ」

 

シャンティがボソボソと語り始めた

 

「私が行動を許されてたのは基地の中だけ。他の人達は外に出歩けるのに私は頼んでもダメとしか言われない...」

 

「だからか...」

 

「でも、正直帰りたくはない...

凄く怒られそうだし...処分されるかも...」

 

「処分!?」

 

政弘はシャンティの言葉に驚いた。縛り付けた挙げ句、自由を求めて外を出歩いただけで処分とは...残骸にも程がある。

 

「そんななら、逃げ出せばいいのに...」

 

「逃げ続けたって行く当てもないし、いずれ見つかるし...それに今の環境がイヤってわけでもないから...」

 

「行く当てないならうちに来なよ」

 

政弘はとんでもない提案をする。もちろんシャンティも驚いた顔をしている。

 

「うち、両親共働きだし、特に父さんなんか、いつ帰って来るかもわかんないから、部屋だって余ってるし、それにバイトもしてるから食事代とか出すのは全然できるからさ」

 

政弘は笑って薦める。シャンティはどうしたらいいか分からなくなっていった。

 

「人は信用できない、嘘をついて自分の利益のためにしか考えない...そう思ってたけど、あなたは違う...」

 

「大丈夫!俺の事は信じてくれて大丈夫だよ!」

 

「...うん、わかった。基地には明日帰る。だから今日1日お願いしてもいい?」

 

シャンティは立ち上がって頼んだ

 

「ああ、いいよ。それにずっといられても有美に見つかったらなんて言われるか」

 

二人は笑った。今までの沈んだ空気を吹き飛ばすように。

だが、その空気も1台の車の音が吹き飛ばした。

荒々しく運転された黒塗りのSUV、窓もスモークが貼られ、いかにもな出で立ちで唯一キラキラとフロントのフォードのエンブレムだけが輝いていた。

 

「やべ!見つかった!」

 

政弘は再びシャンティを腕を掴むと走り出した。

車からも男達が降りてきてこちらを追いかける。体力勝負では明らかにこちらの不利だった。

二人はすぐに取り押さえられてしまう。

 

「おい!離せ!その子をどうするつもりだ!」

 

政弘は男に取り押さえられていた。たった一人だが、明らかに政弘とは難いが違う。抗うがびくともしない。その間にもシャンティは車の方へと引きずられていく。

政弘もじたばたともがき続ける。

 

「ったく!このガキ大人しくしやがれ!」

 

その言葉と共に激痛が走る。

取り押さえた男の手にはスタンガンがあった。バチバチと音を立て政弘の意識を飛ばしたあと、男達は二人とも車に押し込むと走り去った

 

 

 

ーーーーー

 

 

どれだけの時間、意識を失っていただろう。ぼんやりと意識を取り戻した政弘は後ろ首が痛むのを感じた。

痛むところを擦りたい。そう手を伸ばそうとするが思うように上がらない。というよりも動かそうとするたび『ガチャ』と金属音が響く。次第に意識もはっきりし、その音の正体が今まで全く縁も無かった手錠であることに気づく。

 

「ようやくお目覚めか」

 

その声がした。

政弘は声の主を見る。ゴツいがたいに黒っぽい服をした男。その胸には『MP Military Police』の刺繍があった。

政弘は小松基地無いの取調室にいた。

 

「あの子は...シャンティはどうした!」

 

政弘は思わず声に出す。

 

「おいおい、この状況で開口一番それかい。ずいぶんと仲良くなったみたいだな」

 

その男はフンと笑いながら言う。

 

「開口一番に何を言おうが俺の勝手だろ!それにあの子に何をしてるんだ!」

 

「はぁ...自分の置かれてる状況が分かっていないようだな。お前には他人を心配する余裕はないぞ。自分の心配をしてればいい」

 

男は相変わらずの態度で答える。そしてさらに続けて

 

「お前は、我が軍の最高機密と共に行動を共にしていた。それがたかが二時間程度であってもな」

 

「あんたらがあの子に酷い扱いをしてるからあの子は逃げ出したんだろ!」

 

政弘は食い下がる

 

「ったく、ガキが調子にのってんじゃねぇぞ?俺の報告次第でお前の人生は今日で終わるんだからな?お前はただ、あいつと一緒にいて何を聞いたのかを話せばいい。それでお前は自由になれるんだ」

 

「話して欲しけりゃ、あの子にもっと優しくしてやるんだな!」

 

「てめえ!この状況で条件を出すとはな...なめてんじゃねぇぞ!」

 

男が政弘の胸ぐらを掴んで殴りの構えをしてきた。

 

「そこまでだ!一般人に手を出そうとは」

 

別の男が扉を開け、部屋に入ってくる。

その男は白衣に縁なしの眼鏡をしていた。

 

「ふざけた事ぬかしやがるからよ...だが、一般人でも機密と...」

 

「機密に触れようが一般人であることに変わりはない!それに私の報告次第で君の今後にも関わってくるぞ?」

 

白衣の男はMPの男に脅迫染みた言葉を投げ掛ける。さっき、政弘に言ったように。

 

「ったく、わかったよ。」

 

「あと、聴取は私が引き継ごう」

 

白衣の男はMP男に席を替わるよう促した。MP男は分かったよと言って壁に寄りかかる。

だが、白衣の男はその男をじっと見つめる。MP男は分かったよというジェスチャーと腹を立てたような態度で部屋を後にした。

 

「うちのMPが迷惑かけたね政弘くん」

 

白衣の男は改まって椅子に座る。手に持った資料を机の上にそっと置くと

 

「私だけ名前を知ってるのはフェアではないね。私はここで研究をしているバートンだ。」

 

「研究って、シャンティのことですか」

 

政弘はふてくされたような態度で言う

 

「確かにそうだね...彼女も研究対象に入っているというところかな。」

 

バートンはさらっと付け加えた。

 

「シャンティに何してるんですか」

 

「それは答えることは出来ない。理由は分かるね?」

 

政弘はうつむく。

 

「私達は君に危害を与えるつもりはない。ただ、彼女から何を聞いたのかを聞きたいだけなんだ。それさえ話してくれれば何も問題はないんだよ」

 

バートンが説得するように言う。政弘は黙ってうつ向いたままだ。

 

「君がそういう風に黙りこんでしまうのも分かるよ。

...だがね、話してもらわないとこちらもどうしようもないんだよ」

 

それでも政弘はうつむいたままだ。

そこでバートンは最後の一押しに出た

 

「政弘くん、実はね...君たちがどこに逃げていたのかなんだか...

こういう事態を想定して、彼女にはGPS発信装置を付けていたんだ」

 

これを聞いて政弘はハッと顔をあげた

 

「じ、じゃあ俺たちがどう逃げてたとかも...」

 

「もちろん分かっていたよ...

その間に何を話したかも」

 

政弘は絶句した。

必死に逃げてたのに、それをこの人達は手に取るように察知していた。しかも話の内容までもとは...

 

「こっちには、証拠がある。事情は君から話してくれないと罪は重くなるよ」

 

「...あいつとはただ...名前がなんだとか、どこから来たのかとか、なんで逃げてたのかくらいで...詳しいことは聞いては...質問はしましたけど」

 

政弘がボソボソと自供し始めた。バートンはその言葉にウンウンと頷きながら聞いている

 

「確かに、そういう内容だったね。彼女もそれ以上は話せないといっていたね」

 

バートンは政弘の言葉を引き継ぐように続けて言った。

 

「君から正しい答えが帰って来てくれたお陰で、上層部にも好意的に対象してくれるよう言うことができるよ。

...それとだね、シャンティを無事に見守ってくれたことを感謝したい」

 

政弘はその言葉に引っ掛かった。

 

「感謝したいって、その原因を作ったのはあなた達じゃないですか」

 

「確かにその通りだよ

...彼女の自由の大半は上層部によるものなんだよ。ラーフ社内においても、彼女の自由は制限されていた。もちろん、私に非がなかったと言いたい訳ではない。私にも非はある」

 

バートンは淡々と続けた

 

「彼女の自由が制限される事を容認してしまっていたし、彼女が小松に来て、今日の昼間に再三、出たいと訴えていたにも関わらず、私はそれを認めなかった...今回の件は、彼女との向き合いかたを考え直すいい機会になった」

 

バートンは反省するように語った

 

「とりあえず、今回は君は悪くないと上層部にも話しておく。どう判断するかはわからないが、よい方向に進むと期待しよう。

...それとなんだか、君が話してくれたことはありがたいんだが、だからといって 君をこのまま帰す訳にもいかないんだ。分かってくれるかね?」

 

バートンの言葉に政弘は黙って頷く。

話しを聞いたからといって、ではさようならなんてことになるわけない。軍としても、どんな情報だって漏らしたくはないはずだ。政弘はしばらくの間ここに居ることになるだろうと覚悟した。

 

「とりあえず、監視のものを送る。その人の指示をよく聞いてくれ。いいかい」

 

「...はい」

 

政弘は弱々しい返事をした。

一体自分はどうなるのだろうと不安でしかなかった。

 

 

 

 

 

あれから2日が経った。

もう月曜日。学校に行かねばならないのだが、今はそんな事を言っていられる状況ではない。と言っても、学校にはバートンが何かしら事情で休むように連絡すると言っていたので恐らくは大丈夫だろうが、いちばんの心配は有美だ。休めば心配になって家に訪ねてくるはずだ。

なんとしても、夕方頃にはあいつに連絡出来るようにしたいのだが、現実は甘くは無かった。

 

 

「おいおい、いくらなんでもその条件はどうかと思うぞ?」

 

監視に来たのはまさかのランディーだった。そのランディーが軍が出した処分内容に驚きの声をあげる。

肝心の政弘の今後について上層部は二つの案を提示してきた。

 

・軍の監獄で期限不明の監視をうける

・条件つきで自宅への帰宅を許可する

 

 

というものだった。普通に考えれば後者を選ぶだろう。だが、その条件が酷かった。

それは以後のネット、SNSの検索、投稿内容、商品の購入内容などの監視を受ける

というものだった。

 

「そんなんストレスで頭パンクするぞ」

 

ランディーは批判を続ける。

 

「私もどうにかならないかと言ったんだが、上層部の頭は相当頑固でね。どんな状況でも、彼女に接触したことに変わりはないということみたいだ。」

 

バートンが言う

 

「でも、こっちに非があるだろ?」

 

「確かに、政弘くんに非はない。だが、軍としては関わらず、無視すればよかったことだという見解のようだよ」

 

確かに政弘には当時、関わらない選択肢もあったのだが...

あの状況でほっとける訳もない。

 

三人は黙りこんでしまった。最終的な判断は政弘に委ねられる。両親や有美に心配をかけないようにするためには条件つきの帰宅になるだろう。そう言おうとした時だった

 

「実は一つ、私からの提案もある。」

 

バートンが切り出した。

 

「君を我々で監視する...

というのはどうかな」

 

この言葉にランディーと政弘はきょとんととしたが、すぐにランディーは察したようで、

 

「でもよ、それだとこいつに余計負担をかけるんじゃ...」

 

バートンの提案とは、政弘を自分達の研究に招き入れるということだった。だが、そうすれば政弘は余計機密を知ることになる。そうなれば、余計政弘を苦しめる結果にもなる。

 

「機密、機密と言っても、このことはいずれは公開されるし、もう大国にはあらかた情報は行っているはずだ。そうなれば、軍の制約も近々今より緩くなるはずだ。ならばその時までこちらで見とけばいいし、その方がストレスは和らぐはずだ。」

 

バートンは言う。

 

「でも、結局最終的な判断は政弘次第だ。どうする?」

 

ランディーは政弘の方に向き直った。

 

「...あいつに会えます?」

 

政弘は少し間を開け、聞いた

 

「なぁ政弘、お前はなんであいつに固執する?言っちゃ悪いが、こうなった原因はあいつにもある。そんなあいつに...」

 

「確かにあいつのせいで俺はこんなことになってます。でも、そうしてまで誰かに頼りたいって思ってたんだと思いますし...それに俺、あそこまで追い込まれてる人を見たのはじめてで...助けてやりたいというか...なんと言うか...」

 

政弘は言葉に困った。自分も直感でシャンティを助けようとしてしまっていたからどう説明すればいいかわからなかった。

 

「いいじゃねぇか、そういうの。すごい人間らしいつうか日本人らしいつうか...みんながすべきで出来ないことだと思うぜ。んで、博士さんよ。こいつの答えはわかったが、あんたの答えはどうなんだ?」

 

ランディーがバートンに問う。恐らくはさっきのあいつに会えるのかという問いへの答えを求めているようだ。

バートンはただ口元を緩め、

 

「善処しよう」

 

とだけ答えた。

 

 

空に憧れた少年の夢は思わぬ形で実現していくことになり、彼の人生は180°変わることになる...

 

 

 

次回「技術実験飛行隊とシャンティ」

 

 

 

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