テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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皆、続きを気にしてる様だからあとがきで我慢をしよう。

ベルベットの笑顔は一回曇らせることで更に輝く!




重なる影、重ならない気持ち

 開始早々にポロリはあったが、海の中を泳ぐことはちゃんと出来た。アングラーの水カキや銀のウロコのお陰でベルベットはちゃんと泳ぐことが出来ている。

 魚群探知機で生体反応が微弱ながらあっただけあって海の中には驚くほどに生き物は居ない。そういう感じの水の流れなのかと思ったが、特にそういった感じではない。

 

「!」

 

 海の中を探索しても中々に特にこれといった物は見つからない。

 そう思っているとライフィセットがなにかを見つけたようで左手の指を3本、右手の指を2本伸ばして見つ(32)けたと手話で報告をする。あっちだと指で示すとそこには箱が置いてあった。

 明らかな人工物である箱、こんな所に沈んでいるとはとグリモワールの一件を思い出す。

 

 とりあえずはと箱に向かっていくオレとライフィセット。

 思ったよりも箱は軽くてライフィセットでも持てるほどの物だったのでライフィセットに託して辺りを軽く詮索すると面白い物を発見する。

 

「ぷはぁ!!」

 

「おお、ライフィセット、そっちはどうだ!」

 

「宝箱を見つけたよ!」

 

「なに!よくやったぞ!」

 

「いや、違うでしょ」

 

 海面に顔を出して自慢げに見せるライフィセット。

 今はそういう場合じゃないので宝箱に目が眩んでいる場合じゃねえぞ。

 

「そろそろ中に詰め込んだ空気が無くなる。面白い物も見つけたし、一旦出るぞ!」

 

「あ、うん!」

 

 海の中に潜った成果は思ったよりも上々だった。

 まだ潜っているアリーシャとベルベットを連れ戻し、ベンウィックにロープを投げ込んでもらい船の上に戻る。

 

「いや~ライフィセットが宝箱を持ち帰ってくれてよかったよ。副長達、全員ボウズでさ」

 

「海の中にビックリするぐらい魚が居なかった。この辺り、そもそもで居ねえ海域だ」

 

 釣りの戦果について笑いながら報告するベンウィック。

 運が悪いことにボウズになるのは海が悪いからで、人が悪いからではない……多分だが。

 

「ライフィセット、お前が開けるんだ」

 

「うん」

 

 エバラエバラエバラ

 

「あ……」

 

「ごまだれ~って、んだよ、空か」

 

 効果音をつけたのに出てきた物はなにも無かった。

 箱の中身は文字通りすっからかんで箱自体に価値はあるかと思ったが、箱は何処にでもある箱だった。

 

「そんな……」

 

「そう落ち込むな。宝探しをしていればこんな時だってある」

 

「いや、宝探しじゃねえよ」

 

 落ち込むライフィセットを励ますアイゼンだが、今は宝探しじゃねえ。

 それはこの前やったばっかで、今は喰魔探し……と言いたいところだが、オレの方もそれなりの成果があった。

 

「アイゼン、こんなのが」

 

「これは、木材の切れ端か」

 

「それがごまんとあったぜ」

 

 ライフィセットが宝箱を見つけた場所付近で大量に木材の切れ端があった。

 この広い海、木材の切れ端ぐらい探せば見つかるかもしれないがそれは1つぐらいでベルベットの右腕ぐらいの木材が複数となると話は別である。

 

「これは明らかに船の破片だな……どうやらこの海域に沈没船があるみたいだ」

 

 木材の破片がかなりある。

 海流が凄まじいわけではないこの海域でこんなにあるのは沈没船の破片と考えるのが妥当だ。

 ベルベット達と一緒に潜っているので空気や水圧の関係上深く潜りすぎるとヤバいエリアがあった。その辺りにも木材があったのが見えたから、そこにあるだろうな。

 

「なにかあったの?」

 

「ああ!どうやらこの海の真下に沈没船があるようだ!」

 

「……喰魔探しはどうしたのよ」

 

 意気揚々に語るアイゼンに冷たい視線を向けるベルベット。

 沈没船が確かにあったとは言えないが、十中八九眠っていると考えていいだろう。酸素ボンベの空気も底をつきかけているので今度はアリーシャとだけ潜って取ってこようとなるのだが、アリーシャの体が思ったよりも冷えていたので止める。

 遊泳の海じゃなくてど真ん中の海だからか思ったよりも冷え込む。

 

「さてと、オレも釣りに参戦させて貰おうか」

 

「ほう、中々の釣竿だな」

 

「ああ、勇者が魔王の目を引いて隙を作る際に使われた由緒正しい釣竿だ」

 

 トワイライトプリンセスのガノンドロフは釣竿を使えば楽勝である。

 オレも釣りに参戦して深い海があった方向に釣糸を垂らしているとベルベットが釣糸に苦戦をしていた。

 

「こうだったかしら?」

 

「そうじゃねえよ」

 

 針につけている餌の付け方が甘い。

 ベルベットが珍しく苦戦しているようなのでオレの持っている釣竿を持たせて代わりに餌をつける。

 

「釣りをしたこと無いのか?」

 

「別に、ただ久しぶりなだけだったから忘れてただけよ。昔は弟と一緒に釣りにいってたわ。そういうあんたこそ、釣りはどうなのよ?」

 

「オレの家は川辺にある水車小屋だから釣りは何時でもし放題。アメッカの住んでいる王都は湖の上に建設されてっから、行き放題だ」

 

 川で釣った魚は泥臭いから泥抜きに数日掛かってしまう。

 レディレイクにいる魚もあんまりだし、アリーシャとか一部の奴等が釣りをするな罰当たりがと言ってきたりしたから、釣りはそんなにしていない。ただこういうのは知識よりも体で覚える事だから何回かやっとけば嫌でも覚える。

 

「えっと、これをどうすればいいんだろ?」

 

 ベルベット同様に釣糸に苦戦をするライフィセット。

 

「それは」

 

「ああ、それでしたらここをこうして、こうすればいいんですよ!」

 

 ベルベットが教えようとする前にエレノアが教えた。

 さっきまで釣り針に苦戦をしていたベルベットと比較してもテキパキと釣り針に餌をつけており、ライフィセットは驚く。

 

「エレノアって、釣りが得意なんだね!」

 

「ええ。子供の頃に同じ村のテネブおじさんが教えてくれたんです。トリエットドジョウを100匹も釣ったことだってあります」

 

「100匹も、すごい!」

 

「……」

 

「ベルベット、ボーッとしていないで釣竿をちゃんと握れ」

 

「うるさい」

 

 あ、すんません。じゃねえよ。

 ライフィセットがエレノアと仲良くしている姿に明らかに嫉妬しているベルベット。

 

「あの二人、器とかそんなのじゃなくて仲の良い姉弟みたいだな」

 

「……ああ言うのがあるべき姿なのかもしれないな」

 

 2人の姿を見て、うんうんと頷くロクロウとアリーシャ。

 確かにあの二人は対等……人間性な意味ではエレノアの方が姉になるが絶対的なまでの主従みたいな上下関係は無い。ああいう感じの関係を人と天族全員が取ることが出きれば本当の意味で平和な世の中になるかもしれないのだが、今それを言っていい感じの空気じゃない。

 主にロクロウの言葉が原因でベルベットは二人に対して向ける視線が代わり、オレが声をかけづらい感じになってしまう。

 

「エレノアは面倒見がいいからのう。このままでは坊が取られてしまうかもしれんのぅ」

 

「お前、わざとだろ」

 

「はて、なんのことじゃ?」

 

 こんな時にそんな事を言うのは火に油を注ぎ込む事でしかない。

 ニヤニヤと笑うマギルゥを他所にベルベットは一旦目を閉じてからライフィセットとエレノアに近付く。

 

「……ライフィセット」

 

「仕掛けはですね、此処をこうやって結んでですね」

 

「難しそうだな……」

 

「ちょっと……」

 

 針の仕掛けの作り方をエレノアから教わっているライフィセット。

 2人とも集中しているのかベルベットの事には一切気付いていない。何時もならばこの辺りで一悶着あったりするのだが、完全に気付かれておらずベルベットは何処か悲しげな表情を浮かべる。

 何時もとは違う感じの展開に気まずい。

 

「ラフィ!!」

 

 その気まずい空気は壊された。

 

「え……僕?」

 

 気まずい空気は壊されて更に気まずい空気となった。

 つい先程までライフィセットと呼んでいたベルベットは明らかに違う人物を思い浮かべながら、此処にはいない別の人物の名前を出した。

 

「……あっ…っ……その…………気を付けなさいよ。海に落ちないように」

 

「……そんなに子供じゃないよ」

 

 さっきまでの楽しそうな表情とは打って代わり不機嫌なライフィセット。

 何時もの様に子供扱いをされたから不機嫌となって怒っているんじゃない。

 

「ラフィは落ちたのよ、昔」

 

「ラフィって、ベルベットの弟の事?」

 

「そ、そうよ……さっきのはうっかりと間違っただけ!」

 

「うっかり……用はそれだけ?」

 

「……ええ」

 

「……じゃあ、僕はエレノアと釣るから!」

 

 火に更に油どころかニトログリセリンを突っ込んで大爆発を起こすベルベット。

 ライフィセットは明らかに怒っている。当然と言えば当然の行為をしてしまったのだが。

 

「やれやれ、キモノは重ねる事は出来てもイキモノは重ねられんぞ」

 

「誰が……」

 

 ベルベットのやってしまった行為を咎めるマギルゥ。

 何時もならばもう少し反論しているのだが何処か弱々しかった。言葉を出そうにもなにを出せばいいのか分からないのかなにも言えない。

 壊れてしまったなんとも言えない空気、マギルゥとロクロウはそそくさと離れていってしまう。

 

「……今のはお前が悪い、ライフィセットはライフィセットだ」

 

 姉力及び女子力がとてつもなく高いベルベット。

 そもそもで喰魔になった原因は弟が殺されたことでちょうどライフィセットぐらいの年頃でライフィセットと似ている。つか、同性同名である。

 ベルベットにとって目の前にいるオレ達が知っているライフィセットを弟の様に見ている……だけど、その反面、自分の弟と重ねている。

 容姿が似ているのか性格が似ているのか同じ年頃なのか、理由は様々だろうがベルベットは重ねてしまっている。

 

「……じゃあ、どうしろって言うのよ!」

 

「どうするもなにも、先ずは謝った方がいい」

 

 残ってくれたアリーシャはどうしろと言うベルベットの言葉に対して謝ればいいと言う……うん。

 

「確かにそうだよな」

 

 ベルベットが悪いことをしてしまったのは事実だ。ごめんなさいと謝らねえと。

 

「ごめんなさいと自分の悪いことを言って謝ってみよう。例えそれで許して貰えなくても謝ったことで一歩前に進める」

 

「いや、それは違えよ。それだとただの自己満足だ」

 

 許して貰うために謝るのであって己の自己満足の為に謝るんじゃねえ。自己満足の為に謝ってもそいつから許しを貰わなければ逆に苦しむ。謝ったとしても、自分が悪いことをしてしまったと気付いた頃にはもう遅い。

 オレとしては自分が悪いことをしてしまったと自覚してくれて悪いことをしたと謝っても許してやらなければ自分は悪いことをしてしまったと言う罪悪感に苦しんでくれるから絶対に許さねえけど。本当に罪悪感で苦しめ。

 

「許しを貰ってこその謝りだ。許しも無しの謝りなんてただの自己満足だ……自分の中でケジメをつけたい訳じゃねえだろ?」

 

 今回は10:0の割合でベルベットが悪い。

 ライフィセットと弟を元々重ねている感じがあったのだが、今回はライフィセットをライフィセットでなく弟として見てしまった。それはどう考えてもベルベットが悪い。

 

「ライフィセットはなにを思って、って、お前等の竿が引いてんぞ」

 

「あ!」

 

「本当だ!ゴンベエ、すまない」

 

「謝んな……オレはボウズか」

 

 二人の竿は引いているのに、オレは一切引いていない。

 さっきのベルベットのポロリで丸々運を使い切ったなと釣竿を戻してライフィセットとエレノアの元に向かう。

 

「お二人さん、釣れてっか?」

 

「ああ、いえ全然です」

 

「さっき海に投げたばかりだからまだだよ」

 

 さっきまでの怒りが嘘みたいに普通のライフィセットと気まずそうな顔をするエレノア……あ、これはヤバい。

 八つ当たり気味で怒りっぱなしのベルベットと違って怒りの感情をある程度はコントロールをすることが出来ている。

 

「あの、よろしいですか?」

 

「……ライフィセットのことだろう

 

「はい……なにもない様にしていますが、その……」

 

「逆にそっちの方が怖えよ」

 

 怒るというのは案外疲れて苦労するものだ。

 日夜怒っていては感情の整理が出来なくなるし、興奮しているだけで周りに八つ当たりしてしまう。出会った頃はベルベットは常に怒っていたが今では怒りの感情をある程度は制御できて怒る時に怒ったりする事が出来るようになった……ライフィセットも怒る時に怒れてそれ以外はオフを一応は出来ている。そういう相手は大体怖えよ。

 

「ライフィセット……ベルベット」

 

「別に怒ってなんかないよ……ベルベットは弟のラフィが心配で僕の事は心配じゃないよ」

 

「そんなことはありませ━━」

 

「じゃあ、どうして間違えたの?僕とラフィが似ているから?だったらなんで今まで間違わなかったの?どうして今になって間違えたの?」

 

「それは……」

 

「ベルベットが分かってるのは、見てるのは僕じゃなくて、ラフィなんだよ!」

 

 思ったよりも根が深いライフィセット。

 これはオレの問題じゃなく言いたいことをハッキリと言わせたので。溜まっている物を発散させておかなければ、何時爆発するか分からない。

 

「どうだった?」

 

「見てるのは僕じゃないってよ」

 

「そうか……」

 

 ベルベット達の元に戻り、ライフィセットが言ったことの要点だけを教える。

 オレがサラッと言っているだけでも怒りが伝わってくるのか、アリーシャの表情は暗くなる。

 

「聞いてるのか?」

 

「……聞いてるわよ」

 

 そもそもの原因であるベルベットはオレ達に顔を向けない。

 一応は耳を傾けてくれているが、声からは暗さが伝わってきてしまうぐらいに元気が無い。自分でもやらかしてしまったと言う罪悪感が段々と出てきてしまっている。

 

「お前そんな、拗ねてる場合か?」

 

「……」

 

 拗ねてないわよ!と言い返して来るかと思いきやなにも言おうとしないベルベット。

 こちらに顔を向けようとしないので表情が分からないが俯いているのは分かる。オレの言っている事が胸にグサリと刺さっているのだろう。

 

「本当に手遅れになる前に、元に戻らねえと」

 

「うるさい!!誰がそんな事をしてって言ったのよ!」

 

 関係を元に戻れなくなる前になんとかしねえとまずい。

 そう思って言うがベルベットはそんなのは要らないと言うのだが、なんとかしねえと本当にまずい。

 

「誰でもねえよ。ただ単にオレがそうしたいと思っているから、言っているだけだ」

 

 オレと言う人間は誰かの為に頑張れるタイプの人間じゃない。

 ヘルダルフをボコったのも84%は納税の免除の為だし……アリーシャに力を貸してるのも、結果的には自分が楽をしたい為だったりもする。今、こうやってベルベットと向かい合ってるの自分がそうしたいと思っているだけだ。

 

「なら、余計な事はしないで!!私は別にどうだって、どうだっていいのよ!!」

 

「余計にややこしい事になってんじゃねえか」

 

「黙れ!」

 

「ベルベット、それはダメだ!」

 

 感情のコントロールが上手く出来ないベルベット。

 素直になることは出来ず、オレの言葉の反対を行こうと振りきってしまい、余計にややこしくなる。

 その事を指摘すると攻撃をしてくる……金属探知機を股間に持っていった時と違い拳骨ではない。炎のメダルと闇のメダルを加工して出来た剣を出す。

 

「それはくらわねえぞ」

 

「っ!!」

 

 何時もならばぶん殴られているが、それはわざとだ。避けようと思えば何時でも避けれる。けど、それだと意味が無い。

 ベルベットの剣を親指、人差し指、中指の3本の指でつまんで防ぐ。

 

「幾らなんでも剣での攻撃はやりすぎだ」

 

「安心しろ……これぐらいなら何万回来ても完全に防ぐことが出来る」

 

 ふざけたことをして殴られるのは構わないが、こういうことでの攻撃は絶対にくらわねえよ。

 オレへの攻撃が無駄だと分かったベルベットは籠手に剣を戻して、オレとアリーシャを強く睨む。

 

「ベルベット、先ずは謝ってみよう……いや、違うか」

 

 謝ることを提案するが首を横に振ったアリーシャ。

 今は謝ることよりも大事な事が見える。いや、見えてしまう。

 

「気持ちを整理しよう。落ち着いて、一歩引いて見方を変えて考えないか」

 

 ぐいぐい行くのでなく立ち止まり、冷静になるために身を引くこと。

 それが今、大事な事だがベルベットはあまり聞く耳を持たない。と言うよりはあまり聞こうとしない。

 

「どうだっていいでしょ!!これ以上、勝手な事をしないで!」

 

「なら……どうしてそんなに辛そうなんだ?」

 

 余計な事をするなとはベルベットは言う。

 確かにオレとアリーシャはベルベットからすれば余計な事をしているのかもしれない。それでもするのは自分の為とベルベットの為である。ライフィセットとの間に溝が出来た結果、心の中に大きな靄がベルベットに出来てしまった。

 その靄の晴らし方はベルベットには分からない。何時もの様にどうでもいいと傍観的になってもなにもあるわけでなく人に八つ当たりをしたり怒ったりしても意味はない。

 どうにかすることは出来ず、どうでもいいわけではない。ライフィセットに対してベルベットはどうでもいい等と言う感情を抱いていないのだから。

 

「そんなに辛い顔をしている人を見過ごしたくない」

 

 だから、苦しんでいる。

 無愛想とはまた違う暗い表情に無意識の内に切り替わっているベルベットをアリーシャは見過ごせるわけがない。

 アリーシャの真っ直ぐな言葉を受けて頭を押さえるベルベット……あ~……うん。

 

「アメッカ、此処だと釣れないし別の場所に移動するぞ」

 

「ゴンベエ!?」

 

 さっきからボウズのオレ。

 海に潜った方が早いかもしれないが、皆が釣りをしている中、オレだけ泳ぐのもなんなので別の場所に移動する。

 

「こんな時に釣りの方を集中だなんて」

 

「その割にはしっかりとついてきてるじゃねえか」

 

「そ、それは……どうすれば、いいのかな?」

 

 謝ることが大事だが、それが上手く出来ず自己満足の謝罪はしてはいけない。

 アリーシャ自身がベルベットに対してなにかしてやれる事は無いのを薄々分かっている。だから、移動するオレについてきた。

 

「知らん」

 

「……え!?」

 

 なにかいい案を貰おうとしているが、そんなものはない。

 

「ベルベットに対してオレ達はなんにも出来ねえなら、触れねえ。ただそれだけだ」

 

 グイグイと距離を詰めて行くやり方もある。

 そのやり方が間違いとは言わない。だが、そのやり方だけが正しいとは言えないと言える。

 今はただただ停滞しているだけで前にも後ろにも進まない。なにか変わるきっかけの様なものが必要だ。だから、あえてなにもせずにそのままにしておくのも大事だ。

 

「なによ彼奴等まで……ラフィ……」

 

 オレとアリーシャが去ったことにより、更に落ち込むベルベット。

 弟の名前を呟き俯く声は弱々しくなっており気のせいか、放っている穢れがかなり強くなっている。いや、気のせいでなく本当に強くなっている。ライフィセットの事もあるのでこの状況はまずい。

 けど今はベルベットになにかをすることは出来ない、なにかをすれば余計な事で終わってしまう。




 イクスくん(笑)加入イベント 

 今日も今日とて逃亡生活を続けるイクスくん。そんなイクスを追い詰める包囲網。あの手この手で必死に逃げていると偶然テレビを発見する。
 ティルナノーグが他の世界を具現化しているとはいえこれは明らかに異質な物だと感じたイクスくんはテレビの電源を起動すると眩い光に包み込まれ気付けばテレビの世界に閉じ込められてしまった!
 どうやらミリーナを含め何名か閉じ込められた人達が居るようで、渋々元の世界に戻るために協力することに。

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