テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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楽曲コード間違えてた……早めに気付いて良かった
感想が増えてほしい


ごめんねとありがとう

「お~い、釣れてるか?」

 

 ベルベットから離れ、アイゼンとロクロウの元に向かって順調かを訪ねる。

 

「いやぁ、それがさっぱりだ」

 

「こっちもだ」

 

 どうやらロクロウもアイゼンも不調の様だ。

 元々、海の中には魚が全然居ないから不調なのは当然と言えば当然なんだろうが……。

 

「お前達の方はどうだ?」

 

「私達の方も不調だ」

 

 さっき引っ掛かったのは、アリーシャとベルベットの竿が互いに互いを引いていたから。

 このままだと丸一日無駄に終わる可能性が浮上してきたので沈没船があるところまで潜っていくプランを考えとかねえとな。

 

「お前はさっきからコロコロと居場所を変えて……釣りは己との戦いだ。待つことが出来ない人間に、魚は釣れんぞ」

 

「いや、魚つってんぞ」

 

 そもそもの目的を忘れかけているアイゼン。

 魚型の喰魔が居るかもしれないと釣り大会が始まっただけで本来の目的は喰魔を探すこと……とはいえ、周りはもう完全に釣り気分だ。今日一日はこの釣りで終わってしまうのが分かる。

 

「とはいえ、釣れずにボーッとしているのは面白味に欠ける。なにかいい方法は無いのか?」

 

「釣りは自分との戦いだ……と言いたいが、場所を変えるしかない」

 

「場所を変えるにしてもここは船の上だ」

 

「あ、じゃあ船になろうか?」

 

 此処が地脈点なので船を動かすことは出来ない。釣りの成果を上げるためはもう少し大きく移動しなければならない。

 だったら、オレが船になってバンエルティア号が見える範囲での海を移動すればいい。

 

「お前、船になれるのか?」

 

「ああ……変身!」

 

 今まで1度も使ったことは、したことは無いけど赤獅子の王に変化する事が出来る。

 疑うアイゼンの前で堂々と変身すると驚くのだが、直ぐに残念そうな顔をする。

 

「船は船でも小船か」

 

「んだよ、贅沢言うな」

 

 帆を張れば物凄い速度で動くし、大砲も装備できる。

 鉤爪ロープと組み合わせることでクレーンのアームを出すことが出来て海底にあるお宝をサルベージすることだって出来る。見た目が小振りなヨットっぽいが、かなりの……ああでも、これとは別に船はあるんだよな。

 

「そういえば前に風が不要な世界を渡る船があると言っていたが」

 

「作ってほしけりゃ先ずは鉱山手に入れてこい……後、あれがいる」

 

 船を見て、前に言っていた事を思い出すアリーシャ。

 作り方は頭の中にあるが肝心の素材がない。外洋の船ならばかなりの規模になる。鉱山が必要だ。

 

「……素材があればその船を作れるのか?」

 

「まぁ、素材があったらな」

 

 船の事なのか話に食いつくアイゼン。

 バンエルティア号の様に木材メインの帆船ならば人間が間引いて育てた樹があればいいが、オレの知識にある船はそうはいかない。

 

「素材はなんだ?」

 

「沢山の鉱石、とだけ言っておいてやる」

 

「鉱石……」

 

 どれだけの規模になるか作る過程での失敗も考慮すれば最低でも鉱山が必要になる。

 携帯電話を作り上げた今、金属探知機があるので鉱山を見つける事が出来るが問題は鉱石じゃなくてアレだ。未来でアイゼンでない誰かが集めたあの鉱石の中には含まれていない、アレが無いとなにも出来ない。

 

「エレノア、引いてる!!」

 

「焦らないで!釣りは力じゃなくてタイミングです!」

 

「う、うん!!」

 

 船の話は此処までとするかの様にライフィセットの竿が引いた。

 どうすればいいのかと慌てるがエレノアが的確にフォローをし、やっと待ち望んだ物だとアイゼン達も近寄る。

 

「来るぞ、準備はいいな!」

 

 本来の目的は喰魔。

 もしかするとライフィセットは喰魔を引っ掻けたかもしれないので、油断は出来ない。アイゼンの掛け声で全員がそれぞれ戦闘態勢に入る。

 

「応!空中で刺身にしてやるぜ!」

 

「ロクロウ、それは人を斬った小太刀だ!使うならば刺身包丁を使うんだ!」

 

「おっと、そうだったな!」

 

 待ってましたと二刀小太刀を構えるロクロウ。

 アリーシャはそれで斬るんじゃないと二本の刺身包丁をロクロウに渡す。いや、ちげえだろ。

 

「喰魔だったら殺しちゃだめよ!」

 

「……は!大変だベルベット!」

 

「なによ?」

 

「喰魔が魚だったら、どうやって持って帰って保管すればいいんだ?」

 

「そういや、なんも用意してねえな」

 

 思い出したかの様に気付くアリーシャ。

 モアナやクワブトの様に陸を生きる生物なら連れ帰るだけで済んだが、今回は海を生きる魚。普通に連れて帰るには生け簀かなにかを用意しなければならない。海にいるから海水魚で淡水と相性悪いだろうし、本格的な設備とか作らないで大丈夫なのか?

 

「今です!」

 

「えい!!」

 

 オレ達の心配を他所にライフィセットとエレノアは一本の釣竿を引き上げる。

 よっしゃこいとアイゼン達はノリノリでライフィセットとエレノアが釣り上げた物を見るのだが、目を丸くする。

 

「魚でも喰魔でも無かったわね」

 

 なんかの角みたいな物を釣り上げた……なんだこれ?

 

「腹の足しにはならんな」

 

「……」

 

 食い物でもなければ喰魔でもない。

 珍しいお宝というわけでもないので落ち込むライフィセット。

 

「でも、ライフィセットに似合いそうですよ」

 

「名案じゃの。坊だけの個性が出るかもしれんぞ」

 

「僕だけの個性……」

 

 弟と同一視された事で不機嫌になっていただけあってか、自分だけと言う言葉に魅了されるライフィセット。

 早速、マギルゥ達の意見を取り入れて悪魔っぽい黒い角を頭につける……今更だが、帽子とかメガネとかじゃなくて角をつけるのか。

 

「やっぱり似合う!いい感じですよ!!」

 

「そ、そうかな……」

 

「ライフィセット、騙されるな!多分それ可愛いで似合うって言ってる!」

 

「ええっ!?」

 

 角を装備したライフィセットを見て笑うエレノア。

 褒められて嬉しくなっているが騙されてはいけない。確かに似合っているが、それは可愛いというカテゴリーで似合っているのであって、カッコいい要素は0だ。

 

「そ、そんな事はありませんよ」

 

 おいこら、目線を合わせろ。

 

「もう、エレノアったら!!僕は可愛いよりもカッコよくなりたいんだ!!」

 

「じゃが、グッと個性が強まったぞ!」

 

「え、本当?」

 

 チョロい感じのライフィセットが心配になる。

 マギルゥの言葉に誑かされているが、この個性はなんとも言えない個性……

 

「ウサミミがあるけど、つけてみるか?」

 

 やはり角よりもウサミミの方が似合うぞ。

 

「ゴンベエ、何故そんな物を持っているんだ?」

 

「勇者の使用した物だからだ……つけてみるか?」

 

「え……い、いや、止めておく!」

 

 ウサミミは恥ずかしいのか断るアリーシャ。

 この程度で恥ずかしがっていたら、ベルベットの格好なんてもっと恥ずかしいぞ。

 

「喰魔釣りを続けるわよ」

 

 そんな恥ずかしい格好をしているベルベットは不機嫌になっていた。

 ライフィセットをエレノアに取られたから?いや、違う。行き場の無い感情が苛立ちに変わってしまい不機嫌になっている。

 

「……」

 

 さっきまで喜んでいたり怒っていたりしたライフィセットは無言になる。

 ベルベットが全くといって興味を示していないからか必死さが伝わってきており、釣竿を手にする。

 

「ライフィセット、根をそんなに詰めなくても」

 

「喰魔を釣らなきゃ……そしたらベルベットは僕の事を認めて」

 

 心配しているエレノアが視界に入っていないのか、集中しているライフィセット。

 集中する理由はベルベットに自分の事を認めさせたいから。ラフィじゃないライフィセットという1人の天族として。

 

「もっと真剣に向き合えば話は済むんだがな」

 

 互いに向き合って本音の気持ちをぶつけ合えば割と簡単に問題は解決できる。

 喰魔を釣り上げたところでなんにも変わらない。多分、もっともっと溝が深まるだけかもしれない。

 

「……2人は大好きだから、苦しんでいる……大好きなのに、矛盾している」

 

 アリーシャは今の2人を見て、悲しそうな顔をする。

 ライフィセットはベルベットのことを心の底から嫌っているわけではない。

 感情的になってムキになっているだけで、実際のところはベルベットの事が大好きだ。大好きだからこそ、怒っている。

 ベルベットが自分の事を見ていない、自分を通して弟の幻影を見ていることを。自分の事を見て欲しいと思っている。認めてほしいと思っている。自分を見てくれない認めてくれないベルベットに怒っている。

 ベルベットの方も間違えた事と重ねて続けている事に罪悪感を抱いており、どうすればいいのかを悩んでいる。ムスっとして不機嫌になっているが表情は所々暗い。

 

「ゴンベエ、どうにかなりませんか?」

 

「なんでオレに聞くんだ?」

 

 必要なのはきっかけで、それはオレ達がどうこう出来るものじゃねえ。

 だから、見守りの姿勢になっているのにエレノアはオレに頼ってくる。

 

「貴方ならなんとか出来そうな気がして」

 

「オレをなんだと思ってるんだ?」

 

 対人関係の修復まで出来るわけがねえだろう。

 オレなら出来ると変な期待を抱いているところ悪いが、無理な物は無理だ。そう考えているとなにかを閃いたと手をポンっと叩きなにかを閃くアリーシャ。

 

「音楽を聞かせるのはどうだろう」

 

「なんでそうなんだよ」

 

「2人とも今はギスギスしている。そんな状態だと私達がなにを言っても効果はない。なら、音楽を聞かせて気持ちを落ち着かせるのがいい」

 

 二人の精神状態は不安定で言葉を聞いて貰えないので気持ちを落ち着かせる為に音楽を聞かせる。

 確かに音楽を聞けば気分が落ち着いたりするし、悪い手ではない……オレにしか出来なさそうなのが色々と不満だが。

 

「ちょうどいい。なにか一曲、弾け」

 

「そうだな。ボーッとしてるも暇だし、なんか一曲ぐらい弾いてくれよ」

 

 アイゼンもロクロウもアリーシャの意見に賛成だ。

 

「ほれ、なにか弾いてみい」

 

「マギルゥも……お前等、覚えておけよ」

 

 四面楚歌というか、もう既に弾かなければならない状況になった。

 オレが嫌がっているのが分かっているのかニヤつくマギルゥが若干だが腹立つ。

 

「ベルベットとライフィセットに合う曲を頼む」

 

「はいはい」

 

 オレがボッスン並の手先の器用さがなければ、こんな事は出来ない。

 オカリナを使うとなにがあるか分からないのでなんの力も無いギターを取り出す。

 アリーシャの要望はベルベットとライフィセットの気持ちを落ち着かせれる曲。そんな曲はあるかと考えていると、いい曲があったので弾く。

 

「いつも世界のどんな場所でも 大切な人がそばにいて おはようっ!て言える幸せを ほら みんなで祝おう!」

 

「!」

 

 頭に浮かんだ曲を弾く。

 ただ曲を弾くだけでは意味がないと歌もつける。どちらかといえば暗い諏訪部ボイスで歌う曲ではないのだが、これ以上にいい曲は浮かばない。

 

「あっ!私の方に来ました!」

 

 歌を歌い始めるとエレノアの竿が引いた。

 

「ぬぅうううワシの方もなんか来おったぁああ!!」

 

 続くかの様にマギルゥの釣竿が引いている。

 互いに釣り合っているかと思えば、違うようで一気に引っ張り釣り上げるエレノアとマギルゥ。

 

「……メガネと髭か」

 

 エレノアが引いたものはグルグルと渦の書かれた瓶底メガネ。

 マギルゥが引いたのは髭、黒色の髭……

 

「ろくなものが釣れないわね」

 

 変な物ばかりで肝心な喰魔が引けない。

 お宝の1つでも釣れればいいのだが、なにも釣れない。ベルベットは順調に行かないのか苛立つ。

 

「……ろくなものじゃないよ」

 

「え……」

 

 ベルベットにムキになるライフィセット。

 端から見れば噛みついている姿が可愛いが、言い返してくるとはベルベットは思っておらず戸惑う。

 ライフィセットはエレノアが釣ったメガネとマギルゥが釣った付け髭を装備する。

 

「おい、何処にツッコミを入れればいい?」

 

 牛というより悪魔と言える角。

 牛乳の瓶の底の様なグルグルと渦が書かれているメガネ。

 ベージュ色のフワッとした感じの付け髭。

 

 全てを装備してなんとも言えない感じの姿になっている。

 

「おほ~まさに個性の塊!若さじゃの!」

 

「お前、結構突っ走るタイプなんだな!」

 

「何処がだ」

 

 割と無茶をしているライフィセットを面白がるマギルゥとロクロウ。

 自分を見て面白がっている事に気付いているからか深く俯きなにかを考える。

 

「おかしいわよ。コイツら、楽しんでるし早く取りなさい」

 

「っ、やめてよ!ベルベットになにが分かるの!」

 

「!」

 

「……やっとか」

 

 ツンケンしていた2人がやっと向かい合った。

 ベルベットはライフィセットの装備が似合わないと外そうとするのだが、ライフィセットは強く拒む。

 

「わ、わかるわよ。そんな変な格好」

 

「わかるのは僕じゃなくてラフィの事でしょ!」

 

「……!!」

 

 ハッキリと向かい合って、向き合って気持ちを伝えた。

 自分じゃなくて自分以外を見ている事に怒るライフィセット。

 

「ごめんなさいは言わないのか?」

 

「……」

 

 謝るならば、今しかない。

 アリーシャは此処だとベルベットに謝るチャンスだというが、ベルベットはなにも言えない。なにを言えばいいのかが、分かっていない。ごめんなさいと言えばいいだけではないと分かっているから。

 

「お前はどうしてほしい?」

 

「僕は……」

 

 最終的にどういう鞘に戻りたいのか。

 このままベルベットと仲が悪くなって終わりたいというのなら、それも1つの考えだ。だけど違う。

 ベルベットに自分を見て欲しいと思っているからこその怒りだ。改めて自分がどうしたいかと言われて考えるのだが言葉が出ない。

 

「サヨナラの夕暮れ ケンカの後、元気ない足音 そんな日は思い切り 好きな物食べて寝よう!ごめんな!って思っても その言葉が中々言えなくて いつだって意地張って 思ってもいない事言っちゃって だけど僕たちは本当の関係 お互いの性格分かってる だから明日になったらいつも通りに デッカい声でこう言うのさぁああああ!」

 

「……」

 

 少しぐらいは背を押してやる。

 出鼻を挫かれてしまった歌の続きを歌うと俯いていたライフィセットの表情が変わる。

 

「ベルベットの釣竿が引いているぞ!」

 

「おい!またか!」

 

 こっちが初の歌で励まして背中を押してやろうとしているのに、なんでそうなる。

 ロクロウはベルベットの釣竿が引いていることを知らせるとベルベットは急いで釣竿を手にする。

 

「これは、デカい!」

 

 さっきまでのよく分からない道具と違い、思ったよりも引きが強くベルベットの力でも一苦労だ。

 

「ったく、オレが珍しくカッコよくやろうとしたら……」

 

「!━━あんた」

 

「逃げずに向き合え……やるぞ!」

 

「……ええ!」

 

 一二の三!!

 オレとベルベットは釣竿を引っ張り、大物を……ライフィセットよりも大きな大きな壺を釣り上げた。

 

「壺か……骨董品は相場が変わりまくるから、あんま好きじゃねえんだよな」

 

 多分、価値がある壺だが、ただの骨董品だ。

 利用価値らしい利用価値は無いと思っているとライフィセットがなにかに気付く。

 

「壺になにかが入ってるよ」

 

 中身が見えたのか、近付こうとするライフィセット。

 すると壺の中からタコとヤドカリを足したかの様な憑魔が出てくる。

 

「うああっ!!」

 

「おいおい、これより怖いのを色々と見てるだろ」

 

 憑魔の登場に驚くライフィセット。

 はじめての事だろうが、これよりも恐ろしかったり怖かったりした事は何回かあったので腰を抜かすんじゃねえ。

 

「よっしゃ!タコ焼きにして食ってやる!」

 

「あんなのを食えば腹を壊すだろう!」

 

 さっき魚を釣れなかった腹いせなのか捌く気満々なロクロウ。

 たこ焼きって言うが、あのサイズのタコを細かくするのは面倒だし何よりも美味しくなさそうだ。そもそもで食えるのか?

 

「ハウンド」

 

 複数体居るので喰魔ではない。

 遠慮なく倒していい相手だと分かり、船の事を考えて通常弾(アステロイド)を使うのを止めて追尾弾(ハウンド)で確実に仕留める。

 

「ふぅ……ビックリした」

 

「壺がやたらと重かったの、彼奴等のせいだったか」

 

「怪しいものに迂闊に近付いちゃダメよ」

 

「……ラフィだったら近付かなかった?」

 

「っ、そんな事を言ってないでしょ!!」

 

 ベルベットに対してまだムキになっているライフィセット。

 自分を見てほしいからだが、流石にそれを言うとなれば少しだけ頑固としか言いようがない。とはいえ、ベルベットがライフィセットに対して姉面をして言っているのもまた事実。

 歌でなにか進展をさせようとしたのが間違いだったのか……ん?

 

「おい、まだなにか入ってるぞ」

 

 カツンカツンと揺れる壺にまさかと言った顔をして一歩引くロクロウ。

 今度は5体ほどゾンビが出てくるのだが、ついさっきタコみたいなのが出て来たんだ。もういい。

 

「ハウンド」

 

 明らかに壺の大きさと入っている憑魔の大きさが合っていない。

 それを言い出せばベルベットの剣の長さとかアリーシャが何処から槍を取り出しているとか、オレの持っている道具が普段は何処に閉まっているのとか色々とおかしいことが浮き出るので特に気にせずに2回目のハウンドで倒す。

 

「それでライフィセットはどうしてほしいんだ?」

 

 二度目なので特に気にせず、話はさっきの事に戻る。

 最終的にベルベットにどうしてほしいのか、それが分からなければどうにもならない。

 

「僕は……ベルベットにちゃんと見てほしい」

 

「ちゃんとって、私は見ているわよ」

 

「見ていないから言ってるんだよ!!ベルベットは」

 

「見ているわよ!!」

 

「……いい加減にしないか!!」

 

 ちゃんと見ている見ていないで言い争うベルベットとライフィセットの間にアリーシャが割って入った。

 ずっと見守っている姿勢に入っていたが、二人の意地とか頑固さがここまでくれば我慢の限界が来るのは当然かもしれねえ。

 

「さっきから見ていれば……どっちもどっちじゃないか!」

 

「どっちもって、僕はベルベットの事を」

 

「だったらベルベットにハッキリと言うんだ!どうして言えない?」

 

「……」

 

「ベルベットも、ごめんなさいをなんで言おうとしない!最初の始まりは誰が見てもベルベットが悪いじゃないか」

 

「……分かってるわよ!」

 

「分かっていない!!どちらもお互いの事を本当に思っているのならば、真剣に向き合うんだ!!」

 

「……アメッカの1人勝ちだな、こりゃあ」

 

 我慢の限界で不満を爆発させるアリーシャ。

 顔を合わせようとしなかったライフィセットとベルベットを無理矢理向かい合わせる。

 

「言いたいことがあるなら、ハッキリと本音で語り合うんだ!!そうでないと……本当に手遅れな事になる」

 

 最後に若干顔に曇りが見えたものの、アリーシャに対してなにも言えない2人。

 どちらもツンケンしていてからちゃんと面と向かい合うのははじめてで、いざ顔を合わせてもなにを言えば良いのかが分からず目線を合わせようとしない。

 

「ちょっと失礼っと」

 

「っ!」

 

「いいから目を閉じろ」

 

 今回の一件の発端はベルベットだ。

 先ずはベルベットからどうにかしねえとなにも始まらない。

 

「余計な情報は削ぎ落とせ……ゆっくり深呼吸だ」

 

 ベルベットの目元に手を置いて、視界を防ぐ。

 本音を本気でぶつけたライフィセットに対してベルベットはなにかを言おうとしない。というか、なにを言えば良いのかが分かっていない。ライフィセットの本音が分かったので、頭の中を整理させる。

 

「ライフィセットはライフィセット、ラフィはラフィ……似ているかもしれないが、異なっている」

 

「……」

 

 オレの言っている事になにも言わず、無言になるベルベット。

 否定もなにもしないが口が僅かながら動いているので言葉はちゃんと聞いており、真剣に考えている。

 

「ライフィセットは自分はライフィセットでラフィじゃないと言っている。けど、お前は無意識にラフィとライフィセットを重ねてしまった……それは悪いことだ。ライフィセットにもラフィにも」

 

 ベルベットにとってどれだけ弟が大切なのかは、その姿を見れば分かる。

 弟の代わりになる存在なんて何処にもいない。それは分かっているけれど、それでも重ねてしまう。それはしてはいけない事だ。

 

「……もういいわ」

 

 口を閉じて少しだけ考えるベルベット。

 冷静になったみたいでライフィセットと向き合おうとしている……が、やっぱりまだ少しだけ思うところがあるのか少しだけ顔を反らす。

 

「その……悪━━」

 

「避けろ、ベルベット!」

 

「今、良いところなんだ!邪魔をするな!!」

 

 ベルベットが謝ろうとすると、なんか憑魔が襲ってきた。

 いきなりなんだと思ったらアメッカが槍の力を引き出してあっさりと倒すと元の姿に、壺の姿に戻る。

 ベルベットが釣り上げた壺、憑魔だったのか。だから明らかに壺の大きさと合わない憑魔が多く入ってたわけだ。

 

「……悪かったわね」

 

「……」

 

 ここでごめんなさいと言えないのがベルベットらしいと言えばらしい。

 ベルベットなりに謝っているのはライフィセットは分かっているけど、どう言えばいいのかが分かっていない。今更ながら、謝って済む問題でない事が浮上してきている。

 

「……あんたはあんただって事を分かってなかったわ……フィー」

 

「フィーって……僕のこと?」

 

「あんたの愛称よ……意味なんて特には無いけど、あんたはあんただから」

 

「ベルベット……」

 

 ラフィでなくフィーという誰でもない自分だけの愛称がついて嬉しそうな顔をするライフィセット。

 許すとはハッキリと言ってはいないが、そんな事はもうどうだっていい。そういう感じの雰囲気を醸し出しており、自分を自分として見てくれる事をライフィセットは喜んでいる。

 

「フィーか、中々個性的な愛称じゃな」

 

「……うん」

 

「一件落着……と言いたいが、本件は落着じゃねえな」

 

 ベルベットとライフィセットのにらみ合いはいい感じに納まった。

 けど、この釣り大会で得られた成果は0に等しい。そろそろ帰った方がいい感じの時間帯でこの地脈点はハズレだった様だ。

 

「いや、いい成果はあった」

 

「?」

 

 元の姿に戻った壺の中身を取り出すアイゼン。

 見たことの無い鉱石が中に入っており、オレの知識でも該当する物が無かった。けど、アイゼンは満足げな顔をしている。

 

金剛鉄(オリハルコン)の塊だ。クロガネの言っていた輸送船が沈んだ場所は此処だったみたいだ」

 

 どうやらなにも無かったでは終わらなかった。

 不幸を呼び寄せる死神の呪いを持っている癖にピンポイントで金剛鉄を引き上げるとは……あ、でもアイゼンはボウズだったな。

 喰魔は見つからなかったものの、代わりに色々と大事な物を得ることが出来て釣り大会は幕を閉じた。




 スキット 大事な名前

エレノア「私達もライフィセットの事をフィーと呼んだ方が良いでしょうか?」

ライフィセット「え……僕のことはライフィセットでいいよ」

アリーシャ「ベルベットの愛称が嫌いなのか?」

ライフィセット「ううん、むしろ好きだよ……だからかな」

アリーシャ「だからか」

ライフィセット「うん……ベルベットにとってライフィセットはラフィでもあったけど今日からフィーでもあるから。でも、エレノア達にとってライフィセットって僕だけだから」

ゴンベエ「意外と独占欲が強いな……まぁ、その分自分らしさが出ているけど」

エレノア「分かりました。今まで通り、ライフィセットと呼ばせていただきます」

ライフィセット「うん、よろしくねエレノア。ゴンベエもアメッカもお願い」

アリーシャ「ああ…………ちゃんとした名前を皆に言ってはどうだろう?」

ゴンベエ「今更だな。偽名を使っていることに対して罪悪感が沸いてきたのか?」

アリーシャ「そうじゃない……ただ、改めて名前の大切さを感じたんだ。エレノア達の事は信頼も信用も出来る頼れる仲間だ。それなのに私は何時までも偽名を使っている」

ゴンベエ「偽名つっても、スレイが付けた真名とか言うやつだろ?なんか割と大事そうな感じだし問題ないんじゃ」

アリーシャ「確かにこの名は気に入っているが、それとこれとは話が別だ……頭では理解していても心では納得出来ない」

ゴンベエ「なら、いっそのこと名乗るか?」

アリーシャ「それは……してはいけない。名前を名乗ってしまえば未来に大きな影響を及ぼす可能性がある。私達がこうして此処にいるのは本当ならばあってはならない事というのは分かっている」

ゴンベエ「んだよ、めんどくせえな」

アリーシャ「……そうは言うが、ゴンベエ。自分だけ本名を名乗っているじゃないか」

ゴンベエ「オレの方は問題ねえよ……いや、違うな。なぁ、アリーシャ」

アリーシャ「?」

ゴンベエ「……いや、やっぱいいわ」

アリーシャ「どうしたんだゴンベエ、なにかあるならば教えてくれ。悩みなら、相談に乗る」

ゴンベエ「悩みごとじゃねえよ。なんか現代よりもこの時代の方が生きやすいからいっそのこと残らないかって相談だ」

アリーシャ「なっ!?ハイランドやローランスを見過ごせと言うのか!?ヘルダルフの魔の手が何処にあるのかも分からないんだ!スレイだけに重荷を背負わせるわけにはいかない!!」

ゴンベエ「やる気満々か……やっぱ言えるわけねえよな。ナナシノ・ゴンベエじゃなくて名無しの権兵衛だって。もうなんか完全に周知されて、今更マサタカと名乗れねえよな」

 スキット 悩むなら飲んでしまえ

アリーシャ「……ふっ!……ダメか。壺の憑魔相手にカッとなっていたからか槍の力を引き出して倒せた。いったい、なにが原因で使えるようになったんだ?」

??「ん、なんじゃここは?」

アリーシャ「!?」

??「おっと、驚かせてすまんすまん。ワシも何故か急にこんな所におってビックリしているんじゃよ」

アリーシャ「急に?……は、もしかして?」

ベンウィック「あああ!!オレのとっておきが!」

アイゼン「なっ、オレの年代物が!!」

ロクロウ「おい、こっちの方も空だぞ!!」

アリーシャ「あの、なにをしたのですか?」

??「それは次回のお楽しみじゃよ」

ライフィセット「ゴンベエ、何処にいるの?」

ベルベット「あんた、急に消えるんじゃないわよ!」

アリーシャ「次回【サブイベント 姫騎士アリーシャと導かれし愚者達 その3】」

??「なにやら悩みごとがあるようじゃが、こういう時こそ酒を飲むんじゃよ」

アリーシャ「いえ、そんなお酒の力に頼るなんて事は……」

??「だからこその酒じゃよ」


なんやかんやで100話行ったよ。このペースで行けば200話行くかな
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