テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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アリーシャとのイチャイチャを書きたいが現代にまで取っておかなければ。


生きるってこと

「ザビーダ……」

 

 血翅蝶の一員を探して立ち寄った宿屋にザビーダ様はいた。

 

「ザビーダがここにいるということは、アイフリードに関する手懸かりがストーンベリィに」

 

「残念!これでも俺はモテモテでねぇ。忙しいんだよ」

 

 船長であるアイフリードを探しているザビーダ様。

 この場に居るということはと考えるが、違うと本人がキッパリと否定をした。

 

「……」

 

 敵ではないが味方でもない、やることが一緒というなんとも言えない関係の私達とザビーダ様。

 アイゼンとのにらみ合いが続く中、ライフィセットがザビーダ様がいるテーブル席にお酒が置かれており、杯が2つあることに気付いた。

 

「誰かを待っているの?」

 

「いいや……あいつとの願掛けさ」

 

 何処か悲しく哀愁漂う目でザビーダ様はお酒を見つめる。

 片方のコップに入っているお酒ともう片方に入っているお酒が均等ではない。片方はザビーダ様が飲んだとして、もう片方は誰も口にしていない。

 誰かがここにいるのかとチラリと確認をしてみるが宿の店員を除けば誰もここにはいない。

 

「……いくぞ、ここには血翅蝶はいないみたいだ」

 

「いいのかよ、俺を放置していて」

 

 ザビーダ様に背を向けるアイゼン。

 何かしらの手懸かりやきっかけになることを自分で理解してるのか、今ここで見過ごしていいのかと聞く。

 恐らくだが、見過ごさなかったら見過ごさなかったで戦って有耶無耶にして逃げると思う。

 

「誰にも、邪魔をされたくない時間がある」

 

 ただお酒を飲んで楽しんでいるだけでない事が分かるのか去ろうとするアイゼン。

 

「なら、お前さんもどうだい、いっぱいやるか」

 

「生憎、この前極上過ぎる酒を鱈腹飲んだ」

 

「オレに取り置きされた分も含めてな……お前達だけ、ホント美味しい思いをしやがって」

 

「なんだなんだ?1人だけ飲めなかったのか?なら、奢ってやるぜ」

 

「いや……それよりも聞かないのか?」

 

 飲んでいたお酒とは異なる酒でゴンベエを迎え入れようとするザビーダ様。ゴンベエは飲むつもりはなく手で制止するのだが、なにかを尋ねた。

 ザビーダ様は浮かべていた笑いをやめ、口を閉じて真剣な眼差しでゴンベエを見つめる。

 

「もううんともすんとも言わねえ……お前、なにをしやがった」

 

 ペンデュラムを取り出すザビーダ様。

 確か、そう。ゴンベエがザビーダ様をあえて怒らせて本音を聞き出した際に御詫びとしてゴンベエはバイオリンで一曲弾いた。するとペンデュラムは僅かだが青白い光を纏ってパワーアップを果たした。

 あの時のペンデュラムと違い何処にでもある綺麗な鉱石で出来たペンデュラム。神秘的な力の様な物を感じない。

 

「人間ってのは一度甘い汁を吸えば、もう一度吸いたくなる生き物だ……天族であるお前はどうだ?」

 

「……テメエ、いったい何者なんだ?」

 

「名無しの権兵衛だ、それ以上でもそれ以下でもねえ……と、オレ達もオレ達で忙しいから、またその内にな」

 

 何時も通りにしているゴンベエを強く睨んでも無駄だと感じたのかザビーダ様は諦めてペンデュラムを手元に戻す。

 これ以上は会話をすることはなく、1人の時間を邪魔するつもりはないと私達も宿を出るのだがライフィセットは深々と考え事をする。

 

「願掛けってなんの事だろう?」

 

「ザビーダが飲んでいたのは【いばらの森】だ」

 

「おぉ!!大切な人と酌み交わせば永遠に添い遂げられるというロマン無双な一品じゃの!」

 

「だが、滅多に手に入るもんじゃない。俺も一度は呑んでみたいと思っているが……」

 

「ザビーダにとって特別な時間だったんだね……」

 

「だが、1人で飲んでいたぞ?」

 

 ザビーダ様が特別な時間を味わっていたかもしれない。

 だが、マギルゥの言っていることが確かならば1人で飲むものでなく誰かと飲むはずの物だ。

 

「バッカ、お前。こんなご時世だぞ」

 

「あ……」

 

 目の前に天族が普通にいるせいか感覚が若干麻痺している。

 この時代では天族の意思が抑制され対魔士達に使役されている。イズチの天族の方々はどうかは不明だが、ザビーダ様の様な天族は滅多にいない。

 

「聖寮に捕まってるのか……」

 

 ザビーダ様も元々は聖寮に捕まっていた。

 それをアイフリードが偶然に助けたらしく、それならばその知り合いも捕まっていてもおかしくはない。

 出来れば解放をしたい……。

 

「ベルベットさんですね」

 

「あんたね、例の業魔を見たのは」

 

 お酒のもう片方のグラスの正体について色々と考えるとオカッパの女性が声をかけてきた。

 左腕の手首に赤いバンダナを巻いており、私達が探していた血翅蝶の一員でベルベットは驚くことなく話を続ける。

 

「来る途中、空を飛ぶ蛇みたいなドラゴンを見たけど、あんたが見たのも?」

 

「はい。同じ業魔です。アルディナ草原の岩山の上に巣を作っています」

 

「アルディナ草原の岩山の上?私達が来る途中に見たけど、なにも居なかったわよ」

 

「雨の日だけ、そこに立ち寄るのです」

 

 血翅蝶の人にそう言われると空を見上げる私達。

 雲1つ無い綺麗な青空で、雨なんて降りそうにない気配を醸し出している。

 

「雨が降らねば先に進めぬが、そう都合よく雨は」

 

「エバラのごまだれ!」

 

「……なにやっとるんじゃお主」

 

「いや、やっておかないと思ってな」

 

 都合よく雨は降らない。

 都合良く降らないとマギルゥは空を眺めながら語るのだが、ゴンベエが隣でオカリナを取りながらなにかをした時に言う何時もの言葉を言っていた。

 

「雨が無いなら作るしかねえだろ」

 

 オカリナを吹くゴンベエ。

 この曲は知っている。嘗てハイランドとローランスの戦争を止めるべく豪雨を起こす為に吹いた曲だ。

 今回も雨を起こす為に吹くと何処からともなく素早い速度で雨雲が此方に向かってきて太陽を覆い被さりポツポツと雨が降ってくる。

 

「あんた、そんな事も出来たのね」

 

「その気になれば昼と夜を逆転だって出来んぞ……さ、行くか」

 

 ドラゴンに会うための条件は整った。

 前にヘルダルフがゴンベエの雨を無理矢理かき消した時の様な事が起きるかと心配もあったもののそんな事はなく、ストーンベリィを出る。

 

「ニャッホ~、いいところで出会ったニャ!!」

 

「今、急いでるのよ。後にして」

 

 ストーンベリィを出て早々にねこにんに出会った。

 私達に出会えて喜んでくれているが出て早々に出会ってのでベルベットは冷たくあしらおうとする。

 

「急いでるなら渡りに船、あんた達に石板にゃ!」

 

「なんで石板?」

 

 言っていることがよく分からず首を傾げるライフィセット。

 石板と言えばこの時代には古代語……いや、この時代の文字で書かれている石板を現代では割と見掛けるが、この時代では見掛けないな。1000年の間に作られた物だろうか。

 

「あっ、これはレアボード!」

 

 石板について考えているとビエンフーはねこにんの足元にある石板に気付く。

 かなり古い時代の文字が書かれているみたいだが、いったいこれは……。

 

「そう!遺跡でみつけたのニャ!この石板は大昔にノルミン族が作った地脈を滑る乗り物ニャンだけどボクには使えないからあげるニャ!」

 

「ノルミン族が作った物か……不安だな」

 

「バカにするなでフー!!ノルミン族だってやる時はやるんでフよ!たまにしか無いでフけど!」

 

「だったら、使わせろ」

 

 文句よりも行動で結果を示せ。

 ゴンベエはレアボードに足を乗せるのだがうんともすんとも言わない。

 

「使うにはノルミン族の名前を言わないと使えないニャ」

 

「成る程、ビエンフー……おい、うんともすんとも言わねえぞ。古すぎて故障してるんじゃねえのか?」

 

「あんた、もうちょっと言葉を選んで欲しいニャ!それは故障してるんじゃなくて名前が間違ってるだけニャ!」

 

「ということはビエンフーは偽名か……」

 

 ふぅ、やれやれと大きなため息を吐くゴンベエ。

 

「違いまフ!ボク達の名前はそういうのじゃなくてノルミン・○○って名前が一人一人にあって、それを告げないと起動出来ないんでフよ!」

 

「……え、じゃあビエンフーとグリモワールは?」

 

「まぁ、芸名みたいなモノじゃよ」

 

 ビエンフーの言葉を聞いて、アタックさんを思い出す。

 あれはそういう感じの名前じゃなくてノルミン・○○の1つだったのか。

 

「よし……ノルミン・シルクハット……っつ、違うか」

 

「なにをしている貸せ!ノルミン・ドスケベ!」

 

「いやいや、ノルミン・ムッツリだ!」

 

 正確な名前を聞かずに適当にビエンフーの名前を言うゴンベエ達。

 当然と言うべきか、反応はしておらずその名前の扱いにビエンフーは怒りを露にする。

 

「ボクの名前はそんなんじゃないでフよ!」

 

「じゃあ、さっさと言いなさい」

 

「う……ノルミン・ブレイブ」

 

 自分の名前が嫌なのか、嫌そうにして呟くと光を放つレアボード。

 

「ビエンフー、あなた……ブレイブという名前だったのですね」

 

「エレノア、失礼だぞ……確かにそうは見えないが」

 

「ビエーーン!だから言いたくなかったんでフよ!」

 

 ブレイブ、勇気という意味を持つ名前でビエンフーと似合っていないのか思わず笑うエレノア。

 勇気……そういえば現代でフェニックスが勇気を探せと言っていたが、これと関連しているのだろうか?

 

「ところでこれ、1枚だけれど8枚あるのよね」

 

 レアボードに乗ってみるベルベット。

 大きさからして頑張っても3人しか乗れない。そうなると一人一個必要になるが。

 

「そんなもん、一個しか無いニャ!」

 

「……結局使い物にならないわね。無駄足だったわ」

 

「酷いニャ!?」

 

 1つしかないので、最終的にはビエンフーと常に一緒にいるマギルゥの手に渡った。

 出来れば私も乗ってみたかっただが一人だけ楽をするわけにはいかない。ゴンベエの降らせた雨が何時止むかは定かではないので出来るだけ早くアルディナ草原の岩山に向かうとそこにはドラゴンがいた。

 

「あの黒い靄……ライフィセット、辛いならばエレノアの中に居た方がいい」

 

「ううん、まだいけるよ」

 

 岩影からドラゴンの姿を確認するが黒い靄を……穢れをここぞとばかりに溢れ出している。

 私達はまだしもライフィセットやアイゼンにとって毒でしかない。ライフィセットの身を案じるが、平気そうな顔をするライフィセット。

 

「結界らしい結界も無ければ、変身もしねえな」

 

「またハズレみたいね」

 

「……ごめん」

 

「あんたが落ち込む必要はないわ。頼ってるのはアンタじゃなくて私の方なんだから」

 

「要するにアンタだけが頼りなんだから、一回や二回の失敗で落ち込まないでよねだ……っぐ!!」

 

「おお、珍しく耐えおったの」

 

 何時もの様に余計な一言を言ってベルベットに殴られるゴンベエ。

 珍しく殴り飛ばされずにいる。

 

「一人ならまだしも他の奴等が居るとアホなことはしたくはない」

 

「普段からするんじゃないわよ」

 

 それは無理という物だろう。

 ドラゴンの様子をコッソリと見るのだが、特に暴れるといった事はしていない。溢れる穢れから憑魔を産み出すといったこともない。領域に入った時は背筋がゾクリとしたが馴れてしまえば特に怖いことはない。

 

「決まりね、あのドラゴンは喰魔じゃないわ。次、行くわよ。次」

 

 最初は様子見だったベルベットもドラゴンが驚異的ななにかをしたわけでもなく、ただそこにいるだけなので見切りをつけた。喰魔でなければ例え危険な存在であっても興味は無さげなその姿は相変わらずで、どうにかしようにも流石にドラゴンはどうすることも出来ず困っていると、アイゼンは立ち上がった。

 

「お、やる気か?」

 

 ドラゴンに対する目つきが変わった事に気付き嬉しそうにするロクロウ

 

「は?なにを言ってるのよ!」

 

「あんなのに手を出したらただじゃすみませんよ!!」

 

「お主達、そんなに騒いだらドラゴンに声が聞こえるじゃろう!!!」

 

 そういうマギルゥも声が大きい。

 ひっそりと眺めるのを止めたアイゼンを見て声を出すベルベットに声をあげるエレノアに声をあげるマギルゥ。

 連鎖的に大きな声を上げていくせいでドラゴンが私達に視線を向け、背筋が凍る。

 

『グルル』

 

「あ、すみません!」

 

 ドラゴンの鳴き声が聞こえ、身の毛もよだつ。

 物凄くとは言わない。だが、この時代に来てある程度は強くなっているという自覚はあるが、いざドラゴンを前にして体に力が入らない。怖いと言う感情より驚異的な相手だという危機感が強く出る。

 

「ふん!もうやるしかないぞ」

 

「ゴンベエ、真面目に戦いなさい!あれは殺しても問題ないわ!」

 

「もうちょっと言葉を選べよ!」

 

 喰魔でないので連れ帰らなくてもいい。

 憑魔の中でも特別な存在であるドラゴンと戦うしかないとなると何時もの様になんやかんやと適当にしているゴンベエが真面目に戦ってもらわないと下手をすれば死ぬ。

 ゴンベエに真面目にやって貰いたいのはわかるが、ベルベット、もう少し言葉を選んで欲しい。

 

「まぁ、真面目にやらないとダメっぽいからそれなりに真面目にやらせて貰おう」

 

 その発言が既に真面目ではない。

 真面目と言う割には背中の剣は抜こうとしない。代わりに何時も中距離攻撃として使っている立方体の光る弾を作る。

 

「ハウンド」

 

 何時も言っている弾の名前とは違う。どんな弾かは私は知っている。確か追尾機能を持った弾だ。

 今回の相手はドラゴン、ゴンベエは色々と出来るが空を自在に飛び回ることが出来ず飛び回られるだけでゴンベエは苦戦をする。

 追尾機能を持った光る弾はドラゴンに目掛けて飛んでいくのだが、途中でUターン。ギュンと綺麗に曲がっていき、一番背後にいる私の横を通り過ぎる。

 

「ぬお!!」

 

「ザビーダ!?」

 

 ゴンベエの撃った弾はドラゴンにでなくザビーダ様に向かって命中をした。

 先程まで宿屋でお酒を飲んでいたのにこの場に現れた事に驚くライフィセット。

 

「いったいなんのようだ?」

 

「なに、お前等がコイツに会いに行ったと聞いてな……まさか無理矢理雨を降らせるとは思わなかったぜ」

 

「これでも勇者なんでな……で、なにかようか?」

 

 重要な事なので二回聞くゴンベエ。

 ザビーダ様が宿からここに向かってきた理由は1つしかない。

 

「決まってんだろ。お前等を叩きのめしに来たんだよ……コイツは殺させやしねえ」

 

 私達にドラゴンを殺させない。

 私達で殺せるかどうか怪しいがゴンベエが居る以上、ドラゴンを殺すことが出来る。

 

「だが、ザビーダ……何かあるのか?ドラゴンを殺さない以外でどうにかする方法を」

 

「ドラゴンと呼ぶんじゃねえ!!」

 

 私がドラゴンと呼んだことに怒りを露にするザビーダ様。

 ドラゴンはなにもないところからポンっと生まれてくるものじゃない。天族が憑魔化して行くところまで行った末に成る姿であり、通常の憑魔と幾つか違う点がある。例えば私のように肉眼で天族が見れない物でもその姿をハッキリと見える。

 

「すまない……なんと呼べばいいんだ?」

 

「……」

 

 私が謝ったことを驚くザビーダ様は口を閉じてなにかを考えている。

 

「知ってんのか……ドラゴンがなんなのか?」

 

「シリアスになってんとこ悪いが、そういう感じの空気を醸し出してる場合じゃねえぞ」

 

 シリアスな空気を醸し出しているが、そんな暇は無い。

 ドラゴンは私達に向かって大きく吠えて巨大な炎の息吹を吐いてくる。

 

「っち、ドラゴン相手じゃ使わざるえないわね」

 

 舌打ちをしながら炎を思わせるかのような姿に変わるベルベット。

 左腕を喰魔の姿に変えて巨大な火球を喰らい尽くして攻撃を防いだ。

 

「んだよ、そりゃあ!!」

 

「明確に分かるパワーアップだ。で、どうすんだ?」

 

 ベルベットのこの姿を見るのははじめてなのか驚くザビーダ様。ゴンベエが簡単に説明をするとこの後について聞く。

 このドラゴンを、ザビーダ様はどう対処するか。殺させないという意思はつい先程分かったが、殺さないだけではダメだ。

 居るだけで常軌を逸した穢れを撒き散らしており天族にとって穢れは毒でしかなく、このまま放置すれば穢れに当てられて憑魔化する者達が後をたたない。

 

「一曲、弾いてくれ。あの力があれば、あいつを救えるはずだ!」

 

 輝きを失ったペンデュラムをゴンベエに差し出し、輝きを手に入れる為にザビーダ様は曲を求める。

 曲を弾けばゴンベエが背中に背負っている剣よりは弱いが同じ光を宿す。あの光は退魔の力とゴンベエが呼んでいる力を持っている

 

「ほらよ」

 

 ゴンベエは背負っている剣をザビーダ様に投げる。

 喰魔のベルベットや憑魔になっているロクロウには触ることすら出来ないが、ザビーダ様は違う。

 

「!」

 

 ザビーダ様が剣を抜くとペンデュラムに込められた光よりも更に強い光が刀身から放たれる。

 その光の力強さを感じてこれならばイケると笑みを浮かべる……。

 

「コイツがあれば、アイツを救える!」

 

「ゴンベエ……あの剣は」

 

「ああ、あの時と同じ剣だ」

 

 ゴンベエが渡した剣はずっと使っている剣だ。

 私と出会ったあの日から、今日までずっと背負っていた剣でゴンベエがヘルダルフに対しても使ったことがある剣で

 

「マスターソードじゃ、ドラゴンは救えねえよ」

 

 ドラゴン化したアイゼンにも使ったものだ。

 その時の事を唯一見ていた私は知っている。アイゼンは攻撃をくらったが元に戻ることは出来なかった。

 ザビーダ様が手にした剣はドラゴンが放つ穢れを撃ち祓うことが出来たが、ドラゴンを元に戻すことは出来なかった。

 

「まだだ!!まだ足りねえだけだ!!」

 

 

 

 ゴンベエから借りたマスターソードを使うザビーダ様。

 

 普段から剣を使っていないせいか拙い剣術でドラゴンに向かって攻撃をする。強い光を纏った攻撃はドラゴンの身から溢れる穢れを祓えてはいるが、ドラゴンは本来の姿に戻らない。

 ゴンベエの力さえあればどうにか出来ると信じていたザビーダ様は現実を受け入れきれない。

 

 

「そうだ。コイツが剣なら鉱石で出来てる、俺の器にすれば」

 

「あ、バカ!やめろ!!」

 

 今よりも力を上げる方法を取ろうとするザビーダ様。

 静観していたゴンベエは急に慌てて止めようとする。 

 

「っつぁ!?」 

 

 ザビーダ様が剣を器にしようとすれば、剣が拒んだ。

 ベルベットやロクロウが触れようとした時と同じように強い光を放って触れるなと言わんばかりにザビーダ様を拒んだ。 

 

『グルァアアア!』 

 

「……逃げたか」

 

 ザビーダ様から何度も攻撃を受けていた為か空を飛んでこの場から去っていくドラゴン。

 喰魔でない以上は戦う理由は無いとベルベット達は追いかける事をせず、ゴンベエはザビーダ様に近付く

 

 

「眠ってるとはいえ、この剣は既に器として使われてっからな……」 

 

「……クソ……ちくしょぉおおおお!!」

 

 ゴンベエの力があれば助けれると信じていた。

 結果はどうすることも出来ずに、非情な現実を突きつけられたザビーダ様は叫んだ。

 

「ゴンベエ、ドラゴンは元に戻せないのか?」

 

 

 

 

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「分からねえ」

 

 アリーシャの質問に対してオレはそう答える。

 

「分からない?」

 

「やったことねえんだから、分からねえよ」

 

 ドラゴンを元に戻すことが出来るかという質問に対しての答えは出来る出来ないの2択だがオレの答えは違う。

 やった事が無いから分からないだ。現代でドラゴン化したアイゼンと対峙したが、その時は逃げたりすることを重視して助けることを一切意識していなかった。

 全力を出せばどうにかなるかもしれねえけどそれはオレしか出来ないとかになるし、歴史を変えてはいけねえから出せねえ。

 例え救えてもこの時代では救っちゃいけねえ。

 

「オレは今まで助けようと思って助けたことはねえ」

 

 レディレイクにウーノを連れてきたのも、マーリンドでめんどくさそうなドラゴンパピーを倒したのも自分の為だ。

 アリーシャみたいに国を救いたいとかそういう気持ちも無いし、スレイみたいな導師としての使命感的なのも一切無い。なにがなんでも助けてみせるという気持ちは無いぞ。無償の正義なんて世の中のシステムをおかしくするものだ。

 

「っち、逃げやがったか」

 

 ドラゴンが完全に去ったことに舌打ちをするアイゼン。

 

「お前、殺る気満々だな」

 

 ドラゴンの存在は百害あって一利無し。

 居るだけでヤバい存在なのは分かっている。天族にとって毒そのものだが、アイゼンの殺意はやたらと高い。

 

「テメエ、ハナから殺る気だったのか……テメエも全部知ってるんだよな?」

 

「……あのドラゴンはお前の」

 

「ドラゴンじゃねえ!」

 

「……」

 

「で、次はどうするんだ?」

 

 シリアスな空気を醸し出してるアイゼンとザビーダ。

 マスターソードを使ってドラゴンの纏っている穢れを祓えたが、ドラゴンそのものを元には戻せていない。

 

「っ……」

 

 オレの力を借りれば元に戻せると思っていただけあり、次のことは考えていなかったザビーダ。

 ドラゴンの姿から元に戻さなければならないという事は分かっているようでオレと目線を合わせない。

 

「……テオドラだ」

 

「?」

 

「……それがアイツの名前だ……ありがとよ」

 

 ドラゴンが、いや、テオドラが居なくなったのでこの場を去ろうとするザビーダ。

 あの中でただ一人、名前を聞いてくれたからか味方になろうとしていたからか去り際にアリーシャに向かって名前を教えた。

 

「ゴンベエ」

 

「んだ?」

 

「……ザビーダは今、生きていると思うか?」

 

 去っていったザビーダに対してアイゼンは哲学的な問題をぶつけてきた。

 生物としてはザビーダは生きているのだろうが、そういうことを聞いてんじゃねえだろう。

 

「逆に聞こう。生きるってなんだ?」

 

 その質問に対してオレはすんなりと答えるわけにはいかない。

 オレは……いや、転生者(オレ)はそれを軽々しく言える立場じゃない。よくある創作物みたいに理由も分からず転生しているわけでもトラックに轢かれてるわけでもない。

 オレはまぁ、比較的に軽い方だったが転生者になってる奴等はかなり重たいめんどくせえ人生を送ってたりしやがる。

 

「自分の流儀を通して生きれてるかどうかだ」

 

「……足掻くのも、1つの生き方だ。諦めずに何度も何度も必死になって挑戦をする。端から見ればそれは醜い姿に見えるが、そういう奴等が何度も何度も足掻いてもがいて苦しんで、それでも必死になって前に進んで行く」

 

 今のザビーダの姿が自分らしく生きていない、醜い姿に見えるかもしれない。

 アイツは人じゃないけど人の生き様ってのはそういうところにもある。諦めずに何度でも挑戦する心を否定することは許されない。まぁ、だからと言って諦めることを知らないことは良いことじゃねえが。

 諦めずに何度でももがき苦しみながらも挑戦する心と諦めて別の方法を見つける心の両方を持ってる奴なんて転生者(オレ)みたいに教えられてないと早々に居ねえからな。

 

「なら、アイツは前に進めると思うか?」

 

「進めないなら背中を誰かが押せば良い。肩を叩いて、そこに道はあると教えれば良い。ただ、腕を引っ張って1つの道に引き摺り出して無理矢理歩かせることだけはするな……今はまだやるだけやらせてやれよ。例えそれが醜いと思っていてもだ」

 

 ザビーダがやろうとしていることは否定してはいけない。

 時には生き方を曲げてまでも、自分の全てを犠牲にしても守りたい助けたいと思う事だってあるんだ。生き方や流儀を大事にしているかもしれねえが、それを曲げてでもアイツは必死になっている……。

 

「まぁ、見捨ててるオレが言っちゃいけねえことだがな」

 

 ザビーダみたいに必死になって足掻こうとしていない。もしかしたら救える命をオレはこの時代で最初から見捨ててる。アリーシャも救う方法を最初から知っているが見捨ててる。

 だから、殺す流儀だ殺さない流儀だ貫いている奴等をどうこう言っていい感じ立場じゃない。例え言ったとしても、きっかけを与える程度で居なきゃなんねえ。

 

「結局、ここもハズレだったわね」

 

 ドラゴン化についての説明をアイゼンから受けると、ここもハズレだったことが改めて分かった。

 得るものこそあったものの2回連続のハズレにライフィセットは落ち込む。

 

「ごめん、僕のせいで」

 

「別にあんたのせいじゃないわ。結果的にオリハルコンが手に入って、あのドラゴンについて知ることが出来たんだし得るものはあったわ」

 

「……」

 

「だから、次こそは当てなさい」

 

「……うん!」

 

 2つ目の地脈点にも喰魔はいなかった。

 オリハルコンの様に目に見える成果も無かったが、それでもここに来たことは無駄ではなかった。




 スキット 振り向けば奴がいる。

アリーシャ「血翅蝶の情報網は凄まじいな」

エレノア「そうですね。私達が監獄島からミッドガンド領に向かうと告げてもいないのに先回りをして……いったいどうなっているのでしょう」

アイゼン「シルフもどきを伝書鳩の様に使っている筈だ……だが、それでもこれだけの情報網は質よりも量、大勢の人間が情報を行き来させて手に入れている」

ロクロウ「そうなってくるとアレが出てくるな」

ライフィセット「あれ?」

ロクロウ「オレ達の中に血翅蝶に情報を流しているスパイが居るかもしれん!」

エレノア「なっ!?」

アリーシャ「待て、幾らなんでも話が飛躍しすぎている!!」

ロクロウ「けどよ、俺達が秘密にしている色々な情報を持ってるんだぜ」

アイゼン「確かに、オレ達が誰かに喋ったわけではない情報を持っているな……」

エレノア「言っておきますが、私はそんな事をしてませんよ」

アイゼン「安心しろ、エレノアは絶対に無い。話してすらいないのだからな」

エレノア「……素直に喜べませんね」

ロクロウ「じゃあ、アメッカか?」

アリーシャ「じゃあとはなんだ。私が情報を売ると思っているのか!?」

ロクロウ「いや、こう言うのは意外な人物が犯人だってのがパターンだ」

エレノア「そういうのはフィクションでの話で、現実は違います!」

アリーシャ「やめよう。こんな話をすれば、私達の関係に大きな溝が出来る」

ロクロウ「冗談だ……もしスパイが居れば問答無用で斬って自白させればいいんだからな」

アリーシャ「それもそれで、問題アリだ!」

アイゼン「ロクロウはともかく、血翅蝶の情報網は本物だ。何処に血翅蝶が紛れ込んでいるかが分からない……だが、それでも流出するのがおかしな情報も幾つかがある。何処に目が耳があるか分からないから用心するに越したことはない」

アリーシャ「だが、実際の出所は何処なのだろう?」

アイゼン「それは……わからん」

ビエンフー「……ビエ……」

スキット エゴサーチ

かめにん「毎度ありーっす!」

ゴンベエ「まさかオリハルコンの粒がこんな所で役立つとは……」

ライフィセット「ゴンベエ、なにをしてたの」

ゴンベエ「ん……なんでもねえぞ」

ライフィセット「なんでもないって、さっきかめにんからなにかを受け取ってたよね?」

ゴンベエ「見ていたのか……まぁ、気にするな」

ライフィセット「そういわれると、逆に気になるよ」

エレノア「なにを騒いでるのですか?」

ライフィセット「ゴンベエがかめにんからなにかを受け取ってたんだ」

ゴンベエ「あんま見ない方がいいものだ」

エレノア「見ない方がいいもの……まさか、エッチな本じゃありませんよね!」

ゴンベエ「バカか!普段からベルベットのありがたい姿を見ているんだぞ!写真がなくて絵が限界なこの国のエロ本で燃焼出来るか!!」

アリーシャ「なにか不謹慎な会話が聞こえたが……ゴンベエ、ベルベットのなにを見てるんだ!!」

ゴンベエ「ベルベットの全てだと思うぞ」

ベルベット「あんたねぇ……まぁ、いいわ。それでなにを受け取ってのよ?エロ本だったら燃やすわよ。あんたを」

ゴンベエ「情報だよ、情報」

ライフィセット「情報?……喰魔、じゃないよね」

ゴンベエ「オレ達の情報だよ、所謂エゴサーチだ」

エレノア「何故今更その様な事を?」

ゴンベエ「お前達、立ち寄る村でオレ達の事が噂されてるのを知ってると思うがどんな噂だ?」

ライフィセット「……目が3つあって、角が生えていて身長は3メートルを越えてて……」

アリーシャ「誰かが該当しているわけじゃないな」

ベルベット「別に噂話なんてどうだっていいわ」

エレノア「むしろ正確でない分、私達が動きやすいです」

ゴンベエ「それはあくまでも一般人の噂話でちゃんとしたところにはどういう感じで噂話が出回ってるか謎だろ……相手側からオレ達がどういう感じのイメージをされてるのか気になったんだ」

アリーシャ「そういえば、実際に情報を持っている所がどう見ているかは知らない……この国にはカメラが無いが、正確な容姿を書き取られて手配書を出されれば一貫のおしまいだ」

アイゼン「話は聞かせてもらった!なにやら、面白そうな話をしているようだな」

ライフィセット「アイゼン、聞いてたの?」

アイゼン「ああ……世間でなく情報をしっかり持っている所がどう思っているのか、それはオレ達も気になる事だ。特にお前等を乗せてからアイフリード海賊団が軟派になったと一部の海賊達から言われるようにもなっている」

エレノア「海賊に硬派も軟派もあるのですか?」

アイゼン「当たり前だ!海賊の中の海賊!聞けば泣く子も黙るがアイフリード海賊団だぞ。そのイメージが今どうなっているのか、一般人の噂はまだしもちゃんとしたところがどう思っているかは今後に関わる!」

ライフィセット「僕達、周りにどう思われてるんだろう……なんて書いてあるの?」

ゴンベエ「……あ、オレ、この国の字が読めなかった」

アリーシャ「いい加減に読めるように勉強しないのか?」

ロクロウ「だったら、俺が読んでやるよ!!」

マギルゥ「さーて、鬼が出るか蛇が出るか」

ロクロウ「先ずは、ベルベット……おっぱい!痴女!適当に選んであの格好は狙ってる!」

ベルベット「はぁ!?」

ロクロウ「エレノア、裏切り者、尻、三角フラスコ体型!!」

エレノア「ロクロウ、それをちょっと貸しなさい!!そんなふざけたことが書いている訳が……嘘、そんな!?」

ライフィセット「ほ、ホントに書いてたの!?」

マギルゥ「どうやらガセを掴まされたらしいの……因みにじゃが、ワシはどうなっておる?」

ロクロウ「ええっと……なんだこれ?」

アリーシャ「今度はなにが書いてあるんだ……」

ロクロウ「えっと……wんんwワキガで臭そうな奇抜な格好のBBAはありえませぬぞw……なんだこれ?」

マギルゥ「誰がワキガじゃ!!ちゃんと毎日洗っておってフローラルな香りがするわい!!」

ロクロウ「アメッカは太ももと絶対領域……なんかよく分からねえな」

ゴンベエ「待て待て待て、オレの買った情報そんななのか!?」

ロクロウ「ライフィセットは……両性類、履いてないけど付いてる」

ライフィセット「……どういう意味?」

マギルゥ「それはの」

エレノア「知らなくていいことです!!」

ゴンベエ「理解しているお前は結構むっつりだな」

ロクロウ「俺は奇抜な格好、ランゲツ流の使い手、珍しい人の姿を極力維持している業魔……ぐらいだな」

アイゼン「オレの情報はどうなっている?」

ロクロウ「アイゼンは……結構多いな。死神、アイフリード海賊団の副長、船長代理、地の聖隷」

ベルベット「なんであんた達の情報はしっかりとあるのに、私達はこんな変なのよ!」

ゴンベエ「ベルベットは格好を改めれば改善できるだろう」

アリーシャ「既に資源と資金が潤ってるのにいったい何時までその格好を……色々と目に毒だ」

ベルベット「仕方ないじゃない。監獄島に服屋があるわけでもないし、別に欲しいかと言われてもそこまでのものだし……あんたの情報は?」

ロクロウ「ゴンベエの情報は……無い!」

ベルベット「どういうこと……まさか、あんた自分だけ買ってないんじゃ」

ゴンベエ「いや、一応は買った……が、どうやら向こうもオレとアメッカの事だけは分かってないようだな」

マギルゥ「如何に聖寮や血翅蝶がが大きくても異大陸にまでは手が届いておらんというわけか……」

アリーシャ「……探しても見つかる筈がない」

ゴンベエ「にしても、結構ハズレな情報を売り付けやがって……知りたきゃ自分達の口で聞けってか」
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