テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

112 / 229
いやぁ、オリンピックでスレイのテーマが流れるとは思いもしなかった


美しくも醜い花

「寂れている……」

 

 ベルベットに続く様に後を追い掛けてアバルの村に戻ると寂れていた。

 数年間、人の手が加わっていないのがよく分かる。蜘蛛の巣とか普通に家にあるからな

 

「無い……あの本だけ無いわ」

 

 ベルベットの家に足を運び、本棚を漁る。

 オレはこの国の文字が読めないので傍観しているのだが、どうやらカノヌシの事が書かれた本だけは抜かれているようだ。

 

「あのオルトロスをここに配置した際に回収したんじゃねえの?」

 

「でも、それだったら夢の世界にあるのはおかしいよ」

 

 いや、夢だからなんでもありだろう。

 ライフィセットは真剣に本棚以外を探してはみるものの一向に見つからず、全員が協力して家中を全部探すのだが出てこなかった。

 やっぱりあのオルトロスを配置した時に回収していた可能性が高いな……。

 

「無い……」

 

「当然か……奴が見落とす筈は無いわ」

 

 元から無くて当然な物だがカノヌシに繋がる大事な物。

 無かった時のショックは大きくライフィセットはしょんぼりとしている。気にするなとは言いたいが、カノヌシの事がハッキリと分かる大事な代物だったので簡単に言ってはいけない……どうしたものか。

 カノヌシって一応は神仏の類でこの世界で重要な役割をしているからぶっ殺すことが出来ないんだよな。どれだけ強いかは知らねえけど、転生特典とか無しでもアルトリウスを相手に片手間で倒せるぐらいには強いから大丈夫とは思うけど。

 

 色々と探してはみるものの弟のラフィが書いた地図や読んでいた本、ベルベットの網掛けのセーター等が見つかって色々とベルベットが感傷に浸りはしたものの目当ての物は一向に見つからない。

 

「ごめん……僕が見失っていなかったら」

 

「お前が手にしていたのは夢の世界の物だから仕方ない」

 

 そう、これは仕方がないことだ。

 ライフィセットになんで見てはいなかったんだと攻めることは出来ない。何もせずに傍観者に徹していたのならば尚更だ。

 

「……お墓?」

 

 オレの言葉で気を取り直すライフィセット。

 ベルベットの家を出ると直ぐ側にお墓があることに気付く……誰のお墓かはなんとなく予測が出来る。

 

「このお墓はね、私の姉さんと姉さんのお腹にいた生まれる筈だった甥っ子のお墓なのよ。業魔に殺されたわ」

 

「業魔に?アルトリウスは側には居なかったのか?」

 

 アルトリウスとベルベットの関係は義兄妹。ベルベットの姉と婚姻関係に当たる。

 姉が妊娠していてピンチならば普通は夫であるアルトリウスが側に居るはずだが……

 

「その時は偶然に居なかったのよ」

 

「偶然にね……」

 

 妊娠をしていたのならば身動きはまともに取れない。人里離れた特徴の無いのどかな村で、アルトリウスが側に居るのならば憑魔ぐらいはどうにか出来るはず……いや、これ以上は考えるのはやめておこう。

 

「折角だから墓参りをしておこうぜ」

 

 もうこの人の知るベルベットは何処にもいない。だが、それでも挨拶ぐらいはしておかないとバチが当たる。

 この国の正しい墓参りは知らないが、地獄で墓参りはどうするか教わったのでそのやり方でさせてもらう……本当だったら、オレは墓参りをする側じゃなくてされる側なんだよな。

 

「そう、ね」

 

 何時もならばそんな事をしている場合じゃないとベルベットは言うけれど、今回は乗り気だ。

 と言うよりはどうすればいいのか戸惑っている感じで……これまた時間が必要な雰囲気を醸し出している。

 

「僕、お墓に添える花を摘んでくる」

 

「あ、じゃあ菊の花にしてくれ」

 

 チューリップとかそういうのじゃなくて墓参りには菊の花が定番だ。

 ライフィセットが花を摘んでくるのならばオレはありがたいお経を──っ!

 

「食すために」

 

「デラックスボンバー!」

 

「ぬぅ!」

 

 なに、避けただと!

 何処からともなく現れたクソジジイもといメルキオルに向かって開幕ぶっぱのデラボンを撃ったのだが、真横に避けられる。

 放てば確実に決まるというのに遂に避けられるとは……相手もそれだけ学習をしてくるというわけか。

 

「貴様は相変わらずだな」

 

「お前とオレ達は敵で、お前にだけなにか特別な理由は無いだろ?」

 

 話を聞こうとしないオレに呆れるメルキオル。

 こいつだけは違う。シグレはロクロウが、アルトリウスはベルベットが殺る予定だが、こいつにはなんの縛りもない。傍観者に徹してはいるがムカつく存在には変わりはないので一発お見舞いしてやろうと思ったのに……っち。

 

「テメエ、今何を言おうとした?」

 

「食すために摘むのならばまだしもなんの関係も無い花を添える為だけに摘むとはな、生贄にすらならない無駄で残酷な行為だ」

 

「……また随分とくだらない話をしたもんだな」

 

 オレ達の行為を見て呆れてはいるがオレからすればこのジジイの言っている事の方が呆れてものも言えない。

 

「確かに無関係な花を摘むのは残酷だ。それを行う人間は阿呆だが、花とて残酷で愚かな存在だ」

 

「ほぅ、何故そう言える?」

 

「決まっているだろう。花だって土から栄養を奪っている存在だからだ」

 

 綺麗で美しいかもしれない花だがそのあり方は醜いものだ。

 土にある栄養や水分を奪って成長していき花を咲かせる。美しいものの裏では醜いことが繰り広げられている。

 

「なにかを得るにはなにかを失い、弱き者が虐げられ強き者が愉悦に走り、この世には正すことの出来ない理不尽に溢れている」

 

 世の中本当に理不尽だらけだ。

 オレなんてブレーキとアクセルを間違えたジジイに殺されたんだから、本当にクソみたいだ。

 

「その理不尽を正すべく我々が居るのだ」

 

「その為に少数の人間に犠牲になってもらうだろ……それじゃあ今までとやっていることは変わりはねえ」

 

 ただ犠牲の数が少ないだけで、犠牲者が出ている。

 世界を救うだなんだと言っている組織が無理だとしても犠牲を出さないでもらいたいもんだ……まぁ、無理だろうけど。

 

「相変わらずじゃのう……」

 

「くだらないせっぱさもそんは置いといて、今更なんの用事だ?今回の一連の騒動の犯人さんよ」

 

 禅問答はするつもりはない。

 今回ベルベットに達の悪い夢を見せたのはこのクソジジイで、ベルベットに夢が見破られたのならばもう用事は済んでいる。

 

「なに、よくあの術をお前の助力無しで抜け出したとな……喰魔でなければ我が後継者にしたいところだ」

 

「冗談は顔だけにしなさい……わざわざ褒めに来たの?」

 

「そうだ。この本を回収しに来たついでにな」

 

「!」

 

 本をこれでもかと見せつけるメルキオルのクソジジイ。

 それこそがオレ達が探していたカノヌシに関する本で……どうやら先回りして回収をされていた。

 

「返してもらうわよ」

 

「これはアルトリウスの師で我が友である先代筆頭対魔士が記した。身を捨てて世を憂いた高潔な魂が残した希望だ。穢れた業魔が触れていいものではない」

 

「ふざけるな!ベルベットがこうなったのも全てアルトリウスが弟のラフィを殺して村を滅ぼしたからだろう!」

 

「アメッカ……」

 

 メルキオルのクソジジイの物言いにキレるアリーシャ。それもそうだ。

 ついさっきまでベルベットの本来の姿を見ていて、それを世界と引き換えにアルトリウスが奪った。ベルベットが穢れた原因は大本を辿ればアルトリウスが原因でベルベット自身は本当は心優しい女性だ。

 

「なにも知らぬ部外者の小娘が」

 

「確かに私はなにも知らないしベルベットの痛みを本当に理解できない小娘かもしれない……だが、それでも見てみぬ振りは出来ない!」

 

「アメッカ、お前がどうこう出来る相手じゃ」

 

「いや、出来る!」

 

 この場で一番弱いアリーシャだが今はカッとなっている。

 アリーシャの為に作られた槍は普段はうんともすんとも言わないが、こういう時には必ずと言って力を貸し与えている。

 現に今も紫色に怪しく光る槍はアリーシャを包んでおりアリーシャに力を与えている。メルキオルに届きうる一撃だろう。

 

千峰塵(ちほうじん)

 

 秋沙雨という技と似たような技で高速で何度も何度も突こうとするアリーシャ。

 突く度に炎、水、風、闇と色々な属性を纏っており、あれならばメルキオルにダメージを与える。

 

「っな!?」

 

「どっから出てきた!」

 

 そう思っていた矢先、何処からともなく現れた化物もとい憑魔。

 メルキオルを庇う様に現れて槍の棒の部分を掴んでアリーシャの攻撃を防いだ。

 

「……お前、まさか」

 

「ほう、珍しく従ったな」

 

「一筋縄じゃいかないか……ここで殺してやろうか?」

 

 伊達に歳は食ってはいない。万が一に備えている。

 いい加減、このクソジジイには飽き飽きしている。傍観者を気取っているのもいいが、一発ぐらいはお見舞いしてやりたい気持ちがある。

 

「そう焦らずとも間もなく我々の秩序が完成する」

 

「ふざけるな。人の意思を無くしてなんの秩序だ、意思があってその思いが混ざり一つの方向に固まるのが秩序でお前等のは圧政だ」

 

 こいつらがやろうとしていることはなんとなく知っている。

 人が人らしく生きていくことのできない世界になんの秩序がある。それじゃあロボットとなにも変わらない。

 

「貴様、何処まで知っている!」

 

 オレの言葉に反応するクソジジイ。

 やっぱりオレの予想通りの事を企んでいる。ホントロクでもないジジイだ。

 

「大体は知っている……お前達の負けで終わるってこともな」

 

「ゴンベエ、それは……」

 

「お前は黙っとけ」

 

 メタい話をすればこいつらは負けて歴史の闇に葬られる存在だ。だったらここでカマを掛けてやるのも1つの手だ。

 

「対魔士達から意思を抑制されている聖隷を解放するといい穢れを撃ち祓うといい、貴様はここで放置はしておけん」

 

 そう言うと姿を消すメルキオルのクソジジイ。

 一緒に連れていた憑魔までもが姿を消しているからお得意の幻術かなにかだろう。

 

「ゴンベエ」

 

「必要ねえ」

 

 幻術で姿を消しているので真実のみを見通すまことのメガネを渡そうとするライフィセット。

 そんな物はオレには必要はない……んな物が無くても、この程度の相手だったら余裕でどうにかなる。

 

「魔神剣」

 

 金剛の剣を取り出し、片手で持ってアリーシャがやっていた技を真似してなにも無いところに衝撃波を飛ばし

 

「交牙!」

 

 その衝撃波を出す剣を相手を直接切る。

 なにも無いところに向かって斬り込んだオレの剣はなにか斬ったという感覚を得ており、なにもないところから大量の血液が流れ落ちる。

 

「貴様、何故……その虫眼鏡を通していないというのに」

 

「ぐぉおおおう」

 

「お前はやらねえよ」

 

 腕を斬られた事で姿を表したメルキオルのクソジジイ。

 オレの背後にはメルキオルのクソジジイが用意した憑魔が殴りかかってきたが、こいつには用事がねえからヒラリと回避する。

 

「テメエ等、常に自分達が上位にいる存在だと思っているがそれこそ大間違いだ……オレはその気になればテメエ等なんぞ殺せるんだよ」

 

 クワッと目を見開いて傷口を治すメルキオル。

 完全に自分達が優位に立っていると思っているので一応の忠告はしておく。ヘルダルフといいこのジジイと言い、どうして自分達が有利だと思っている。言っとくがオレは転生者の中でも上位に位置する実力を持っているんだ。現地の人間なんぞ片手間で倒せる。

 

「見届ける者として見届けているがムカついているだけじゃねえんだ、よぉ!」

 

 あくまでオレはこの時代の人間じゃない。ある程度の理不尽は受け入れているがそれでもなにも思わないわけじゃない。

 コイツを今ここで殺すことは可能だが、それは何時でも可能で今やるべきはそれじゃない。

 

「コイツはいただいて……あ!」

 

「貴様!なんということを」

 

「るせえ、オレだって予想外だ!」

 

 余計な一撃を加えてしまったのが仇となった。

 メルキオルのジジイから噴出している血液が本にベッタリとついてしまいページが赤く染まっている。

 

「血で濡れていようが、手に入れた物が勝ちだ」

 

 この本を奪われるわけにはいかない。

 直ぐにメルキオルとメルキオルが従えている憑魔と距離を取るとメルキオルのクソジジイはオレを睨みつけるがなにもしてこない。文字通り手痛い目にあっておりこれ以上なにかをすればオレに殺されると思いまたまた透明化する……いや、違う。転移だ。

 

「我等が希望、草花の如く美しい秩序の完成を見ておくがいい」

 

「笑わせるな!花は美しいがそれと同時に醜いものだ……お前達がやろうとしているのはそれ以下だ」

 

 人が人らしく生きれない抑制する世界なんぞ自己満足(エゴ)でしかない。

 痛みもあって喜びもあってこその人間……ただ野に咲く花のようになっていては家畜以下に墜ちる。

 

「ったく……」

 

「落ち着きなさいよ」

 

「あ〜……すまん。色々とムカつく事を言いまくってたし、お前に酷い事をしたから、ついな」

 

 メルキオルのクソジジイが去って少しだけ頭が冷えた。

 氷のような冷静さを持っていなければならないのについカッとしてしまった。老害を見るとついついカッとなってしまうのはオレの悪い癖だ……オレを殺したのがブレーキとアクセルを踏み間違えた老害だからだろう。

 

「別に、私の事は気にしなくていいわよ……あんたは私の命令通りに動けばいいわ」

 

「そうは言うがな……オレだって怒りたい気持ちはあるんだ。お前やお前の弟が犠牲になって世界は比較的増しな方向に向かっていっている。少ない犠牲で多くの人を救うのは救世主の役目かもしれんけど……こんなのを見せられてなにも思わないほどオレは冷徹じゃない」

 

 基本的には周りの事とかどうでもいいとは思ってはいるが、なにも思わないわけじゃない。

 こんな事をしないと救えない理不尽な世界は嫌いだと思うし、心の中で悲しんだり泣いているベルベットを見捨てられない。

 

「……これは私の戦いよ。あんたがそんなことを思わなくていいわ」

 

「部外者なのは分かっているっと……悪いな……ライフィセット、読めるか?」

 

 メルキオルのクソジジイが完全に去ったのでとりあえずは謝る。

 本のページが血の色に染まっており、中身も血が染み付いてはいるが読めなくはない。

 

「……大事なページが血に染まってる」

 

「アイゼン、なんかこう、血を抜く天族の術的なの無いか?」

 

「そんなのはない……お前の方こそそういう技術は無いのか」

 

「無理だな」

 

 しかしやべえな。折角手に入れた本が血で染まってしまっている。

 

「……無いものはしょうがないわ。喰魔を回収した以上はここに要は無いわ。行くわよ」

 

「あ、はい……すみません」

 

「……ん?これはなんだ?」

 

 申し訳無い気持ちになっていると村のベンチになにか置かれている事にアリーシャは気付く。

 なにかと目を向けると本で、カノヌシの事が描かれており、その事に気付いたライフィセットはアリーシャから本を取る。

 

「これ、カノヌシの本だよ!」

 

「あ、これってもう一冊あったのか?」

 

 ペラペラと本のページを捲るライフィセット。

 オレの持っている血に染まった本と同じことが書かれており、王都の離宮でパクってきた古文書の事を考えるともう一冊あってもおかしくはない。

 

「違う……」

 

「違うって、これはどう見てもカノヌシの古文書のようだが」

 

「これ、ラフィが書き写した写本よ……あの子、これを売って私に櫛を……」

 

 こんなところで弟が力を貸してくれるとは運命みたいなものを感じるな。

 ライフィセットは続きのページを捲ると最後まで書かれている事を確認して本を閉じる。

 

「よかった……希望はまだ潰えてない」

 

 オレのせいでカノヌシの本が台無しになったらヤバかった。

 カノヌシの古文書を手に入れて喰魔を保護する事に成功したので結果的には今回は得るものが大きかった。とはいえここにこれ以上いればただでさえ精神的に疲れているベルベットの心が癒やされないのでこの場を後にして港に向かう。

 

「……」

 

「どうしたアイゼン……難しそうな顔をして、あの憑魔に心当たりがあるのか?」

 

 来た道を戻る道中、アイゼンは気難しい顔をする。メルキオルに従っていた憑魔を見てなにかを感じていたが知り合いか誰かだろうか?

 

「……何故メルキオルのジジイがここにいた?」

 

「何故って、メルキオルはカノヌシの事が書かれていた古文書を回収しに来たと本人が言っていたじゃないか」

 

 メルキオルがここにいたことを疑問に思うアイゼン。

 メルキオル自身がこの場に居た理由を語ってくれたとアリーシャは言うがそうじゃない。

 

「明らかにメルキオルのジジイはベルベットを待ち構えていた……オレ達が此処に来るのを知っていたからこそあの夢を見せることは出来た……エレノア、お前は」

 

「待ってください。私を疑っているのですか?」

 

「メルキオルのジジイと連絡を取れるのはお前ぐらいだ」

 

 チラリとオレを見るんじゃねえ。しかしアイゼンの疑問は最もだ。

 ベルベット達が何時かは此処にやって来るのは分かっているが、常時あんな術を使えるとは思えない。ベルベット達がやってくると分かったから質の悪い夢を見せて迎え撃つ事が出来る……オレ達の行動は聖寮に筒抜けで、それは非常にまずい。

 残す喰魔も僅かとなっており、聖寮が迎え撃つ事ができて数では劣るオレ達が……あ、でもオレが居るからその辺りの心配は無いのか。

 

「待って、エレノアはそんな事はしないよ!」

 

「そうです……大体、どうやってメルキオル様と連絡を取っているのですか?通信術を私は使えませんので、私達が現地に到着するよりも前に手紙を送って此処に来てくださいと言わなければなりませんよ」

 

 疑われるエレノアは真っ当な正論をぶつける。

 メルキオルや聖寮に情報を流すには手紙ぐらいしかなく、メルキオル達が手紙を使って情報のやり取りをするならばオレ達が地脈点を見つけそこに向かって出発するまでの間に手紙を送って、オレ達が現地に辿り着く前に先回りをしなければならない。

 この時代の他の船はどうなっているかは知らないが、少なくともアイフリード海賊団よりも早く辿り着ける奴等は早々にいない……地脈点を見つけてから約一日ぐらいの間があったが、その間に手紙を届けたとは思えない。

 

「それこそ一瞬で遠くに声を届ける道具が……ゴンベエ!」

 

「待て待て……聖寮があれ等を作れているのならとっくの昔にオレ達は詰んでるだろうし実用化されているだろう」

 

 携帯を作ることが出来ない文明が未発達な国だからこそ、オレにこんな転生特典を与えられている。

 電話の技術があるならば今頃オレ達の人相が世界中にバラ撒かれているはずだ……てか、なんで聖寮は人相書きをしてバラ撒かないんだ?アルトリウスとシグレはベルベットとロクロウの顔をハッキリと知っているのに……まさか、泳がされているのか?

 

「待ってくれ、ゴンベエは無実だ……確かに税金は未納で脱税をしていたが」

 

「おいそれ今言うことか」

 

 明らかに狙って言ってるんじゃねえよ。保険とか適用しなさそうだし、首都に住んでいないからセーフだと払っていなかったからな。

 

「皆、誰かを疑うのはやめようよ……ここまで一緒に旅をしてきた仲間達でしょ!」

 

「……」

 

 おい、そこで黙りするんじゃない……だけど、アイゼンが疑うのは無理もない。明らかに情報が流れているのは確かだ。

 

「裏切り者が誰かよりも裏切り者がいても問題が無いようにしようよ」

 

「……そうだな。すまん、疑ってしまって」

 

「いえ……状況的に考えて疑うのは当然の事です」

 

 なんか凄くギクシャクしながらも、オレ達は来た道を戻っていく。




スキット 変態喪女(紳士淑女)の嗜み

???「さぁさぁ、やって参りましたサブイベント!なんだかシリアスな空気が続いていますね、アリーシャさん!」

アリーシャ「え、あの、私はアメッカでアリーシャという人間では」

???「え?貴女はアリーシャ……おっと、それは本来の時間軸でしたね」

アリーシャ「?」

???「皆さん、なんだか暗そうな表情をしていますが大丈夫ですか?」

アリーシャ「夢とはいえあんな物を見せられて心の傷を的確に抉られたとなれば暗くなってしまう」

???「そうですね……心の傷と言うのは体の傷と違って癒やしにくいですからね」

アリーシャ「それは分かっている……だが、あの暗い表情のベルベットは見ていられない」

???「ならばパーッとしましょう!」

アリーシャ「パーッと?」

???「肩に重いものがついているんですから少しぐらいは羽根を伸ばさないと……あ、でもおっぱいは取り外しが出来ませんね」

アリーシャ「なにを言っているんだ!?」

???「おっぱいの話に決まっているじゃないですか。なんですかあの谷間は!名刺かチ□コ挟むのに使うんですか!」

アリーシャ「ちん……っ……」

???「まぁ、顔を真っ赤にして恥ずかしがって……貴女のおっぱいは飾りなんですか!」

アリーシャ「揉まないでくれ!……それよりもパーッとか……ベルベットは騒がしいのが好きじゃなさそうだし、どうすれば」

???「騒ぐのがパーっとすることじゃありませんよ。ゆっくりとリラクゼーションするのもパーっとすることの1つです」

アリーシャ「ゆっくりと……ゴンベエに演奏は、してもらったばかりだし……」

???「買い物とか髪を切ったりとか服を変えたりとか気分転換は色々とありますよ」

アリーシャ「そういう手もあるのか……」

???「ということで次回はデート導入回です」

アリーシャ「……!?」

???「次回、姫騎士アリーシャと導かれし愚者達その4前編……さぁ、貴女の真のヒロイン力が今試されます!」

アリーシャ「私の、ヒロイン力が……」

???「あ、それは次の次でした」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。