テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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襲いかかる敵の波

「ふぅ〜……」

 

 監獄島が目で見えるところにまで近付いてきた。

 島に辿り着けば即座に戦闘は開始されるものだと思わなければならない……ベルベットからもマジで殺れとの命令があった。

 オレとアリーシャはこの時代の人間じゃないし、ベルベット達は己の信念で戦ったりしているから空気を読んで真面目に戦うことはしなかった。

 

「緊張しているのか?」

 

「まさか……そんな重圧(プレッシャー)は一切無い」

 

 これから大きな戦いがはじまるのでアリーシャは心配をするが、そんな重圧なんて無い。

 戦いは何処まで行っても戦いであることには変わりはない。オレは何時も通りにしている……

 

「結局、お前はまだ戦えないままだな」

 

「……すまない……」

 

 アリーシャは日々のたゆまぬ努力と新しい槍によるドーピングでパワーアップを果たしている。

 だが、まだ戦うことが出来ない。ベルベットの様に新しい力を使いこなす事が出来ていない。最後のナニかが足りない。こればかりは本当にどうすることも出来ない。

 

「……ゴンベエはこの戦いをどう思っているんだ?」

 

「戦いは何処まで行っても戦いだ……醜い骨肉の争いである事には変わりはねえ」

 

「負の連鎖は続いてしまっている。いったい、どうすればいいんだ」

 

「それは誰かに答えを聞くもんじゃねえよ」

 

 憎しみを抱くのも耐え抜くのも人次第だ。

 だから考える……考えることはホントに大事だ……マジでめんどくせえけど

 

「アレはオルとロス!」

 

「グリモア姐さんもおるぞ!」

 

 アリーシャとの会話が終わった頃に、もうすぐ港に到着というところでベルベットとマギルゥは気付く。

 聖寮の対魔士2人に追い詰められている。オルとロスはともかくグリモワールがまともに戦えるわけないのでベルベットにアイコンタクトを取るとベルベットは頷いて船の上から跳んでいく。

 

「あんた達の狙いは私でしょう!!」

 

「大丈夫か、グリモワール」

 

 船着き場に跳んだオレとベルベット。対魔士達は武器をオレ達に向ける。

 

「来たか、災禍の顕主!そしてその右腕!」

 

「またそれ?大層な名前ね」

 

 つか、オレは何時の間にか右腕扱いになってるんだな。

 

「名付けたのは貴様が傷つけた人々だ、己が罪の重さを知るが……いや、その身に刻んでやる!!」

 

「我等が意思の翼を見よ!!」

 

 オレ達を見ても全く動じる事はしない。

 自分達が正義の味方になっている事に酔いしれてる……いやまぁ、オレ達は現状悪人だから間違いはないが……意思の翼ね。

 

「っと、ベルベット下がってろ。アレは相性が悪い」

 

 オスカーの時の様に眩く光り出す2人の対魔士。1人は青色の弓を、もう1人は若干黄色い手の形にも見えなくもない岩を腕の付近にある。

 コレは見たことがある。水の天族のミクリオとの神依と地の天族のエドナとの神依、水属性と地属性の神依だ。

 相手がオスカークラスでないし地属性の神依ならベルベットが相手に出来るだろうが、弓矢を用いての中遠距離の戦闘スタイルの水属性の神依は相性が最悪だ。

 

「任せたわ」

 

 ベルベットはオレに任せてくれた。オレは自分の指を動かす。

 アリーシャの槍とベルベットの剣を作る為に酷使した手は完治した……手からなにかを放つとかの攻撃じゃない、手で武器を持った攻撃をする事が出来る。直ぐ後ろには非戦闘員のグリモワールがいるので派手な技は出来ない。

 

「貴様の首は貰った!」

 

「お前になんぞくれてやらねえよ」

 

 地属性の神依をしている対魔士はオレに殴りかかる。

 向こうが殴ってくるのならばコチラも殴り返さなければならないとハイラルの盾を手に持つ

 

「王家の盾!!」

 

 盾を手にして岩の拳を殴り付けると岩の拳は粉々に砕け散る。

 岩の拳が砕け散っただけで神依を使っている対魔士にはダメージは無い……なら、更に強い技を使うだけだ。体に力を入れて気を集中して巨大な魔神を背中から出す

 

「王者の盾!!」

 

 背中の魔神を動かし、魔神の持つ巨大な盾で地属性の神依の対魔士をぶっ飛ばす。

 

「隙を見せたな!」

 

「見せてねえよ」

 

 大振りの攻撃をしたものの、そんなものは見せていない。

 オレ達から少しだけ距離を取った水属性の神依の対魔士は弓を引くと水の矢が飛んできた……スレイが使っていたから、知っている。この矢は敵に向かって追尾する面倒な機能を持っている

 

「ネールの愛」

 

 まぁ、だからといってそれがどうしたというわけではない。

 エネルギーを用いての攻撃ならば回転しながらのネールの愛を使えば簡単にカウンターを決めれる。飛んできた水の矢に合わせてネールの愛でカウンターを決めると矢は飛んできた方向とは真逆の、撃った対魔士に向かって飛んでいき貫かれる

 

「ウォーミングアップにすらならねえな」

 

「ぐ……ううう……」

 

「殺す……殺さなきゃ!!」

 

 神依を解除していないとはいえ虫の息の2人の対魔士。

 ベルベットは狂気に駆られるかの様に左腕を喰魔化させて襲いかかろうとする。

 

「がぁあああああ!!」

 

「……自滅したか」

 

 オレやアリーシャの知っている神依とは大きく異なる。

 未完成の神依を制御する事が出来ない対魔士は形を保つことが出来ずに光の粒子となって消え去ってしまった。

 

「メルキオル、なんて術を対魔士達に仕込んでいるのよ」

 

「グリモワール、無事だったか……なんて聞いている場合じゃねえよな」

 

 とりあえず目の前の問題は解決する事が出来た。

 グリモワールの身を心配するが、聞いている場合じゃない。船着き場の端っこまで追い詰められている……こりゃ思ったよりもヤバい状況だな。

 

「私達は無事よ……それよりもあの子の方が」

 

「ちょっと色々とあって揺れてるんだよ」

 

 ベルベットの異変にグリモワールは気付く。

 オスカーとテレサを自分と同じ目に合わせた為に酷く情緒が不安定になってしまっている。

 

「っち、出遅れたか」

 

「遅いぞ、お前等……」

 

 船着き場に辿り着いたバンエルティア号。船からアイゼン達が降りてきた。

 

「見ていました……やはり神依を使ってきましたか」

 

「ワシ達の読み通り、自壊しおったのう」

 

「……聖寮はそれを承知の上で神依を使わせている……」

 

 エレノアは悲しげな顔をする。

 

「まぁ、調べてるんだろうな……正しい神依を」

 

 身を滅ぼす危険な術を使っている……危険だと分かっていても討伐したいから使っていると言うよりは対魔士達を材料に正しい神依を探している。ベルベット達の首を本気で取りたいのならば下手な二流対魔士達を連れて来るよりもメルキオルのクソジジイやシグレが直接乗り込んできた方がいい……そういえばテレサはまだ誰かが居るみたいな事を言っていたが、いったい誰だ。

 

「グリモワール、他はどうしたの?」

 

 不安定だったベルベットは少しだけ安定したのかグリモワールに尋ねる。

 

「分からないわ。いきなり攻め込まれて皆散り散りになっちゃって……電話で連絡する事も出来なかったわ、ごめんなさい」

 

「それを言うならこっちも遅れた。気に病むな。古文書の解読の方はどうなっている?」

 

 アイゼンはカノヌシの古文書の解読の経過について尋ねる。

 

「殆ど終わりかけだけど……最後の方が苦戦してるわ」

 

「あんた達はバンエルティア号に乗りなさい。残りの喰魔達は私達が探すわ」

 

「できるかのう。ゴンベエが居るとはいえ、神依が相手じゃ」

 

「問題ないわ……私にはコレがある」

 

 ベルベットがそう言うと剣を突き立てて炎を纏う。

 オレが与えた炎のメダルと闇のメダルで作った剣で変化できる神依の様な形態に切り替わる。ライラとスレイの神依に劣るどころか下手すりゃ勝ってるパワーアップだ。

 

「っ!?」

 

「ベルベット、なにしてるんだ!?」

 

 剣に炎を纏っているベルベットだったが、左腕の包帯に引火したアリーシャは驚く。

 日常的にこの形態を使いこなしているわけではないのだが、それでも今の今まではアリーシャと違い苦労する事は無く使いこなす事が出来ていたのだが……

 

「ベルベット、そいつは使うな」

 

「なにを言ってるのよ、コレが無いと神依とはまともにやりあえ、っ!!」

 

「使いこなせてないのに大口を叩くんじゃねえ」

 

 ベルベットはメダルで出来た剣の力を使いこなせていない。というか使いこなせなくなっている。

 アリーシャと違って色々と精神が出来上がっている状態だったベルベットだがここに来て精神が大きく揺らいでしまっている。揺るぎない信念的なのを持っていないとあの手の力は使いこなす事が出来ない。

 

「そんなわけが」

 

「体、燃えてるってなんか落としたぞ」

 

 燃え盛るオーラを纏っているのが正しいのに、文字通りベルベットは燃えている。

 自分は大丈夫だと言おうとするベルベットはなにかを落とす……木製の櫛だな。

 

「っ、触らないで!!」

 

 落ちた櫛をライフィセットが拾おうとすると奪うかの様にベルベットは櫛を取った。

 

「……1人で無理をしないで!僕が、みんながいるんだよ!」

 

 なにもかもを背負って1人で事を成し遂げようとするベルベットは見てて痛々しい。

 ライフィセットもそう感じたのかベルベットを見つめる

 

「僕がベルベットを守る」

 

 ひゅー、熱いね……オレじゃ口が裂けても言えないセリフだ。

 

「守る……昔、ラフィも同じ事を言っていたわ」

 

 ライフィセットの真剣な目を見てベルベットは悲しそうな顔をする。

 

「現実はそんなに甘くはない……あの子は死んだ」

 

「ベルベット、ライフィセットは」

 

「いくら誓ったって意味はない!ラフィはあっさりと死んだ……殺された!!」

 

 アリーシャは言葉を投げ掛けようとするがベルベットには届かない。

 

「あんなに私の事を思ってくれたのに……たった1人の弟なのに……胸を貫かれて痛かった筈なのに……」

 

「ベルベット……」

 

「……あんたは自分の心配だけをしていればいいわ」

 

 感傷を終えたベルベットがライフィセットに向けた言葉は冷たかった

 

「これは命令よ」

 

「命……令……」

 

「カノヌシを抑える為には、アルトリウスを殺すためにはあんたが必要なのよ」

 

 ベルベットはそう言うと監獄の入口へと入っていった。

 ライフィセットは俯いている……自分の思いがベルベットには届かなかった事が辛いんだろう……。

 

「ま、思いを伝えるだけじゃダメだ。行動に移さないと……守るなんて発言をしたんだから、それ相応の結果を見せてやれ。今のベルベットは酷くて惨い結果という現実しか見てないんだ……現実には現実で返せ」

 

「!……うん!」

 

 オレなりのフォローは一応は入れておく。

 ああいう感じに頭がガッチガチに固まっている時は言葉よりも行動で示した方がいい。落ち込んでいたライフィセットは気を引き締めて追いかける。とりあえずはグリモワール達が船に乗ったので監獄内を駆け巡る。

 

「い」

 

 予想通りと言うべきか、監獄内には神依を使う対魔士達で溢れている。

 

「た」

 

 持っている武器からして属性は地属性と水属性だ。

 炎属性の神依と風属性の神依はベルベットと相性が悪いから選出されなかった感じだな。

 

「こりゃ確実に捨て駒だな」

 

「捨て駒……神依を完成させる為にですか」

 

「何時もの何処にでも居そうな対魔士が神依を使ってるだけだ。パワーアップこそ果たしているが元が元だけにお前等でもどうこう出来る」

 

「お主、見かけた対魔士をまともに喋らせずに首の骨をボキリと折っておるから説得力に欠けるぞ」

 

「雑魚にいちいち技とか使ってられねえ……」

 

 そう、雑魚だ。

 最初のオスカーの神依は若干の脅威だったが、それだけで後は雑魚だ。神依を使っている対魔士達の基本的なスペックはオスカー以下で神依のパワーも現代で完成されたスレイの方が上だ。

 

「っち、聖隷から意思だけじゃなく形まで奪う術を使いやがって」

 

「まぁ、そう言うな……後々大事な事になるから」

 

 神依が気に食わないアイゼンだが、この神依が無ければ現代までで人間の歴史は滅んでしまう。

 そう考えるとザビーダのジークフリートがメルキオルに読み取られたのは良かった事……いや、この手の問題は考えない方が良いな。そもそもでオレの時間跳躍ってどういう感じなのか理解してないし。

 

「モアナ!!」

 

 手当たり次第、監獄内を走っては未完成の神依を使う対魔士を倒すを繰り返しているとやっとモアナを見つけた。

 モアナだけじゃない。ダイルとクロガネとメディサもいる。無事な姿を見てエレノアは駆け寄る。

 

「うわぁあああん!!怖かった!!」

 

「……もう、大丈夫ですよ」

 

 エレノアに泣きながら抱きつくモアナ

 

「メディサが助けてくれたんだ」

 

「ありがとうございます」

 

「……子供が巻き込まれるのを見たくなかっただけです」

 

 プイッとエレノアと視線を合わせないメディサ。ツンデレだな……っと、そんな場合じゃないな。

 

「クロガネ、モアナ達を守って裏の港に向かって。そこに船があるわ」

 

 後はで、んかとグリフォンか。

 

「承知した……ロクロウ、コレを持っていってくれ」

 

「おぉ!」

 

 クロガネが取り出した太刀を見てロクロウは目を輝かせる……おいおい、マジかよ。

 

「號嵐に打ち勝つ、ただその一心のみを注ぎ込み作り上げたオリハルコンの征嵐だ。これ以上の太刀はない、最高で最硬の太刀だ」

 

「オリハルコンの征嵐……ありがたく使わせてもらうぜ」

 

 ここに来てのロクロウの武器のパワーアップは嬉しい誤算だ。

 ただ油断をする事は出来ない。シグレが強いとかそういうのじゃなくて、まだなんか相手の手のひらの上で踊っているなんとも言えない感覚がある。オレの中の野性的な勘がそう言ってる。

 襲ってくる対魔士達は基本的には雑魚……本質的には災禍の顕主であるベルベットの討伐よりも神依のデータ採取がメイン……だったら、わざわざ監獄に仕掛けてくる必要は無い。もっと場を選ぶことが出来た。そもそもで今までだって襲撃する機会はあった筈だ。

 

「くそ、こんがらがってきた」

 

 目の前に居る敵はただの雑魚だが、真の敵は神仏の類だ。ヘルダルフの時と違ってただただぶっ飛ばせばいいわけじゃない。

 ぶっ飛ばすのは簡単だが問題はそういうことをすると世界の均衡だ調和だ面倒なものが乱れる。

 

「捕まっていなかったわね、王子」

 

 敵をぶっ倒しつつあれこれ考えているとで、んかの元に辿り着いた。

 

「君達、無事だったのか!?」

 

「あの程度の有象無象の雑魚ならどうにでもなる……」

 

「並大抵の対魔士達じゃない、アルトリウスが来ているんだ」

 

「なんですって!?」

 

「……」

 

 ベルベットの討伐にアルトリウスがやってきている……今更だから確実になんか裏があるな。

 

「ベルベット、特攻をかますんじゃねえ。今お前の感情で動いたら全滅する」

 

 アルトリウスが来ている事を知ると感情を高ぶらせるベルベット。

 一度痛い目に遭っているのでアイゼンは止めておく……クライマックス感はねえな。

 

「古文書の解読もあともう少しで出来るらしいし、今じゃないよ」

 

「……分かってるわよ」

 

 口ではそう言うが不服そうにしている。

 とはいえ、火の神依的なのになることが出来ないベルベットが今のまま挑んでもアルトリウスに殺されるだけだ。冗談抜きでカノヌシの対策をしておかなければならない。

 で、んかとグリフォンを見つける事が出来たので後は来た道を戻り、裏口から港に出るだけだ。道中の神依対魔士は殺しても問題は無い相手なので容赦無く殺す。

 

「ったく、歯応えが無い雑魚ばかり寄越しやがって」

 

 首を掴んでボキリと骨を折るだけで死んでしまう。戦いというか最早作業に近い……別に命のやり取りをする相手と燃える死闘を繰り広げたいとは思わないが、こうも作業的だとな。

 

「副長、マズいっす!!バンエルティア号が裏の港に着けてる事がバレて聖寮の船がこっちに向かってきてます!!」

 

 裏の港の出口へと向かうとベンウィックがいた。大慌てで状況を説明してくれる。

 

「直ぐに出航だ!」

 

 ここで争っていても仕方があるまい。

 まだ倒してはいけない相手なのでさっさと船に戻ろうとするが、ベルベットは足を止める。

 

「お前、今の状態でアルトリウスに挑んでもまた返り討ちに合うだけだぞ」

 

 アルトリウスの事が心残りなのだろうが、戦う時と場合を見極めなければこの戦いは勝てない。

 ベルベットは俯いてなにか考え込むのだが考える時間を敵は与えてくれない。

 

「逃がさんぞ、災禍の顕主!!」

 

 裏の港に船があることがバレているので逆説して居場所を割り出した対魔士達3名が襲いかかる。

 

「こりゃ、誰かが足止めしなきゃヤベえか」

 

 別に倒すことが苦じゃない相手だが邪魔な存在であることには変わりはない。

 ベンウィック達が船に乗って出航さえすれば追い付くことは出来ないからその為の時間を稼がないといけない。

 

「ベンウィック、私に構わずさっさと出航しなさい」

 

「バカを言うな!!それだとベルベットはどうするんだ」

 

「コイツ等を誰かが足止めをしておかないとバンエルティア号が狙われるわ」

 

「出航しろ!最悪、ゴンベエがなんとかする」

 

「ったく、オレはドラえもんじゃねえっつうの」

 

 とはいえ船を出航させても問題は無い。

 大翼の唄を吹いて何処か適当な街にワープをすればそれでいいだけだ。

 

「りょ、了解……皆、死ぬなよ」

 

「アメッカ、あんたも行きなさい。ここから先は邪魔でしかないわ」

 

「……同じだ……」

 

「同じ?」

 

「ゴンベエがスレイを逃がす時と同じだ……嫌だ……私はもう、仲間を見捨てたくはない!!」

 

 ヘルダルフとの一件が心に深く残っているアリーシャは引かない。

 ぶっちゃければ引いてほしいがアリーシャは嫌だといえば本当に嫌がるから無理だろう……まぁ、アリーシャの分だけオレがフォローすればいいだけか。アイゼンの命令に従いベンウィックはで、んかと共に監獄の外へと向かう。

 

「ったく、後悔してもしんねえぞ」

 

 最終的に残ったアリーシャだが、相手が神依なので戦力としてカウントする事は出来ない。

 水属性の神依2人に地属性の神依が1人……ったく、こっちのパーティーに弓矢とかを使えるのオレだけなんだぞ。

 

「力技で行くか」

 

 ボウガンを取り出し、矢に炎を纏う

 

決別の一撃(コルポ・ダッティオ)

 

 巨大な炎の塊を纏った矢を放つ。

 水属性の神依の対魔士2人は水の矢を放つのだがその程度の弱々しい水では炎の弾を鎮圧する事が出来るわけもない。水の矢を炎の矢が貫き、水の神依の対魔士2人に命中をすると爆発を巻き起こす。

 

「殺す!」

 

 残すところは1人の地の神依の対魔士にベルベットは左腕を喰魔化させて襲う。

 対魔士は岩の拳で防ぐが、ベルベットは追撃の手を緩めることなく最終的には切り裂いて殺す。

 

「これからどうするの?」

 

 対魔士達は倒すことが出来たが、全滅には至っていない。

 この国と異大陸の最高技術を注ぎ込んで出来たバンエルティア号が聖寮の船に追い付かれる事は先ずないだろうが、誰かがここで殿を務めないといけない。

 

「表の港に行くわよ」

 

「表の港、聖寮の拠点に行くのか!?」

 

 この場のリーダーであるベルベットはとんでもない事を口走りアリーシャは驚く。

 

「お前の特攻には付き合わん」

 

「今の状態でアルトリウスに挑んだところで死ぬだけだ。前回の事を忘れたのか?」

 

「そうだよ!もうすぐ古文書も解読出来るし、今は逃げないと」

 

「別に付き合ってくれなんて言ってないわ」

 

 オレ達はベルベットに止める様に言うがベルベットは殺意に満ちている。

 こういうタイプは言葉で説得するのが難しい……後で滅茶苦茶嫌われるのを覚悟してぶん殴って気絶させるか。

 

「私を利用してくれ」

 

「殿下、船に乗ったのでは!?」

 

 ベルベットを気絶させるかを考えているとで、んかが戻ってきた。

 

「安心してくれ、グリフォンは逃したよ……私を人質にしてくれ。そうすれば時間を稼ぐ事が出来る」

 

「……感謝はしないわよ」

 

「結構だ」

 

「しかし時間を稼ぐのはいいとして、どうやってこの場から脱出をするんじゃ?」

 

「それなら問題はない、ゴンベエのオカリナの曲の中にはワープをする事が出来るものもある」

 

 この時代でそれをやった事はないが、まぁなんとかなるだろう。

 

「表の港へと向かうわよ!」

 

「……」

 

 最悪、ベルベットを気絶させるか……後でボコボコにされるんだろうなぁ。




スキット 偏差値

モアナ「ゴンベエ、遊ぼう!!」

ゴンベエ「今手が離せないから分身を生み出す。ちょっと待ってろ」

メディサ「待ちなさい」

ゴンベエ「んだよ?」

メディサ「貴方に用は無いわ……モアナ、貴女が元気良く遊んでいるいいことだけれど遊んでばかりじゃダメよ。たまには勉強をしなさい」

モアナ「え〜モアナ、勉強は大っ嫌い!!」

メディサ「好き嫌いするんじゃありません!勉強を幼い内にしておかないと後で後悔するわよ」

ゴンベエ「そうだな……40過ぎた辺りから新しい物事を覚えるのに一苦労する」

メディサ「そういう問題じゃない!勉強をしておかないと色々と後で大変な目に遭うわ」

モアナ「モアナ、勉強してなくても全然平気だもん!!」

メディサ「まったく……ライフィセットを少しは見習いなさい」

ベルベット「フィーはフィーで本の虫になってるから心配よ」

ライフィセット「え……大丈夫だよ」

エレノア「全然大丈夫ではありません。ゴンベエの電球で部屋を明るい状態に維持出来るからと言ってずっと本を読んでいい理由にはなりません」

ライフィセット「うっ……ごめんなさい」

ゴンベエ「なんかすまん……しかし、勉強ね……」

ベルベット「この機会にあんたも一度勉強をしなおしたら?この国の文字が一切読めないんでしょう」

ゴンベエ「無理無理オレ、英語もとい外国語の成績中学3年間オール2で通ってた男だ……他所の国の文字は覚えられん!例え覚えれてもところてん形式で頭の中からスパンと出ていく!!英語の時もそうだったから確実にそうなる!」

メディサ「威張って言うことじゃない……待って、貴方学校に通ってたの?」

ゴンベエ「うちの国では9年間は学校で教育を受ける義務があるんだよ……よくよく考えればオレ、このまま行けば中卒で人生終わるな」

エレノア「貴方の国は教育がしっかりとなされているのですね」

ゴンベエ「んな大層なもんじゃねえよ……」

ライフィセット「学校に通うってどんな感じなんだろ?」

ゴンベエ「めんどい」

ベルベット「めんどうって、あんた青春らしい青春はしてないわけ?」

ゴンベエ「しているわけねえだろうが。こちとら無駄な青春を謳歌しようとしてるところでポックリ……って、話が脱線しかけとる。モアナの勉強だ……お前等、学校通った事があるのか?」

エレノア「ありません!」

メディサ「無いわ」

ベルベット「文字の読み書きとか簡単な計算とかは村のお婆さんに教わったわ」

ゴンベエ「そんな感じな社会でよく本とか文字とか出来てるな……アメッカは?」

アリーシャ「私はその……家庭教師に色々と……」

ゴンベエ「ボンボンだな、お前……いや、ボンボンだったな」

メディサ「モアナもたまには勉強をさせないといけないわ。ライフィセット、貴方も一緒にやってくれないかしら?競って教えあう相手がいれば勉強も捗る筈よ」

ライフィセット「それはいいけど……なんの勉強をするの?」

メディサ「そうね……ゴンベエ、貴方教えれるかしら?」

ゴンベエ「オレ、この国の文字も書けなきゃ歴史も知らねえし文系はほぼ全滅に等しいぞ」

エレノア「文系の問題は本などを読ませて学ばせましょう。計算の問題ならば出来る筈です」

ゴンベエ「え〜じゃあ……関数y=$x^{2}$(−2≦x≦1)yの変域について求める問題」

メディサ「……え?」

ゴンベエ「……x=−2の時はy$(−2)^{2}$=4。x=1の時はy=$1^{2}$=1。x=0の時はy=$0^{2}$=0すなわち答えは0≦x≦4」

エレノア「え……ええっと……もう少し、もう少し簡単な問題をお願いします」

ゴンベエ「んだよ、大分楽な方だぞ……$\frac{1}{4}$x−3=4x−8……x−16=16x−32。−15x=−20。x=$\frac{4}{3}$」

ベルベット「……」

ゴンベエ「……3−2×(−5)……」

アリーシャ「えっと……3+10=13、か?」

ゴンベエ「……ベンウィック、パシらせて何処かの教科書買ってきてもらった方がいいな……お〜い、ベンウィック」

メディサ「……なにを言ってるのか分からなかったわ……」

アリーシャ「ゴンベエはああ見えて物凄く頭がいいから……」

エレノア「ええまぁ、分かってはいますよ。普段から見たことのない物を作っていましたし……まさかこれほどまで差があるとは」

ベルベット「……逆よ」

ライフィセット「逆?」

ベルベット「アイツはアメッカと出会う前に色々と修行をしてたのよ。勉強もその内の1つ……だったら私達も今から勉強をすれば追い付けるはずよ」

メディサ「そうね……このまま知識のマウントを取られ続けるのはムカつくわ」

エレノア「そうですね。決してゴンベエよりアホだというのが悔しいわけではありませんが……このままなのもムシャクシャします」

アリーシャ「皆、ゴンベエをなんだと思ってるんだ」

モアナ「モアナの勉強、誰が見てくれるの?」

ベルベット「他人の勉強を見るよりも先ずは自分が出来ないと……ホントにこのままなのはムカつくわ」

ゴンベエ「……別に転生特典とかそういうの一切関係なくこれぐらいなら素で出来るんだけどな……まともに学校に通っていない奴等には算数は出来ても数学は難しかったか……まぁ、社会に出てもほぼ使わねえんだけど」

スキット 珍回答

ベルベット「マイナスの掛け算はマイナスにマイナスを掛ける場合はプラスになる……この前出たのは……」

ロクロウ「本とにらめっこして勉強とは珍しいな」

ライフィセット「この前、ゴンベエの方が物凄く頭がいいって思い知らされたからベルベットやる気になってるんだ」

アイゼン「ゴンベエに対抗しているのか……ゴンベエは未知の技術を知っていて当然の顔でやっている、かなりの難敵だ」

ロクロウ「そうだな。アイツ、変な物ばかり作ったりしてるし……何処で習ったのか。まぁ、勉強にやる気を見せてる事はいい姿勢だ」

アイゼン「そうだな……問題は追いつけるかどうかだが……難しいな」

ロクロウ「挑む壁はデカければデカい程良い。当たって砕けろだ」

ライフィセット「砕けちゃったら駄目だよ!」

ベルベット「そこ、五月蝿い!勉強に集中できないでしょ!……」

ロクロウ「おお、すまんすまん」

ゴンベエ「数学は出来たとしても他の理数系、電子工学とか元素記号とか全滅っぽいんだけどな」

アイゼン「聞いていたのか」

ゴンベエ「いや、見てた……らしくない事をしていて大丈夫かと若干心配になってな……最低限の読み書きと計算が出来ればそれでいいのに」

ライフィセット「もう、ゴンベエが知識でマウントを取るからああなったんだよ!」

ゴンベエ「言い出したのはエレノア達だ……アイゼンとロクロウは勉強しないのか?」

アイゼン「オレは聖隷だ。人間の様に一気に詰め込んでの勉強はせずにゆっくりと好みの知識を蓄えている」

ロクロウ「俺は基本的には斬る事しか考えられんから勉強なんて無駄だ!仮に学生だったとしても勉強よりも部活動に力を入れまくる!」

ゴンベエ「威張って言うことかよ……しかしああやって勉強してる姿を見ると昔を思い出す。テスト前とか一夜漬けで仕込んだもんだ」

ライフィセット「どんな感じのテストが出たの?」

ゴンベエ「普通のテストだよ……有機物をなるべく書きなさいって問題で解答欄に出来る限り有機物って書いたりしたアホが居たな」

ロクロウ「有機物?」

ゴンベエ「他にも【先生が来る】を敬語にしろって問題で先生が降臨するとかあったし」

ライフィセット「くすっ、なにそれ面白い」

ゴンベエ「他にも平たいパンの様でカレーに合う食べ物はなんですかの問題にはいそうですとか」

アイゼン「ナンとなんを掛け合せてるのか。上手いオチだな」

ゴンベエ「リンゴが8個あってAは2つ、Bは3つ食べました。さて貴方は何個食べれるかの問題で私は1個が限界ですってのもある」

ロクロウ「まぁ、確かに1個ありゃ充分だよな……」

ゴンベエ「テストの珍回答は上手くオチがついたりスベったりコケたりしててほくそ笑むのに丁度いい」

ベルベット「人が勉強している側でオチとかスベるとか言うな!!」

ゴンベエ「悪い悪い……そんなに勉強したいなら付き合うぞ?」

ベルベット「あんたに勝ちたいのに、教わってどうするのよ!!」

ゴンベエ「勉強に大事なのは勝ち負けじゃない……テストの点数と提出物だ」

ベルベット「同じじゃない」

ゴンベエ「第一、お前数年間まともに勉強なんてしてねえのに一気に新しい知識を蓄えられるのか?」

アイゼン「年齢なんてものは関係無い。新しい事に挑戦しよう、学ぼうという意欲が大事なものだ」

ゴンベエ「でも、歳食った後に勉強をすると老眼で苦労するぞ」

ベルベット「私はまだ10代よ!!……ああもう、最初から公式を覚え直しじゃない!」

ゴンベエ「なんかすまん」

番外編

  • 続 異世界プルルン転生記
  • ちょっと昔のゴンベエ達(地獄)
  • ザレイズ 総力戦 決戦KCグランプリ
  • まゆゆんの貧乏くじ
  • スペシャルスキットの続き
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