「アレがアルトリウスの過去……はじまり……」
見てはいけないものを見てしまった。見なければならないものを見た。どちらとも取れる光景を私達は見てしまった。
世界に絶望し、それでも生きる希望を見出して愛する人と共に生き抜く事を決めたのにそれをする事が出来なかった。
「あの聖隷、ライフィセットじゃなかったのか?」
「僕、だよね……」
アルトリウスに衝撃を受けつつも、ロクロウはあの時あの場に居た天族について気付く。
1人は会ったことが無い方だがもう1人は紛れもなくライフィセットだった。私の記憶に間違いが無ければ天族は地脈の中から生まれたりするとアイゼンから聞いた。
「聖隷に転生したって言ってたが、どういう意味だ?」
「死んだ人間の魂がなんらかのきっかけで聖隷に生まれ変わる事を転生という」
「では、あの女性がベルベットの姉でライフィセットは……」
「アルトリウスの子が生まれ変わった姿……そう捉えるのが妥当だろう」
新しい情報が入ってくる。……ライフィセットがアルトリウスの子供……。
「知ってたわ……あたしはシアリーズの正体に、セリカ姉さんだって事に気付いていた。その上で喰らった……姉だろうが、弟だろうが、世界だろうが目的の為ならなんだって喰らうわ」
アルトリウスの過去を知ったベルベットは眉一つまともに動かしていない。それだけ覚悟は決めている様で……どうすればいいのかが分からない。アルトリウスは愛する人と共に生き抜く事を深く誓った。だが、守り切ることは出来ずそれどころか村の人達に売られてしまった。私なら……人間に絶望して復讐に走るかもしれない。エレノアの様に清廉潔白な人間が存在していても悪意を持った人間が裏切る。
「……世界を蝕む悪意か」
どれだけ清廉潔白な人間が居たとしても、それに群がる人達が悪意を持って利用する。
現代でのスレイがそうだった。導師となり世界に安定を齎す筈がバルトロの魔の手によって戦争に加担しなければならなかった。
「コレが、人間の限界なのだろうか……」
人間のドス黒い醜さを見てしまった……人間の限界を感じてしまう。
それはエレノア達も同じようでアルトリウスが世界中の人間から意思を奪って鎮静化をさせようとするのも無理は無い……だからこそ、悩む。私はいったいどうすべきなのかを。
「……正しい道じゃなく自分の思う道」
カノヌシに飲み込まれる前にゴンベエが私に残した言葉を思い出す。
きっとゴンベエはこうなる事を予測して私に言葉を託した。私に勇気と力を与える言葉なのだろうが、私の胸の内には靄が残っている。世界を蝕む理不尽な悪意、残酷な現実……地獄でしかない。もしかするとスレイも同じ目に遭うかもしれない。私も同じ目に遭わされるかもしれない、ゴンベエが同じ目に遭わされるかもしれない。
「こんな時こそゴンベエが居てくれたら……」
ベルベットやエレノア達になにかしらの言葉をかけてくれるがゴンベエはここにはいない。
頼ってばかりではいけないのは頭で分かっているのについつい頼ってしまう。こんな時だからこそ自分の強さが大事だ。でも……。
「見て、あそこ!!」
マギルゥが見つかる事がなく歩き続けていると空間の裂け目の様な物を見つけてライフィセットが指をさす。
「コレは空間の裂け目……コレを上手く利用すれば地上に出られるかもしれん」
「だが、マギルゥは」
「これだけ探しても居ないって事は喰われたか前みたいに別のところに出ている可能性が高い」
マギルゥがまだ見つかっていないのに出口を見つけてしまった。
アイゼンはマギルゥは地脈の中には居ないと仮定するとベルベットと一緒に次元の裂け目の様な物に近付こうとすると地面から泡が飛び出す。
コレで4度目……1度目はベルベットの記憶、2度目はアルトリウスとセリカさんの出会い、3度目はアルトリウスに起きた悲劇……ならば、4度目はなんだ?
『アーサー義兄さん、二人きりで話したい事があるんだ』
4度目となる大地の記憶はベルベットの弟のライフィセットとアルトリウスだった。
『緋の夜に強い霊応力を持った穢れなき魂を2つ生贄に捧げる事』
『俺の本を読んだんだな』
アルトリウスの問いにコクリと頷く弟のライフィセット。
『古代語が全部わかったわけじゃないけど、義兄さんが書いた注釈にはカノヌシが復活すれば業魔の居ない世界を作れるって』
『七年前、強い霊応力を持った魂が……生まれる前の私の息子が生贄になった。今、カノヌシは半分だけ復活している』
『だから、皆の霊応力が強まって業魔が見えるようになったんだね』
『それが、開門の日の正体だ』
本来、普通の人では見ることが出来ない憑魔を見ることが出来るようになったのは……カノヌシの力……。
『じゃあ、もう1人生贄を捧げれば……』
『カノヌシは完全に復活する。その力で多くの対魔士が揃うだろう』
「……まさか……」
この会話から嫌な事が頭に過る。
『もうすぐ、また緋の夜が来る……アーサー義兄さん……』
『ライフィセット』
『ぼくなら生贄になれる?』
「!!」
今までの……全てが……。
『お前はなぜ鳥が空を飛ぶのだと思う?』
『鳥は飛ばなきゃならないんだ。だって、空を飛べる翼を持っているんだから……僕にだって弱いけど翼はある。だから、今飛ばなきゃダメなんだ!次の次の緋の夜は3年後、その時までぼくは……生きれない』
『ライフィセット、お前は』
『十二歳病……それがぼくの病気だから』
否定される。
弟のライフィセットが病気について語るとアルトリウスは目を背けようとする。
『やはり、知っていたんだな』
『病気は怖くない……でも、ぼくは守られただけで死ぬなんて……絶対に嫌だ』
弟のライフィセットはアルトリウスと向き合う。
ベルベットの弟のライフィセットは……アルトリウスに殺されたんじゃない……。
『お前の意志こそ翼……強い翼だ』
自らで生贄になったんだ。
「ふざけるな……」
『このことはお姉ちゃんには黙っててね』
『ああ、約束だ』
『ぼくが作るよ……お姉ちゃんが幸せになれる世界を……』
「あぁああああっ!!」
今、全てを知った。ベルベットの復讐は、今までのなにもかもが否定された。
ベルベットは左腕を喰魔化させて泡を破壊して怒り散らす。
「なにが……なにが意志だ!!なにが翼だ!……よくも、二人してよくも騙したな!あたしを裏切ったな!!」
「……」
目を向けられない。ベルベットの怒りにどう応えればいいのかが分からない。
怒り狂うベルベットの前に大地の記憶の泡が一度に4つも飛び出す
『ゴメンもすまんも無し。家族なんだから当然、でしょ?』
『うん。お姉ちゃん直伝のキッシュを作って待ってるから』
「黙れ……」
『あんたなら義兄さんを越える対魔士になれるかも』
「黙れ黙れ黙れ、黙れぇ!!」
温かい記憶は思い出は、全ては偽りだった。
ベルベットのなにもかもを大地の記憶は……カノヌシはトドメを刺しにかかる。
『あの子の落とされた祠ほどじゃない』
『なのにあたしは……なんにも出来なかった……あの子よりも、全然痛くないのに……ごめん、ごめんね』
「黙れぇええええ!!こんな嘘を!全部、全部彼奴等の嘘だぁあああ!!」
荒れ狂うベルベットは地面から飛び出す大地の記憶を破壊していく。
大地の記憶はカノヌシが見せているもので……全てが真実。
「死ねぇ!死ねぇ、死ねぇええええええ!!」
暴れ狂うベルベットにどうすることも出来ずに見守っていると憑魔が泡を破壊する。
「邪魔をするな化け物が!!」
「っ、ベルベット駄目だそれは!!」
神依に似た姿へと怒りに身を任せながら変身するベルベット。
プスプスと黒い煙を出しており、ベルベットは自らの炎で身を焦がしている。ベルベットに止める様に言うのだが、ベルベットは止まらない。今までにない程の禍々しい闇と強い穢れを纏った黒い炎を作り出すと炎は龍の頭に変わる。
「邪王炎殺黒龍波!!」
今までにない程の威力を発揮する邪王炎殺黒龍波。
炎の黒龍はベルベットの前に立ち塞がった憑魔を穢れで喰らい尽くす……!
「なっ!?」
黒龍が穢れを喰らい尽くすとそこにはベルベットがいた。
「うわぁあああっ……あ、あたしが……死んで……」
自分の死体を見て動揺するベルベット。
ここにいるのは正真正銘のベルベットで倒れているベルベットは服装が違う。明らかな偽者だが今のベルベットには効果覿面で火の神依の様な姿から元の姿へと変わってしまう。
「落ち着いて、ベルベット。こんなのカノヌシの幻だよ!」
「こんなのとは酷いな」
ライフィセットがベルベットを落ち着かせようとするがベルベットは揺らぎ続ける。
声がした……ベルベットの弟のライフィセット、いや、カノヌシの声が。
「それはお姉ちゃんの正体だよ」
「カノヌシ!!……ゴンベエはどうした!」
「ああ、彼なら今頃アーサー義兄さんに殺られてる頃だよ」
カノヌシが姿を現した。
いきなりの登場で地上にいたゴンベエはどうなったのかを聞くと殺されてはいなかった。アルトリウスをその気になれば倒せるゴンベエなら無事な筈だ……今はそれよりもベルベットだ。
「憎んで、恨んで、喰らって、殺して……他人も、世界も、理も踏み躙って生きる」
「違う、ベルベットは」
「違わないよ。お姉ちゃんが1番よく分かっているんじゃないかな?」
「だって、あたしは……あたしは勝手な思い込みで、勘違いで」
「ベルベット、気を確かにするんだ」
手が震えて目の焦点が合わないベルベット。
カノヌシに今までの罪を攻められて絶望していく……コレがカノヌシの狙い……っ……
「関係の無い人達を傷付けたよね?」
「数え切れないほど……いっぱい、喰い殺した……人も街も滅茶苦茶にした……」
「その上セリカお姉ちゃんの転生したシアリーズも喰い殺しちゃった……でもね、それでもぼくはお姉ちゃんの事が大好きだったんだよ。だから、お姉ちゃんの為に生贄になる事を選んだ」
「待て、それはおかしい!矛盾している!」
そもそもで全てのはじまりはカノヌシが、ベルベットの弟のライフィセットが自ら生贄になった事だ。
治す事が出来ない奇病である十二歳病でそのままで終わるつもりはないとベルベットにすら打ち明けずに生贄になった……それさえなければ……
「うるさいなぁ。君みたいな無関係なただ見ているだけの人間は黙っててよ。ぼくはお姉ちゃんと話をしているんだから」
「っ……」
「復活の邪魔をされたらそれこそぼくは無駄死にだよ……ホントはね、怖かったんだ。死ぬのは」
「ごめん……ごめんなさい……」
カノヌシの言葉を聞いてベルベットの震えは止まった。代わりに涙をボロボロと流す。
「認めるんだね。お姉ちゃんが今までしてきたことを全部」
「うん……誰の為にもならなかった。あたしは皆を無意味に傷つけた……醜い化け物です」
ベルベットは自らの事を化け物と認めた……今までは災禍の顕主だなんだと言われても平気な顔をしたけど今回は違う。生きることを諦めている、死のうとしている……
「なら、ちゃんと罪を償わないといけないよね」
カノヌシは宙に浮いた……ベルベットを取り込むつもりだ……。
「ベルベットが醜い生き物……」
カノヌシはそう言ったが私はそう思えない。
私は見ることだけしか出来なかったが代わりにずっと見守ることが出来ていたから知っている。
勘違いだとしてもベルベットは心の底から怒っていた憎んでいた。苦しんでいた。本当は家族の事が大好きな何処にでもいる家庭的なお姉ちゃんなのにラフィの為にと必死になって戦ってきた。その為には多くの人達を村を傷付けた……この事実は、この罪は消えることはない……でも……
「最後の穢れを、お姉ちゃんの中の憎悪と絶望を食べればぼくは完全に覚醒をする」
巨大な術式を展開するカノヌシ。
ベルベットは引き寄せられ、私達は吹き飛ばされようとする……私は…………人間は強い生き物、人間は弱い生き物だ、人間は気高い生き物だ、人間は下卑た生き物だ、人間は勇気ある生き物だ、人間は臆病な生き物だ、人間は情けある生き物だ、人間は非情な生き物だ……今になってあの骸骨の騎士が教えようとしてくれた事が分かった様な気がする。人間は業と美しさ、矛盾した2つの感情を持っている生き物だ。マオクス=アメッカは……アリーシャ・ディフダは……私はそんな世界はお断りだ。
「お姉ちゃんには痛みの無い世界で幸せになってほしかったけど、化け物になっちゃたんから仕方ないね」
「ベルベット!!」
吸い寄せられるベルベットに向かってライフィセットは手を伸ばし、掴んだ。
「放して……あたしは裁かれないといけないのよ」
「嫌だ!!」
「このままじゃ、無意味なあんたまで殺されちゃう……お願い、死なせて!」
「絶対に、絶対に離すもんか!!」
カノヌシの吸引力は凄まじく僅かばかりだがライフィセットは引っ張られる…………
「ライラ様、ミクリオ様、エドナ様……スレイ、本当に申し訳ない」
人がどうして穢れを生んでしまうのか、人の業や性をこの旅で私は見てしまった。
普通ならば処罰すべき悪党と断じるところだが、見てしまった……痛みも、悲しみも、喜びも、なにもかもを。私はゴンベエに作って貰った槍を取り出し、今までずっと使わない様にしていた真の力を発揮しようとする。
あの時、最初の1回目の時は強い力を手に入れて溺れかけていたが今は違う。人の強さは人によって違う……苦しみも痛みも、なにもかも。この槍が私に対して言いたかったのは人間の清らかさだけでなく背負ってしまっている業を受け止める器になれと言っている。
「一人目の生贄の転生体……君もぼくの一部だ。食べてあげるよ」
ベルベットを取り込もうとするカノヌシの力は更に強まる。
ベルベットの腕を掴んでいたライフィセットは体を宙に浮かび上がるので私が今度はライフィセットを掴む
「アメッカ……その姿は!!」
「ライフィセット……私は生きてほしい、ベルベットに。例えベルベットが自分の事を化け物だと認めていても、死にたいと思っていても生きてほしい食べようと……だが、今の私にはベルベットの生きる為の言葉は届かない」
だから、頼んだぞライフィセット。
「お願い……もう離して」
「……うるさぁい!!だまれぇえっ!!」
「!!?」
「分かるわけがないよ。ベルベットはすぐ怒って怖くて、僕を喰べようとする……けど、こんなに温かい。優しくて温かい……でも、それでも僕はベルベットの事が分からない。けど、僕は……ベルベットは僕に名前をくれた。羅針盤を持たせてくれた。僕が生きてるんだって教えてくれた!」
どれだけ世界が間違っていても構わない。
「皆が、世界が間違っているってなら僕は世界と戦う。ベルベットが絶望したってしるもんか!!僕は、ベルベットの居ない世界だなんて」
絶対に嫌だ。そう言おうとするライフィセットの前にベルベットの喰魔化した左腕が立ち塞がる。
「ダメ、腕が勝手に……」
「腕一本ぐらい、くれてやる。でももう片方は残しておいてね……僕はカノヌシをぶっ飛ばす為に必要なんだ」
喰魔化した左腕でライフィセットの右腕を掴んでいるベルベット。
早くしなければライフィセットは喰らわれる可能性があるがそんな事を気にしている場合じゃない。
「あたし……大好きだったの。ラフィもセリカ姉さんもアーサー義兄さんも、みんな……だからあの時を奪われた事があたしを選んでくれなかった事が……悔しい!!」
「ベルベット……戻った……」
ずっと揺らいでいたベルベットの瞳が元に戻った。
精気を失っていたベルベットが、自ら死のうとしていたベルベットが居なくなって何時ものベルベットに戻った。
「絶望がきえ──っ!!」
「アレは……闇!!」
何時ものベルベットに戻ったと思えば禍々しい闇がカノヌシの腕を切り落とした。
私はライフィセットの腕を掴むのに必死で無明斬りを撃つ暇なんて何処にも無かった。そうなると考えられる事は唯一つ
「ゴンベエ!!」
「よう、遅くなったみたいで悪かったな」
あの斬撃はゴンベエが撃ったものだ。
名前を呼べば案の定ヒョッコリとした顔でロクロウの折られた征嵐を片手に現れた。
「よくも邪魔をしてくれたな!!」
「ふ〜………………ん〜」
首をゴキゴキと鳴らしながらなにかを考える仕草を取るゴンベエ。
「……やっぱりムカつくわ……ベルベットは騙されていた。いや、違うな……個と全を選ぶ際に個であったベルベットは選ばれず見たことのないどうでもいい連中をどうにかすべく切り捨てたってわけだな……よし、アリーシャ、オレは決めたぞ。アルトリウス達がベルベットという個を切り捨てて世界の理という全を選んだのなら、オレはベルベットという個を選んで理という全を破壊する……お前はどうする?」
「……相変わらずだな」
こんな危機的状況にも変わらずに何時も通りの姿勢を見せる。
本当ならもっと怒ったり悲しんだり衝撃を受けたりするものなのにゴンベエは然程気にせずなんの迷いもなくベルベットを選んだ……。
「ベルベットは……怖いし酷い言葉を平気で私達に投げかける……でも、それでもそんなベルベットと一緒に過ごした短い時間の中でも言える……コレが間違いでも怒りでもなんでも構わない……私はベルベットに生きてほしい、私も世界よりもベルベットを選ぶ!!」
「だそうだ……大方クソみたいな現実を見せてベルベットを絶望にでも叩き落とすつもりだったんだろうが……そんな事はさせねえ。例え世界を敵に回したとしても3人はベルベットに生きてほしい、そう強く願っているんだ」
コレが怒りに身を任せる事だとしてももう構わない。穢れてベルベットと同じく憑魔になろうが構わない。
以前は闇に意識が取り込まれそうになったが今は違う。私の中の業が、怒りが力を完璧に制御する事が出来ている
「闇夜に蠢く、悪を斬る!夜天槍月華!」
ずっとずっと考えていたこの技をカノヌシにお見舞いをする。
片腕を切り裂かれたカノヌシは大きな隙を生んでしまい私の攻撃がヒットする。ベルベットの方を見るとベルベットは生きる気力を取り戻していたのだが、ベルベットの前に光る球が出現している。光る球は眩く光り出すとベルベットの姉のセリカさんが転生した姿であるシアリーズがそこにはいた。
「私の心にもあるのです。あなたと同じ、決して消したくても消えない炎が」
「でも、私は自分の為にしか戦えない」
「充分です。それが生きるということですから」
「ベルベット……誰かの為に戦う時は人は滅茶苦茶強くなれる。けど、自分の為に逃げずに向き合って戦う時はもっともっと強くなる。例えそれが業だとしても罪だとしても戦うんだ」
「貴方は……強いのですね」
「強くならなきゃいけない地獄にいただけだ」
「最後に貴方の名前を聞かせていただけませんか?」
薄く半透明になっていくシアリーズ。
残された時間はあと僅かな様でゴンベエは今までまともに抜こうとしなかった背中の剣を抜いた
「災禍……オレは災禍の勇者、名無しの権兵衛だ!!覚えておけ」
「勇者……貴方ならベルベット任せれます。後は頼みましたよ」
そう言うとシアリーズは光の粒子となってベルベットの喰魔化した左腕の中へと消え去っていった
「ったく、アメッカ1人でも厄介だってのに押し付けやがってよ……まぁ、いい……ベルベット」
「なに?」
「お前にはお前の言い分があるだろうし、コレからはラフィの為じゃなくて自分の為に戦おうってつもりなんだろう……このままカノヌシをぶっ飛ばすのは容易だがそれだと色々と厄介な事になる……一旦変われ」
「……分かったわ」
「ありがとう」
「ただし、やるからには全力でやりなさい。何時もみたいに適当にやったら許さないわよ」
「安心しろ、アルトリウス達をボコるのがいい感じのウォーミングアップになった……今のオレは強靭、無敵、最強だ」
ベルベットとゴンベエはハイタッチをして立っている場を入れ替えた。
「なんなんだよ……君達はここにいちゃいけない部外者だ。それなのに、邪魔をするなぁあああ!!」
背中の剣を手に取り戦う意志を見せるゴンベエを見てカノヌシは怒りを顕にする。
流石は聖主と呼ばれているだけの存在であり完全復活を遂げていなくても私達の力を遥かに上回っている……だがそれでもゴンベエは表情一つ変えない。
「いい加減に飽き飽きしてきたよ……君達に──」
「
ゴンベエの称号
災禍の勇者
説明
勇者の力を手にしていた彼が長い長い旅の先に得た1つの答え。
彼は基本的には誰かの為に戦う事はしない。今回もただ単にカノヌシがムカつくから、ベルベットを悲しませたから戦う。
自分勝手で我儘な彼が出した答えだが彼はその行いに後悔はしない。彼女を捨てたのならば自分が彼女を拾う、ただそれだけ実にワガママだ。
ゲーム的な話をするならばここからアリーシャは覚醒して戦闘キャラとして使うことが出来るようになります。
番外編
-
続 異世界プルルン転生記
-
ちょっと昔のゴンベエ達(地獄)
-
ザレイズ 総力戦 決戦KCグランプリ
-
まゆゆんの貧乏くじ
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スペシャルスキットの続き