「穢れを無くした世界か……」
ギデオン大司祭を暗殺しに通った地下道を通りながら私は呟く。アルトリウスが語った理がどのようなものなのかを目の当たりにした。
人々から穢れは発する事が無くなった……ただ代わりに人間から人間らしさを全て奪い去った。穢れや業等はいけないものでそれをどうにかすればとつい最近までそう思っていたのだが、人は業と密接に繋がっている存在でどうにかする事自体が間違いだった。業や穢れとは向き合わなければならない、そんなものだった。
だがアルトリウスは違う。多くの人々から業を穢れを消し去った。業や穢れを持っている者は死ぬべきだという価値観を押し付けた。結果的には穢れが無くなった世界にはなったが、美しくもなければ清らかでもない。歪な世界となっている。
「コレが私の終着点の1つ……」
私も穢れの無くなった世界を見たいと思っている。
ただこんな世界は望んでいない。確かに穢れを消し去ることは出来るが人間が人間らしく生きる事が出来ていない世界だ……だが、ゴンベエは私の目指す終着点の1つとして捉えている……理には適っているがそれでも間違っている。
「感傷に浸るのは構わんが、次を見ろ。意思を持っている連中は集められている……絶対にロクでもない事が待ち受けている」
声がガラガラになっているゴンベエはめんどくさそうな顔をする。
アルトリウス達の目的は意思を奪うことで現在カノヌシは不完全ながら領域を展開している。意思を奪えなかった人間は……ゴンベエの言うとおりロクでもない事になっているだろう。
「やぁああ!!助けて、助けてぇええ!!」
「アレは……」
「考えるよりも手を動かしなさい」
離宮に辿り着くと天使の様な見た目をしている天族が子供に対して魔法陣の中に閉じ込めていた。
魔法陣の様な物を展開しておりなんなのか見ているとベルベットは左腕を喰魔化させて天族を喰らう。考えている暇は何処にもない。既に戦いは始まっているのだから、戦わなければならない。
もう見ているだけの人間でなくなった私は槍を取り出し、回転させる。
「渦流天樓嵐!」
竜巻を巻き起こし、天使の天族にぶつける。
「この登場の仕方、まるでヒーローじゃのう」
「そんなものとは掛け離れているわ」
「ヒーローってのは無償の正義を貫く血反吐が出るぐらいにキツいものであって、コレは暴徒だ」
今の私達はヒーローじゃない。むしろ悪役だ。
だがそれでも誰かを助けることが出来た。私達は魔法陣を展開している天族を倒した。
「もう大丈夫ですよ」
捕まっていた子供の側に駆け寄るエレノア。
見たところ外傷は無いので良かったと私はホッとする。
「……ママは処刑されたわ。あたしの為に貴重な食料を奪ったから」
「っ!!」
「……あの魔法陣は直接意思を奪うものか」
カノヌシの力がまだ不完全だ。領域の力が及ばなかった人達から直接意思を奪い取る、それがあの魔法陣の力。
アイゼンは苛立った顔で舌打ちをしておりなにか出来る事はないのかと頭の中を駆け巡らせる。カノヌシの鎮静化が今までと同じならば……そうだ!
「この曲を弾けば」
今まで抑制された天族の方達の意識を解放してきた笛を吹いた。
虚ろとなっている子供の瞳に生気が宿ったので意思を解放することが出来た……そう思ったのもつかの間、子供の瞳は再び虚ろになる。
「理に反したのならば死ぬのは当然」
「アメッカの笛が効いていない?」
「いや、効果はあった。じゃが、カノヌシがもう一度上書きした……此処を乗り切るには先程のベンウィック達の様にある程度は強い自我を保っておかなければカノヌシの鎮静化は耐えられん」
「そんなっ……」
テクテクとエレノアの横を子供は歩いていき、離宮を出ていく。
それと同時にパーシバル殿下が現れた……普通に離宮にやってきたのだろう。
「コレがアルトリウス様の目的の最終地点ですか」
「……ああ、そうだ。これこそが導師アルトリウスの望む理想世界だ……」
「知っていたのか、こんな間違った世界に変わり果てる事を!」
エレノアの問いかけに答えるパーシバル殿下。
誰がどう見ても歪だと答える世界に変わる事を知っていた上で……
「我々は知っていた……穢れと業魔化の仕組みがある以上はこうするしかない。全てを知り考慮した上で我々はアルトリウスを受け入れて導師と崇めた」
「何故そんな事を!」
「……そうするしかなかった。最初の開門の日以降、人々は業魔化を視認する事が出来た。業魔化を業魔病と誤魔化したがそれだけで業魔となる人間が多く増えてこのままだとこの国は滅びを迎えるだけだった」
「毒を食らわば皿までか」
国を助けるための大義名分でアルトリウスを受け入れた。国の重役達は全てを承知した。
浄化の力すらないこの時代ではそうせざる負えない状況だった……国を救うためならばどんな事でもやるつもり……もし道を間違えれば、この時代の住人だったらそう選択したのかもしれない
「悲しみもないけど、笑顔も無い。憎しみも争いもないけれど愛も無い世界……」
私達は一旦離宮を出る。
子供がテクテクと歩いて行く姿をエレノアは止める事が出来ずに心を痛める。
「痛みも迷いも悩みも絶望も喜びや楽しみに密接に繋がっている。行く手を阻む痛みと迷いと絶望は夢と勇気と友情で
「世界中がこんな事になってるのか?」
「いや、聖主の御座から近いローグレスで意思を奪われていない人間が僅かながらだが居る。ゴンベエが徹底的に叩きのめしたのを考慮してもカノヌシの領域はまだ不完全だ」
「カノヌシの領域が完全じゃないけど、広まっていくのを感じるよ」
「広まっていく、ということはまだ完全に世界中に領域を展開しきれていないということか」
ベルベットの中の絶望を喰う事が出来なかったか、それともゴンベエが死ぬ寸前まで追い詰めたのかは分からないが完全な鎮静化にはなっていない。しかしそれも時間の問題で何時かは世界中の人間がこのローグレスの街の住人の様に意思を奪われてしまう。
「……」
今まで頭では理解していたが、いざ実際目の当たりにしてパーシバル殿下は言葉を失う。
国を救うためとはいえ、人が人として生きることが出来ない生きる事に意味が無くなるこんな世界、耐える事が出来ない。例えそれが穢れが無くなった世の中だとしても……私は穢れを選んでしまう。これも業なのだろう
「王子、グリフォンは無事だよ」
「っ……そうか……良かった」
言葉を失うパーシバル殿下に朗報を知らせる。
喰魔であるグリフォンは無事に生き延びている。その報せだけでもパーシバル殿下の心は涙を流す。
「ゴンベエ、君は嘗て私に世界について教えてくれたな……私の世界は今まで自分というものを持っていなかった……だが、こんな時だからこそ自分というものが、心の大切さがなんなのか理解が出来た。私の世界は汚く穢れに満ちているかもしれない……だが、それでも自分は自分なんだとはじめて気付くことが出来た……自分の世界と理想世界は掛け離れている」
「こんな世界を
「身勝手なのは承知だ……だが頼む!導師を……アルトリウスを、人の鎮静化を止めてくれ」
パーシバル殿下は頭を下げた。
この理想とする世界を破壊してくれと頼み込む。
「あたしは心を凍らせた人は生きているとは言えないわ」
「うん。昔の僕がそうだった」
「私は誰かに頼まれたから行くんじゃない、私は自分の意思でアルトリウスを殺すわ……自分が自分である為に」
「変わったな、君は」
今まではずっと弟の為だとベルベットは言っていたが、これからは違う。己の意思で戦う。
「以前の貴女は憎しみに囚われた剣だった……けれど今は違う。自分の意志で剣を振るうのね」
子供と一緒に逃げた筈のタバサも現れ、ベルベットの変化に気付く。
「相変わらず鞘は無いけれどね」
「ならオレが鞘にでもなってやろうか?」
「あら、私の剣は熱いわよ」
「こっちは地獄の業火を目の当たりにしてんだぞ。お前の炎なんて生温い」
クスリと笑うゴンベエとベルベット……ゴンベエはいったいどんな地獄を目の当たりにしたのだろうか。
「心配いらないよ。ベルベットに危険が迫ったら僕が守るから」
「重いぞ、その言葉は……生半可な覚悟で言ってるんじゃねえだろうな?」
「うん。絶対に守り抜いてみせるよ」
「素敵ね。鞘になってくれる殿方と貴方の事を守ってくれる殿方、二人に囲まれて」
「ええ……二人共イイ男よ」
なんだかはじめてベルベットがゴンベエを褒めた気がする。
「アイゼン副長、アイフリード船長は……」
「何処ぞの災禍の勇者様が海賊と喧嘩屋に借りた恩を返す為に助けた……この鎮静化は聖寮が人間の積み上げてきたもの全てを踏み躙ったものだ。この手でぶち壊さなきゃ気が済まねえ」
覚悟を見せるアイゼンを見てタバサは頷き、私達を見る。
己の意志で己を貫く為に戦う、そんな面々がここにはいる。自分が自分らしく生きる為にもアルトリウスと戦わなければならない。
「あたしも身勝手ながら祈らせてもらうわ……この世界の片隅に生きる醜い人間の一人として」
「醜いか……」
アルトリウス達からすれば今の私達は醜く愚かな存在だろう。
だが、どうしてだろう。自分が自分らしく生きようとしているだけなので不思議と悪い気分ではない。
「よっしゃあ!気合いも乗ってきた事だし、このまま聖主の御座にでも乗り込むか!!」
「阿呆!斬り込む前に色々と準備がいるんじゃろうが!!」
暴走するロクロウをマギルゥが止めた。今の状態で聖主の御座に乗り込むのは自殺行為でしかない。勢いとノリに任せるのはダメだ。
「進路は途中でズレたけど、元に戻すわ。予定通り四聖主を叩き起こしてカノヌシを地脈から叩き出すわよ」
「アルトリウスは現在ゴンベエから受けた傷の治療に当たっている……カノヌシもかなりボロボロにされていて時間はそれなりに残されている。やり残していた事があるのならば今のうちにしておいた方がいい」
「そうだな……アメッカ、一発で、んかをぶん殴っとくか」
「え?」
「そうね……世界をこんな胸クソ悪く変わるのを知っていたのに今更止めてほしいなんて無責任にも程があるし、アルトリウス達は私達が殺るとして誰かが1発ぐらい国の重役をぶん殴っておかないとケジメがつかないわ」
「……そう言われればそうだな」
パーシバル殿下が言っている事はあまりにも身勝手過ぎる。今回の一件を、真実を知れば多くの人が暴徒となるだろう。
王族を裁ける人間はそれこそ神の如き存在で、その神の如き存在が私達の敵ならば誰かが裁かなければならない……のだろうか。流石に殺すことで裁くのは駄目だが、今回の一件は許せる行為ではない。ベルベットの言うようにケジメは必要だ。
「いや、待て。話がおかしい、私はそういう意味で言ったのでは」
「今まで色々と罪を積み上げてきたんだ、受け入れろ。なにオレ達は他所の国の住人だ……バレなきゃ問題ない」
「いきます!スゥー……フン!フン!フン!」
「さ、3発ですか」
こういうのはちゃんとして置かなければならない。
一発目は私達の意思、2発目は聖寮の人達の意思、3発目は無関係な一般市民の意思だ。
「お……ぉぅ……」
私から受けた拳が痛かったのか膝をつく殿下。コレが罪の重さだ。
「その痛みは他人に向ける怒りの痛みだ……オレ達はこの国の人間じゃねえからコレ以上はやらねえけど、悪いことをすんじゃねえぞ……次の国王はお前なんだから……この痛みを覚えておけよ、屁以下。世界ってのは繋がってるんだ」
「あ、ああ……きっと変えてみせる」
「後、今回の事に関しては記録を付けるんじゃねえぞ。ベルベット達が暴れたとか誰かが記録を残しておかなきゃダメでどうしてもって言うならば……オレとアメッカに関する事は絶対に記載するな。歴史の闇に葬り去れ」
もしかすると殿下と会うことは最後になるかもしれないので釘を刺しておく。
こういうところで色々と言っているから歴史上には私とゴンベエが残っていない、載っていない。アフターケアはしっかりとしている。
パーシバル殿下に3発拳を叩き込んだのでスッキリした私達はゴンベエの魔法でゼクソン港に向かうと金色の狼がいた。
「おぉ、久し振りだな。最近、出てこないから居なくなっちまったかと思ったぞ」
最近全く姿を現していなかった狼。確か次はロクロウの番だった……どんな技をロクロウは授かるのだろうか。
ゴンベエは狼の姿に変身すると金色の狼と共鳴する様に遠吠えを上げると何時もの様に真っ白な空間に移動していた
「……ありがとうございます」
何時も通り骸骨の騎士が現れたので一先ずは頭を下げてお礼を言う。
「あの時に言っていた事ならば今ならわかります」
かつて私は自身の槍を使いこなす方法を骸骨の騎士に聞いた。その結果よく分からない答えが帰ってきた。
「醜い生き物でもあり美しい生き物でもあり馬鹿な生き物であり賢い生き物である……全部が間違いであり全部が正解だった」
あの時伝えたかった事が分かった。人が背負いし業というものを今ならば理解できる。理解できるからこそこの槍を使いこなせる様になれた。
あの頃よりも成長する事が出来たと私は自分の真名を叫び神依の様な形態に成り代わる。この力は今ならば使いこなせる……
「ふっ!!」
槍の先端部分に力を集束し、力の塊の様な球体を作り出す。
私も真似をし球体を作り出すのだが中々に維持をするのが難しい……だが、出来ない訳ではない
「魔導裂波斬!!」
骸骨の騎士がそういうと力の塊である球体から飛ぶ斬撃に似た力が飛び出していく。
私も真似をしてみようとするのだが思うように斬撃の様なものを飛ばすことが出来ず、力の制御が上手く行かず槍の先端ではなく槍に力の塊を纏わせてバチバチと光らせてしまい、エネルギーを波状攻撃で飛ばしてしまう。
「それだと魔導裂波斬じゃなくて
ゴンベエは私が使っている技について知っていたみたいです、どうやら別の技を使ってしまったらしい。
魔導裂波斬をもう一度挑戦してみるが上手く行かず、
「向いてる技と向いてない技があるからコレばっかりは仕方ない」
何度か挑戦してみるが魔導裂波斬は使えなかった。人間得意不得意があるから仕方がないとゴンベエは言う。骸骨の騎士も覚えられないならば仕方がないと黒魔導爆裂破を教える方向で進み、最終的には黒魔導爆裂破を会得した。中距離遠距離系の攻撃を持っていない私に丁度いい技だった。
「さて、俺にはなにを教えてくれるんだ?」
私が終われば次はロクロウの番だ。
かなり楽しみに待っていたロクロウの前に柄しか無い剣を骸骨の騎士は取り出した。
「斬岩念朧剣!!」
「……コレは、闘気の剣!」
骸骨の騎士は闘気で出来た刃を作り出した。
骸骨の騎士は闘気で出来た剣で何処からともなく出現した岩を真っ二つに両断した。
「刀身が闘気で出来た刀か……悪くはない、会得してみたいと思う。だが俺にはクロガネから號嵐に打ち勝つ征嵐を貰う約束をしている。違う技をくれ」
技自体に不服は無いのだが、ロクロウにはロクロウの約束があるので断った。
「猛世十戒剣!!」
「一刀流は悪くはないがなんか違う」
「艶美魔夜不眠鬼斬り」
「三刀流は面白いが刀を口に咥えるのはちょっとな」
色々と強力な技を骸骨の騎士が見せるのだがロクロウは満足をしない。
ロクロウの意見を突っぱねない骸骨の騎士はとにかく色々な技を見せていく。
「流水の動き」
「うぉ!」
分身したかの様に残像を残しながらロクロウの周りをグルグルと回る骸骨の騎士。
これはただ早いだけの動きじゃない。0と100の素早さの緩急を上手く扱い、残像を残している。
「回天剣舞・六連」
ロクロウを流水の動きで翻弄しながら間合いを詰める。
体を回転させながら二本の剣を逆手に持ち、ロクロウの服の上の寸でのところを切り裂いた。
「この技……いいな」
技を受けたロクロウは笑みを浮かべた。技を気に入った。
骸骨の騎士は技の原理を説明するとロクロウは早速真似をして残像を作る歩法を会得し、回天剣舞・六連を会得した。
「次はお前だ」
「最後は私ですか……心して掛からないと」
「そういえば……コレに浄化の力を宿す事は出来ないのですか?」
最後に技を会得するのはエレノアだと予告した。
ここでふとこの槍にゴンベエの剣の様に浄化の力を付与する事は出来ないのかを尋ねてみる。メルキオルの放った穢れの塊を斬り裂く事が出来なかった。ゴンベエは穢れを背中の剣で斬り裂く事が出来た。私にも浄化の力があれば斬れるはずだ
「祈り歌を込めよ。さすれば槍に退魔の力が宿る」
「アメッカ、大分前に言ったけどその槍は未完成なんだ……最後の一工程を後で教えてやる」
「そうか」
今までならば今すぐにと言っていたが、今の私は気持ちを焦らない。ゴンベエが言う最後の工程を教えてくれる時を待つだけだ。
技を授け終え、次に技を授けるのはエレノアだと予告し、私達に伝えたかった事は伝え終えたので骸骨の騎士は消えて元の空間に戻るとヘラヴィーサを目指してバンエルティア号を出航した。
アリーシャの術技
説明
地面に剣を刺し冷気を噴出させる技
渦流天樓嵐
説明
演舞の如く槍をグルグルと回し、竜巻を巻き起こして相手を飲み込む奥義
説明
収縮した闇の力をバチバチと弾かせながら相手にぶつける
ロクロウの術技
流水の動き
説明
緩急自在に動き回る歩法、その動きは残像をも写す。攻撃の際に極々僅かな隙が生まれる。
回天剣舞・六連
説明
二刀の小太刀を持ち流水の動きを維持した状態で回転しながら連続で斬りかかる奥義
右手が先か左手が先かを選ぶことが出来て相手に攻撃の起点を悟らせない様にする。
スキット リセットボタン
アリーシャ「穢れの無い世界は意思の無い、意思が統一された世界か」
エレノア「確かに人は穢れを生み出さなくなりましたが……こんなのは間違っています」
ゴンベエ「……」
グリモワール「貴方こんな時にも冷静ね」
ゴンベエ「別にアルトリウスの行っている鎮静化に対して思わないことも無いわけじゃない……ただ些か腑に落ちない点が幾つか存在していて、それがどうしても頭から離れない……気にしたって目の前に起きているコレが事実で現実なんだがな」
エレノア「腑に落ちない点……?」
アリーシャ「アルトリウス達の鎮静化におかしなところでもあったのか?」
ゴンベエ「あ~…………いや、アルトリウス達が意思を奪って鎮静化したこと自体は腑に落ちない事じゃない」
グリモワール「あんた、なにかに気付いているなら言いなさいよ。後になって気付いてましたは遅いんだから」
ゴンベエ「カノヌシの鎮静化って……コレで何度目になるんだ?」
アリーシャ「何度目?……確か一度だけカノヌシの領域の力が及ぼして
エレノア「いえ、もっと他に……意思を奪われた聖隷が居ることを考慮すれば一度や二度だけではない筈です」
ゴンベエ「そういう意味で言ってるんじゃねえ……オレ達はベルベットの弟が写したカノヌシについて書かれている古文書を解読している……カノヌシについて書かれている古文書が存在しているという事は逆に考えれば過去に誰かがカノヌシの力を使ったりしたということだ」
エレノア「アルトリウス様以外にこの様な地獄を作り上げたというのですか!?」
グリモワール「でも言っている事はまかり通ってるわね。カノヌシの事を知らないなら古文書なんてもの残らないもの」
ゴンベエ「そう考えると色々な事が疑問に出てくる。この大陸には滅ぼされかけているとはいえ四聖主を祀る文化が残っている」
アリーシャ「……地の主!」
ゴンベエ「そう、四聖主が神様的な存在だとしても天族であることには変わりはない筈だ。恐らくは四聖主は地の主の様な役割を持った存在だ……ならばカノヌシはなんなのか、そこが疑問だ……あくまでオレの推測だがカノヌシはリセットの役割を担っているかもしれない」
エレノア「リセット?」
ゴンベエ「穢れをどうこうする為には地の主、つまり四聖主を崇め讃えて信仰しておけばある程度は大丈夫な筈だ。だが人間って生き物は罰当たりな存在か目に見えない存在は信じない質でな……四聖主の信仰を放棄したら四聖主は今みたいに地の底に眠る、地の主の役割を放棄する」
アリーシャ「確か……どれだけ強い信仰の心があっても肝心の天族が祀られていなければ加護もなにも働かない。そうなると世界中に穢れを持った人間が……この時はまだ浄化の力がない。穢れの連鎖を止めるためには、まさか!」
グリモワール「カノヌシの力で人間や聖隷の意思を抑制して穢れを断つ、ね……無間の民のいきどまりをそう考えればありえそうな話だわ」
ゴンベエ「そうなると他にも不可解な点も納得はいくにはいく。例えばこの国の歴史が断片的な事だ。些細な事でも国の役所とかは記録を残したりするものだが、意思を抑制されたのならばそんな事をする必要は無い、無駄と考えたりする。この国の過去の歴史が断片的なのはなにかとんでもない出来事が巻き起こってしまったから意図的に隠されたのではなく誰も記録していないから……そういう考えも出来る」
アリーシャ「意思を奪われている時の事は誰も記憶していない……だから断片的にしか残っていない」
ゴンベエ「とはいえあくまでもコレは仮説だ。カノヌシの鎮静化が過去に何度か巻き起こったのは確かなんだろうがその度に国が滅びて歴史が1からリセットされるとなると……カノヌシや四聖主達がとんでもない程の年齢の可能性が高くて滅んだ古代の文明はオレ達の想像する遥か昔よりも昔か実は近代だった説が浮上して、寿命がクソ長い天族達も自分が自覚している年齢よりも実は上だったって可能性も出てくる」
エレノア「……カノヌシや四聖主の事を知っている聖隷ならば真実を知ってるかもしれません」
ゴンベエ「そんな天族が居るなら今頃表舞台に立ってるか殺されてるか……あるいは人間のクソみたいな部分に絶望してるだろう。四聖主が既に眠っちまってるんだから」
グリモワール「真実は闇の中ね……」
ゴンベエ「あくまでも仮説、仮定だ……喉になにか引っかかった感覚はある」
番外編
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続 異世界プルルン転生記
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ちょっと昔のゴンベエ達(地獄)
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スペシャルスキットの続き