ゴンベエのめんどくさいはこんな感じです。
「ふざけるな!!あろうことかめんどくさいだと!」
「ああ、そうだ。オレが何もしないのはめんどくさい……ただそれだけだ」
メルキオルのクソジジイの問いかけに答えるとメルキオルのクソジジイはキレた。
見た目からしてかなりのクソジジイなのだからもうちょっと血圧を抑えておかないとプツンと逝くぞと煽ってやりたいところだが今回は真面目にいく。まことのメガネを取り出し、目の前にいるメルキオルのクソジジイが本物のメルキオルのクソジジイなのかを確認する。
「質問に答えたからこっちも質問させてもらう。お前は本当に世界を嘆き憂い、慈しんで救済しようとしているのか?」
「なにを今更な事を、お前達にとって愚策に見えるかもしれん。だが、コレこそが新たなる一歩のはじまり、はじまりは何時だって疎外される」
「そうか……」
分かっていた事だったが一応の確認はしておいた。
メルキオルのクソジジイは本気で世界をどうにかしたいと思っていて、その為には命を賭けて四属性同時の神依化してオレ達を殺そうとしている。自分を犠牲にしようとしている。間違った方向に向かっているけども。
「人を助けるのって些細な事で出来るかもしれない、でもそれはあくまでもきっかけであってホントの意味で人を助ける事が出来ない」
「なにが言いたい」
「例えばそうだな……見聞を広める為に世界中を旅してるとしよう。豪雨に遭遇して歩いていた道が土砂崩れを起こして足を滑らせた。命に別状はなかったが地図に詳しく載っていない場所に来てしまって困っていると一人の人が偶然に現れてその人が住む地図に載っていない辺境だがのどかな村に案内してもらったとする。雨もふっていて雨が止むまでこの辺りを歩くのは危険だと村の人達は言い、道を教えてくれた人の家に雨が止むまで泊まる事になりその好意に甘えるとした。のどかで平穏な村だが、実は困った事があった。村を出て直ぐの森に凶暴な魔物が住み着いてしまって作物が食い荒らされてしまっている……さて、貴方はどうする?」
うん、即興で考えたが我ながらいい問題が出来た。
この問題をメルキオルだけでなくロクロウやライフィセット達にも問う。
「見聞を広げる為の旅で一宿一飯の恩もある。俺ならば恩返しの意を含めてその凶暴な魔物を斬るな」
「待て、ロクロウ……ひっかけ問題かもしれん」
ロクロウは実にロクロウらしい答えをあっさりと出した。急にこんな問題を出してきたのだからなにか裏があるのだろうとアイゼンは疑い、今の答えは無しだとする。
「お前の思う答えを出せばいい」
「オレの思う答え……助けられた借りは返さなければならない……だが……」
オレならばなにか裏がある筈だとアイゼンは疑う。
やっぱあれか。日頃の行いが悪いからふざけているけども実は裏があるとか思われてるのか。
「エレノア、ライフィセット、お前ならばどうする?」
「えっと……僕もロクロウと同じかな」
「私も同じです。ただ恩があるからという理由は関係無しで、困っている村を放って置く事は出来ません」
「私もだ」
ライフィセットもエレノアもアリーシャもロクロウと同じ答えに至る。
ただ違う点があるとすればそれは恩義があるからでなく、純粋な困っている人を見過ごす事は出来ない善良な心で動いているところだ。
「その高潔な精神は鬱陶しいぐらいに見事だ……ロクロウは、エレノアは、ライフィセットは、アイゼンは、アメッカは、村の近くの森に住み着いてしまった凶暴な魔物を退治しました。村は平穏が訪れました、しかし残念、次の収穫の時に同じ種族の魔物が住み着いてしまって村は飢餓に襲われて滅びました」
「なっ……そんなの理不尽だ!!」
「やはりひっかけ問題だったか」
アリーシャ達が出した答えをひっくり返した。助けた筈の村は滅びてしまった。
アリーシャは文句を言うがこの世がどれだけ理不尽に満ち足りているのかこの時代に来てから嫌という程に目にした筈だろう。
「ならば、もう一度同じ質問をしよう。お前はどうする?」
「それは……」
自分が力を行使すれば簡単に問題は解決する。しかしそれでは村の為にはならない。
改めて質問し直すとアリーシャ達はどう答えればいいのかと悩む。そう、悩む事こそ大事なんだよ。
「例えばロクロウならば魔物を倒す、という選択肢以外にも嵐月流の剣術を教えて村の人達を鍛えるという選択肢もある」
「なるほど……確かにそういう手もあるな」
「ライフィセットの様に術に長けている者が居るならば、退治した後に野生の魔物が住み着かない様に焼き払う手もある」
「ええっ……」
「アメッカの様に知性があるのならば、村の近くに後で増築が出来る罠を作り方から教えるという手もある」
「それは、そうだが」
「マギルゥの様に捻くれているのならば作物に毒を仕込むという手もある」
「お主、ワシをなんじゃと思っておる!」
マギルゥならばホントにやりそうだって信頼しているんだ。
1つの村の1つの問題に対して複数の答えが出た。直接殺すだけにする、殺し方を教える、殺した後に住めない環境を作る、毒を仕込む、殺す為の道具の作り方を教える。
「……答えは1つだけじゃないか」
「ああ、そうだ。この世の中が抱えている問題は数学みたいにコレだという答えが無い。方程式に合わせて解けるものじゃない。たった1つの村を救う方法は幾つもある……じゃあ、その中でなにが正しいかって話になる……なにが正しいと思う?」
正しいものを求める事は決して悪いことじゃない。それが絶対だと思いこむのが厄介な事だけだ。
アイゼンに今あげた例でなにが正しいのかを問うとアイゼンは答えに悩むのでベルベットに視線を向ける。
「その人にとって一番大事なやり方じゃないの?」
「それが模範的な解答だろう……ただな、そこで1つだけ厄介な事がある。その人の事を本当に思ってなにかをやろうとするのはいい、だが……そこに自分の流儀を無理に通せばそれこそただの
「だが、それは途方もないことで………………!」
アイゼン、気付いたか、その言葉に。
「メルキオルのクソジジイ、確かにオレには世界をどうこうして変える力はある。だが、オレがオレのやり方に一存していいのならば好ましくはないがオレは武力による圧制をさせてもらう。スレイ達の事なんてガン無視、ローランスとハイランドの事情なんぞ知ったことじゃない、オレの圧倒的な力で抑えつける、問答無用でヘルダルフを殺す。それが一番手っ取り早くて楽な道だ。アリーシャの思いも気にせずに平和な世の中を力で作り上げる」
別にそういうやり方が出来ないわけじゃない。好きじゃないし暴力では暴力以外は産まないのを知っているのでしないだけだ。
「だが、オレはそんな事をしない。力を求めてどうにかしたいと思っているアリーシャにきっかけやヒントを与える……序盤の方は失敗に終わったが、まぁ、そのおかげでこうしてここにいるんだがな」
スレイと一緒に色々なところを旅すると思っていたんだが、まさかまさかの離脱。
ほんの少しだけ力を貸して後は色々と頭を悩ませて答えを出してもらおうと思ったが無理だった。
「人を助ける時にこの道を歩けばいいと教えるのはいいが、この道を歩けと強制させるのはいけねえ事だとオレは教わった……だからアリーシャを助けるって決めた時にアリーシャが悩ませて色々な道がある事だけを教えた。その道が絶対に正しいから歩けとは言っていない……そうやって悩んで藻掻いて苦しんでも歩き続けた結果、今の強いアリーシャが生まれる」
「ゴンベエ……そんな事をずっと考えて思っていたのか」
「メルキオルのクソジジイ、お前はオレに世界を救えるだなんだ思っているだろう……アリーシャと同じことを後、最低でも10000000回やらなくちゃいけねえなんて死んでもごめんだ」
「だから、──か」
アイゼンはオレの言いたいことに納得する。
無理に自分の流儀を貫かず、その人が本当の意味で助ける事が出来てこその人助けだ。オレは地獄でそう教わった。吹雪も深雪もヒナコも黛さんも、それにアイツも地獄の転生者養成所で嫌になるほど人の醜さを知った。世界の理不尽さも自身の死で思い知っている。それと同時に人助けの難しさも、諦める事の大切さも人を疑う事の大切さも教わった。
だからだろう。小説や漫画に出てくるような熱血漢の主人公的な性格の奴がいないのはどいつもこいつも一癖も二癖もある転生者になるのは。それでも笑顔を絶やさない
「人助けがどれだけ難しい事を嫌というほど知っている……宗教は違うが、弟子に裏切られた神の子だって存在している、立派な教えや信念を持っていても裏切る時は人は裏切る残酷な生き物だ。それを知っている。だからオレは何度も断った、そんなのと向き合って歩むのはめんどくさいから……でも、お前は違うだろう。世界の残酷な現実を真実を理を知っていてそれでも救済しようと思ってるんだろう……だったら
「オレからすればお前だって同じ穴の狢だ……カノヌシじゃなく四聖主を叩き起こして霊力の低い人間に天族を見える様になる術を開発したりやれることはあった。世の中にはエレノアの様に高潔な心を持った人間だっている。それと同じぐらい話し合いも通じない改心しないどうしようのないクズも存在する、それでもお前はそんな人間と向き合わないといけないだろう。人が背負っている業は重くて深いかもしれない。アホのスレイと違ってお前はそれをよく知っている、それでもお前はどうにかしたいと思っている、それでお前は動いているんだ……
「黙れ……貴様に、貴様になにが分かる!」
オレはその道を選ばない。めんどくさい、硬っ苦しい、息が出来ない、そこまでする義理がない、興味を抱かない。
「人々は対魔士達を胡散臭い奇術師と扱った、聖隷の存在を信用する事すらしなかった。何度も何度も向き合った、我が友アスガード・クローディンもアルトリ──」
「るっせえんだよ!!色々とゴチャゴチャ理屈を並べて偉そうに語ってんじゃねよ!!悲しい過去があっても過去は過去で乗り越えないといけない。今は今しかない、未来は掴み取らないといけねえ。どれだけ辛かろうが人は嫌でも前に進まされるんだよ!!難しい言葉を並べて偉くなったと思い込んでんじゃねえ、悟りを開いて賢者になったと思いこんでんじゃねえよ!!お前も口にしないだけで、それがめんどうだと適当なそれっぽい理由を纏めて諦めたんだろうが!他人を思いやる気持ちを慈しむ気持ちを向けなくなったんだろう!」
過去にメルキオルは必死になっていたのだろう。それこそカノヌシの力を使わずに四聖主の力を頼ろうとしたのだろう。それでも無理だったのだろう。大地の記憶で見たアルトリウスの様に自分の無力さを嘆いたのかもしれない……だが、それでも前に進まなければならない。その道を選んだんだ……スレイもメルキオルのクソジジイもアルトリウスも。例えどれだけ世界が残酷だとしても。オレはそんな過酷な道を歩みたくないしめんどくさいから選ばないけども。
「お前やアルトリウスに対して史上最低の言葉を送ってやるよ」
過去に吹雪を傷つけた言葉だった。アリーシャに対して言うのも極力避けている……でも言ってやる。
頑張れって言葉はエールになるなんて言うけれど、時として人を最も傷つける言葉になる。
アルトリウスは頑張ったんだろう。メルキオルのクソジジイは頑張ったんだろう。だがそれでもオレは言ってやる。まだ出来る筈だ、諦めるな。頑張れよ、努力しろよ。
少なくともオレ達は知っているんだ。地の主という穢れから身を護るシステムを、従士契約という霊応力が低い人間でも天族が見れる様になる技術が存在しているのを。お前やアルトリウス達は努力を怠っているんだよ。
「自分でやるって決めたくせに適当な理由を纏めてめんどくさいのを回避しようとしてんじゃねえ……だからオレはハッキリと言ってやるよ、人を助けるのはめんどくさい。めんどくさいけどアリーシャに力を貸して助けるって決めたんだよ」
「ゴンベエ……」
「お前は狂っている……儂がこの手で殺す!!」
「狂っている、ね……オレが誰に物事を教わったと思ってるんだ」
仏だぞ、この世の真理を解き明かして悟って目覚めた奴等だぞ。
神とはまた違った考えを持っていて、アホみたいなところはあるけどそれでも偉大な存在なんだよ。
「絶対零度の檻にて絶命せよ!アブソリュート・プリズン!」
「喝!!」
メルキオルはオレを殺すべくオレを氷漬けにする。
オレはそんなもんは効かないと一喝して氷を粉々に破壊した。
「吹雪のエターナルフォースブリザードの方がまだ冷たい」
「化け、物が」
「失礼な、勇者だ……もうつまらない禅問答は終わりにする」
メルキオルのクソジジイも底が見えてしまった。四属性の神依も無駄話が原因で無駄に終わる。オレはフォーソードとマスターソードの二本を取り出して二刀流になる
「ゾーン強制開放!我が剣は終わりを告げる、我が剣は戦いの始まりを迎える……開闢双覇斬!」
二本の剣を交差させてメルキオルのクソジジイを斬り殺す。
今回は殺してもいいので一切の手は抜かない。100%、ゾーン状態でメルキオルに致命傷を与えた。
「ふぅ……スッキリした」
老害をボコボコにするのは気持ちいいZOY。
四属性の神依が解けたのでメルキオルのクソジジイはもう死に向かっている……もし悔やむ事があるのならばメルキオルの神依の犠牲になった天族達、ホントにすまん。
「あの頑固ジジイをめんどくさがり屋と言うのか、お主は」
「真剣に問題に向き合って話し合ったりする事は大事でそれらを怠ればめんどくさがり屋だ。諦めるための適当な理由や理屈を並べてもな」
「向き合うか……ゴンベエは私の問題と向き合ってくれているのか」
「お前だけ特別だ……色々と義理はあるしな」
「そうか……私だけか……」
一回、従士契約云々の際にスレイに色々と教えてほしいだなんだ言われたがめんどくさい。アリーシャに対してはまぁ、色々とあるので真剣に向き合うのが筋だろう。アリーシャは自分だけ特別扱いされているのが嬉しいのか笑みを浮かびあげている。
「これで4つの魂は揃ったわ」
メルキオルの遺体を喰魔化した左手で喰らう。
空を見上げれば綺麗な真紅の満月であり、実に生贄をしてなにかを呼び出す空気が出来ている。
「ここまで来たが……ここで本当に大丈夫なのか?」
一度に四聖主を同時に叩き起こさなければならない。失敗だけは許されないので少しだけ不安を抱く。
ここは地脈の力が地下の底から湧き出る場所だ……最後の最後で失敗してしまうっていうのもありえなくない。なんだったらメルキオルが魂を叩き込めない様にしている可能性だってある。
「その時はその時よ……行くわよ!」
「行くって、おい!」
「ベルベットに続こう!」
左手を喰魔化したままのベルベットは火山に向かって飛び込む。
上から勢いをつけて地脈湧点に叩き込むつもりでアリーシャはそれに便乗するかの様に飛び込みベルベットの背中に手をつける。
「ったく、仕方ねえな」
アリーシャが飛ぶと他の皆もベルベットに力を貸す為に飛び込む。
ここまで来た以上は成功させるしかないとオレも後を追ってベルベットの背に触れて力を貸すとベルベットの左腕に怪しく光る魂の球が出現して地面に叩き込まれる。
「四聖主は災禍の顕主が叩き起こす!!」
ベルベットがそう叫ぶと光る魂の球が地面に打ち込まれて消えた。
どうなったと口にする前に膨大なまでの力の流れを感じ取り四方に散らばる。恐らくは各々が祀られる神殿に四聖主達が目覚めたのだろう。
「感じる……カノヌシの領域と四聖主が戦ってるのを」
「成功したか……これで意思を抑制された聖隷達も解放される」
「そうなれば聖寮は戦う術を失い、情勢はガッタガタになるがのう」
「……どうにか出来ないでしょうか?」
「……取り敢えず、メイルシオに戻ってから色々と考えようぜ」
四聖主を同時に叩き起こし、カノヌシの領域を封じた。それにより今まで築き上げてきた社会は崩壊する。色々と今後について考えなければならない事が沢山あるが今はなにがどうなっているのかを考えるよりも一息つきたい。オレ達はキララウス火山を降りてメイルシオへと帰る。
ゴンベエの術技
開闢双覇斬
説明
ゴンベエの第二秘奥義
ゾーンを開放して全力全開の状態でオーバーロード状態のマスターソードとフォーソードの二刀流で*マークを斬り刻む
スキット どっちの意味
エレノア「ふぅ……申し訳ありませんでした!!」
ゴンベエ「突然改まってなんだよ?」
エレノア「貴方が力はあって色々と良識がある癖にめんどくさがってなにもしないクソニートのプー太郎だと今まで思っていました」
ゴンベエ「お前、腹の底ではボロクソに言うんだな」
エレノア「でも、違ったのですね……貴方は本当は誰よりも深く色々と考えていた。めんどくさいという言葉の意味を理解せずに軽蔑してしまいました……本当に、申し訳ありませんでした」
ゴンベエ「んだよ、そんな事か……別に謝られることじゃねえよ。オレはめんどくさいと思っているのは事実なんだから」
エレノア「確かにそうかもしれない……私も心の何処かで適当な理由を付けてめんどくさいのを誤魔化している」
ゴンベエ「お~い、話聞いてるか」
エレノア「貴方に色々と教えた方は本当に立派な人なのですね」
ゴンベエ「そりゃまぁ仏だからな……人がどうして苦しむのか、世界はどうして無常なのか、そんな深い事を色々と考えていた末にこの世の理の外に居る存在だからな……普段は茶目っ気なおっさんだけど」
エレノア「一度お会いしてみたいですね」
ゴンベエ「いや、会ってるぞ」
エレノア「え?」
ゴンベエ「何回か見てるだろう。あのペヤングフェイスもとい頭がブツブツなの」
エレノア「あの変なのが貴方に色々と教えていたのですか!?」
ゴンベエ「他にも色々な奴が居たりしたけど、人助けとかについて色々と教えてくれたのはあの仏だからな……曲がりなりにも仏だからな……」
エレノア「ただの変な格好をした中年にしか見えないんですが」
ゴンベエ「まぁ、色々とあるんだ。色々と……細かな事は気にするな。めんどくさくなる」
エレノア「それはどっちの意味でのめんどくさいなんです!?」
番外編
-
続 異世界プルルン転生記
-
ちょっと昔のゴンベエ達(地獄)
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ザレイズ 総力戦 決戦KCグランプリ
-
まゆゆんの貧乏くじ
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スペシャルスキットの続き