テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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死ぬ時は死ぬ

「なんだと!!」

 

 かめにんがダークかめにん化して、ニャバクラに去ったのでメイルシオに戻った。

 メイルシオに戻るとアイフリード海賊団の一人が大慌てでアイゼンになにかを報告しに来て、アイゼンは声を上げる。

 

「どうした。ダークかめにんがなんかやってきたのか」

 

「いや、違う……見つかったんだ、幻の島が」

 

「幻の島?」

 

 アリーシャはなんだそれはと少しだけ首を傾げる。

 

「その島は動く島で恐怖の島と言われていてな、その島に行った者は皆、生気を吸い取られる」

 

「おいおい、物騒な島だな……まさか」

 

「ああ、オレは行く!この機会を逃せば二度と行けなくなる可能性だってある」

 

「だが、そこに行けば生気を吸い取られるのだろう……もしかしたら死ぬのでは」

 

「死神の航海に死は常に隣り合わせだ……安心しろ、無理に付いてこいとは言わん。オレ一人でも」

 

「バカか、そっちの方が危険だ。その島がどんな島なのかは知らねえが危険地帯ならばオレの力が必要だろう」

 

 アイゼンはなにがなんでも行くつもりで、未知の世界に足を踏み入れたい気持ちを無下にする訳にはいかない。

 危険も承知の上での行動で無理に止めるよりもついていく方がいいと判断した。ベルベット達にも事情を説明すると、危険な場所なら行かなきゃいいのにと言われたが付いてきてくれる。ライフィセットは地図に載っていない場所に行ける事をワクワクしていた。

 

「こ、ここは!」

 

 許可が降りたので早速その島に向かい、上陸するとベルベットは島を見て声を上げる。

 島の入り口に社っぽいものがあり、そこには金のノルミンの銅像が祀られている。

 

「わ〜珍しいな〜、またお客はんや〜」

 

「遠いところノルミン島へようこそ〜ぶぶ漬けでも食べはる?」

 

 島の奥から出てきた2人のノルミン。

 オレ達を歓迎してくれているみたいだが、ぶぶ漬けって帰れって意味を込めて出す物であり歓迎の意を込めて出すものじゃない。まぁ、今時ぶぶ漬け出して帰れアピールは無いけれども。

 

「ノルミン島、だと!?」

 

「そうでフ!ここはノルミン達の生まれ故郷、ノルミン島でフよ」

 

「帰省なんて1500年ぶりかしら」

 

 恐怖の島の正体を知って驚くアイゼンだが、特に気にすることなくビエンフーとグリモワールは島に足を踏み入れる

 

「お前等、全部知ってたな」

 

 もっとこう大きなリアクションかなにかがあると思うが全然驚きもしない2人。

 最初から恐怖の島の正体がノルミン島だって事を知っていたな。

 

「ごめんなさいね……教えるのは簡単なんだけど『未知の島に溢れる浪漫を追い求めるのが海賊だ』とか色々と言ってるから、ネタばらししちゃいけないと思ってて……こういうのって秘密なのが大事でしょ」

 

「申し訳無いでフ!」

 

 言えば全てを台無しにしてしまう事を2人は知っていたので黙っていた。

 そう言われればなにも言えなくなってしまうので怒ることは出来ない……流石というかなんと言うかグリモワールは空気の読める女だ。

 

「副長、これヤバいっすよ」

 

「ほわほわだ〜」

 

 バンエルティア号前にいたアイフリード海賊団の面々がノルミン達に囲まれてホワホワしている。

 

「島に立ち入る者の生気を奪うって、アレの事なの!?……この島、地図に載せていいのかな?」

 

「知らん」

 

 ライフィセットは島の真実を知って少しだけショックを受ける。

 しかしそれはさておいて、ミッドガンド王国付近の異海の詮索は終わり世界地図が完成する。ライフィセットは地図が作れた事を喜ぶがあくまでもミッドガンド王国付近の異大陸を記した地図であり、異大陸を越えたその先の大陸の地図じゃないとアイゼンは貪欲さを見せる。

 とりあえず滅多な事では辿り着ける場所でなく、ノルミン達が歓迎をしてくれるという事なので甘んじでその好意を受け入れて島を探索しているとノルミン・ヒーローと呼ばれるノルミンが嘗てアルトリウスとその師匠と旅をしていた事が判明する。アルトリウスも最初からカノヌシの鎮静化をしようなんて馬鹿な考えには至っておらず、妻であるセリカが犠牲になったのが原因でああなったわけだ……世界に絶望しているわけか。

 

「ゴンベエ、聞いてくれ」

 

 観光名所的なのもないのでノルミン島の探索は割とあっさりと終わった。面白い話を聞くことが出来たのでよかったのだが、海賊団の面々がノルミンが齎すほわほわにやられてしまい船を出発させる事が出来ない。ならば今のうちにやれる事はやっておこうとアリーシャはハープの練習の成果をオレに見せてくる。元々勤勉な性格のアリーシャは暇な時間を見つけてはハープの練習をしていたので腕は確かに上がっている。

 

「あら〜ええ曲やなぁ。なんや力が湧いてくる感じがするわ」

 

「お前は……」

 

「うちはアタック、ノルミン・アタックや……アメッカはん、ええなぁ。絶対領域もあるし」

 

「お前等意外と欲に塗れとるな」

 

 アリーシャがハープを弾いているとそこかしこからノルミンが集まってきた。

 アリーシャの太ももに魅力を感じている……今思えばライラも太ももが出ていたな……スレイ達、なにやってるんだろうな。現代に戻る際には過去に来た時間の数秒後の未来に向かうから大して時間が経過してないが……無事にパワーアップ出来てるのだろうか。

 ノルミン達を見ているとなんだかスレイの事を思い出してしまう……あいつ、絶対に軽い気持ちで導師になったからこれから色々と大変だろうな。なにせ導師の伝承が色々と残っているハイランドで異端に見られて支援を受けられねえから……まぁ、布教とかも宗教では大事な仕事の一種だから諦めるな、頑張れとしか言えない。パワーアップして天族が見えるようになった人の業や醜さ、それでも前を見て歩く力強さを知ったアリーシャがお前の元に駆け付けてサポートしてくれるからなんとかなるやろ。

 

「あ〜あ、ザビーダ兄ちゃん早く遊びに来ないかな」

 

 ノルミン島を後にし、タリシエンにやってきた。特に目的もなくブラリと歩いていると一人の子供がザビーダの名前を出していた。

 そういえばザビーダはあの後どうなったのか。シルバを連れてイズチに行くことが出来たのか、運が良いのか悪いのかゼンライの爺さんとねこにんの里で鉢合わせしていない。ゼンライの爺さんに会えればシルバの事を聞くことが出来るが、現代でオレ達をあまり知らないと言う事はシルバは意思を解放された天族の一人とでも説明しているんだろう……肝心のシルバは現代じゃイズチに居なかったから、何処に居るのやら。

 

「対魔士のエレノアと申します。皆様はザビーダの事をご存知なのですか?」

 

 子供達だけでなく大人もザビーダの事を口にしていた。

 一緒に旅をしている訳ではないが色々と深い仲であり、子供達と大人達にザビーダの事を代表してエレノアが聞いた。こういうときは対魔士様様だ。

 

「ああ、対魔士様も知ってるんですね……ザビーダは私達を家族にしてくれた」

 

 話を聞いてみるとザビーダはデオドラに夫婦が子供達の元に連れ去られて料理を作らされたのがきっかけらしい。

 子供達は孤児でデオドラとザビーダと一緒に暮らしていたけど肝心の2人が料理が全く出来ないから夫婦を連れ去ったとか。子供達には親はいない。大人達には子供はいない。どっちもいない関係性で、気付けば家族の出来上がりだった様でザビーダはちょっとガサツなところがあるがホントはいいヤツでもし見かけたのならば力になってやってくれと、デオドラを探しているザビーダの事を頼まれる。

 

「デオドラは……もう……」

 

 ザビーダが今どこでなにをしているのかは詳しくは知らない。だが、考えることは出来る。

 メルキオルのクソジジイをぶっ飛ばすのはオレがやり、世界のこんな状態を見れば四聖主を叩き起こすのに成功したのが分かる。ならばアイツはなにをしているのか、考えるのは容易い事だった。アリーシャは知っている、ザビーダの恋人と思わしき天族が今どうなっているのかを。

 

「まぁ、当然と言えば当然の結果じゃのう。純真無垢な赤子ならいざ知らず心に傷をおった子供達と暮せば穢れる……」

 

「それを承知の上でデオドラさんは子供達に救いの手を伸ばした、そんな方だからザビーダは救いたいのですね」

 

「そうは言うが、ドラゴンになった聖隷を元に戻す方法なんてあるのか?」

 

 ロクロウがそういうとエレノア達の視線はオレに向けられる。

 

「言っとくがオレは力は貸さねえ……アイフリードのは特例中の特例だ」

 

 オレならばドラゴンを元に戻すことが出来るかもしれないとアイフリードの一件があるのでエレノア達は期待を寄せる。だが、アイフリードの一件はザビーダに現代で売られた恩を返す為にやった事で、コレで貸し借りは0。新たにザビーダに貸しを作る意味でやればいいかもしれないが……

 

「……ゴンベエでも無理だ」

 

 アリーシャは知っている。出会って間もない頃にオレと一緒に磁石を作るためにレイフォルクに行った時にドラゴン化したアイゼンと遭遇しているのを。その時にマスターソードを抜いてドラゴンになったアイゼンを攻撃したものの元のアイゼンに戻らなかったのを……まぁ、あの時は逃げるの優先していたし、浄化なんて一切考えていなかったからやれる事はまだあったかもしれないけど。

 

「ゴンベエの力を持ってしも不可能ならば……殺す」

 

「……あのドラゴンを殺すことについては反対しません。ですが、貴方のやり方は間違っています……ドラゴンになってしまった恋人を目の前で殺されるのを良しとする人はいません。アイゼン、貴方とザビーダはよく似ています。貴方達は話し合えば」

 

「口先だけで納得が行くのならばとっくの昔にあいつが殺しているさ」

 

 なにがなんでも殺さないのが今のザビーダの流儀だ。

 どうにかしたいとエレノア達は思っているが殺すしか今のところ道は無い。

 

「僕が白銀の炎を使いこなせれば……」

 

 ライフィセットはどうにか浄化の炎を使いこなせるようになればと考えるがオレとアリーシャは知っている。現代の完成された浄化のシステムを持ってしてもドラゴンを元に戻す方法は無い……これはあくまでも個人的な勘だが、多分ドラゴンを浄化するのと憑魔を浄化するのとはやり方が違う気がする……なにか一手が足りない。それがなにかは知らないが。

 

「アイゼンさんですね」

 

 デオドラとザビーダに対して色々とあれこれ考えている間に船着き場に到着した。

 船着き場にはアイフリード海賊団じゃない人が、血翅蝶の一員がおりベルベットでなくアイゼンに声をかけてきた。

 

「ボスから伝言を預かっている。ワンジンという骨董品を収集していた男が亡くなって、コレクションが売りに出された」

 

「壺と絵か……興味はあるが今はいい」

 

「いや、それだけじゃない。ワンジンと言うのはドラゴンに関する書物も色々と集めていたらしい。アイゼンさん、貴方の目当ての物も見つかるかもしれない」

 

「ドラゴンに関する本……何処で売られている!!」

 

「カドニクス港だ……もう既にオークションは開演しているが、今からならば間に合うかもしれない」

 

「お前等、カドニクス港に行くぞ!!」

 

 血翅蝶の言伝を聞いて次の行き先が決まった。

 風のタクトを取り出し、風向きを操ってタリシエンを後にし全速力でカドニクス港に向かった。

 

「っち、オークションはもう終わったか」

 

 全速力でカドニクス港に向かったがオークションは既に終わっていた。

 こういう時の運はアイゼンには無い……ただし、悪運はある

 

「ドおう!アイゼンの旦那じゃねえか、ド久しぶりだな、ドあははははは」

 

「ドネル!そうか、コレクションを競りに出していたのはお前だったのか」

 

「知り合いなのか?」

 

「ああ、フジバヤシの釣り竿はコイツから購入した……ドネルが売っているという事は確かな物だったのか……っち」

 

 完全にオークションは終わったようだが、売っている人に会うことは出来た。日頃の運は悪いが、こういうところの運は強い。

 アイゼンが信頼する事が出来る奴が売っていたって事は良いものがあるのだが肝心のオークションは終わってしまっている……顧客との信用問題を覚悟の上で何処の誰かに売ったのかを聞いてみるか?

 

「アイゼンの旦那、ド落ち込むのはド早いぜ。このドネル、こう見えて色々と隠し持ってるんだ」

 

 そういうとドネルは一冊の本を取り出す。

 アイゼンはその本を受け取ってパラパラと読み流しをすると少しだけなにかを考えた後にライフィセットに本を託した。

 

「そいつはド古代アヴァロスト語の本だ……この何年か、聖寮が古代アヴァロスト語の本を集めるどころかド規制してやがる、そんでもってこういうのを欲しがるのはド悪党のアイゼンの旦那みたいな奴だろう」

 

「恩に着る……いくらだ?」

 

「金はとらねえよ。ド聖寮とドドンパチやってるのはあんた達なんだろ、これはそのお礼さ」

 

 世の中こういうことがあるからホントに分からねえな。

 古代アヴァロスト語の本なのでオレやアイゼン達では読むことが不可能な物でライフィセットとグリモワールに解読をさせる。

 

「ドラゴンに関する本……なにか良い結果に繋がればいいのだが」

 

「……アリーシャ、結果は」

 

「っ……分かっている、分かっている。だが、一分でも1%でも」

 

 オレとアリーシャは未来から来ているから未来の知識がある。ドラゴン化をどうする事も出来ないのを知っている。どうにかする方法があるというのならば今頃現代にどうにかする術が伝わっている……こういう時は未来から来たってのは実に残酷な事だ。いらん知識が混じってしまう。

 

「で、どうなの?」

 

 マギルゥがこんな事もあろうかとグリモワールを連れてきていたので解読をこの場でする。

 ライフィセットとグリモワールが色々と談義を繰り返しており、一向になにが書かれているのか教えてくれないのでベルベットはしびれを切らしたのかグリモワールに答えを聞く。

 

「えっと……結論だけ言うとこの本はドラゴンに関する事が書かれていた、研究成果を纏められた本だよ」

 

「そうか……いきなり飛ばして聞くのは野暮な事かもしれんがドラゴンを元に戻せる方法はあったのか?」

 

 オレの問いかけにライフィセットとグリモワールは首を横に振った……やっぱりか。

 

「ドラゴンに対して色々とやってみたみたいだけれど、元に戻すことが出来た成功の一例は1ページも無かったわ」

 

「そう、ですか……」

 

 分かっていた事だがアリーシャはショックを受けている。フォローは……しなくていいか。

 

「ただ『白き大角いただくドラゴンの心くり抜き血と共に喰らわば消えん聖隷の加護』って書いてあって」

 

「それは……要約するとドラゴンの心臓があれば天族の加護を消すことが出来る、という意味なのか?」

 

「さぁ、この本にはそこまで載ってないし実際に試してみないと分からないわ」

 

 持ち直したアリーシャはライフィセットが気にしている分を原文から要約する……天族の持つ加護を無くす事が出来るか。

 死神の呪いを持っているアイゼンには朗報……とは言わないな。アイゼンは死神の呪いと向き合う事を決めていてどうにかするつもりは無いのだから。

 

「あんたは試すのか?」

 

「ザビーダ、なんでここに!?」

 

「親切な婆さんが青空市場について教えてくれたんだよ」

 

 本の内容に驚いているとザビーダが現れた。ライフィセットがどうしてここにと尋ねると血翅蝶の力を借りてここに辿り着いた事を教える。こんな上手い話、他にも伝えないわけがないよな。

 

「俺みたいないい男を女が放って置くわけねえだろう。お嬢ちゃん達も俺に惚れるんじゃねえぞ」

 

「生憎ね、私は好きな人が居るから惚れるなんてありえないわ」

 

「……え、マジで……おたく、好きな人いるの?」

 

「ええ、かなり口説かれたわ」

 

「ベルベット、それはザビーダの冗談話だ。変な方向に持っていくんじゃない!!」

 

「分かってるわよ……そんなに大声出さなくていいじゃない」

 

「よくない!」

 

 ザビーダの冗談で危うく大パニックを起こすところだったがアリーシャが話を本筋に戻す。うん、このままだと修羅場が待ち構えてるからよくやった。

 

「ったく、冗談くらい言わせろよ……もっとも冗談話で済みそうにねえ事もあるみたいだがな」

 

 ザビーダはアイゼンを強く睨んだ。

 

「だとしたらお前はどうする?」

 

「殺らせはしねえ」

 

「オレを殺すことになったとしてもか?」

 

「……テメエ、なんでそこまで殺しに拘るんだ。テメエは自分が死神である事を否定するのをやめて受け入れたんじゃねえのか?」

 

「質問に質問で返すんじゃねえ」

 

「先に質問をしたのは俺だぜ」

 

 一触即発、何時殴り合いになってもおかしくはない空気を醸し出している。

 

「……殺すことで、救われるヤツもいる……」

 

「アイゼン、お前の言うことも一理あるけどよ……足掻いて藻掻いて叫んで必死なってる姿だって1つの生き方だろう。お前達天族は飯を食わなくてもいいし便利な術も使える数千年と馬鹿みたいに長く生きて人間とは異なる、だけど怒ったり泣いたり笑ったり喜んだりする心は人間と同じ筈だ。お前のそれは下手したら他人の舵を無理矢理切り替えるのと同じだぞ」

 

 アイゼンが殺そうとする理由はなんとなく見えてきた。殺すことで誰が救われるのかは分かる。ただ自分勝手だ。

 無駄だと先人が結果を示していても諦めずに挑戦し続ける姿勢が大事で、もしかしたら見つかるかもしれない。

 

「自分の舵を取り戻す為の事だ……手を伸ばせば救える可能性を持っているのに救おうとしないお前にだけは言われる筋合いは無い」

 

「そう言われればそうだがな……じゃあ、お前等に面白い話をしてやる。題して【2人の死神】」

 

「それは……」

 

 ネタバレ厳禁だぞ、アリーシャ。

 

「今年今年あるところに死神と呼ばれる医者がいました。何故その医者が死神と言われていたのかというとその医者が継ぎ接ぎだらけのぬいぐるみの様な肌をしていたからです。死神と呼ばれる医者は不気味な見た目をしていますが医者としての腕は世界一と言っても過言ではない程の腕を持っている名医でした。しかし彼のやり方はあまりにも異端の為に国のお抱えの医者でなければ医者としての資格を持っていません」

 

「……それの何処が面白い話なんだよ」

 

「しかしそれでも腕は世界一、海の見える断崖に暮らす医者に治療してくれと頼みに来る難病の患者は沢山居ました……しかし、死神は助けるならば治療するならば1千万、酷い時は1億、10億と膨大なまでの治療費を請求してきます」

 

「最低じゃねえか、その医者は」

 

「ただ彼は気まぐれか治療した人が経営する居酒屋で一年間無料や、ラーメンを奢って貰ったお礼と称して治療することもある。そんな腕は世界一だが色々と問題を抱えた医者に今日も今日とて治療の依頼がやってきた。子供の依頼人で自分の母親を治して欲しいと頼み込むので例によって法外なまでの治療費を死神は請求すると一生かけても支払ってみせると子供は言ったのでとりあえずはその母親がどんな状態なのか確認しに行くと、そこには彼とはまた別に死神と呼ばれる人を殺すことを生業とする医者がいました」

 

「おい、おかしいだろう。医者ってのは病気や怪我を治してくれる人の事だ、殺してどうするんだよ!!」

 

「殺す方の医者は血液検査にも尿検査にも引っかからない特殊な毒を用意していました。それを飲ませる前に阻止することが出来ました。継ぎ接ぎの死神は曲がりなりにも医者です、医者としての誇りを持っており殺そうとする医者の存在を認めず病気になっている母親を検査した結果、自分ならば確実に治すことが出来るのだと判明しました……しかし、母親は拒みました」

 

「なんでだよ!自分の病気を治すことが出来るんだろう!なら、治せばいいだろう!そうすれば」

 

「継ぎ接ぎの死神の治療費は膨大な物です。母親の子供がコツコツと酒にも女にも溺れずに真面目に働いて中年になる頃にやっと返済できるほど。自分の為にそこまでしなくていい。自分の夢を掴みなさい、自分のやりたいことをしなさいと母親は子供の幸せを願いました。自分が死ねば保険金が入り、子供が大人になるまで安心して暮らせると喜びました」

 

「んだよ……んだよ、そりゃあ!!自分が死んだら子供が救われる……そんな、そんなふざけた話があるわけねえだろうが!」

 

「ああ、安心しろ。これはフィクション、作られた話だ。継ぎ接ぎの死神は母親はこの世で何よりも大事な存在だと思っています。

 

この世で最も美しいと思う女性は母親と思っているほどで、子供の母親が手術を拒む理由を聞いて、何かを重ねたのでしょう。医療費はタダにすると、タダにしました…そして、もう一人の死神からその母親を奪い、見事なまでに治療に成功。母親は元気に歩く事が出来るようになりました……そして家族でピクニックに行った際に崖崩れに巻き込まれて死にました、殺す医者はやはりあの者は死ぬ運命だったのだと言ったのに対し、救おうとした医者はそれでは医者は何のために居るんだと泣き叫びました……おしまい」

 

「んだよ……んだよそれは!医者も母親も子供も報われねえだろう!!」

 

「生き物ってのは死ぬ時は死ぬもんだ……人間って生き物は業が深い。無理に生きさせようとする。熱力学第二法則に真っ向から戦いを挑む人間の背負う重い業だな」

 

 ザビーダはこの話の結末に納得がいかない。オレもこの話は酷いと思っているが、手塚先生はコレを書きたいと思ったから書いたんだ。

 

「だから諦めろ、殺されるのを見てろっていうのか!ざけんじゃねえ……殺すことが救いなんて絶対に認めねえ!!」

 

 ザビーダはそういうとこの場から去っていった……ま、認められるわけないだろうな。

 今のザビーダに対して言うべき話ではなかったのかもしれないが、そういう考え方だってある。ザビーダは去っていき、肝心のデオドラが何処にいるのか所在は不明……だが、近い内にデオドラに会うだろう。

 

「ゴンベエ……結局、この話の意味は……」

 

「……お金ってのはな、価値観の異なる人達の物の価値を決めるのに大事な道具なんだ。本当にその人の事が大事ならば助けたいと思うなら1千万だろうが1億だろうが安い」

 

 自分のプライドや流儀だって手放せる筈だ……なんて言ったら自分勝手(エゴ)の押し付けなんだろうな。




今回もスキット無しです……ので

転生者について。
 
元は閻魔大王が飢餓等による死が減った筈なのに自殺したり虐待されたりする若者の多い現代社会に絶望してどうにかしたいと作られたシステム。
子供がなんらかの理由で生物的に一回死んでしまった後に地獄で異世界(二次元)に転生できるけどするかどうかを訪ねた後に実弾入りの拳銃を発砲させる等の度胸試しをさせられる。
最初は転生特典を与えてそのまま転生させるだけのシステムだったが転生者が未熟な子供だったりしたので色々と問題があったので遊戯王、ラブライブ、ブラッククローバー、FAIRY TAIL、GOD EATER等どの様な世界に転生しても問題は無い様に鍛えつつ、その人が持つ才能を伸ばす訓練を行うようになった 
訓練は地獄そのものであり一度でも逃げ出せば転生者になる権利は剥奪される。人間の業や真理、残酷な社会を教えられたりするので無償の正義の味方などの漫画に出てくる絵に描いたような善人は殆どおらず色々としっかりとし現実を見ている人間が多い。
転生者の容姿はその魂が決めるもので大抵はアニメのキャラの容姿となり、名前が一文字違いなのだが極々稀に魂が不安定で転生する度に容姿が変わる転生者も存在する。
最初は閻魔大王の救済システムだったが、転生者がやることが面白く娯楽に餓えていた地獄にとっての最高の娯楽となっており転生先で偉業を成し遂げたり面白いことをした転生者にはもう一度転生する権利を与えて更にそこでもう一度面白いことをすれば無限に転生する権利を与えられる。
転生者は本来の自分の名前を剥奪され、誰が口にしてもその名を聞き取る事は出来ない。
極々稀にだが地獄の転生者とは別の世界線から理由もなく急に転生させられた転生者の存在が確認されており、危険な存在であれば転生者ハンターと呼ばれる転生者が狩るのだが大抵は無理矢理転生させられた被害者だったので狩られる事は少ない。
転生先でなにしようが勝手だが宗教だけは変えてはいけない。変えるとその国の宗教のあの世に行ってしまうから

番外編

  • 続 異世界プルルン転生記
  • ちょっと昔のゴンベエ達(地獄)
  • ザレイズ 総力戦 決戦KCグランプリ
  • まゆゆんの貧乏くじ
  • スペシャルスキットの続き
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