テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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※読む前の注意点

注意点

このサブイベントは本編とあまり関係ないもので、アリーシャが強くなるには結局なにが必要なの?とかを別の世界に転生した転生者に教えて貰ったり貰わなかったりするサブイベントであり、ゲーム的な話をすればサブイベントを進める事によりゴンベエの第三秘奥義が使えるようになり、最終的にある事を知ることが出来てアリーシャ達の好感度とかがなんかスゴい事になり更なるサブイベントが解禁されたりされなかったりします。
そしてこのサブイベントでアリーシャが槍を使える様になり精霊装擬きを使える様になるとかそういうのはない。所詮はサブイベントだから


サブイベント 姫騎士アリーシャと導かれし愚者達 その6(中編)

「タ、タイム!ちょっと作戦会議を取らせて」

 

「ええ〜……しゃあないな。時間無いからちゃっちゃと決めてや」

 

 天王寺の旦那とベルベット達が戦うことが決まったのだが、ベルベットは手をT字にしてタイムを取った。

 今から戦うというのにテンションが下がる事をやるんじゃねえよと思ってるとベルベットがオレの首根っこを掴んで天王寺の旦那から距離を取った。

 

「どういうことよ」

 

「……なにが?」

 

「あの丸出し男がアンタより強いって話!アンタより強い奴なんて居るわけ!?」

 

 ベルベットがグイッと顔を近付けて迫ってくる。

 オレが尋常でない程に強い事を知っているのでその現実を受け入れる事が出来ないのだろう。

 

「天王寺の旦那はな……う〜ん……なんて言えばいいんだろうな」

 

 そもそもで強さってのは人によって異なる。暴力という強さもあれば知略という強さもある。強いと決めるモノサシは人によって違う。

 ただ少なくともあの人はオレよりも強いとハッキリと言うことが出来る。あの人は童子切の二つ名に相応しい国宝級の強さを持っている。

 

「あの人は……殴り合いだったら現時点ではオレが負ける」

 

「現時点?」

 

「オレには積み上げて来たものが無いからな」

 

 天王寺の旦那はバトル物の世界とかではバチバチとバトルを繰り広げている。

 そうでない世界の場合は学生相撲で優勝して幕下の付出しの資格を得て相撲取りになって超スピード出世で関取になるとんでもない人だ。戦いに明け暮れていて取組時間が十秒程度の短く濃密な時を戦って戦って戦い抜いて横綱の地位にまで勝ち上がっている。それも1回や2回だけじゃない。

 

「スペックだけ言えばオレと天王寺の旦那は同じだが、慢心をする事はせず雑魚だろうがなんだろうが情報を集めたり相手がどういう風に成長するか未来予測をする。そうして作られる勝利で裏付けされた自信も持っているだけでなく人を引っ張る天性のリーダーシップのセンスを持ち合わせていて、マスコミへの受け答えはいい。性格だって悪くはない……ピープルズチャンプ、世間が待ち望んだヒーローの様な存在になりうる事が出来る素質を持ち合わせている」

 

 故に殴り合いでの戦いをしたら天王寺の旦那に勝つことが出来ない。

 今のオレには積み上げて来たものが無い。後、何回か転生しないと天王寺の旦那と同じ領域に立つことは出来ない。仮に出来たとしても天王寺の旦那と同じことはオレには無理だ。

 

「オレが千の敵を倒す事が出来る一騎当千の戦士ならば、あの人は千の敵を倒すだけでなく千の味方を鼓舞し万の力に変える事が出来る一騎当千の猛者だ……凄く分かりやすく言えばオレの上位互換だ」

 

「ゴンベエの上位互換……」

 

 アリーシャはチラリと天王寺の旦那を見る。

 天王寺の旦那は暇なのかねこにんに岩を持ってこさせると岩にてっぽうを撃ち込み、岩を凹ませた……どんだけ馬鹿力なんだ。天王寺の旦那がオレよりも強いという事は嘘でもなさそうだとベルベット達は認める。

 

「で、なにで勝負するん?」

 

「……そうね」

 

 天王寺の旦那と真正面から殴り合っても勝つことは難しい。

 あの人、転生特典とか無しでアレだけ出来て……転生特典、なにを貰ってんだ?

 

「殴り合いで勝負やったらこっちは剣武魔神になるで」

 

 オーガ封珠鏡もとい妖怪ウォッチオーガを腕に填める天王寺の旦那……ヤベえぞ、殴り合いで戦ったら確実に負ける。

 妖聖剣で切り合ったら確実に負けるから……ベルベット達はどうするつもりなんだろう。

 

「なにか勝負出来る物はないの?」

 

「コレとかどうニャ?」

 

 殴り合いは危険だと感じたベルベットはねこにんになにかないかを尋ねる。ねこにんは羽子板を出した。

 なんでこんなもんがあるのかを気にしていたらキリがない。ねこにんの里には何故か映写機もあるんだからな。

 

「どうやって戦うのよ?」

 

「この羽根を落としたら負けのシンプルな勝負だニャ!!」

 

「……これなら勝てそうね……」

 

 羽子板と羽根を受け取るベルベット。天王寺の旦那は勝負を了承し、羽子板を受け取る。

 

「こう見えても紳士やからな、レディファーストや。サーブ権は全部くれたる。5本先取の一本勝負、タイブレーク無しや」

 

 一戦目、ベルベットは天王寺の旦那と対峙する。

 結果は火を見るより明らか、嫌な予感しかしないのだがこのままライブを開催しないとねこにんの里が滅びかねないのでここは天王寺の旦那に勝ってもらうしかない。

 

「一撃で沈めてやるわ!カタストロフィ・スマッシュ!!」

 

 羽根を高く投げて、ダンクスマッシュの如く羽子板に叩きつけるベルベット。

 羽子板のラリーで戦うのに物理的に沈めようとしている。そういえばテニプリのゲームで、テニヌプレイヤーを育成するゲームがあったけど、あれ最終的にスタミナ0にしてボールをいかに叩きつけるかの別ゲーになってたな。

 

「ベルベット、流石にそれはやりすぎじゃないか!?」

 

 スマッシュの威力が明らかに殺しに来てる。

 アリーシャは声を上げるのだが、これは真剣勝負。どれだけ本気を出しても問題はない。天王寺の旦那は本気には本気で答える漢だ。

 

「見事やな、男と女やったらホルモンとかの都合上筋肉の発達が女の方が低い。この威力、早さ、重さ。普通の女やったら絶対に出すことが出来ひん……綺麗な花には棘があると言うのはホンマやな」

 

 天王寺の旦那はベルベットの一撃を褒める……ダメだ。

 

「だが、コレが全力やったらおしまいや。俺の壱式波動球と同じ程度やからな!!」

 

「うっ!!」

 

 ベルベットの渾身のカタストロフィ・スマッシュを天王寺の旦那は撃ち返した。

 息を吐くように、何事もなかったかの様に……今ので箔が付いてしまったな。

 

「先ずは俺のリターンエースからや……残り4回サーブ、撃ってこいや」

 

「残り4回、か」

 

 アイゼンは天王寺の旦那が残り4回で勝つ気でいるつもりなことに気付く。

 羽根が腹に返ってきたベルベットはお腹の痛みに耐えながらも立ち上がり羽根を手に取り、サーブの構えを取る

 

「カタストロフィ・スマッシュ」

 

「弐式波動球!!」

 

 ダメージを受けても立ち上がるベルベットに対して天王寺の旦那は手を緩めない。

 ベルベットも心を曲げずに真正面から立ち向かっていくが、天王寺の旦那は何事もなく撃ち返した。ベルベットは今度はお腹にくらわない様に羽子板で撃ち返そうとするのだが、羽子板はあっさりと弾かれて苦しい表情を浮かびあげる……

 

「お前、今ので手首が」

 

「大丈夫よ、右が駄目なら左でやればいいだけ」

 

 今ので手首が逝ってしまったのだがベルベットは諦めない。

 ベルベットは左手で羽子板を持ち、ねこにんに回収された羽根を受け取りサーブをする。ダメだ、さっきの右手でやった時と比べて威力が落ちている。

 

「参式波動球!!」

 

「災禍の顕主をナメるんじゃ、ないわよ!!」

 

 火の神依の様な姿となり、左腕を喰魔化させるベルベット。

 天王寺の旦那の参式波動球を喰魔化した左腕の上に乗っている羽子板にぶつけて撃ち返した。

 

「やるやないか……なら、これならどうや。(ろく)式波動球!!」

 

「ば、倍になったじゃと!?」

 

 3の次は4かと思えば倍の6が出てきた。

 陸式波動球をベルベットは撃ち返そうとするのだが、喰魔化した左腕すらも弾き飛ばす。

 

「まだ、よ……」

 

「折れへん心、見事やな。並大抵の事じゃ出来ひん、相当な地獄を歩んできて強靭な魂を得たんやろうな……せやから先に言っとくわ……俺の波動球は裏表合わせて216式まで存在しとる」

 

 立ち上がるベルベットに天王寺の旦那は絶望を与える。

 

「216……今、さっき撃ったのがレベル6ならばテンノウジさんはレベル216を撃つことが出来るのか!?」

 

「まぁ、うん……」

 

「そんな、レベルが違いすぎるっ!!」

 

 天王寺の旦那との圧倒的なまでの力の差を感じ取ったアリーシャ。

 しかしもう遅い、勝負は既に始まっていてどちらかが勝利しないと終わらない。天王寺の旦那は手を抜くことはしない。いきなりレベルを上げて拾式波動球を撃てばベルベットは返すことが出来ず遠くに弾き飛ばされた。

 

「どうする……まだやるか?」

 

「当たり、前じゃない……」

 

 飛ばされたベルベットの元に駆け寄るとベルベットは血を流しており蓄積されたダメージに苦しんでいる。だがそれでも立ち上がる。

 どんな事があっても折れないベルベットは強い人間だ……相手が本当に悪すぎて、どうあがいても勝てないけれど。

 

「ここから逆転させてもらうわ!!」

 

「悪いけど、逆転は許さへんで……百八式波動球!!」

 

 ちょっ、それはアカン!!

 天王寺の旦那はベルベットに逆転の一手を与えないとフルパワーの波動球を撃ってくるのでベルベットの前に立ちベルベットの羽子板を奪い取り、羽子板で受けるのだが羽子板がミシミシと悲鳴を上げて最終的には真っ二つに折れてしまいオレの腕に命中し、鈍い音をたてた。

 

「つぁあ!!」

 

「おい、大丈夫……じゃねえな。折れてやがる」

 

 痛い、滅茶苦茶痛い。こんな痛いのは何時ぶりだろうか。

 鈍い音をたてた腕は変な方向に曲がっており黛さんが側に駆け寄り、触診するが見事にポッキリと逝っている。

 

「どいて、僕が治すよ!」

 

「横入りすんなや……この勝負、俺の勝ちや」

 

「旦那の勝ちだ……っつう」

 

 見事なまでにポッキリと折れているのが幸いかライフィセットの治癒がスムーズに行く。

 ライフィセットはオレの折れた腕を治すと血に塗れているベルベットの治療に当たる。

 

「さて……なにで勝負する?このまま羽子板での勝負でもええで」

 

 コンコンと羽根をついて笑みを浮かび上げる天王寺の旦那。

 羽子板で勝負をしても絶対に勝つことは出来ない。エレノア達はどの様な勝負をするのか考える

 

「……一回勝負のあっち向いてホイはどうですか?」

 

「ええで、最初はグーでいくで。ジャンケンポンスタートは無しや……黛さん、頼んだで」

 

「ったく、仕方ねえな」

 

 あ、ヤバい。エレノアも負ける。

 この人達に手加減とか花を持たせるとかそういう概念は存在していない。

 

「「最初はグー!ジャンケン、ポン!!」」

 

 エレノアはグー、天王寺の旦那はパーを出した。

 

「エレノアが負けちゃった!」

 

「いや、ここは負けでいい。1回限りのあっち向いてホイならばあっち向いてホイを成功する確率は12分の1を引き当てないといけない」

 

 エレノアが負けてしまった事に慌てるライフィセットだがアイゼンが横で解説をする。

 確かにアイゼンの言うとおり12分の1を引き当てないといけないので一回限りのあっち向いてホイならばジャンケンで勝った方が有利だ……ただし、それはあの人が、黛さんが側に居ない場合だ。

 

「あっち向いて」

 

 天王寺の旦那は赤司の天帝の眼(エンペラーアイ)ほどではないが何千と戦って積み上げた常軌を逸脱した観察眼と経験則を持っている。

 それだけで天王寺の旦那があっち向いてホイに勝つ確率は6割だが、そこに黛さんの力が加われば話は別、10割、絶対勝利になる。黛さんはエレノアの事をジッと見つめてエレノアの視界に入る様にし……エレノアの視線を誘導していく。

 

「ホ」

 

「いかん、エレノア!チヒロを見るでない!」

 

 黛さんによる視線誘導(ミスディレクション)にマギルゥは気付いてエレノアに視線から逃れる様に言うがもう遅い。

 エレノアは天王寺の旦那の指に視線を集中してしまっており、天王寺の旦那の指に動きを合わせようとしてしまっている。

 

「イ!」

 

 黛さんの視線誘導(ミスディレクション)からエレノアは抜け出すことは出来なかった。

 エレノアは天王寺の旦那の人差し指の動きについていってしまい、あっち向いてホイに負けてしまった

 

「っ……参りました」

 

「ハッハッハ、どんなもんや」

 

「なーにがどんなもんやじゃ!チヒロにイカサマの手伝いをさせておったじゃろう!」

 

「ええ!ズルをしていたのですか!?」

 

「……なんの話だ?オレがイカサマをしたというのならばその物的証拠を持ってこい」

 

「ぐぬぬ……」

 

 あくまでも黛さんは視線を誘導しただけで直接エレノアになにかをしたわけじゃない。物的証拠の様なものは一切存在しない。マギルゥもその事を分かっているので悔しそうな表情をしている。

 

「で、次は誰が相手になるんや?」

 

「ワシはパスじゃ。別に歌って踊って馬鹿騒ぎするのは嫌いではないからのぅ……残りはアメッカだけ」

 

「わ、私か……えっと……」

 

 天王寺の旦那となにで戦うのかを考えていなかったのか戸惑うアリーシャ。

 羽子板でも勝てずあっち向いてホイでも勝つことが出来なかった……殴り合いでは絶対に勝つことが出来ない。女子力でも勝つことが出来ないし……なにが残ってるんだ?

 

「こういうのもあるニャ!」

 

「ほぉ……黛さん、パス!」

 

「オレかよ」

 

 ねこにんがバスケットボールとバスケットゴールを持ってきた。ホントになんでこんなものがねこにんの里にあるのか分からないが、これはチャンスだと天王寺の旦那は黛さんにバスケットボールを渡す。黛さんはめんどくさそうな声を出しながらボールを回す。

 

「選手交代だ、オレとの1on1だ」

 

「チヒロさんとの勝負……それならいけるかもしれない」

 

「黛さん、大分ナメられとるやないか……やったれ」

 

 アリーシャは黛さんとの1on1を受ける。

 黛さんのオフェンスからはじまる一本勝負、黛さんはねこにんからボールを受け取った。

 

「気をつけてください!チヒロの事だからなにかある筈です」

 

 エレノアは黛さんを警戒する。

 

「残念やけど阻止することは出来ひん……早いとか上手いとかそういう次元の話やないんや」

 

 天王寺の旦那がそういうと一同の視線は黛さんに集まる。

 黛さんは僅かながら笑みを浮かび上げており片手でボールを触れると消え去った。

 

「え!?」

 

「そのドライブは消えるんや……ホンマ、どういう原理でやっとるんやか」

 

「まだよ!ボールをゴールにシュートさえさせなければアメッカの勝ちよ!」

 

「っ、そうだ!!」

 

 ベルベットの言葉を受けてアリーシャは意識を戻す。

 左掌でボールを支え、右掌で上に押し出す独特のフォームに黛さんは入っておりアリーシャは黛さんの前に立ち塞がり、シュートを防ぐ為にジャンプをするのだが黛さんのシュートに触れる事すら出来なかった。

 

消える(バニシング)ドライブからの幻影(ファントム)シュート……生で見るのははじめてだが凄まじいな」

 

 どういう原理でやっているか一切見抜くことが出来なかった……流石は幻影の黛といったところだな。

 

「さて、コレで俺の全戦全勝で終わりやな」

 

 黛さんの勝利も自分の勝利にカウントする天王寺の旦那。それでいいのかと言いたいが、勝ちは勝ちでありいいことなんだろう。

 負けてしまったアリーシャは膝をついてアイドル衣装を取り出す

 

「こ、コレを着ないといけないのか……」

 

「アメッカ、落ち込むな。お前なら滅茶苦茶似合う」

 

「……でも、私は派手なのよりももう少し地味なのが」

 

「アイドルが地味な格好をしてどうするんだ、元々綺麗な女性なんだからもっと自信を持てよ」

 

「綺麗……ゴンベエから見て私は綺麗な女性なのか?」

 

「ああ、絶世の綺麗系の美女だ。スタイルも性格もいい非の打ち所がない女性だ」

 

「……けど、私には女子力が無いよ」

 

「女子力が無いなら一緒に学ぼう。目指せベルベットだ」

 

「……うん……」

 

「あいつ、素で言っとるんか?」

 

「まぁ、若い男と女が一緒になれば、なぁ……」

 

 天王寺の旦那、黛さん、うっさい。オレも自分でとんでもない事を言っている自覚はあるんだよ。

 

「でも、やっぱり恥ずかしいな」

 

「だったらオレとデュエットでもするか?」

 

「いいの?」

 

「どうせオレも歌わなきゃいけねえんだ。一緒に歌おう」

 

「うん、ゴンベエとならいいかも」

 

「なぁ、アレでカップルじゃないんだよな?」

 

「何時もの事じゃ、気にしてたらキリが無いわ」

 

 だから黛さん、変な勘繰りを入れるのはやめろ。アリーシャとはそういう感じじゃない、仮にそうであったとしてもそれは吊り橋効果みたいなもので夢が覚めれば冷めて終わる。いやホントに地雷物件だからな。

 

「さて、これで全員を全滅させた……ライブの開催や」

 

「待て!」

 

 ベルベット達を叩きのめしたので次の段階に行こうとする天王寺の旦那だがアイゼンは待ったをかける。

 

「この期に及んでお前も歌を歌うのは嫌とか言い出すんやないやろな?」

 

「ねこにんの里が滅ぶのを黙って見過ごすわけにはいかん……だが、その前にお前と一度勝負したい」

 

「そうだな、歌はともかく俺もお前と戦ってみたい」

 

「羽子板か?あっち向いてホイか?俺となにで勝負するんや?」

 

「決まっている……相撲だ。目の前に相撲取りの頂点であるヨコヅナが居るのだから、相撲を取らなくてどうする?」

 

 アイゼンは天王寺の旦那に相撲で勝負を挑む。しかし天王寺の旦那は困った顔をしている。

 

「いやいや、そらアカン。アカンで」

 

「なんでだ?相撲はお前の1番得意な事だろう」

 

「あのな……俺、曲がりなりにも東大関で横綱の昇進が決まっとるねんで。相撲をやっとる子ならともかく素人に手を上げたら文春砲が飛んできて横綱辞めろってめっちゃ叩かれる!!プロが素人をボコるなんてあってはならん事や!!」

 

 ロクロウ達は相撲取りじゃない。

 スポーツマン、特に格闘技系を齧っている人は素人に無闇矢鱈と手を上げてはいけない。当然と言えば当然の事で、力士の張り手なんて凶器の一種だろう。流石は旦那、プロ意識は高いな。

 

「安心しろ、確かにお前の言うとおりオレ達はプロの相撲取りじゃない……だが、戦いに関してはプロと言っても過言ではない」

 

「そうだ。怪我をしたとしてもそれらは全て自己責任だ」

 

「せやけど土俵が」

 

「土俵ならあっちにあるニャ」

 

 あるんかい。

 ねこにん達に案内されるとそこには相撲をする為に必要な土俵があった。土俵だけでなく廻しもあった。

 

「ふぅ……しゃあないな。一本だけやで」

 

「おぅ!男は何時でも一本勝負だ……ところでこれどうやって巻くんだ?褌なら分かるんだが」

 

「ちょっとこっち来い……小さい僕はやらんくてええか?」

 

「僕?……えっと、恥ずかしいかな」

 

「そっか」

 

 ライフィセットは参戦しない。裸にまわし一丁は恥ずかしい。

 天王寺の旦那は少しだけ悲しそうにするが無理には強要をせずにアイゼンとロクロウに廻しの付け方を教える。こんなアホな事をしている間もサウンドワールドの住人は大きくなっているが、気にしないでおく。

 

「しゃあ!やるか」

 

 数分後、まわしをつけて戻ってきたアイゼンとロクロウ。

 アレだよな。ロクロウはともかくアイゼンは洋顔だから廻し一丁はなんか違和感がある。ロクロウも違和感は感じにくいな。

 ロクロウとアイゼンはジャンケンをしてどっちが先に天王寺の旦那と勝負をするのかを決め、先にロクロウが天王寺の旦那と相撲を取ることに。

 

「一応は大相撲の形式でやらせてもらうで」

 

 塩を撒く天王寺の旦那は呼吸を整える。

 異世界とはいえ相撲は相撲、まだ正式になっていないとはいえ横綱に昇進が決まった力士が素人に負ける事はあってはならない……っ!

 

「ヤベえな、アレは」

 

「ゴンベエのと同じ……いや、それ以上」

 

 アリーシャも感じ取ったか。

 天王寺の旦那は全力(ゾーン)状態に足を踏み入れており、オレ達は感じ取る。

 さっきまで軽くて緩い感じだった天王寺の旦那から感じられるのは人の領域じゃない、神の領域だ。横綱とは神の依代で、相撲を取っている天王寺の旦那は相撲の時だけは人の領域を越えている……地獄の養成所の鬼達はオレと天王寺の旦那は同じスペックで、経験を積み上げればあの領域に行くことが出来るって言ってたが、行けるのか?行ける自信ねえぞ。

 

「異世界の人間と相撲取れるとか……最高やわ」

 

 口では素人に手を上げてはいけないだなんだと言っているが天王寺の旦那は相撲を取りたかったのか。

 

「はっけよい!!」

 

 天王寺の旦那とロクロウは動き出すって、おい

 

「真正面から受けるんじゃねえよ!!」

 

 天王寺の旦那はプロの相撲取り、対してロクロウは鍛えているだけの人間だ。

 相撲の世界では大きくて重いは絶対の武器であり、ロクロウが自分より重くて大きい天王寺の旦那に真正面からぶつかるとどうなるか、普通に力負けをする。案の定、ロクロウは天王寺の旦那のブチかましにやられて後退してしまっている。

 

「もろたで」

 

 負ければ日本の国技である大相撲の名前に傷がつく。そんな危機的状況にも関わらず天王寺の旦那は笑っていた。

 今この状況を楽しんでいる。横綱として頂点を走るのは辛い道じゃないんだと笑みを絶やさない……キャバクラ好きで有名だけど、マジでイケメンなんだ。天王寺の旦那はフラついたロクロウの腕を掴んで変形小手投げの体制に入る……天王寺の旦那の十八番、六ツ胴斬を叩き込んだ。

 

「どうや、コレが力士の頂点に立っとる男の相撲や」

 

 取組が終われば天王寺の旦那は元の気のいい頼れる旦那に戻る。

 ロクロウに対して笑みを向けるのだがロクロウは悔しそうな顔をする。

 

「クソっ、もう1本……って、言いたいところだが……斬りてえ」

 

「ちょっと、穢れが湧き出てるわよ!!」

 

 負けた事でロクロウは天王寺の旦那を倒したいという強い欲求に囚われる。その結果、穢れが溢れ出てしまう。こんな時に穢れを出すなよとマスターソードを抜いて浄化をしようと思っていると天王寺の旦那は足を上げる。

 

「どっこいしょ!!」

 

「穢れが消えた!?」

 

 天王寺の旦那は四股を踏んだ。

 四股を踏むと波紋の様なものが広がっていき、ロクロウが発していた穢れが浄化された。

 

「テンノウジさん、なにをしたのですか?」

 

「なにって四股を踏んだだけやで」

 

「でも、穢れを祓ったよね……なんで?」

 

 ロクロウから発せられた穢れを浄化した天王寺の旦那に問うアリーシャとライフィセット。

 

「力士が四股を踏むとな、その土地にある邪悪な力を押し込んだり浄化する事が出来るんや。俺は正式にまだなってないけど横綱や。ロクロウが放った穢れを浄化するなんてわけないで」

 

「お前、大分無茶苦茶言ってんの分かってんのか?」

 

 力士が四股を踏むのは足腰の鍛錬だけでなく、邪悪を退ける事が出来るのは転生者養成所で習った。

 ただ普通はそんな事が出来ない。天王寺の旦那はかなり滅茶苦茶な事をやってるし言ってて黛さんは呆れている。

 

「四股を踏めば穢れを祓う……」

 

「ライフィセット、真似すんな。天王寺の旦那が異常なだけだ」

 

「なに言うてんねん。アキも出来るんやで」

 

 誰だよ、アキって。

 天王寺の旦那を参考にするのはやめておけとライフィセットに釘を刺しておいた。天王寺の旦那だから出来るんだ、お前は浄化の炎をコントロール出来る様になれ。

 

「アイゼン、天王寺の旦那はお前よりも大きくて重い。土俵際に寄って勢いをつけて真正面からぶつかっても確実に負ける……それだけは言っておく」

 

「お前より強いというのは本当の様だ……金星を頂く!」

 

「俺が素人にくれてやると思っとるんか?」

 

 天王寺の旦那は再び全力(ゾーン)になる。

 アイゼンは天王寺の旦那の殺気を真正面から受けるアイゼンは一瞬だけ威圧されるが直ぐに立て直す

 

「はっけよい!」

 

 天王寺の旦那とアイゼンはぶつかり合う。

 オレのアドバイスを聞いても変化するなんてアイゼンには出来ない。もうちょっと水のように揺らいでブチかます事が出来れば天王寺の旦那を怯ます事が出来たがコレばかりは相撲の鍛錬を積んでいないと出来ない。素人にタイミングを合わせろと言うのが無茶だ。

 

「っぐ!」

 

「甘いわ」

 

 まわしを取りに行かず突き押しで天王寺の旦那に攻めに掛かるが天王寺の旦那は軽くいなす。

 天王寺の旦那は一番最初に転生したのは史上最強の弟子ケンイチの世界、並大抵の格闘技術の突きは効かない。天王寺の旦那は突き押しをいなしながらアイゼンとの間合いを詰め寄り、アイゼンのまわしを掴んだ

 

「っ!」

 

「あ……」

 

 天王寺の旦那はアイゼンを揺さぶりに行ったのだが、ここでアイゼンのまわしが取れた。

 普通ならばギッチギチに固められているまわしだがアイゼンの死神の呪いが作用してまわしが緩くなってしまったのだろう

 

「不浄負けニャ!」

 

「っく……死神の呪いがこんなところで」

 

「いや、はよ前隠さんか!女性陣おるんやで」

 

 アイゼンは自分のアレを丸出ししてしまい天王寺の旦那に敗れた。




スキット 他所の事情

天王寺「しかし、異世界に飛ばされた思ったらまさか放置されるとは思わんかったわ」

ゴンベエ「いや〜すんません。就寝しようって時に巻き起きたんで……天王寺の旦那はどういう状況だったんすか?」

天王寺「横綱との優勝を決める千秋楽の前に精神統一してた」

ゴンベエ「本当に申し訳ありませんでした!!」

天王寺「お前が謝ったってしゃあないわ。いや、横綱の昇進は決まってんねん……けど、カッコよく決めたかった……」

「あのクソ仏の事だ、なんらかのフォローは入れてくれる筈だ」

天王寺「俺が横綱を相手に白星を取らなアカンねんって……仏さんがなんかしてもそれは俺の実績やない」

ゴンベエ「そういうところ拘るんすね……そういや、ほぼ毎回黛さん、飛ばされてくるけど大丈夫なの?」

天王寺「てか黛さん今何処の世界におるん?」

「恋姫の世界……まぁ、オレは軍隊を鍛え上げたりどうこうしているわけじゃないから急に居なくなっても問題はない。神仏の存在の信仰が確かな世界だからなにかあっても寛容に受け入れてくれるが……ただな」

ゴンベエ「なにか問題でもあったん?」

「櫻井の奴が来やがった……」

天王寺「あのグランドクソ野郎が来はったんですか!?」

ゴンベエ「マジかよ……あのグランドクソ野郎が来たのか」

「ああ……幸いにも余計な事はして行かなかったが内心ヒヤヒヤした……」

天王寺「転生先が良かったとしか言うしかない……あのおっさん、デート・ア・ライブとかこのすばとかで色々とやらかしたからなぁ」

ゴンベエ「でもまぁ、リボーンの世界で沢田綱吉をマフィアにさせない様に四苦八苦、時には沢田家光と殴り合ったり色々とやって一概に悪人とは言い難いんだよな……どうしようのないクズ野郎だけど」

「そう考えるとオレ達は幸運かもしれない。新米で比較的マシな人格をしてる奴と鉢合わせしているからな」

天王寺「せやな、色々とやらかしてるっぽいけど」

「騒がせてこその転生者だ……櫻井の奴はやりすぎだが」

ゴンベエ「アレはもう色々と手遅れな存在だ……地獄側はお気に入りやけど」


スキット アニキはアカン

天王寺「で、歌うんやったら……やらないか……それやったら」

アリーシャ「テンノウジさん、ねこにん達を先導しているな」

ライフィセット「そうだね。どうやったら盛り上がるか真剣に向き合ってる。楽しんでもいる」

「出しゃばりなだけ……ま、頼れる奴かどうかと聞かれれば頼りになるな。天性のリーダーシップを持っていて、頭も回り、受け答えも完璧だ。なにより強い」

アリーシャ「確かに何処となく箔というか品格が漂っている……皆の頼れる兄貴分か」

ゴンベエ「旦那は赤司と違って威圧感みたいなのは殆どねえ……赤司の奴は堂々と手下と言うが、あの人は仲間って言う」

ライフィセット「凄い人なんだね……僕も皆の頼れる兄貴分みたいになりたいな」

「難しいぞ……あいつのカリスマは努力とかで手に入るものじゃねえ。経験を積んだりしても同じ領域に到れるかどうか」

ゴンベエ「無理やろな……普通の人があの領域にいくのは……オレも養成所で無理ってハッキリ言われたから」

ライフィセット「でも、カッコイイよ。あんな風に僕もなりたい、皆の頼れる兄貴分みたいな存在に」

アリーシャ「私達も何時かあんなカリスマに」

天王寺「お前等、人の事をさっきからアニキ、アニキって……やめろや」

ライフィセット「恥ずかしいの?」

天王寺「ちゃうわ!アニキ言うんは相撲業界隠語で滅茶苦茶調子こいてるまぬけの事を言うんや!アニキ言うのやめい!」

ゴンベエ「そういや、天王寺の旦那は兄貴じゃなくて旦那と呼ばんとアカンかったな」

天王寺「せや、お前等も兄貴分とか思ってもアニキ言うんはやめてくれ。俺の事は童子切か旦那で頼むわ」

アリーシャ「ドウジキリ?」

「鬼や土蜘蛛なんかの化け物を殺しに殺しまくった日本の国宝の刀で最強の刀で……まぁ、天王寺に相応しい異名だ」

アリーシャ「異名……ベルベットは災禍の顕主、ゴンベエは災禍の勇者。師匠は蒼き戦乙女、テンノウジさんは童子切、チヒロさんは幻影……私もカッコいい異名を何時かは持ちたいものだ」

天王寺「……真のヒロイン

「おい、やめろ。マジで冗談抜きでやめろ。それはホントに洒落にならん」


銀魂、ヅラに高杉、ユーリにジェイドにジュディス……いいよな。
決戦KCグランプリとか書いちゃったけど、ホントにレイズ編カオスになってる

番外編

  • 続 異世界プルルン転生記
  • ちょっと昔のゴンベエ達(地獄)
  • ザレイズ 総力戦 決戦KCグランプリ
  • まゆゆんの貧乏くじ
  • スペシャルスキットの続き
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