テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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天への階梯(後)

「おぉ、今度は神殿に出たぞえ!」

 

 世界の機密が隠されているという天への階梯と呼ばれるダンジョンを突き進むと神殿の様な場所に出た。

 如何にもなにかがありそうな場所……こりゃあ世界の機密が隠されているのも満更嘘ではなさそうだ。

 

「どういう構造をしているのよ」

 

 火山地帯から一気に神秘的な神殿に場所が変わったのでベルベットは少しだけ困惑する。

 ここは……理論とか原理とかを気にせずにそういうものだと納得をしないといけない、そんな場所なんだろうな。

 

「あ、ねこにんが居た!」

 

 神殿に足を踏み入れるとライフィセットがねこにんの存在に気付く。

 

「し、しまった。ボクが観測されたという事は迷子という状態が確定してしまったニャ!」

 

「迷子なのか。あっちの方に進んでいけばこの天への階梯を出られる」

 

「あ、ご丁寧にどうもどうも……お礼と言ってはニャんだけどコレをあげるニャ」

 

「またバスタオルか」

 

「違う!ニャスタオルニャ!そこんところ間違わないでほしいニャ」

 

 アリーシャが帰り道を教えるとねこにんはバスタオルもといニャスタオルを渡してきた。

 こんな物を貰ってなんになるんだと言いたいが上質なタオルなので貰っておいて損は無い。

 

「あなた以外のねこにんはどうしているのですか?」

 

「他の皆はより奥に進んでいったニャ!まぁ、無事だと思うけど見つけたら声をかけてほしいニャ」

 

 他にもねこにんが居るはずなのでその事をエレノアが聞けば、厄介な答えが帰ってくる。

 ここに来るまでにそれなりの数のそれなりの憑魔が居た。この奥にはめんどうな世界の真実や機密とやらが隠されている……それを守る門番みたいなのも居るかもしれない。

 

「それと穢れで次元が不安定になってるから気をつけるニャ」

 

「あ〜……凄く大きく燃えてるな」

 

 ねこにんが指さした方向には大きく燃えている黒い炎があった。

 この炎はベルベットの放つ邪王炎殺黒龍波の炎に非常に類似しており、大きな穢れを放っている。

 

「ここは私に任せてくれ……虚空閃!」

 

 穢れをどうにかすれば先に進むことが出来る。

 アリーシャは槍を取り出し、虚空閃で穢れを断ち切ったのだが……炎は消えずに再び炎は穢れに満ちる。

 

「そんな」

 

「そんな、じゃねえよ。虚空閃は邪悪を断ち切る技だけど、炎とか水を切り裂いたりする技じゃねえんだ……火を消すのと同時に穢れを断ち切る、療法をしないといけない。ちょっと借りるぞ」

 

 アリーシャは地、海、空の槍術を覚えたがまだ合わせる事が出来ていない

 手本を見せてやろうとアリーシャから槍を借りると槍に光の闘気を集中させて一掃、穢れの炎の穢れを断ち切ると同時に炎を貫いた。

 

「アバンストラッシュ……地雷閃、海鳴閃、虚空閃の3つを同時に行い放つ1つの終着点だ」

 

 穢れは斬られ、穢れの元となっている炎も斬り裂かれた。周囲に漂っていた穢れは無くなっていくのを感じ取ったので、恐らくだがコレで先に進むことが出来る。アリーシャに槍を返すとアリーシャはアバンストラッシュを真似してみるが成功しない。全てを同時に貫かないといけない、1つでも欠けたり足りなかったりすれば失敗に終わる高度な技だからな。

 穢れが祓えたので次元が安定してきたのか奥に進むとワープする事が出来る不思議な門があり、奥へと進んでいくと……四足歩行の地を這うドラゴンがいた。

 

「っ、ドラゴンまで居るの!?」

 

 なにか出てくることは覚悟していたが、ドラゴンの登場にベルベットは声を上げる。

 ドラゴンはベルベットの言葉に反応し大きな遠吠えを上げるとこちらに向かって走り出してくる……これはアレか。コイツを倒せって事か。

 ドラゴンは猛スピードでオレ達に向かって走ってくるのでベルベット達は分断して攻撃を回避しようとするがオレは盾を取り出して激突を受けきった。

 

「テオドラよりは弱いな」

 

 東洋の龍でも西洋の竜でもない地を這うドラゴン。

 攻撃を受けきったので今度はこちらの番だと光るキューブを2つ出現させて、混じり合わせる。

 

「アステロイド+アステロイド……ギムレット」

 

 久しぶりの合成弾を撃つ。ドラゴンの強靭な鱗をギムレットは容易く貫いてドラゴンに風穴を開ける。

 

爆炎槍(ブレイズランス)!」

 

 アリーシャは爆炎を纏い、加速しながら槍を振り下ろす。

 決定打になったのかドラゴンは断末魔を上げて穢れを放つのだが段々と弱くなっていき、最終的には消え去っていった。

 

「全く、油断ならないわね」

 

「ドラゴンまで居るとなると……ここはいったいなんなのだろうか。神殿なのは分かるが……」

 

 ドラゴンを倒したので一旦集まる一同。落ち着いてこの場所を探索できないとベルベットは愚痴りアリーシャはこの神殿を観察する。

 ここがいったいどういう場所なのか、神殿であるからにはなんらかの意味があるが……四聖主とカノヌシを祀る神殿は別に存在している。ならばなにを祀るのか……謎だな。

 

「またあの光が出てきおったぞ!」

 

 色々と悩ましていると光る球が再び出現をした。

 

「ドラゴン達は門を目指してこの神殿に足を運んでいるのです」

 

「門ってなによ?」

 

「天界に至る為の扉……」

 

「だからその天界ってなによ……消えるな!!」

 

 光る球はここが何処かのか全てを知っている。だが、なにも語ろうとはせずに勝手に消え去っていく。

 

「天界ね……」

 

「なにか知ってるの?」

 

「仏教的な話をすれば天国の事だが、違うだろう……情報があまりにも足りないから突き進むしかねえ」

 

 天国からの使者、天使的な存在だったら天の国に来るんじゃねえの一言ぐらいあるだろう。

 ベルベットは分かってる事があるんだろうという視線を向けてくるが下手なことを言って間違えた考えを持たせるわけにはいかない。

 先に進んでいくと何時かの地の聖主の神殿と思わしき場所に出て、そこに溢れていた穢れをオレが浄化して先を進むとまた神殿に戻った。そしてまたまたドラゴンがいた。

 ここはカースランドみたいにドラゴンの養殖をしているわけじゃない。カノヌシを眠らせない様にする為の場所ではない……あの光る球が言っていた様に引き寄せられてる。ライフィセットやアイゼンが無意識の内に引き寄せられているように。

 

「無駄だと忠告をしているのに、また来てしまったのですね」

 

 神殿にまたドラゴンがいたので倒すと、三度光る球が姿を現してきた。

 

「あのね、そんな意味深な事を言われたら誰だって来るわよ」

 

「意味深なこと?私は無駄と忠告をしているだけですよ」

 

 ダメだな、この光る球はまともに話し合いが通じない。自分が言っていることが正しく伝わっていない事を自覚していない。

 ベルベットが少しだけ不機嫌そうにしている。話し合いがズレてしまうのはホントにめんどうだ。

 

「ならば教えてください!天界というのはなんなのですか!」

 

 光る球が言いたいことだけ言って消える前にエレノアは尋ねる。

 

「天界とは天族の棲む場所、貴方達の棲む穢れた地上世界が出来る前から存在していた真なる世界です」

 

「天族……オレ達、聖隷の事か!!」

 

「おや、今では聖隷が主流なのに知っているのですか」

 

「アメッカとゴンベエの住んでいる地域ではそう言っておる……して、その天界と門とやらがどう関係しておる?」

 

「この階梯の最深部にはある条件を満たす事で開くことが出来る天界への門があります。でも、その門を開けられた者は誰もいない……数万年の間、誰一人として」

 

「あ、ちょっ、待ちなさい!!」

 

 一人で勝手に落ち込んだと思えば消え去っていく光る球。

 とりあえずこの天への階梯は天族が住んでいるという天界という別世界へ行くことが出来る門があるということで……ん?

 

「おかしくないか?」

 

「確かアイゼンとエド──アイゼンの妹は地脈の中から生まれたんじゃないのか?」

 

 危うくエドナ様と言いかけるアリーシャだが適当に誤魔化した。

 そう、前にチラリと聞いたけれども天族は地脈の中からポンッと出てきたりして、アイゼンとエドナは同じ地脈から生まれたとアイゼンの口から語られている。天界が天族の住んでいる場所ならば……ダメだな、謎が深まっている。

 

「オレにも分からん……ただオレとエドナは同じ地脈から生まれ出たのは確かだ」

 

「あいつが嘘を言っている……いや、そういう感じじゃなさそうだよな」

 

 アイゼンは嘘を言っているわけではない。という事はまだなにかが隠されている。

 ロクロウも色々と考えてみるが答えには辿り着かない……ということは……

 

「奥に進むしかないわね」

 

 答えはたった1つ、足で探すしかない。

 天族が住んでいる世界はこの世界じゃない……天界への門は何万年も開いていない……これはマジで途轍もない秘密が隠されているな。それこそ天族について記された天遺見聞録とやらに載っていないのが。この時代じゃないと聞くことが出来ない情報を得ることが出来る。

 天への階梯を突き進んでいくと今まで旅をしてきた地脈点に出てはそこに溢れ出ている穢れを浄化して次元の歪みを正し、元の天への階梯に戻る。

 

「ニャア〜、人間行くところまで行けるもんニャ」

 

「……あんた達は心配する必要は無さそうね」

 

 更に奥へと突き進んでいくとねこにんがいた。

 ねこにん達が奥へと入っていったと聞いているオレ達だったが、ねこにんはピンピンしている。火口付近でねこにんに色々と言われていたので少しだけ気にしていたベルベットだが、心配する必要はもう何処にもない。天界とか天族についてベルベットは色々と気にしているのでその事について問い詰める為に突き進もうとする

 

「あ、そうそう伝言を預かったニャ!世界の仕組みを識る者さんから」

 

「っ、それを先に言いなさい!なんて言ってたのよ!」

 

「カノヌシの復活は今回がはじめてではありません。カノヌシは数千年に一度目覚めては鎮静化を繰り返していた」

 

「……カノヌシの存在を、鎮静化を知っておるのか」

 

 カノヌシの名前はアルトリウス達が色々とやったおかげで知名度が上がってはいる。

 しかしその実態を、真実を知っているのは極々僅かな一握りの存在だけで博識で1000年以上生きているアイゼンでさえ存在を知らなかった……となれば途轍もない奴だな。

 

「それこそが聖隷と人間が救われない理由、とのことですニャ!」

 

「人間と聖隷が報われない?……あいつ、救世主かなんかか?」

 

 意味深な言葉を残している事にロクロウは首を傾げる。

 

「聞いてみたら自分は天族ですと答えたニャ」

 

「……何者なんだろう。ゴンベエとアメッカの地域では聖隷の事を天族って言ってて、あの光る球は聖隷を天族と呼んでるのを驚いていた。天族=聖隷なのは間違いない筈だけど」

 

「……ここまで来たんだから、問い質すまでよ」

 

 天界とか天族とかホントに気になる事だらけだ。先に進むと今度はカースランドに出て、そこも穢れが溢れていたのでディンの炎で焼き払う。

 そして舞い戻る天への階梯へ……着実に前へと進んでいっているが、雑魚が多い。アリーシャの戦闘へのいい経験値になるからそれでいいのだが、そんなこんなでそこにもいたドラゴンを討伐すると光る球が出現する。

 

「天族様、カノヌシの情報ありがとうございます」

 

 ちょっと不機嫌そうにしているベルベットは光る球を睨んで嫌味を飛ばす。

 

「伝言は伝わったようですね」

 

 ベルベットの嫌味は光る球には通じていない。

 

「分かったでしょう。カノヌシの鎮静化は避けられぬ運命、抵抗しても無駄なのです」

 

「何故無駄だと言い切れるのよ。カノヌシも天族の一種って言いたいの?」

 

「そうですね……聖主も聖隷もかつては天界に住まう住人だった。天族と呼ばれる存在だった」

 

「待て、オレは天界なんて場所は知らん。天族が聖隷ならば地脈の中から生まれるか人間が生まれ変わるかのどちらかで生まれる筈だ」

 

 アイゼンは光る球の話の矛盾点を指摘する。

 

「そう……それは後から生まれた天族はその様に生まれます。ですが、それよりも遥か前に居る聖隷は、天族は天界からやってきたのです」

 

「例えば誰が天界からやってきたんだ?」

 

「そうですね……我が友、ゼンライは天界から舞い降りた天族です」

 

 ほうほう……あのジジイ、ホントに色々な事を隠してやがったな。

 スレイの事とか割とどうでもいい。カノヌシとかこの世界に隠されていた真実とかを聞きたかった。

 

「そして主神として彼等を導いた存在が聖主と呼ばれる存在です」

 

「そうか……聖隷とは聖主に隷属する者、そういう意味だったのか」

 

 天族の事をこの時代では聖隷と言っている。何故現代では天族呼びになったのかはまだ分からないものの、聖隷の意味がわかった。

 アイゼンがその事を口にすると少しだけ嫌そうな顔をしている。誰かに縛られるのは嫌なのだろう。

 

「聖隷でなく天族呼びが正しいのですね……」

 

「貴方達が知らないのも無理はありません。私達が天界から舞い降りたのは数万年も前の出来事なのです。今の聖隷は、地脈から生まれていった聖隷達は過去にかけた誓約についてなにも知らないのですから」

 

「待って!過去の誓約ってなんなの!!」

 

 ライフィセットは光る球に問い詰めるが光る球は消え去った。

 あの野郎、ここまで来たのならば1から10まで全部喋りやがれよ

 

「知りたければ前に進むしかない、か」

 

「ショックか?」

 

「いや、天族について識る事が出来る。ショックを受けて立ち止まっている場合じゃない」

 

「そうか」

 

 前向きなのはいいことだ。アリーシャは立ち止まる事をせずに前に突き進んでいくと今度は聖主の御座に出る。

 聖主の御座にはアルトリウスが結界を貼ってあったんじゃないかと疑問を持つが次元が捻曲がっているらしいのでここは聖主の御座であってそうでない場所だ。道中に強力な憑魔が居たのだが今のオレ達にとっては雑魚も同然であっという間に突破。

 

「あれが天界の門か」

 

 天への階梯に戻ると如何にもな神秘的なオーラを纏っている扉をオレ達は見かけるのだが

 

「誰だ、てめえ?」

 

 真っ白で半透明な翼の生えた豚が居た。

 ここに来ての新しい敵なのかもしれないと刀を抜くのだが豚からは敵意を感じない。オレ達がここにいる事について驚いている。

 

「驚いたわ。天界への扉へ辿り着くなんて」

 

「この声は……世界の仕組みを識る者!?」

 

 オレ達に驚き声を出す豚。声を聞いてエレノアは驚く。

 

「おい、豚。ここまで来たんだ、この際だから色々と教えろ。ただの豚じゃねえんだろう」

 

「ゴンベエ、相手は天族なんだ……その態度は」

 

「いいんだよ。喋れねえ豚はただの豚なんだ」

 

 いいから知っている事を教えやがれ。

 ライフィセット達も色々と聞きたい事があるのか豚を睨む。

 

「私の名はズイフウ……元天族、今は聖隷です」

 

「その姿、かけられた呪いってブウサギになることか?」

 

「いや、違う。コイツはムルジムと同じで元々こういう見た目の聖隷だ」

 

 豚の見た目は元からだとアイゼンはロクロウに説明する。この調子だと犬型の天族もいそうだな。

 

「人間と聖隷に掛けられた呪いとやらは業魔化とドラゴン化じゃろう」

 

「その通り……地上に舞い降りた聖隷は心ある人間と手を取り合って世界を変えようとしていました。でも、その協力は呪いにより崩壊しました。些細な事をきっかけに業魔とドラゴンが溢れ出た。殆どの聖隷は人間との共存の希望を捨て人間から離れて暮らすようになったのです」

 

「そうか……イズチはその為に……」

 

 アリーシャはイズチがなんなのかを理解した……諦めた奴の集まる場所、か。

 

「ドラゴンとはいえ元は聖隷。天界に帰りたいと引き寄せられたか」

 

「なるほど、ねこにんが言っていた聖隷を引き寄せるとはこのことだったのですね」

 

「……要するに、あんたも諦めた聖隷の一人なのね」

 

 ロクロウとエレノアはここにドラゴンが居た理由に納得をする。

 ベルベットは冷たい目でズイフウを見る。色々と適当な理由を纏めて、ズイフウは諦めた……。

 

「仕方ない事です。ただでさえ少数派だった強い霊応力を持った人間は大きく激減、人々は聖隷の存在を忘れ去ろうとしています」

 

「それをどうにかするのが人間との共存の道だろうが。なに諦めてるんだ」

 

「貴方になにが分かるのですか!何万年も滅んでは復興する、同じことを繰り返して来たのですよ!!」

 

 出たよ、自分が滅茶苦茶頑張ってますアピール。成果も何もないのならば頑張った事は褒められん。

 

「カノヌシが鎮静化をしなければ人も聖隷も滅びたでしょう」

 

「なら滅びればよかったんじゃないか?」

 

「なっ!?貴方、自分でなにを言っているのか分かっているのですか!!」

 

「ああ、分かっている。大方カノヌシは世界を滅ぼさない為のブレーキ役かなにかだろう……お前等も酷い生き物だよな。本来あるべき姿を無理矢理捻じ曲げてるんだから。お前等、穢れを発さない存在だけど発する存在だったら確実に穢れてるぞ」

 

 あるべき姿を形を無理矢理捻じ曲げて自分のエゴを押し付ける。それこそが人間が背負う一番の業だ。

 世界を助けたいだなんだと身勝手な事を思っては勝手に絶望して勝手に諦めている。諦めるなよ、頑張れよ、もっと努力しろよ。

 

「聖主との契約者が希望ですが……」

 

「契約者?」

 

 ここに来ての新しいワードにベルベットは首を傾げる。

 

「聖主と契約を交わせる程の強い霊応力を持ち折れない真っ直ぐな信念を、意志を持った人間のことです……現在の契約者であるアルトリウスはカノヌシの力で人と聖隷の心を操作しようとしている。もっとも永遠に悲劇を繰り返すより悲劇を感じなくなる方がマシなのかもしれません」

 

「……ふざけないで」

 

「ふざけてなんか居ません!何万年も人間を信じていたのに、このザマです」

 

「おいおいおい、オレから言わせて貰えばお前の方がふざけてるぞ……何故疑う事をしない?」

 

 人を信頼し信用する高潔な精神は見事なものだ。だが、世界は残酷だ。人や世界は裏切る生き物だ。

 だからこそ持っていないといけない、人を疑う心を、万が一を想定した保険を……それすら出来ない奴が救済だなんだと甘えた事を抜かしてるんじゃねえぞ。

 

「勘違いをしないでよ。別にあたし達は世界をどうこうしに来たわけじゃない。あんたが無駄無駄言ってるから文句の一言を言いに来ただけ。無駄だろうが不可能だろうが理不尽だろうが生まれた以上は生きるしかないの。現に今もこの瞬間、生き抜いているわ。人も業魔も勇者も聖隷も魔女も死神も騎士も対魔士も、皆が生きているわ」

 

「ですが、カノヌシの鎮静化は間もなく」

 

「あたしが止めるわ」

 

「貴女は……貴女達は世界の仕組みを知っても尚……」

 

 前に進むしかないので進み続ける……人間が背負う豪であり力でもある。

 

「そんな胸糞悪い仕組みも天界の天族とやらもどーでもいいわ。世界はどうだろうとあたしはあたしよ。なにを願うかは自分で決めるわ」

 

 ベルベットはそういうと来た道を戻り帰っていった。

 言いたい事を言えてスッキリしているので何処か上機嫌になっている……

 

「なんて人達」

 

「そうだね。ロクロウもアイゼンもゴンベエもベルベットも身勝手だよ……でも、そんな皆が生きている世界は嫌いじゃないよ」

 

「あの人達と関わり続ければ貴方は何時かドラゴンに」

 

「なるかもしれない……でも、後悔をしないように一生懸命に生きたいんだ。皆みたいに」

 

 ライフィセットも伝えたい思いを伝えるとベルベットを追いかける。

 

「まだあの様な人が聖隷が居たのですね……」

 

「豚、勘違いするなよ。ベルベット達みたいなのは極々一握りしかいない存在なんだ、世界中の人間がそうなるのは不可能だ」

 

 ベルベット達の強さに感服するが、ベルベット達は特例中の特例なんだ。全員が強くなれるとは限らない。

 最後に言葉を残しオレもベルベット達を追い掛けていく。オレ達は世界の真実を、仕組みを、天族がどうして天族と呼ぶのか、天界について知った。だからといってなにかが変わるわけではない、己の道を真っ直ぐ歩む。ここにいる面々は強い信念を持っているんだ。




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番外編

  • 続 異世界プルルン転生記
  • ちょっと昔のゴンベエ達(地獄)
  • ザレイズ 総力戦 決戦KCグランプリ
  • まゆゆんの貧乏くじ
  • スペシャルスキットの続き
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