「しっかし世界ってのは案外雑に出来てるんだな」
豚もといズイフウと分かれて天への階梯を降っていく。世界の真実を知ったのだがだからそれがどうしたとベルベット達は然程気にしていない。かくゆうオレもそこまで気にしていない。世界ってのは意外と雑に出来ている事に納得がいく
「現代に戻ればイズチに足を運んでジジイ殿にどうしたいか訪ねてみようと思う……もし、ジジイ殿が諦めていたら……」
「そん時はそん時だ、もう一回天への階梯を登って豚を引き摺り下ろす……神秘的な存在だから祀られて当然と思ってるなら舐め腐ってる」
結果を残してこそなんぼの世の中だ。
アリーシャはゼンライの爺さんに再会する事を決める……スレイが導師をやる事を文句言わないし、一応は天族の代表になってくれるっぽいが……何処かでケジメの様なものはつけておかないといけないな。まぁ、その辺りはアリーシャに頑張れとしか言いようがない。
「いや〜助かったニャ!お陰様で全員無事に戻ってくる事が出来たニャ!!」
「ドラゴンとか普通に居たのに、なんだかんだで生き残ったなお前等」
「アチシ達もこう見えて結構ニャるんだよ」
オレ達と一緒に天への階梯を降っていくねこにん達。
オレが倒してもなにも問題無い場所なので出会うドラゴンとかを秒殺したとはいえどちらかといえば穢れに満ち溢れている場所で危険な場所に変わりはない。それでも誰一人欠ける事なく無事に帰還する事が出来た。
「まぁ、あんた達が野垂れ死のうが知ったことじゃないけど……ここはどうするつもりなの?天界の門なんて重要な場所でしょ」
「多分、暫くしたらズイフウ殿が結界的なのを貼ると思うニャ……ここは本来見つけられない場所ニャ!」
「そう」
「ああ、そうニャ!その前にここまで連れてきてもらったお礼をさせてもらうニャ」
「別にいいわよ、お礼なんて」
ここに来たのは偶然でここまでやってきたのは必然の為にベルベットは断ろうとする。
ねこにんのお礼と言えばねこにんの里に案内されたが……それ以上のお礼なんてあるものだろうか?
「全員分のニャスタオルニャ」
「……なんだろう。無性にコレだけを着たくなる」
「脱ぐのはやめとけ……バスタオルがお礼とかセコくねえか?」
「ニャスタオルだけじゃないニャ!実はこの天への階梯には温泉が湧き出ているニャ!8名様、ご案内ニャ!」
風呂か……暑いところにいたり寒いところにいたり時空がネジ曲がってたりしている天への階梯。一度に色々なところに行ったので程よく歩き疲れている……そんなところに温泉があるとはまたなんとも都合がいいことだ……まぁ、そういう世界に居るんだから仕方ないか。
温泉に招待してくれるのでオレ達はねこにんに案内をされて温泉にやってくる。風呂の道具は向こうが用意してくれるらしいが、シャンプーとかリンスとか自作したのじゃないとなんか違和感を感じるんだよな。
「ふぅ……ちょっと温いから温度上げていいか?」
体を石鹸で洗い、温泉に浸かる。感覚的に言えば41℃か。
俺にはちょっと生温いので炎を出して自力で温度を上げる……これが意外と難しいが、不可能ではない
「あつっ!ちょっとゴンベエ、熱くしすぎです!」
「ん〜……繋がってるのか。悪い悪い」
壁の向こう側に女性陣がいる。温泉が繋がっているのか温度を上げた事にエレノアは文句を言ってくるので炎を消して源泉かけ流しの状態にする。いいお湯だが生温い。温めると壁の向こう側にいるエレノアが文句を言う……さてどうしたものか。
「っふ、この程度で音を上げるのはまだまだだなエレノア!温泉は熱いのに限る!」
「熱すぎると火傷をしてしまいます!アイゼン、貴方のそれはただの我慢大会です」
アイゼンは温泉の温度が変わっても問題無かったがエレノアは嫌だという……我儘なやつめ。
「そう喧嘩するな……折角の温泉なんだ。もっと羽根を伸ばしていこうぜ」
「僕達、羽根はないけどね」
ダラーンと温泉に浸かるロクロウとライフィセット。
そうだ。折角の温泉なのにダラーンと羽を伸ばさないのは勿体無い事だ……若干微温いが気持ちのいい温泉には変わりはない。
「はぁ……メイルシオの温泉も中々のものでしたが、天への階梯の温泉もたまりません」
「……ん?」
「そうね。天への階梯に来るまで色々と駆け足状態だったからちょうどいいわ」
なんかおかしな事になっているな。
温泉でリラックスしている筈のロクロウがエレノアの口調に、ライフィセットがベルベットの口調に切り替わる。コレはもしかしてと試しに気配探知をしてみるとロクロウの気配がエレノアに、エレノアの気配がロクロウに感じる。
「……おぉ!何故じゃか分からんが急に目線が高くなったぞ!!」
「私は低くって、なんなのよコレは!?」
今度はアイゼンがマギルゥの喋り方になる。
ライフィセットになっているベルベットは今になって自分がライフィセットの体に憑依してしまっている事に気付く。見事なノリツッコミだな。
「あ~この温泉はあまりの気持ち良さに稀に魂が抜け出てこんがらがる事があるニャ」
「え〜と、向こう側にいるねこにんで間違いないのか?」
ビエンフーが語尾にビエンやデフを付けずにいる。
ベルベット達と一緒に女風呂の方に入っていった女性のねこにんがビエンフーの体に憑依したんだろう。
「そういうのを早く言いなさいよ!!」
「落ち着け、ベルベット。こういう時に冷静さを欠いてしまえば……なんか失敗する」
「めんどくさくなって適当な事をぬかしてるんじゃないわよ!!」
「いやだって実際他人事だし……見ろよ、マギルゥなんてエンジョイしてるぞ」
念願かなってかは知らないが大きな肉体を手に入れたマギルゥはシャドーボクシングを行っている。
中身がアイゼンじゃないから動きが素人くさい。そして腰にタオルを巻くな。風呂の中ではタオルは禁止だ馬鹿野郎。
「ふぅ、困ったな……これもまた死神の呪いか?」
「バカを言え、こんなチンケな呪いがあってたまるか」
「……どうしよう、浮き袋を付けてるみたいだよ」
中身が入れ替わったのはベルベット達だけでなくロクロウ達もだが誰一人盛り上がらない。
普通はこういうイベントがあればスケベ根性を剥き出しになるものだが基本的に性欲枯れてるか初心な奴しか居ないので冷静になっている。
「そうか?俺は尻が重いぞ」
「オレはかなり身軽だ」
「ロクロウ、アイゼン、なにを言っているんだ!?」
「ちょっとロクロウ、貴方私の体で変な事をしないでください!」
「変もなにも立ち上がっただけだぞ」
「み、見えちゃうよ!」
「エレノア、じゃなかった。ロクロウ、湯船の中に浸かるんだ!」
向こうでは立っているエレノア(ロクロウ)を見ない様に両手で顔を隠しているベルベット(ライフィセット)が想像出来る。
面白い状況になっている中で魂が抜け出ていないアリーシャはエレノアの体をロクロウ達に見せない様にエレノア(ロクロウ)を湯船の中に浸からせる。
「アメッカ、大変だな」
「あんたちょっとは焦りなさいよ」
「そうは言うけども、オレにどないせい言うんや?肉体から魂引っこ抜いて入れ替える技術は持ち合わせとらんよ」
温泉が気持ちいいので思わず口調が崩れてしまう。
ライフィセット(ベルベット)はオレを強く睨んで来るがライフィセットの見た目なので全然怖くない。ベルベットの見た目でも怖くはないだろうな……ライフィセット、顔真っ赤だろうな。
「まさかとは思うがずっとコレが続くのではないだろうの?」
「大丈夫ニャ。温泉から出れば魂は元通りになるニャ!」
「なら決まりね!さっさと出るわよ!」
「え〜もうちょっと入らせてくれよ。こっちは五臓六腑に染み渡ってるんだぞ」
湯船から立ち上がらせるライフィセット(ベルベット)
まだ温泉に入って間もないのでもうちょっと浸かりたいのだがライフィセット(ベルベット)は強くオレを睨んでくる。
「ところでさっきからねこにんが俺達の事を凝視してくるんだが」
「そいつはねこにんでなくビエンフーじゃよ」
「アイゼン、一発ぶっ飛ばしてこっちに連れてきなさい」
「了解だ……ふん!」
「ビェエエエエエン!!ボクも被害者でフよ!?」
「この状況を思う存分に楽しんでますよね?」
スケベ大魔王はビエンフーに相応しい称号の様だな。
マギルゥ(アイゼン)にぶん殴られたねこにん(ビエンフー)は壁を超えて男湯の方にまで飛ばされてきた。ねこにんの体を傷つけるわけにはいかないが1人美味しい思いをしているのでとりあえずデコピンだけは入れておいた。
疲れを取るはずが逆に余計なトラブルを巻き起こしてしまい一行は心労するものの一応は温泉で疲れが取れた……と思う。温泉から出ると元の肉体に戻ったのかエレノア達はホッとしている
「皆さん、特にビエンフー。ここで起きた事は忘れてください」
「はいはい、忘れる忘れる…………降りるぞ」
尚、エレノア達が元の肉体に戻った後にビエンフーはもう一度ベルベット達にシバかれた……自業自得である。
唯一幽体離脱しなかったアリーシャは手を出さなかったが止めることはしなかった……1人だけ無事だった為になんとも言えない感じになっている。
「で、この後どうする?」
天への階梯も踏破してここらじゃ行ったことがない場所はないんじゃないかと言えるぐらいに色々と足を運んだ。
もうイベント的な事は大分やり尽くしている……この後どうするのかをベルベットに尋ねると1人の男性がやってくる。腕に赤いバンダナを巻いているという事は血翅蝶の一員だろう。
「聖主の御座に貼られている結界が解除されました」
「……そう」
「そうか」
遂に、遂にこの時がやってきたか。聖主の御座に貼られている結界が解除されたという事はアルトリウスはカノヌシの神依を完成させた事になる。今まで緩んでいた表情からベルベットは冷たい目に切り替える。待ち侘びていた日が遂にやってきたのだとオレ達の顔を見る。
「……いくわよ」
「ゼクソン港にワープする事は出来る。パッと行くか?」
「コレで最後になるからベンウィック達に別れの挨拶をしておきたいわ……船で行く」
「そうか」
これから最終決戦に挑むので余計なものは削ぎ落としていくかと思ったがそうでもないようだ。
アルトリウスをぶっ殺しに行くのでコレでこの旅は終わる……謎は残ったままだが最後になれば答えが分かる。モアナ達はメイルシオに残ってもらう。ダイルが守ると言っているがメディサやモアナの方がぶっちゃけ強いとか言っちゃいけない。
「待たせたわね」
既にヘラヴィーサでベンウィック達は準備している。オレのワープでパッと行かない……コレがバンエルティア号に乗る最後の機会だ。
「おう、待ってたぜ。アルトリウス達は準備万端だがこっちも準備万端だ!っと、いけね」
「リンゴ?」
ベンウィックはりんごを取り出す。
食後のデザートかなにかかと思っているとベンウィックはりんごをベルベットに投げ渡した。
「そいつはな、フォーチュンアップルって言って……まぁ、お守りみたいなものだ。幸運を呼ぶっていう言い伝えがあるんだ」
「おいおい、俺達は悪党だぜ。必要なのは幸運じゃなくて悪運じゃないのか?」
「
「いや、そういう意味じゃないんだが……」
「ま、ありがたくいただくわ。リンゴは大好きなのよ」
「食べるなよ、大事なお守りなんだから」
「言われなくても食べ──っ……」
……?
ベルベットはベンウィックから貰ったフォーチュンアップルを見て固まる……なにかに気付いたのだろうか?……そういえばここまで来たのはいいけれどカノヌシをアルトリウスごとぶっ殺したらどうなるんだろう。世界に影響を及ぼす神霊的な存在は無闇矢鱈と殺すとロクな事にならないんだが……まぁ、なんとかなるか。
「どうかしたの?」
「味見してみる?幸運のリンゴ」
「ダメだよ!お守りなんだから」
「そうね……生きる意味をくれる大事なお守りよね」
「……?」
優しく微笑みかけるベルベットにライフィセットは僅かばかり違和感を感じた。
なにかを決意したんだろう……既にアルトリウス達を殺す覚悟を決めているのになにを覚悟したのだろうか。まさか世界を滅ぼす魔王を演じてエレノア辺りに斬り殺されて世界を平穏にするゼロレクイエム的な事を企んでいるんじゃねえだろうな。ここに来てのゼロレクイエムは幾らなんでも無しだろう。
「それで最後の目的地は?」
色々と嫌な事が頭に浮かんできたがベンウィック達はベルベットの変化に気付いていない。気付いているのはライフィセットぐらいか。
ベンウィックは手を後ろに持ってきてベルベットからの指示を待つ。
「聖主の御座よ」
「ゼクソン港に向かうぞ!」
「アイマム・アイサー!」
すごくどうでもいいことだがベンウィックの返事が英語っぽい言語ってどうなんだ。
英語が通じない癖に横文字が平気で出てくる……拳銃作れないのに大砲があったり微生物の存在を認識出来たり、転生してから1年ちょっと経過するがこの世界はホントに摩訶不思議でおかしい。
スキット 幽体離脱しないのは
エレノア「ふぅ……温泉で疲れを取るはずが逆に疲れてしまいました」
ロクロウ「そうか?俺としてはゆっくり出来た……もうちょっと長く風呂に入りたかったな」
エレノア「あの温泉ではダメです!……私の体をもうちょっと労ってくれてもいいじゃないですか」
アリーシャ「あの温泉に入るときは男性と女性で時間を別にして入らなければ」
ゴンベエ「それやると高確率で女湯覗く馬鹿が出てくるだろうけど」
ビエンフー「ノルミン聖隷の中でも紳士なボクが覗きなんてしませんよ……堂々と入ります」
エレノア「こら!貴方、男でしょうが」
ビエンフー「そこはホラ、かわいいアヒルのおもちゃと同じ扱いで」
マギルゥ「よーし、ならば湯の中に沈めるぞ!」
ビエンフー「ビエエエエン!マギルゥ姐さん聞いていたんでフか!」
マギルゥ「最初から最後までのう……さーて何分息を止めれる事やら」
エレノア「いやあの、温泉に一緒に入れない様にしてくださいよ」
ゴンベエ「大変だな、お前も」
エレノア「貴方はまた他人事の様に……!、そういえば貴方とアメッカはなんともありませんでしたが……」
アリーシャ「私も温泉を楽しんでいたがなにもなかったな……そのせいでロクロウ達に見られていて恥ずかしい思いをしたが」
ゴンベエ「なんだ?オレに体を乗っ取ってほしかったのか?」
アリーシャ「……こう、仲間はずれな気がして。いや、分かっている。間違った事を言っているのは……だが、こういうのは全員同時に発生するものと本で見た。天丼というやつだ」
ゴンベエ「若干どころか結構ちげえよ」
エレノア「しかしどうしてアメッカとゴンベエは魂が抜けなかったのですか?」
ロクロウ「……ゴンベエは温泉の温度に満足行ってなくて極楽に至ってなかったからか?」
ゴンベエ「極楽には物理的に一度行ったことあるからなぁ……」
エレノア「でも、それだとアメッカの魂が抜け出ていない説明になりませんよ?」
ゴンベエ「多分だけどアメッカの槍を作る際にフチ込んだ魂のメダルの影響で魂に干渉したりするタイプの現象に対して耐性を得たんだと思うぞ。カノヌシの鎮静化の影響を受けないのもそれが大きいし」
マギルゥ「ならお主は?」
ゴンベエ「オレはやろうと思えば無機物に憑依する事が出来るから自分の意思で魂を出さない様にしていたんだと思う」
ビエンフー「なんかズルい気がしまフよ。2人だけ楽しんで」
アリーシャ「楽しんではいないのだが……」
マギルゥ「しかしお主達だけなにも無いというのは些か不公平じゃろう」
ゴンベエ「どんな理屈だ……アメッカの意識をぶっ飛ばして、意識が飛んでいる間に憑依しろと……最低でも4回は胸を揉むぞ」
アリーシャ「な、なにを言っているんだゴンベエ!?」
ゴンベエ「1回目は確認、2回目は感触を味わい、3回目は何処まで潰せるのかを見て、4回目は性欲を満たす為に揉む……おっぱいにはロマンが詰まっているんだ」
ベルベット「私の場合は?」
ゴンベエ「乳首をつま──あーっ!!」
ベルベット「くたばれ!」
エレノア「……ゴンベエがアメッカと肉体が入れ替わらなくてよかったですね」
アリーシャ「……ああ……そうだな」
ベルベット「あんた若干残念そうにしてない?」
アリーシャ「気の所為だ」
ヤベえ、スペシャルスキットの続きが書く意欲ねえ。KCグランプリのネタばっか出てくる
番外編
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続 異世界プルルン転生記
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ちょっと昔のゴンベエ達(地獄)
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ザレイズ 総力戦 決戦KCグランプリ
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まゆゆんの貧乏くじ
-
スペシャルスキットの続き