テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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災厄で最悪の時代

 

「……っ……」

 

 目を覚ますと知らない天井だった……なんて言う展開はもう無い。

 何時もの見馴れた我が家の天井であり長い長い時を超えた旅をやっと終えた事を実感する。

 

「色々とありすぎたな」

 

 今まで色々な事があった為に気分が落ち着かない。

 長い旅で、旅をする事が当たり前になっている感じがしている。それはいけない事だ、オレは今日からはハイランド在住の日本人として生活をしていかなければならない。とりあえず、氷を売ったりしてみようか。レディレイクはそんなに暑いところじゃないけども氷菓子の需要はある筈だ。

 

「……おはよう……って言っても聞こえてないか」

 

 顔を横に振り向けばそこには絶世の美女ことベルベットが眠っていた。

 スヤスヤと寝息を立てて静かに眠っておりオレの言葉は聞こえていない……1000年間眠りについていたとはいえちゃんとしたなにも考えなくていい睡眠はホントに久し振りだろうから余計な邪魔はしない。ベルベットがベルベットの意思で目覚めるのを待つ。

 こうしてベルベットの顔をじっくりと見るのはなんだかんだで久し振りだ。オカリナを吹いて安らかに寝ている時に顔をジッと見つめてたぐらいで……やっぱりベルベットは美人だな。

 

「っと、こんな事をしてる場合じゃないな」

 

 起きたんだから二度寝なんかはせずにちゃんと起きる。

 ベルベットを起こさない様にゆっくりと布団を出て外の空気を吸い、川辺の水を桶で掬い顔を洗う。

 大雑把なやり方での顔を洗うが水道がマトモに無い我が家ではコレが一番楽である。水瓶に入れている水を使えばいいが、アレは飲料水も兼ねているので顔を洗うのには使えない……とはいえ歯を磨いたり嗽をしたりするのには使うけれども。

 

「朝ごはんの準備でもするか」

 

 ベルベットはまだ眠っている。起こすのは申し訳無いので朝食の準備をしようとするとベルベットの籠手から光る玉が飛び出してきたと思えばシアリーズだった。シアリーズは腕を組んでオレを見下ろす。

 

「あの……なにか、問題がありましたでしょうか?」

 

「……それを聞いてくるということはなにか悪い事に心当たりがあるんじゃないかしら?」

 

「……朝食を用意する事がそんなにいけない事ですか?」

 

「それを決めるのはベルベットだけれど……キッチンはベルベットにとっての聖域に近いものだから無理に荒らしたり勝手に朝ごはんを作ったりしたら不機嫌になるわ」

 

「お義姉さん、断言出来るんですね」

 

「私は聖隷シアリーズ……決してセリカ・クラウじゃないわ……でも、もしセリカが生きていたのならば邪魔しないであげてと言っていたわ」

 

 もう怖いよ、このお義姉さん。シアリーズは言いたいことだけ言うとベルベットの籠手の中に戻っていった。

 ここで朝食を作ればベルベットは不機嫌そうになる……別にそこまでお腹が空いているわけじゃないし、ここはゆったりしよう。

 

「どうやって金を稼ぐか」

 

 ベルベットと一緒に同棲する様になったので今までの様に適当に生きていく事は出来ない。

 紙芝居とコーラや雑貨品を売るだけでは心許ない。もっと売れる物を……洗剤で煮込んだ雑草で作った紙を売るか?この世界、紙の需要はあるにはある……売る物を決めておかないと後々厄介な事になるな……一個人で物を売るのにも限界があるしな。

 

「……!」

 

「おはよう、ベルベット」

 

「そっか……うん……おはよう、ゴンベエ」

 

 目を覚ましたベルベットは少しだけ焦る。自分の身に起きた状況に若干ボケてしまっている。オレと同棲を始めたのだと意識を現実に戻す。

 朝の挨拶をするとベルベットは顔を洗って歯を磨き意識をハッキリとさせる。

 

「少し待ってて、朝ごはんを作るわ」

 

「おう、幾らでも待つわ」

 

 頼んだりしていないのだがベルベットは直ぐに朝ご飯の用意をする。

 馴れた手付きで米を研ぎ、米を水に浸している間に鰹節で出汁を取り味噌汁の準備をする……

 

「フンフフフフーン♪」

 

 鼻歌を歌いながら味噌を溶かすベルベット。

 朝ご飯を勝手に作っていたのならば不機嫌になっていただろうな。シアリーズお義姉さんに止めてもらったのは感謝しなければならない。

 

「出来たわ」

 

「おぅ……」

 

「冷蔵庫はホントに便利ね。色々な物を冷蔵する事が出来るんだから」

 

 ワカメの味噌汁に焼き鮭、卵焼きにほうれん草のおひたし。

 日本人なら誰もが一度は口にしているザ朝食の様な朝食をベルベットは作ってくれた。とりあえず体を起こす意味合いを込めて味噌汁を啜る……暖かくて美味しい。今まではめんどくさいから朝ごはんを抜いてた時もあったけども今日からはそんな事は起きなくなる、ベルベットが作ってくれるから。

 

「レディレイクに行ってくるけど、どうする?」

 

「行く」

 

 市場調査をしにレディレイクに行くのだがベルベットは付いてくる。

 自転車にリアカーをくっつけたチャリアカーを使わずに歩いてレディレイクに向かう。

 

「おめでとう!」

 

「え、なにが?」

 

「結婚したって噂を聞いたんだ」

 

 レディレイクに向かうと何時もの検問をしている近衛兵に出会う。

 1年ほどの付き合いの関係だがオレを見ると祝福をしてくるのでなんの事かと尋ねてみるととんでもない事になっていた。

 

「アリーシャ姫を毒牙に掛けていると思えばお前、こんな美人な嫁さんを捕まえて……いったいどんな手を使ったんだよ?」

 

「待て待て待て、話が色々と飛躍しすぎている……オレはまだ結婚をしていない」

 

「まだ?」

 

「いや、なんて言えばいいんだ……とにかく結婚はしていないんだ」

 

 どう説明をすればいいんだろうか。とにかく結婚はしていない。

 近衛兵はベルベットの事を見つめる。エロい格好をしているから邪な視線を向けるのかと思ったがベルベットが睨み返すと圧を感じたのか一歩引いてしまう。

 

「美人だけど怖いな、お前の嫁さん」

 

「だから違うって」

 

「じゃあなんだよ?」

 

「それは……まぁ、アレだ。同棲しているだけでそこには一切不純なものは無い」

 

「お前、つまんないウソをつくね」

 

 嘘じゃねえよ、ベルベットとは結婚はしていないんだ。

 近衛兵は爆ぜろリア充と言いつつもオレとベルベットを検問のチェックをし、レディレイクに足を踏み入れる。

 

「ゴンベエ!」

 

 とりあえずどうしようかと悩んでいるとアリーシャが現れた。

 近衛兵がアリーシャにオレがやってきた事を伝達していたみたいで走ってきたアリーシャは息が乱れている。

 

「どうした?」

 

「どうしたじゃない。電話をハイランドに献上する事を忘れているぞ」

 

「あ……お前だけで上手く説明出来ないのか?」

 

「どういう物かは分かるがどういう原理かはサッパリだ。陛下に電話を献上しなければ」

 

「え〜……へ、いかに会わないといけないのか……」

 

 1年ぐらいこの国に在住しているけれどこの国のへ、いかの顔を一切知らない。

 アリーシャは末席とはいえ王族だから顔は知っているのだろうが……会うのめんどくせえな。

 

「電話をハイランドに献上しないとまたなにか言ってくるかもしれない」

 

「わぁったよ……ベルベット、仕事が出来た……残るか?」

 

「付いていくわ。あんたの事だからなにか騒動が起きると思うし」

 

「そんな人を問題児みたいに言って……」

 

「似たような物でしょ」

 

 そんなこんなで昨日やり忘れた電話をハイランド王家に献上しに城に向かう。

 貴族街とかアリーシャの家以外足を運ばないけど、王族が住んでいる城は……穢れに満ちているな。伏魔殿とかいう奴にはなっていないが、上流階級のドロッとしたのはホントに嫌になる。

 

「あ〜あ〜……こちらナナシノ・ゴンベエ。聞こえていますか」

 

『こちらアリーシャ・ディフダ。声はハッキリと聞こえている、そちらはどうだ?』

 

「問題なく聞こえてる……そこに屁以下は居るんだろう?コレがどういう原理で声を飛ばしているかの説明は必要か?それともコレを使った秘密の暗号を送る方法を教えた方がいいか?」

 

 城に案内をされると陛下に謁見……はせずに陛下の居る場所から少し離れた離宮で電話を起動させる。

 遠く離れた人と会話をする事が出来る装置だと証明するには実演するのが手っ取り早い。声が何処からともなく発せられていると電話の向こう側に居るハイランドの重役達が驚きザワついているのが微かだが聞こえる。

 

『暗号だと?』

 

「なに簡単なモールス信号だ。起動音であるジリジリと鳴る音を応用した技術だ……まぁ、電話しか無いから今は役に立たないだろうな」

 

 電話が1セットしかない現状、モールス信号は大して役に立たない

 そもそもでモールス信号を送る装置を電話とはまた別に作った方が何かと便利……とはいえ、モールス信号をやる側も覚える側もどっちも大変な事には変わりはない。オレも転生特典が無ければこんな面倒なの覚えなかった。

 

『ナナシノ・ゴンベエ……お前は異国の民だと聞く。お前の国には大地を馬無しで走る乗り物やこの様に遠くの人間に声を届ける装置があるのか?』

 

「オレの持っている物と同じ物かどうかと聞かれれば答えはノーだ。コレよりも高品質で低価格で低燃費な物には溢れている……この国は1000年前からなにも変わっていない、良くも悪くも変化が起きていない……導師を称えるのもいいが、少しは進歩する事ぐらいはしておかねえと」

 

『レディレイクの前を走った大地の汽笛とやらは量産可能なのか?』

 

「出たな、大地の汽笛……似たような物は沢山作れる……ただそこに走るならばもう1個人でどうこう出来るものじゃない。会社を起こしてマンパワーを用意しないといけない」

 

 一個だけ欲しいのならば蒸気機関はあっという間に作れる。首振り式のWエンジンを搭載した蒸気機関の車を用意すればいい。

 ヘアゴムをしていた町民を見たことがあるから何処かにゴムの木が生息している。そこからゴムの原液をゲットする事が出来る筈だ

 

『マンパワーか……人手が居ればどうにかなるのか?』

 

「人手が居てもどうにもならねえ物もある。あんたがハイランドを豊かに平穏にしたいとオレを利用するならそれはもう工業の世界に入る。王族がどうのこうのの話じゃねえ……特に石油がねえと話にならねえ」

 

 何処にあるかは知らないが石油がないとなんにもならねえ。

 石炭じゃ蒸気機関で……モノ作りという点でも石油が無かったら電気自動車を作る事が出来ない。多分、何処かの点で石油が無くて詰む。

 

「というわけでハイランドに電話を献上する。ああ、電気も必要だから磁石もくれてやる……大地の汽笛の量産に関しては半ば諦めておけ」

 

 顔も知らないへ、いかに一応の忠告はしておく。

 蒸気機関は便利な物だが量産をしてしまうと環境が大きく乱れる。19世紀の産業革命が起きたロンドンの様に空気が汚くなったりして人が住みにくい世の中になってしまう。故に蒸気機関はすっ飛ばして石油とか電気とかを使った発明品を作る。

 

『そうか……この電話、ありがたく頂こう』

 

「間違っても個人で量産に挑戦しようとして壊れましたはヤメとけよ。それ1つ作るのにも相当なマンパワーがいるんだから」

 

 この時代では超が付くほど有名なアイフリード海賊団の暇な奴等総出でマンガン電池作ったりしたんだ。

 バラバラに分解されて元に戻す事が出来なくなってしまったと言われてもオレは一切責任を取らねえ。遠くの人と対話をする事が出来る便利な道具だと思えば良い……それ以上を求めてしまうのが人間の業だがな。

 とりあえずハイランドのへ、いかに電話を献上する事は出来た。余計なトラブルの1つでも発生するかと思ったのだがへ、いかはあっさりとオレの言葉を聞き入れる……なんか裏がありそうで怪しいな。

 

「随分とあっさりと終わったわね」

 

「まぁ、電話に何処までの価値を見出すのかは人次第だからな」

 

 裏がありそうで怪しいもののハイランドに作った電話を献上する事が出来た。

 遠くの人と会話をする事が出来る便利な道具なものの今のところは1セットしかない。王宮に1つ置いて、もう一個は……常に色々なところに持ち運ぶのが妥当だろうな。電話を複数個作ればそれに合わせて電波の波長とか色々と弄らないといけないが……今は関係無い話だな。

 電話を献上したので城を出てベルベットと駄弁ってるとアリーシャが戻ってきた。アリーシャは浮かない顔をしている。

 

「どうしたんだ?電話を献上する事がそんなに問題か?」

 

「……電話は遠くの人と会話をする事が出来る便利な道具だ。1つは王宮に置くらしいがもう一つは戦地等に設置すると言っていた。戦争の開始の合図等を電話を使ってやると……今はまだローランスと小競り合い程度だが、また何時大きな争いになるか分からない」

 

「物騒な世の中だな……それをどうにかしたいのがお前なんだろう。その為には……ローランスに居るそれなりに権力を持っていて戦争を反対している奴を味方に付ける」

 

 そんな人間が居るかどうかは不明だが、居ることを祈るしかない。

 

「さ、小難しい話はここまでにしよう。ベルベット、何かやりたいこととか欲しい物はあるか?作れる物ならなんでも作るぞ」

 

 アリーシャの事はアリーシャが解決しなければならないので置いておく。

 ここまで来たのならば最後までアリーシャに付き合わなければならない気もするが、それはオレが一人身だった場合だ。今はベルベットがいる。アリーシャの事に気を掛けていてはベルベットは不機嫌になる。

 

「そうね……フィーに会いたいわ」

 

「あ〜……」

 

「マギルゥとエレノアはもう既に死んでるでしょうけど、アイゼンとフィーは聖隷だからこの時代でも生きてる筈よ。私にとっては1日だけどフィーは1000年も生きてて……色々と積もる話もあるし、あの後あの子がちゃんと生きたか気になるわ」

 

「あ〜…………アリーシャ、パス」

 

「ベルベット、よく聞いてくれ。あの後、聖主が居なくなって世界のパワーバランスが乱れて地殻変動的なのが起きようとしていたんだ。世界のバランスを保つには新しい誰かが聖主の代わりにならなければならずライフィセットは……いや、マオテラスはカノヌシに代わる新たな聖主となった」

 

「マオテラス?フィー、改名したの?」

 

「改名というか実名と言うべきか……」

 

 マオテラスに会いたがっているベルベットにアリーシャはベルベットが封印されて直ぐに起きた出来事について教える。

 

「新しい聖主になっても生きてる事には変わりはないでしょう?四聖主の神殿と同じみたいに何処かで祀られてるんでしょ?」

 

「いや……そうとはいかねえんだ」

 

「どういう事?」

 

「ヘルダルフ……この時代の災禍の顕主にマオテラスは捕らえられている」

 

「捕らえられてる?自分の意志でついて行ってるとかじゃなくて?」

 

「ヘルダルフはお前とは段違いだ」

 

 多分、どうにもならないクソ野郎である事には変わりない。

 そんな災禍の顕主に身を委ねているとなればマオテラスは憑魔化している可能性が高い。

 

「ベルベット、この時代ではマオテラス……ライフィセットが用いていた白銀の炎で憑魔化した人間を元に戻す事や天族を信仰する事で穢れから身を守るシステムが完成されているんだ。今の導師、スレイは災禍の顕主を鎮めて各地に天族への信仰を取り戻そうとしているんだ」

 

 この時代ではどういう感じになっているのかをアリーシャは説明をする。

 ベルベットは直ぐに話を飲み込んでくれるのだが不満そうな顔をしている。

 

「……この大陸は昔から聖主を信仰する文化はあったわ。1000年前はカノヌシの力のおかげで普通の人でも聖隷を認知する事が出来ていたわ。なのになんでこんな時代になってるのよ!導師はアルトリウスの次がそのスレイって奴じゃないんでしょ!!」

 

「それは……」

 

「浄化の炎とやらで業魔化した人間達を元に戻せるんでしょう。聖隷を信仰さえしていれば穢れから身を守る事が出来るんでしょ!じゃあなんでこんな事に」

 

「……私にも分からない。天族の信仰の文化も浄化のシステムも何百年も前からあるのに一向に世界は良い方向に向かわない。それどころか今は災厄の時代と呼ばれるまでに至っている」

 

 どうして現代がここまで悲惨になっているのか。

 浄化の炎のシステムを解明する事が出来たが現代にまで災厄を残している原因はなんだろうか?やっぱり肉眼で天族を見ることが出来る人間が大幅に減った事だろうな。1000年前には感じていた四聖主の加護領域も感じないから恐らくはまた眠っているな。

 

「と、とにかく今先ずは民に平穏を齎さなければならない。国同士が争いを起こすにしても殺し合い等の戦争でなく競い合うのが1番で」

 

「そういう御高説は聞き飽きたわ。とにかくそのヘルダルフってのをぶっ殺せばフィーを助ける事が出来るのね」

 

「いや、どうだろうな。ヘルダルフとマオテラスが具体的にどうなっているのかはオレは知らない。嘗てのエレノアとライフィセットの様な関係性ならばヘルダルフを殺すと連鎖的にマオテラスが死んでしまう可能性がある」

 

 ヘルダルフを封印した際に聞いた声はヘルダルフを経由して聞こえたマオテラスの声だ。

 そう考えるとあの時にヘルダルフを殺す選択をしなくて良かったと思う。ヘルダルフを殺してしまえば連鎖的にマオテラスも殺してしまう。

 

「なら、私がヘルダルフから引き剥がす……私なら出来る筈よ」

 

 左腕を喰魔化させるベルベット。

 完成された神依のアルトリウスからカノヌシを引き剥がす事が出来たのならばヘルダルフからマオテラスを引き剥がす事が出来る……ただな

 

「それで全てが解決するわけじゃない。マオテラスはこの大陸を器にしていて、この大陸そのものが穢れてる……ヘルダルフから引き剥がしても憑魔になったままの可能性が高い」

 

「なら問題ないでしょ。あんた、業魔化した人間を元に戻せるんだから同じ要領でフィーを元に戻せるでしょ」

 

「器が穢れたままだと鼬ごっこだ」

 

「だったら今の導師に……そのスレイって奴は信用できるの?あんた、反吐が出るって言ってたけど」

 

「ゴンベエ、そんな事を……スレイは導師としてはまだ未熟かもしれないが一歩ずつ成長していっている。アルトリウスとは違う……誰かを犠牲にしなければならない理はもう無いんだ」

 

 喰魔を用意して穢れを食べさせるという人柱的な役割をしなくてもいいとアリーシャは言うが……導師という平和の象徴の人柱が必要な現実には変わりはないんだよな。スレイを人柱扱いしていいかどうかは別としても。

 

「とにかくフィーを助け出すわ……アメッカ、力を貸しなさい」

 

「そうしたいのは山々だが問題は山積みで、いい加減にローランス帝国に足を運ばなければ」

 

「人手が足りないわけね……なら、絶対に信用出来る相手を、アイゼンに会いに行くわよ」

 

 助けると言っても色々とやらなければならない事が満載だ。

 一歩ずつ一歩ずつ問題を処理していかなければならず、人手が欲しいとなれば確実に味方になってくれて自分達の事情を知っている奴、つまりはアイゼンを仲間にしたい……

 

「とりあえずレイフォルクに行くぞ」

 

 色々と言っておきたい事はあるけれども、言葉にするよりも実際に生で見た方がいい。

 あの後、エドナが去ってしまってアイゼンがなにをしているのか分からないし、とりあえずはレイフォルクに向かう事にした。




スキット 呼び方
 
ゴンベエ「マオテラスはヘルダルフの手の内か……」 

ベルベット「あんた、そのヘルダルフってのを一回ボコボコにしたんでしょ?なんでその時にフィーを助け出さないのよ」 

アリーシャ「ベルベット達と出会う前の事だからそれは無理なんじゃ……」 

ベルベット「フィー……今頃苦しんでて」 

ゴンベエ「おいおい、ライフィセットを10歳の少年に留めるな。あれからなんだかんだで1000年も経過してるんだぞ」

ベルベット「痛い思いも楽しいことも色々な事をフィーは……」 

アリーシャ「マオテラスは立派にやっている。天遺見聞録にもマオテラスの事は書かれている」

ベルベット「そんな本まであるの……1000年もあれば多少の進歩はしてるみたいね。アメッカ、その本を貸しなさい」

ゴンベエ「読めるのか?」

ベルベット「読めるわ……大分聖隷の事崇め讃えろって盛られてるわね」

アリーシャ「実際は天界から降りてきた存在と聖主から生まれた存在で色々とある……が、この本の著者も流石に天への階梯には辿り着いていないか」

ベルベット「世界の真実を知ってるのは私やアメッカ、それにフィー達だけ……」

ゴンベエ「どうでもいいけどお前、呼び方を変えてやれよ。ライフィセットはマオテラスに、アメッカはアリーシャが正しい呼び方だぞ」

ベルベット「フィーは私にとってもう一人の弟で、フィーである事には変わりないわ。どれだけ変わろうとも……アメッカは……今から呼び直すの難しいわね」 

アリーシャ「いきなりですまないな……ゆっくりとアリーシャ呼びで頼む。知らなかったとはいえ大事な真名を使っていたんだ」 

ベルベット「真名って、それって大事なものじゃなかったっけ?」 

アリーシャ「ああ……だが、ベルベット達なら預ける事が出来るものだ……ゴンベエがゴンベエのままな事には些か不満はあるが、後悔はしていない」 

ゴンベエ「だってオレ、名無しの権兵衛だからな」 

ベルベット「どういう理屈よ……アリーシャ、また長い旅になりそうだけどいいかしら?」 

アリーシャ「この旅は平和への一歩になる。喜んで力を貸そう」

番外編

  • 続 異世界プルルン転生記
  • ちょっと昔のゴンベエ達(地獄)
  • ザレイズ 総力戦 決戦KCグランプリ
  • まゆゆんの貧乏くじ
  • スペシャルスキットの続き
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