テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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トライ&エラー 挑戦と失敗と成功

 最後の足掻く権利をザビーダ様から頂いた。このチャンスを逃せばアイゼン様を殺さなければならない。

 そうするとエドナ様が悲しむのでなんとしてでもドラゴン化したアイゼン様を元に戻す………その為にはゴンベエの力が必要だ。

 

「助けるって言うけど、どうやって助けるのよ?フィーの浄化の炎とあんたが会得した穢れを断ち切る技を掛け合せてほんの少しの間だけ意識を元に戻すことが出来たんでしょう」

 

 助ける覚悟を決める横でベルベットは苦言をする。

 嘗てテオドラ様に向かってまだ不完全だったとはいえマオテラスの浄化の炎を纏った穢れを断ち切る空裂斬を撃ち込んでも元には戻らなかった。現代の完成された神依や浄化のシステムを用いても元に戻すことは出来ていない。

 

「……とりあえずもう1回、アイゼンのところに行くぞ」

 

「危険よ……って、言っても聞かないわよね」

 

 具体的にどうするのか案が浮かばない。ゴンベエなら出来るんじゃないかと期待を寄せているがゴンベエもやり方が分かっていない。

 一先ずはドラゴン化したアイゼンの元に向かうとゴンベエは背中の剣を抜いて刀身に炎を纏わせた

 

「出てこーい、アイゼン」

 

 気楽に言うゴンベエ。レイフォルクを進んでいくと穢れの領域に入った事を感じ取る。

 コレは知っているアイゼン様が放つ穢れの領域で、より強い穢れが感じる方向を見るとドラゴン化したアイゼン様がそこにはいた。

 

「ゴォオオオオオオオ!!」

 

 高らかと雄叫びを上げるアイゼン様。

 穢れが強まり飲み込まれそうになるのだがグッと堪えて乗り切るとゴンベエは持っていた剣を振るった

 

「烈火空裂斬」

 

 マオテラスの浄化の炎を用いていない、マオテラスの浄化の炎とはまた別の炎を纏わせた空裂斬を撃った。

 浄化の炎の出どころは違うものの浄化の炎である事には変わりはない。アイゼン様が吹き飛ばされるとピタリとアイゼン様の動きが止まった

 

「アメ、ッカ……ゴンベ、エ……ベルベット……ザビーダ……」

 

「意識が戻ったのか!?」

 

 テオドラ様の時と同じくドラゴン状態のままでも意識が僅かだが戻った。

 意識が戻った事にザビーダ様は驚きを見せる……だが私は喜ばない。此処まではあの時と同じ、嘗てレイフォルクに足を運んでドラゴン化したアイゼン様と対峙した際にも同じ様な状況になっていた。

 

「もう、いい……ころ、せ……」

 

「うるせえ、トカゲモドキは黙っとけ」

 

 アイゼン様は既に私達に殺される覚悟は出来ていた。だが、ゴンベエは殺すつもりは毛頭に無い。

 一時的に意識を取り戻したのもつかの間アイゼン様の意識は乗っ取られて私達に向かって火球のブレスを撃ってこようとするので私達は逃げる様にレイフォルクから降りていった。

 

「結局、ダメじゃねえか」

 

「ん〜まぁ、こうなるとは思ってたからな」

 

 使ったのが私とはいえ烈火空裂斬でドラゴンを元に戻すことが出来なかったのを知っているのでゴンベエは落胆しない。

 ザビーダ様はゴンベエが真面目にやったとしても元に戻す事は出来なかったと酷く落胆してしまう。

 

「アイツは殺してくれって言ってやがった。エドナちゃんの前で殺すのは酷だ、俺がキッチリと」

 

「まだオレの足掻く時間は終わってねえだろう」

 

「そうは言うけどよ、あんのか?アイゼンを元に戻す手段がよ」

 

「そこなんだよな……」

 

 アイゼン様を元に戻す気では居るものの、肝心の手段が浮かばない。最も有効打であろう烈火空裂斬がつい先程無理だと証明した。

 

「あんた、楽器でなんとかする事が出来ないの?」

 

 八方塞がりな状態でベルベットは尋ねた。

 ゴンベエの持つオカリナとオカリナの曲は特殊な物で昼と夜を入れ替える、雨を降らせる、天候を晴れに変える、更には時間を移動するといった最早なんでもありな物だ。ならばドラゴンを元に戻す手段はないのかとベルベットは疑問を抱く

 

「……時のオカリナを使って出来ることは時間を越える、時間を遅くする、時間を早くする、天候を晴れにする、大雨を降らせる、子守唄で眠らせる、眠っている意識を叩き起す、魂の入っていない抜け殻を作り出す」

 

「お前、マジでなんでもありなんだな」

 

「後は……あ、穢れた魂とか邪悪な魂を救う歌がある!」

 

「穢れた魂を救う歌だと?」

 

「正確に言えば邪悪な力や浮かばれない魂を癒やす歌で……使った事は今まで一度も無い」

 

 ここに来てまだゴンベエが使ったことがないものがある事が判明する。

 ゴンベエはオカリナを取り出すとその曲を演奏してくれる……のだが、特に変わった事は起きない。普通に綺麗な音色の曲だ……特に異変もなにも起きていない私達では効果は無いのかもしれない。

 

「とにかく、使ってみる……コレばかりはトライ&エラーの繰り返しだ」

 

 ゴンベエの移動する魔法を使って三度レイフォルクの山頂付近に足を運ぶ。

 アイゼン様の放つ強い穢れの領域を感じたので割と直ぐ近くに居るものだと真名を叫び神依の様な姿に切り替える

 

「出やがったぞ!」

 

「ベルベット、アリーシャ、悪いがオカリナを吹くのに集中したい……頼んだぞ」

 

「ったく、仕方がないわね」

 

 ベルベットも火の神依の様な姿に成り代わり、オカリナを演奏するゴンベエの護衛を務める。

 アイゼン様は相変わらずの暴走気味の様なものだがゴンベエは特に気にする事なくオカリナを吹くとアイゼン様の動きがピタリと止まった。

 

「ぐ、ぅ……」

 

「効果があった!!」

 

 ドラゴンの声でなくアイゼン様の声が響く。

 姿形はドラゴンのままだが効果はあった様で苦しむ素振りを見せてくる。

 

「なん、だ……こ……グァアアアアア!!」

 

「またこのパターンかよ!!」

 

 一瞬だけ意識をアイゼン様は取り戻すが直ぐにドラゴンの意識に飲み込まれてしまった。

 一瞬だけ元に戻すことは出来るがそこから先が出来ないとザビーダ様は酷く落胆をするのだがゴンベエは諦めていない。完全に元に戻すことが出来はしなかった、だが少しだけだがアイゼン様を元に戻すことが出来た……なんとかなる気がする。

 

「1人で駄目なら、2人で」

 

「2人で駄目ならば3人で」

 

「3人で駄目ならば4人で行こう」

 

 ゴンベエは4人に分身した。1人のゴンベエは木の妖精に、1人のゴンベエは山の妖精に、1人のゴンベエは魚の妖精に変身した。

 木の妖精に変身したゴンベエは大きなラッパを、山の妖精に変身したゴンベエは大きなコンガを、魚の妖精に変身したゴンベエはギターを取り出し穢れた魂を癒やす曲を演奏する

 

「っ……なにを、してやがる」

 

 4人に分身したおかげか曲の力が更に強まった。

 アイゼン様は今までで1番ハッキリと意識を取り戻していく……ただしドラゴンの姿である事には変わりはない。

 

「お前を元に戻す為にこうしてるんだよ!」

 

「もういい……オレは覚悟を決めた。何時かこんな日がやってくるのは分かっていた事なんだ……もう、殺してくれ」

 

 今までと異なり流暢に喋るアイゼン様。

 1000年前のテオドラを殺した際の約束を今ここで果たせというがゴンベエは嫌だと断る。

 

「別にオレはお前を助ける為にこんな事をしてるんじゃねえよ。オレはお前を嘲笑う為に頑張ってるんだよ」

 

「もういい、充分だ……っく……ぐ、ルゥァアアアアア!!」

 

 三度戻った意識を失い暴走するアイゼン様。

 ゴンベエはどうにかしようと魂を癒やす曲を演奏するのだがアイゼン様は意識を一時的に取り戻すだけに終わっている……コレが限界なのか……

 

「アリーシャ、諦めるんじゃないわよ!!」

 

「……そうだ、まだ終わっていないんだ」

 

 限界を感じ始めて心が折れそうになる中でベルベットは左腕を喰魔化させてアイゼンを攻撃する。

 ベルベットの瞳には強い意志が宿っている。それはアイゼン様を殺す意志か救う意志かは私には分からないが、それでも前に足を進めようとしている。諦めずに何度も繰り返して前に突き進む、それこそが人間の持つ1番の力だ。

 

「ここから更に一手必要だ!オレは曲の演奏に集中しないといけない、後は任せても問題ないよな」

 

「ああ、任せてくれ!」

 

 ここからはゴンベエの力を借りる事が出来ない……だが、これでいい。

 ゴンベエがオカリナを演奏してくれているおかげでアイゼン様の動きがおかしくなっている。私達を殺さない様にしている理性と暴走して暴れまわる本能が戦いを繰り広げている。

 

「虚空閃!!」

 

 ここで普通に攻撃したとしてもアイゼン様に怪我をさせるだけだ。

 今の私に出来る事は穢れを断ち切るこの虚空閃しか無いと槍を輝かせて貫くとアイゼン様の体からとんでもない量の穢れが溢れ出た

 

「退きなさい!」

 

 あの穢れは猛毒でしかない。

 私を押し退けたベルベットは喰魔化した左腕を振り被りアイゼン様の体から溢れ出ていく穢れを喰らう……!

 

「お、おい、ありゃあ」

 

「アイゼン!!」

 

 穢れを断ち切り溢れた穢れを喰らうと一瞬だった、ほんの一瞬だったがドラゴンの姿から本来のアイゼン様の姿に戻った。

 

「少しずつ、少しずつだが近付いていっている!!」

 

 今までにない程に手応えを感じた。

 虚空閃で穢れを断ち切り、溢れ出た穢れをベルベットが喰らえばアイゼン様を元に戻すことが出来るのかもしれない。

 溢れ出る穢れのせいで邪悪を感じ取る力がやや乱れてしまうがなんとかして意識を集中させて穢れの核となる部分を見抜く。

 

「虚空閃!」

 

 アイゼン様が放っている穢れを断ち切る。

 大量の穢れをアイゼン様は吐き出していくのでベルベットが左腕を喰魔化させて穢れを喰らう……また一瞬だったがドラゴンの姿から元の姿に戻っている。

 

「コレだ!穢れを断ち切って穢れを喰らえばいいんだ!!」

 

 アイゼン様を元に戻す手段が段々と明確になってきた。

 ゴンベエがオカリナを演奏しアイゼン様の邪悪な力を癒やし、私が穢れを断ち切り、ベルベットが穢れを喰らう。恐らくはこの穢れを喰らう部分とゴンベエの奏でている曲の部分が重要だろう。

 

「いや、ダメだ……これ以上がもう無い。アリーシャの虚空閃で穢れを断ち切ってベルベットが喰らってもそれでもまだ足りない」

 

「俺のコイツじゃダメなのか!!」

 

 ジークフリートを取り出したザビーダ様。

 確かジークフリートには穢れを断ち切る弾が存在している。アイゼンにそれを撃ち込めばあるいは……

 

「いや、それじゃダメだ。もっと強い力が……アリーシャの虚空閃までは正しい。問題は断ち切った後に出てくる穢れだ!アレを一掃する事が出来ねえとアイゼンを元に戻す事は出来ねえ!!」

 

「私が喰らうのじゃ駄目なの!?」

 

「ベルベットは喰らっているけど、それでもまだまだ穢れは溢れ出ている。穢れを一気に焼き払うぐらいの気持ちじゃないと」

 

「クソっ……ライラと陪審契約でもしてからここにくりゃあよかったか」

 

「……そうだ。まだ終わってないわ!」

 

 アイゼン様から溢れ出す穢れをどうにかする方法が見つからずにいる。

 ベルベットはなにか思い出した様で剣に闇を纏わせると闇は禍々しい炎に切り替わる……アレは確か、そうだ。アルトリウスを倒す際にゴンベエがまだ使いこなせていないと言って出させた穢れをも飲み込む邪悪な闇の炎。

 

「浄破滅焼闇!!」

 

 大きく腕を振り下ろし巨大な闇の炎をアイゼン様を飲み込んだ。

 コレならばイケるかもしれない。コレならばアイゼン様を助ける事が出来る

 

「う……」

 

「アイゼン!!」

 

 闇の炎はアイゼン様を包み込むとアイゼン様は元の姿に戻る。

 私達の力で元に戻す事が出来た……そう思った瞬間だった。アイゼンの体から穢れが大量に溢れていき、アイゼンはドラゴンの姿に変貌していく。

 

「コレでもまだダメなの!?」

 

 ベルベットのとっておきの一撃をお見舞いしてもまだアイゼン様は元には戻らなかった。

 渾身の一撃をくらわせてもまだアイゼン様は元には戻らない……ゴンベエの、いや、私達の力を持ってしてもダメなのか……

 

「あの野郎……死にに行ってるな」

 

「どういう意味だよ?」

 

「アイゼンの奴、元に戻ろうとする意思を持ってねえ」

 

 諦めかけている中でオカリナを吹いていたゴンベエはオカリナを吹く事を止めた。

 ドラゴンになってしまって今にでも暴れそうなアイゼン様を強く睨んでおり状況を冷静に判断する。

 

「生きたいって言う強い思いがアイゼンにはない。何時かは自分も殺される運命だって思っててアイゼンは殺されるのを待ってるんだ。生きようっていう気力が残ってない……だから元に戻らねえんだ」

 

「あんのバカ、この期に及んでまだ死のうって腹なのか!!」

 

「お前はアイゼンを殺したいんじゃなかったか?」

 

「ああ、殺してえよ。俺が仮に人間だとしたら穢れを発するぐらいには殺意に満ちてるぜ……けどな、それと同じぐらいにはアイツを助けてやりてえって気持ちがあるんだよ!!」

 

「……そうか……なら、助けるしか道は無いな」

 

 なんとしてでもアイゼン様を助けると決意を改めてするゴンベエはオカリナを吹く。

 この工程は間違っていない……だが、まだなにかが足りない。力かなにかは分からないが一手二手足りないのを感じる。

 

「アイゼンを助ける前にアイゼンが生きようって思える様にしねえと……」

 

「アイゼンが生きようとする理由?アイツは自分の舵は自分でしっかりと握る奴よ。心境が大きく変化させる事なんて出来るの!?」

 

「……エドナちゃんだ」

 

「エドナ様?」

 

「今のアイツに俺達以外に言葉を、耳を傾ける奴が居ればエドナちゃんしかいねえ」

 

「ですが、エドナ様は現在スレイと一緒にいて、具体的に何処に居るのか分かりません!」

 

 ザビーダ様の言うことが正しければエドナ様の言葉にはアイゼン様は耳を傾ける。

 しかし肝心のエドナ様はレイフォルクには居らず、ローランス帝国の何処かに居るスレイと一緒に居る。今すぐにここに連れてくるのは不可能だ。

 

「いいや、その情報だけでも値千金だ……使った事はねえけど、こういう使い方も出来る筈だ」

 

 ゴンベエはそういうと癒やしの歌とは異なる曲をオカリナで演奏する。

 演奏を終えるとゴンベエの体が光り出すとゴンベエに似た分身の様なものが生まれた。

 

「ザビーダ、エドナの顔や形はしっかりと覚えてるだろうな?」

 

「当たり前だ。いい女の事は俺は早々に忘れやしねえよ」

 

「じゃあ、コレを使ってエドナをイメージしてモシャスと叫べ!」

 

「アレは変化の粉!?」

 

 ゴンベエが時折別人に変身する時に使っている粉をザビーダ様に渡す。

 粉についての説明をゴンベエはしていないが、ザビーダ様はゴンベエの言葉を信じてエドナ様をイメージし、変化の粉を使いゴンベエの抜け殻に向かって投げた

 

「モシャス!」

 

 变化する魔法の粉をゴンベエの抜け殻に投げるとゴンベエに似たゴンベエの抜け殻は姿を変えてエドナ様になった。

 

「エド、ナ……」

 

「反応した!?」

 

 エドナ様になったゴンベエの抜け殻を見てアイゼン様は反応をした。

 プルプルと体が震えている……やるならば今しかない。

 

「アイゼン様!エドナ様はこのレイフォルクから離れました!!全ては貴方を助ける方法を探すために……それなのに貴方が諦めてしまってどうするのですか!!」

 

「オレはもう……」

 

「ゴチャゴチャ言ってるんじゃないわよ!たった1人のあんたにとって大事な人があんたを助ける為に頑張ってるのよ!あんたが死のうとしてどうするの!」

 

 生きる希望を活路を、アイゼン様に与える。

 エドナ様はアイゼン様を元に戻す方法を見つけるのを条件にスレイ達に協力している。その事を伝えればアイゼン様には生きる気力が蘇ってくれる筈だ。

 

「エドナが……エドナ……っぐ、ゥオオオオオオ!!」

 

「っ、また暴走した!!」

 

 エドナ様の事で頭がいっぱいになったアイゼン様は暴走をした。

 後少しだ、ゴンベエが魂を癒やし、私が穢れを断ち切り、ベルベットが溢れる穢れを喰らう。この工程でドラゴン化してしまった天族を元に戻す事が出来る筈なんだ。

 

「ああ、ダミーがやられた!!」

 

 腕を大きく振るって攻撃してくるアイゼン様。

 ゴンベエは咄嗟の事だったが難なく避けるのだがゴンベエが作り出した抜け殻のエドナ様は無惨にも切り刻まれてしまった。

 

「後一手だ、後一手あればアイゼンを元に戻す事が出来る筈だ!」

 

「さっきからそればっかだけど、もう出来る事はやり尽くしたんじゃないの!?」

 

 ゴンベエは後少しでアイゼン様を元の姿に戻す事が出来ると語りベルベットは呆れる。

 さっきから似たような事を何度も繰り返して言っている。やれる事はもう……

 

「アリーシャちゃんをパワーアップさせればいいんだよ」

 

「私を、パワーアップ?」

 

 これ以上はもうやれる事は無いと思っているとザビーダ様は1つ提案をしてくる。

 

「私はもうやれるだけの事はやっています。これ以上のパワーアップは無理です」

 

 長い旅の末に槍の力を最大限にまで引き出す事が出来る様になった。

 アイゼンを殺さない様に慎重になっているものの今の私は持てる力すべてを出し尽くしている。

 

「なに言ってんだ、まだ一個だけとっておきのが残ってるじゃねえか」

 

「とっておき?…………まさか!」

 

「ああ、そのまさかだ。俺がアリーシャちゃんを器にして天族と人間の……嘗てのエレノアとマオ坊みてえになるんだ」

 

「ですが、私は純粋な器ではありません!一度、穢れに飲み込まれそうになりました!」

 

 今でも覚えている。キデオン大司祭を暗殺しようとした際に私の中から止めどなく穢れが溢れ出たのを。

 私はあれから色々な物を見てきて純粋な器と呼ぶには相応しくはない。汚れてしまっている。

 

「アリーシャちゃん、自分を卑下するんじゃねえ……お前が本当にマオクス=アメッカなら出来ねえ事はねえ筈だ!!」

 

「エレノアだって自分を責めて穢れを発した事がある……だが、それでも乗り越える事が出来たんだ。だったら、アリーシャ、お前も乗り越える事が出来る筈だ……今ここで、限界を超えろ!!」

 

「限界を、越える…………ザビーダ様!」

 

「俺の名前は知っているよな……だったらやろうじゃねえか!」

 

 今ここで私達は限界を越えなければならない。ザビーダ様は手を伸ばしてきたので私も手を伸ばして掴む。

 やるしかない……成功すればアイゼン様を元に戻す事が出来る。文字通り正真正銘コレが最後のチャンスだ。

 

「「『フィルクー=ザデヤ(約束のザビーダ)!!』」」

 

「コレは神依……アルトリウスの時と同じ」

 

「あれから何年経ったと思ってるんだ!神依は既に完成されたんだよ!」

 

 私の風属性の神依に驚くベルベット。私自身驚いている。導師の秘技である神依を私が使う日が来ようとは思いもしなかった。

 

「スゴい、体中から力が溢れ出てくる……」

 

「俺も驚いてる。まさかアリーシャちゃんがこんなに霊応力を秘めてるとは……いや、違うな。コレは鍛え上げたに近いな」

 

 神依を発動していると物凄いまでに力が溢れ出る。

 聖寮がわざわざ探し求めていたものなだけはある……コレならばイケるかもしれない。いや、コレじゃないといけない。私は空を飛んで自分の槍を取り出して構える

 

「アリーシャ、それが最後のチャンスだ!不意にするんじゃねえぞ!」

 

 これ以上はもう打つ手がない。頭打ちな状態だとゴンベエは言うと私は目を閉じる。

 神依のおかげで天族と一体になり穢れに対して敏感になっている。肌で感じ取ること出来る……穢れの核を

 

「烈風虚空閃!!」

 

 突風を纏わせた虚空閃をアイゼン様目掛けて撃った。




アリーシャの術技


烈風虚空閃


説明


風の刃を纏った虚空閃。風属性の技で穢れを撃ち抜く

番外編

  • 続 異世界プルルン転生記
  • ちょっと昔のゴンベエ達(地獄)
  • ザレイズ 総力戦 決戦KCグランプリ
  • まゆゆんの貧乏くじ
  • スペシャルスキットの続き
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