「っで、その大地の汽笛ってのはなんなのよ?」
アリーシャとベルベットの体調が元に戻り、アイゼンがエドナと共に住んでいた小屋から出た。
大地の汽笛を用いてハイランドの隣国であるローランス帝国に使者として親善大使的な立ち位置で向かうらしい。細かい事はアリーシャが上手くやってくれるのでオレは余計な事を考えなくてもいい。
「ちょっと待ってろ……何処だったか」
ベルベットは一刻も早くマオテラスに会いたい。しかし物事には順序というものがある。
それを無視してアルトリウスを殺しに行って失敗に終わった経験があるので駄々をこねる事は基本的にはしない、アリーシャの顔を立ててくれる。ローランスとハイランドの両国で和平を結ぶ為に……流石にねえとは信じたいが自らが汚れ役になって、それこそ災禍の顕主として再び暴れまわりローランスとハイランドの両国に戦争なんてしている場合じゃないと認識させるコードギアスのルルーシュ並の大芝居をうつのはゴメンである。
「あったあった」
「また笛なのね」
「ああ、また笛だ」
アイゼン達は協力をしてくれる。ザビーダは元からマオテラス狙いだったらしいが天族の協力を得る事が出来ることは嬉しい事だ。
懐の中を弄り、目当ての物こと大地の汽笛を呼び出すのに必要な笛、パンフルートを取り出して大地の汽笛を呼び出す。シュポシュポと蒸気を巻き上げて車輪を動かし、レイフォルクの険しい道を登ってくる。
「……なに、アレ?」
「ん〜……一言で言えば馬無しで走る事が出来る馬車だ」
大地の汽笛を見て固まるベルベット。
過去の時代でもあんなのは見なかったので、驚くしかないだろう。
「おぅおぅ、あの噂はホントだったんだな」
「噂って?」
「レディレイクと海辺の街の間にバカデカい煙を出す馬のない馬車が走ってるって噂だよ」
ザビーダも驚いているが何処かから流れ出た大地の汽笛の噂があったのかスムーズに飲み込む。
コレが噂の乗り物かと臆する事なく大地の汽笛の中に乗り込んだ。
「……コレがお前がアリーシャを寄越すから国に従属しろと狙われるわけか」
オレとアリーシャの関係性はハニトラしているのとされている側の立ち位置だ。
アイゼンはこんな物を一個人で持っているのならばと1人納得をしつつも大地の汽笛をジッと見つめる。
「コレってそんなにスゴい物なの?馬よりは早そうだけど……」
「電話の時と同じだ。電話は報連相を一気に短縮する事が出来るが大地の汽笛、というよりは列車は物流を円滑にスムーズに運ぶ事が出来る。大地の汽笛そのものの量産は不可能だが列車の量産ならば簡単に出来る……分かりやすく言えば数時間でお前の故郷からローグレスに辿り着く事が出来る。そうなると都会でしか手に入らない、田舎でしか手に入らないなんかを減らす事が出来る」
「……コレがアバルにあれば業魔を無視して薬を届ける事が……」
大地の汽笛の凄さをイマイチ理解出来ていないベルベットなので簡単に解説すると浮かない顔をする。
アバルの村は片田舎の村で一部の物資が業魔が原因で届かないなんて事もあったらしい……どちらかといえばシティボーイなオレには縁遠い話の世界だ。
「で、なにかデメリットかなにかあるのか?」
「勿論ある。コレは蒸気機関、つまり湯気の力を利用して動いている。火を炊かないといけないもので蒸気も汚い空気を、排気ガスを出す。排気ガスは危険な物で空気を汚染したりしてだな……まぁ、環境が悪化する」
「……大丈夫なのか?この大地の汽笛1つならまだしも、複数の量産に着手したら」
「ハイランドは空気が汚染された国になるな」
アイゼンは眉を寄せて難しい顔をする。こんな便利な物になんのデメリットも無いのはおかしいと考える……相変わらず洞察力には優れている。
便利な物に見えるが危険な物だと分かるとアリーシャは慌てるが大地の汽笛1個分の排気ガス云々ならば国の環境が悪化する事は無いだろう。
「安心しろ、蒸気機関を用いない乗り物の作り方はちゃんと
「……船はあるのか?」
「当然あるぞ……ただし、優先順位的に船は後回しにされる。北の国とローランスとで色々と出来ているからわざわざ異大陸と交流する必要は……まぁ、無いとは言えないけども……作るとなるとオレ1人でどうにかなるものじゃない、工業の世界に入る」
異大陸に行く船を欲しがるアイゼン、やっぱり海の男なんだな。
しかし残念な事に異大陸に行く船を作るならばオレ個人の問題ではない、それこそ国を挙げての一大プロジェクトにしないといけない。鉱山を見つけたり、バイオプラントを用意したりと色々とやらなきゃいけない事が多い。
「さて、無駄話なんかをしておきたいがそれは今じゃなくてもいい……出発する……ところで首都は何処に?」
「ああ。ローランス帝国の首都であるペンドラゴはここにある」
色々と話をしたい、気になる事を聞きたいのだろうがそんなのは後回しだ。
アリーシャは現代の地図を取り出すとローランス帝国の首都を指差す……って
「ローグレスがあったところじゃねえか」
1000年前の地図を取り出して照らし合わせる。
ローグレスがあったところがローランス帝国の首都……運命というか意図的な物を感じるな。この世界、ゲームの世界だからな……まぁ、見知ったルートで見知った場所に向かうから少しだけでも気は楽になるだろうな。アリーシャ達が大地の汽笛に乗ったのを確認すると目的地に向かって出発をする。
「ねぇ、アイゼン」
「なんだ?」
「ラフィは……あの子は幸せに生きる事が出来たの?」
「死神と一緒の船に乗っていたんだ、波乱万丈な人生は送ったとしか言えない……だが、最後は笑って終わりを迎える事が出来た」
「そう……」
「ゴンベエの力を使って過去に戻るつもりはないのか?」
「確かに、元気になったあの子ともう一度やり直す事が出来るのならばやり直したい……けど、それは出来ない事。私が世界を荒らし回った罰だと思ってこの時代を謳歌するわ」
道中ベルベットはライフィセットについてアイゼンに尋ねる。
アイゼンは最後を見届けたらしく、最後は笑顔であった事を伝えるとベルベットは満足する……過去に戻るつもりは一切無いだろう。オレも時のオカリナで時の歌を吹くことはもう無いかもしれない……過去を振り返る時間はもう終わったんだ。
「いや〜早いな、この大地の汽笛ってやつはよ!」
あっという間にグレイブガンド盆地を通り越した。
ザビーダは車窓から顔を出し、大地の汽笛の風を感じて笑う……清々しいみたいで何よりである。軍の駐屯地みたいなところも簡単に無視して突破することが出来ている……1度、開戦した際に起きたヘルダルフとの戦いの際に一般兵を封印したのがいい具合に戦争推進派の抑止力になったんだろうな。
「……ん、雨か?」
「お、そろそろだぜ」
前に人が居ないか警戒しつつ大地の汽笛を走らせる。
大地の汽笛は順調にペンドラゴに向けて走っていくのだが雨が降ってくると同時に強い穢れを感じる……ヘルダルフ程とは言わないが厄介な存在がローランス帝国にも潜んでいる……ハイランドに潜んでいるヘルダルフの間者もローランスに潜んでいるのも纏めてボコボコに……いや、ダメか。オレが力技で解決したら意味は無い、ヘルダルフを殺しに行くのと同義だ。
「どうしてペンドラゴが近いと分かったのですか?」
雨雲の中に入った際にザビーダはペンドラゴが間もなくだと教えてくれるが何故にわかったのかアリーシャは疑問を持つ。
「ペンドラゴを中心に穢れの領域が展開されててな……お陰様で毎日が雨になっている」
「それは……大丈夫なのですか?」
雨が止まないというので実害が無い様に思えるアリーシャだがザビーダは首を横に振る。
「全然大丈夫じゃねえ。農作物はまともに育たずカビが生える、川は氾濫する、他にも色々と被害が被ってるぜ」
「天候1つ操るだけでそんなにも被害が……」
「今はなんとか蓄えを使っての自給自足とハイランドとの貿易で上手い具合になんとかなってるみてえだが……何れは国自体が保たない」
「厄介な相手ね」
少なくとも今までの相手の様にただ暴れまわるのでなく考える事が出来る、知性があるタイプの相手だ。
策略とかそういうの考えるのは実にめんどくさい。暴力で解決出来る案件ならば暴力に頼るのに一択で済むのにな……まぁ、それはそれでアリーシャ達に気を使わないといけないからめんどくさいけど。
「ペンドラゴが見えてきた……レイフォルクを出発してからこんな短時間で辿り着くのか」
色々と考えている内にローグレスもといペンドラゴが見えてくる。
1000年前に何度も何度も立ち寄った街だが外装は少しだけ変わっている……ん?なんか騎士団っぽい人達が出てきて武器を構えているぞ?
「ゴンベエ、そろそろ止めないと……ハイランドから使者を送ると一筆してあるが具体的に何時とかそういうのは」
「あ〜……あの騎士団達は?」
「恐らくだがお前の、いや、大地の汽笛がペンドラゴに向けて突撃してくると思っているのだろう。ゴンベエ、そろそろ速度を落とせ。このままだとオレ達が」
「はいはい、分かってるって…………そうか……」
大地の汽笛でペンドラゴに向かって正解だったな。
ペンドラゴの入口周辺には騎士団っぽい人達が並んで盾の様な物を構えている。そんな事をしなくても入口付近で大地の汽笛は停める……が、コレは好都合だな。大地の汽笛はポッポーと煙を上げるがここまでだ。ペンドラゴの入口付近で止める。
「さてと……ベルベット、此処からは割と大事な話だ」
「なによ、改まって」
「過去の時代ではお前の顔を立てる様に立ち回ったがこの時代ではアリーシャの顔を立てなければならない。オレ達は対魔士でも導師でもなんでもない一般人だ」
「一般人……一般人ね……何処が一般人なわけ?」
怪しい道具と理不尽なまでの力を持った勇者を自称する男と世界を災厄と混沌に満たした初代災禍の顕主である女、それを一般人というのは無茶だと言いたいのだろうが……う〜ん、まぁ、コレばかりは仕方がない事だ。
ベルベットは自分達が普通じゃない人間だという事は自覚している。それはいいことだがオレ達は昔みたいに色々と出来るわけじゃない……ホントに何もない状態だ。
「怪しげな鉄の馬に乗る者よ!このペンドラゴになにをしに参った!!」
ベルベットにアリーシャの顔を立ててくれと頼んでいると1人の男が大地の汽笛に近付いてくる。
今までの騎士団員とは風貌が違う、というか兜をつけてない……そこそこ出来る実力者っぽい……が、話し合いが通じない相手ではなさそうだ。
「私達は敵ではない!ハイランドよりこのローランス帝国に使者として参った者だ!」
「っちょ、アリーシャちゃん声が大きいって!」
「いいんだよ、これで」
テクテクと歩いてくる男の前にアリーシャは立った。
コレがその証明だとアリーシャは書状を取り出し、受け取ると驚いた顔をするが直ぐに冷静になったのか頭を下げる。
「コレはわざわざ御足労であった」
「…………いえいえいえ、そんな御足労だなんてとんでもない。我々には大地の汽笛がありますのでレディレイクからこのペンドラゴまで数時間掛ければ簡単に向かう事が出来ます」
アリーシャがハイランドからの使者だと分かれば頭を下げる男。
ここまで来るのに色々とあったのだろうと予測するのだがそれを逆手に取って太鼓を持ち上げる。
「む、そなたは?」
「ああ、失礼いたしました。私はナナシノ・ゴンベエ、アリーシャ様の護衛及び雑務の補助等をしております。ああ、あちらにおらっしゃるのはベルベット・クラウ、私と同じくアリーシャ様の護衛をしており身の回りの世話等もしております」
「そうか……ところでアレはいったい」
「一言で言えば馬も無しに走る事が出来る馬車で御座います。色々と小難しい原理で走っておりますので気にはなさらず……この無駄に鬱陶しい雨の中では何ですし何処か別の場所で話し合いをしたいのですが?」
「あ、ああ。直ぐに手配をする……自己紹介がまだだったな。自分はローランス帝国白皇騎士団団長セルゲイ・ストレルカである」
「アリーシャ・ディフダと申します……此処ではなんですのでまた後ほどに」
互いに自己紹介を終える、一歩前進だがこの雨が実に鬱陶しい。
厄介事にコレから巻き込まれると考えると地味に胃が痛く……ならないな。最終手段として暴力という手段が残っているから心の何処かでなんとかなると思っている自分がいる……脳筋思考だな、オレは。
セルゲイはアリーシャとオレとベルベットを手厚く歓迎してくれる。雨の中で外で対話をしていてもアレなのでこの街で1番の宿屋を取ってもらう……いやぁ、ハイランドから助成金が出ているからケチる事をせずに済んで良かった。
「私達が従者ね……」
「しゃあねえだろ。そういう設定にしておかねえとオレ達は怪しまれる」
宿に入り一息つくとなにか言いたそうな顔をするベルベット。
名目上はアリーシャを頂点としその下にオレやベルベットがいるという設定を通しておかないといけない。なにせこちらには導師なんて便利な
「此処はお前が暴れ回った時代じゃない、今から平和を築き上げる時代だ……災禍の顕主なんかじゃないんだ」
「……分かったわよ」
やや不満そうにしているがベルベットは一先ずは納得してくれる。
セルゲイと色々と対談してみたいところがあるのだが……う〜ん、どうしたものか。セルゲイは見たところ忠義心は有れども争いは好まないタイプの人間だろう。アリーシャが戦争の鉾を納める様に協力してくれと頼めばすんなりと首を縦に振ってくれる……だが、厄介事はまだまだあるな。
「大変だなぁ、お前等も」
「呑気に言いやがって……こういう時、見えないの便利だな」
アリーシャの従者設定等を笑うザビーダ。
オレやベルベットが誰かの下に傅くのは滑稽だろう……でもこういう事をしておかないと後々痛い目に遇うんだよな。
「2つの国の啀み合いは人間同士の問題だ。カノヌシによる霊応力増加で一般人に天族が見えていた時代ならまだしも今の時代はオレやザビーダは力になりづらい」
「それでも居てくれるだけでとても心強い」
「……そうか」
純粋な敬意を向けられるのには馴れていないアイゼン。
なんとも言えない微妙な顔をしていると部屋の入口のドアがコンコンとノックされる。アリーシャはどうぞと言えば先程の暑苦しい男もといセルゲイが入ってきた。
「時間を掛けて申し訳ない」
「いえ、そちらにも何かしらの都合があるのでしょう……アリーシャ様、後はご自由に」
話し合いの場を設ける事に成功した。
このセルゲイという男、信頼していいのか悪いのかはまだハッキリとは分かっていないが……話し合いの通じない相手ではない。アリーシャはセルゲイの前に立った。
「……この様な事を他国の者に聞くのは気が引けるのだが単刀直入に言おう。我々ハイランドはローランスと戦争はしたくはない、和平を結びたいと思っている」
「……それは脅しですかな?ハイランドには導師がいる。先のいざこざで導師の逆鱗に触れてグレイブガンド盆地にいた者の命を止めたと聞いている」
「アレは両国痛み分け……いえ、違います。アレは裏で糸を引いている災禍の顕主を叩きのめすのに必要だった事です」
「災禍の、顕主?」
「導師が鎮めなければならない宿敵、と言ったら分かりやすいと思います。裏で戦争を手引きしている者が居てそれをゴンベエ、いや、導師達が制裁をくだしたのです」
やっぱりというかヘルダルフの一件が尾を引いているらしい。
ローランス帝国的には導師の事をどう思っているのだろうか?ハイランドの様にインチキ扱いするかそれとも逆に戦争に利用する事が出来ると思っているのか……
「導師達が?……とてもそうは思えない。自分が会った導師を名乗る青年はとても真っ直ぐな男だった」
「導師スレイの事をご存知なのですか?」
「ああ。ラストンベルで偶然にも鉢合わせをして……とても怒っているとは思えない」
「失礼、その導師スレイとはこの様な顔でしたか?」
此処で間に割って入る。
ローランスとハイランドの最初の開戦以降、導師の噂はうんともすんとも聞かない。ザビーダがローランス帝国側にスレイが居るというのを風の噂で聞いた程度だ。導師の偽者が現れていたので一応の為に確認をしておこうとスレイの人相書きをすると、おお!とセルゲイは声を上げる。
「導師の事をご存知なのか」
「諸事情により20000ガルドほどお金を貸しているので……どうやら無事に貴方の様な人と遭遇する事が出来た様ですね」
スレイの方も一応は旅が順調だった様でホッとする。彼奴は恐らくは主人公的な立ち位置の人間だろう。主人公補正でなんとかなるだろうとは思っていたが実際に無事だった事を知ることが出来てアリーシャはホッとしている。
「我々はローランスとハイランドとの小競り合い及び戦争の締結を目指しております。その為にはハイランドだけでなくローランスの力も必要となっております。どうかお力を貸してはいただけないでしょうか?」
ペコリと頭を下げるアリーシャ。和平云々の交渉を持ち込む人間が早々に頭を下げていいものじゃないのだが此処はアリーシャの顔を立てないといけない。
「頭を上げてくれ……近年の異常気象や飢饉等でローランス帝国もなにかと大変で……戦争をしたくはないという気持ちは充分に理解した。自分も無益な争いなどは繰り広げる事はよしとしない」
「では、和平を」
「そうしたいのは山々だが問題が山積みなのだ。枢機卿を始めとし教皇の行方不明等色々とあってな……なにより、この長雨でペンドラゴ自体が危機に危ぶまれてる」
「……雨が邪魔ならばどうにか致しましょうか?」
戦争を反対に持ち込むには厄介な存在をどうにかしないといけない。
隣の国も大変だと思っているとアリーシャがチラリとオレを見ている……まーた、オレに頼み込むのか。いやまぁ、いいんだけどさ。
「雨をどうにかする?」
「……ゴンベエ」
「了解致しました、アリーシャ様」
なにを言っているんだと頭に?を上げるセルゲイ。
結局のところはオレ頼りなのは相変わらずだが頼られたからには力を発揮するしかないと時のオカリナを取り出して太陽の歌を吹いた。するとどうだろうか、雨雲ばかりでどんよりとした空気だったペンドラゴに一筋の光が差した。
「おぉ、おぉ!!ペンドラゴが、長雨続きだったというのに太陽の日差しが入った……貴公はいったい」
「名無しの権兵衛だ……っち、無理か」
「また雨が降ってきたわね……コレも業魔のせいかしら」
オレが何者かと聞いてくるので何時も通りの答えを出す。オレはオレなんだ。
天候を晴れに変えてみたものの、この街の何処かに住まう憑魔が無理矢理雨を降らせている……神秘的な存在ってこういう事もあるから嫌なんだよな。
「それでセルゲイ殿、我々としては和平を結びたいのです。その為には災禍の時代を終わらさなければなりませんが……導師スレイは何処に?」
「実は教皇様が1年程前から行方不明になっていて……導師の妻が、ゴドジンという村に教皇様の手掛かりがあると見つけたのです」
「…………え、ごめん。今なんて言った?」
「導師の妻がゴドジンという村に教皇の手掛かりがあると……我々騎士団が調査をしたいのは山々だが大っぴらに動くと枢機卿が今度は何かをするのか分からない、もしかしたらの可能性……どうされました?」
「…………あいつ、何時の間に結婚したんだ……」
こんな世の中が混沌しているというのに嫁さんを捕まえるとは……もしかしてスレイみたいになんの補助も無しに素で天族を見れる奴が現れたのだろうか?いやまぁ、それならばそれでいいことだが……アリーシャがなにかと不便な気もする。
「田舎から来た若い青年で世間の事には疎い……案外、コロッと落ちちまったかもしれねえな」
ザビーダはスレイの結婚云々を冷静に分析する。
同じものを見て感じる事が出来る人ならば、か……まぁ、スレイも所帯の1つでも持てば色々と意識が変わるだろうからその辺りについてやぶ蛇を突くのはいけない事だ。
「導師スレイとの再会を果たすのを優先的にしないといけないな……セルゲイ殿、情報をありがとうございます」
「導師を追い掛けに行くのか?」
「ええ、良くも悪くも今の社会に必要なのは導師の様な存在です。なんとかして合流を果たして力添えをと思います」
オレとの対談はここで終わる。今日のところはコレぐらいにして明日からゴドジンに向かって出発をする。
セルゲイと話し合う事は終わったので失礼すると宿屋の一室から出ていく。
「……どうも上手くすんなりとはいかないみてえだな」
一連の会話を聞いていたザビーダはやれやれといった顔をする。
和平を結びたくても国の重要機関の偉いさんが行方不明に加えて枢機卿は怪しげな力を持っている……厄介事はまだまだ続くな。平和への道、遠すぎる。メルキオルのクソジジイが鎮静化に逃げたくなる気持ちが分からなくもない気がしてきた。
再来年までにはヘルダルフ殺して……オリジナルの小説を書いてみたい。需要あるかどうか分からないけども
スキット 時代の停滞
ゴンベエ「しかし……アレだな」
アイゼン「なんだ急に?」
ゴンベエ「ここがベルベット達が生きていた時代から1000年後の世界なのは分かるが1000年前と対して変わらないな」
アイゼン「むっ……地図の上ではかなり変わったのだが」
ベルベット「地形が変わっただけでなにか新しい物を、それこそ大地の汽笛みたいな便利な乗り物の1つも作れていないでしょう……こう、昔読んだ本で空を飛ぶ乗り物とか見たけど、そういうのは出来なかったの?」
ザビーダ「いんや、全然だ。神依に負担を掛けさせない術式にするとか地の主を置くとか天族関連の技術は進歩したが
アリーシャ「1000年前の様に天族が人間に力を貸していないから」
アイゼン「この世界は今、詰んでいる世界だ。新しい技術を編み出さなければならない……それこそ天族の力を借りずに神秘的な事が出来る様にしなければならない」
ベルベット「聖隷の力無しで聖隷の力を再現……口で言うのは簡単だけど、難しいわね」
ゴンベエ「仮に出来たとしても色々と問題は山積みだぞ。神秘的な事を神秘的な力一切無しでやってしまえばそれこそ信仰の文化は大きく廃れる。神秘的な力を持って使ってこその信仰だ」
アリーシャ「もしかしてこの大陸の文明が1歩も進歩していないのはそのせいかもしれないな……」
ゴンベエ「皮肉だな……だがそれが現実というものだ。宗教は人類を纏めるのには便利かもしれねえけど進歩するのには邪魔な存在なんだよな」
ザビーダ「マジで皮肉にもならねえよ、それは」
スキット 距離感
アリーシャ「そうだ、ゴンベエ」
ゴンベエ「なんだ──ぅぶぅ!?」
ザビーダ「ちょ、ちょっ、アリーシャちゃんなにやってんだ!?なんで鳩尾を殴るんだよ」
アリーシャ「ゴンベエ、私は前に言った筈だよね。あの似非紳士の様な喋り方はするんじゃないって……」
ゴンベエ「いや、だってお前の顔を立てておかないと。一応はお前はハイランドの代表の様なものだろう、オレとベルベットは従者って設定で通しておかないと色々と損をする。分かるだろう、それぐらい」
アリーシャ「分かるよ!ゴンベエの言いたいことも一理ある、でも、だって……ゴンベエが他人行儀なのは嫌なの!」
ゴンベエ「オレだってあんな風にするのは気疲れする。でも、お前の顔を立てるには」
アリーシャ「っ、やめてよ!そんな風にされても私、全然嬉しくない。何時ももたいに敬語とか無しにしてよ」
ゴンベエ「コレばっかりはな……」
アリーシャ「……グスッ」
ゴンベエ「泣いたってダメだからな!」
ザビーダ「アイゼン、ブラックコーヒー的なのはねえか?」
アイゼン「何時もの事だ、馴れろとしか言いようがない」
ザビーダ「毎回こんなやり取りしてるのか……マジか……」
ベルベット「……ホントに気持ち悪いから似非紳士みたいな喋り方はするんじゃないわよ」
ゴンベエ「んだよ、こっちは真面目にやってんだぞ……ったく」
ベルベット「……そんなに私達と距離を置いていたいの?」
ゴンベエ「最低限のモラルとかマナーとかのギリギリのラインは守るタイプなんでな」
ベルベット「ほんっとに気持ち悪いからやめてよ。あんたと私達の仲でしょうが!」
ゴンベエ「親しき仲にも礼儀ありだ。止めてほしいならさっさと平和条約的なのを結ぶぞ」
アリーシャ「……嫌だ……ゴンベエとはフェアな関係が……距離を置かれている……」
番外編
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続 異世界プルルン転生記
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ちょっと昔のゴンベエ達(地獄)
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攻略戦 決戦KCグランプリ
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まゆゆんの貧乏くじ
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アルピ交通事務局オリジナルのネタ
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んなのより早く続き書かんかゴリラ作者
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他の書く暇あるなら他の小説を更新しろ
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ちょこっとテイルズオブザレイズ編