「……どうですか?」
「ただの過労ですね」
ゴンベエが倒れた。
直ぐにレディレイクにある私の屋敷に運んで医者を呼び寄せればゴンベエが倒れた原因について教えてもらった。
「過労、ですか?」
「はい。脚気とかそういうのでなく心的疲労が増えて倒れた感じですね」
ゴンベエが倒れた原因は過労だった。
体力に自慢があるゴンベエが?と思ったが心的疲労が増えて倒れたと教えてくれる。なにか特別な薬を処方して貰うとかではなく果物等を食べたりしてゆっくりと休めばそれで自然と回復はすると言われて医者は去っていった。
「病ではないのか……休めばいいだけの過労で倒れるとは笑い草だな」
「…………」
サイモンさんがゴンベエが病気ではなくただの過労で倒れたことについて呆れていた。
そして私は……その事について呆れるなんて事は出来なかった。ベルベット達と旅をした1000年前の時代でもゴンベエは何度か言っていたがゴンベエは暴力で物事を解決するならばこの上なく頼りになる。だが、それ以外だと苦手だと言っている。
戦う人としてはこの上なく最上級なものの、現代に戻ってからは暴力で物事を解決する以外の方法で事件を解決しなければならない。
「アリーシャ様!今こそアリーシャ様が動く時です!」
「私がか……」
給仕のメイドがゴンベエが倒れたから今こそと叫んだ。
それと同時に何人か部屋に入ってきた……見知らぬ人達だがいったい誰だ?
「お初にお目にかかります。アリーシャ様。私達はアリーシャ様の意見に賛同した者であり……貴女様の親衛隊となりたいのです!」
「まだ旦那様の領地の軍備等は出来ていないと聞いています。何卒我等の力を」
「…………はぁ……」
「アリーシャ様?」
私の思想や意見に賛同してくれる者達が居た事に少しだけ驚いたものの、少し頭が痛くなってしまった。
おそらく彼女達は武勇に優れていたり等をしているのだろうが、それでは困る。
「具体的に聞くが、お前達はなにが出来る?炊事の様な身の回りの世話等は要らない」
「諜報活動や演説活動等、布教活動を」
「…………アホか、そんなもんするぐらいなら金を生み出す方法でも考えろ」
「ゴンベエ!?大丈夫か!?」
私の思想や意見に賛同してくれて共感者や理解者を増やしたりする政策をしてくれると言ってくれるがゴンベエが呆れた。
ゴンベエが目を覚ました事にホッとするのだがゴンベエは少し不機嫌そうにしながらも私の親衛隊になりたいと言う者達を見る。
「ったく、どいつもこいつもバカな事ばかり言いやがって。ちょっとはマシな案を出せよ」
「……そういう旦那様は何かお有りなのでしょうか?」
「あるにはあるけど、幾つか段階踏まなきゃ作れねえ」
寝転んでいるゴンベエは私の親衛隊に対して呆れている。
私に対して感銘を受けている人であり、まだ表立って大きな成果を上げていないゴンベエに対して不信を抱いている。だが、ゴンベエはそんな事は知ったことじゃないと気にしていない。
「お金を作るんだよ」
「お金を作る?……氷を売るということか?」
「違う。文字通りお金を作るんだ」
「……?」
「コレが理解出来ないレベルの奴らは来るなよ……」
ゴンベエがお金を作るんだと言い出した。
お金ならば既にあるし、領地もゴンベエの技術でこれから段々と潤っていく。流石に1日2日で何百万ガルドを用意するなんて夢みたいな話は何処にも無い。ゴンベエは別の意図があるらしいが、親衛隊になりたいと言う人達はなにを言っているのか分かっていなかった。
「この国のお金はガルドだ。だが、オレの領地では別の通貨でしか買い物が出来ない様にする」
「え……それって意味があるのですか?」
「あるに決まってんだろ……通貨製造は信用から生まれる物だ。うちの領地で色々な物を開発する事に成功し信頼を得る。信頼を得れば金を持っていなくても貸してくれるところは確かにある」
「……成る程、確かにそうだな。この人ならば返せるという保証があるならば信頼があるならばお金は貸せる。だったら独自の通貨を生み出す。その独自の通貨で領地を上手く回して外交を上手く出来れば領地独自の通貨とガルドを一気に得られる」
ゴンベエがなにを言っているのかが分かった。
お金を作るというのは何か物を売ってお金を作るのでなく、ホントに通貨を作るということだ。
通貨を作っても独自の地域通貨や商品引換券になるのではないのか?と思うかもしれないが、地域通貨でしか買えない物や技術があれば話は別で、この地域通貨ならば購入することが出来るという信頼を生み出せる。
商品引換券で物々交換をしていることを見たりはするが、商品引換券と言う名のお金は見たことが無い。
そして新しい通貨の価値、それじゃないと購入することが出来ないと言う物質として存在しない価値化を作る。
つい先程、ハイランドが具体的にはどういう風に発展するかの都市開発について見た。
便利な世の中になり、その基盤を支える技術をゴンベエは独占しておりその技術をゴンベエは売ることが出来る。その技術を売る際にガルドと言う既存の通貨でなく、ゴンベエが作る新しい通貨にする。新しい通貨はゴンベエの領地でしか使えないが、ゴンベエの領地が豊かであれば、それこそそちらに永住したい、技術を購入したいと思わせる一種の信頼や信用があったら話は別だ。
「通貨を作るって、正気ですか!?」
「正気だけども幾つか段階を踏んでからだ。先ずは領地の知名度を上げる。住みやすい土地か金を稼ぎやすい土地かはまだ未定だが全体的に豊かで発展して都市開発をし、ここならば良い!と企業を作る。石油はこの前ゲットしたからカップ麺辺りを作ってそれを売りに出す……カップ麺が成功すればブランド力が手に入る。ブランド力=信頼出来る相手になり金は貸せる……信頼と信用から本来は存在しない金を生み出せる」
私の親衛隊になりたいと言う女性の1人が新しい通貨を作ることに驚いている。
流石のゴンベエもいきなり新しい通貨を作ることはしない。自身の領土の知名度を上げたりして、ここならば大丈夫と思わせる。その過程を踏まなければならないと頭を抱えている。
「とにかく会社を作らないといけない、幸いにも屁以下から出資は受けるからそこからだ……領地にはカップ麺とコーラの製作所を作って他の領地に巨大なモニターを設置。領地内で筋肉番付みたいなイベントを行って、とにかく領地の知名度や都会指数を上げる……あ〜もう、嫌!何をすればいいのか分かってるけどもホントにこういうの向いてないから無理だ!こういうの社長の仕事なんだぞ!」
「ゴンベエ……」
これから先、何をしていかなければならないのかを分かっているゴンベエは叫ぶ。
本人は向いていないと言ってはいるが、それでも私の親衛隊になりたいと志願してくる者達よりもなにをどういう風にすればいいのかが分かっている。
「取り敢えず、休んでくれ」
意識が戻ったとは言え、ゴンベエが過労で倒れたという事実は変わりはない。
ゴンベエに休む事を仕事にさせ、その後に私の親衛隊になりたいと言う人に面接をした……より良い国作りと考えはあるが、具体的には何をどうすればいいのか?と言う質問をすれば答えることが出来ない者だった。
「いざ、ものを渡されても分からないものだらけだな……」
ゴンベエは会社を作り、領地を住みやすい都市へと開発する事や通貨発行を狙っている。
それはきっとハイランドを潤したりして文明国として豊かになる為に必要だ。幼い頃から色々と教育を受けていて、色々なことを学んでいるつもりだが、いざ土地を渡されても具体的にはなにをどういう風にすればいいのかがわからない。
しかしゴンベエは見えていた。
為政者として食べる物に困らない様に食料自給率を上げる。
後進の育成や識字率や偏差値等を上げる為に子供を学校に通う義務を作る。
軍事方面での土地を整備するのでなく物の行き来がしやすい様に土地を整備する。自身の領地に工場を作り目玉となる商品を生み出して領地を工業地帯にしたりして金を得る。お金を作るというとてつもない事をゴンベエはしようとしている。
「ゴンベエ」
「なんだ?」
「焦らなくていい」
あれをしないといけない。これをしないといけない。
問題はあまりにも山積みだが、ゴンベエは何をすればいいのかが分かっている。しかしそれには途方も無い時間や地道な人海戦術などが必要になる。ゴンベエはあれやこれや考えているが焦っている。
王に焦らされているが、焦る必要は無い……
「ゴンベエにとっては貰った領地もこのハイランドもまだまだな国だ。だから、一歩ずつ歩もう……焦りは禁物だ」
私はそう言うとゴンベエを落ち着かせる為にキスをした。
誰かツッコミを入れるかは不明だけど
ゴンベエ
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