テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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地の主

「ああ、なんと言うことだ」

 

「どうした?」

 

「レディレイクの穢れが、此処までとは……」

 

 ウーノを連れ、レディレイクにやって来たら項垂れるウーノ。

 レディレイクにある穢れが強いのか、心苦しんでいる。身体的な意味での苦しみはなさそうだ。

 

「そう思うなら、地の主になってくれよ」

 

「地の主……だが、人々は天族の存在を」

 

「今までの会話ちゃんと聞いてた?導師が現れたんだよ、人々が信頼しないなら何度でも天族は居るって証明を…………」

 

「どうかしたか?」

 

「いや、なんでもない」

 

 前から天族はちゃんと存在していた。

 それなのに、今は居ないと思われておりスレイの存在でまた…………やっべ、深く考えないでおこう。

 

「とにかく、導師に会うぞ。オレは世界を浄化するとかそういうのしないけど、スレイはしないといけない。自分からその道を選んだからな」

 

「スレイ……それが今の導師の名前か」

 

「ああ……って、導師の事を知っているのか?」

 

「ああ、知っている……だが、大分昔の話だ。この街にいる御老人の祖父のそのまた祖父の代ぐらいに導師は確かに実在していた」

 

「導師の称号って、かなり前からあるんだな」

 

「私も詳しくは知らないが、約千年程前に導師が誕生したらしい。導師が居ない時代も何度もあり、その際には天族の信仰が……200年程前は特に酷かった。この大陸の人口が激減するほどのものだった」

 

「千年前ねぇ……」

 

 なにかある度に千年前、千年前と言う天族達。余程の事が千年前にあったんだろう。オレ達が時を越えるほどの出来事が。

 ウーノも詳しくは知らないようで、聞くことが出来ない。

 

「っ、誰だ!!……なんだゴンベエか」

 

「ゴンベエさん、なにか御用でしょうか?」

 

「あれ、アリーシャは?」

 

 スレイは宿屋で眠っているらしく、宿屋に向かうとライラとミクリオがいた。

 スレイはベッドで眠っている。ゆっくりと健やかに眠っており、放置すれば勝手に目を覚ます。

 

「アリーシャさんは、聖剣祭で起きた暴動の事後処理等を。間もなく帰ってきます」

 

「そうか」

 

「此処で待っていれば会える。ところで、君の後ろにいるそいつは?」

 

「私はウーノ、君も天族だが……見ない顔だな」

 

「なんか天族の集落に暮らしてるらしいぞ……あ、後は全部お前等に任せて良い?」

 

 ウーノを連れてきたことによりポカーンと固まっているミクリオとライラ。

 残りの細かな手続き及びウーノの事を押し付けてやろうとオレは帰ろうと振り向くと、ドアが開いた。

 

「ゴンベエ、来ていたのか」

 

「ちょっと野暮用と言うかお届け物だ」

 

「お届け物とは、私の事か?」

 

「それ以外になにがある。と言うか、オレにこれ以上どうしろってんだ?」

 

「えっと、どちら様でしょうか?」

 

「私はウーノ、何者かと言われれば……そうだな、敷いて言うならばこの地の主になる者とでも言っておこう」

 

「アリーシャさん、この御方は天族です」

 

 あ、よかった。取り敢えず連れてきただけで、地の主になってくれってさっき一度しか言ってないけどヤル気満々のウーノ。

 ライラがウーノは天族だと教えると驚き、ペコリとアリーシャは頭を下げる。

 

「も、申し訳ありません!!失礼な態度を」

 

「そこまで気にしなくてもよい。それよりも彼に地の主になってくれと頼まれたのだが、私を入れる器は無いのだろうか?」

 

「よ、よろしいのでしょうか?」

 

「ああ、構わない。つい先程まで憑魔になっていて彼が浄化してくれなければ無関係な人間を傷付けてしまうところだった。助けてくれた彼の頼みを叶えたい。この災厄の時代を……穢れに満ちた世界を終わらせる協力をさせてくれ。私が地の主になれば、この辺りは穢れを退けることが――」

 

「ちょ、ちょっと待った!!」

 

「おい、こらベラベラと喋んなよ!!」

 

「その反応……ウーノさん、ゴンベエさんが憑魔となった貴方を浄化して元に戻したのですか?」

 

 喜んで協力しようと言うウーノだが、余計な事をベラベラと喋りやがった。

 ミクリオはそれに気付き、連鎖的にライラも気付き、ライラの言葉でアリーシャも気付く。

 

「ああ、そうだが?」

 

「ッチ、余計な事を言いやがって……なんも教えねえし、答えるつもりはねえぞ。強攻手段を取るって言うならば、今すぐに此処で寝ているスレイを爆破して木っ端微塵にするからな」

 

「な、なんて大きさだ!」

 

 よくよく考えると異常な迄にデカい爆弾を取り出して、脅す。

 導火線に火はついていないが、何時でもつけようと思えばつけれる。攻撃したらドカンと一気に爆発させるとオレはスレイの真横に爆弾を置く。

 

「聖剣を引っこ抜いた者が居ると言う噂を聞きつけてどんな人物なのかと天族のウーノがやって来た……OK?」

 

「……どうしてもお話するつもりは無いのですね?」

 

「当たり前だ。つーか、話しても同じ力を手に入れられない。お兄さん、魔法使いだ」

 

 ゴゴォっと手のひらから冷気を出して見せる。

 本当は勇者だけど、それっぽく見せておいて騙しておかないと面倒くさい。

 

「……何時か君の正体を暴いてみせる!」

 

「無理だな……ウーノ、何度も言うがオレは導師でもなんでもない名無しの権兵衛だ。悪いが、浄化したんじゃなくて噂を聞き付けてやって来たと言う設定にしてくれないか?」

 

「構わないが、どうしてそんな事を?先程まで、人前で堂々と力を振る舞っていたのに何故今更力を隠す必要がある?」

 

「オレは誰かの為でなく己の私利私欲の為に動いている。オレはお前が荒らしていた川の上流に暮らしてて、あのままだと家が壊れそうだったから川を降りただけ。人前で力を使ったのも、あのままだと物流とかがおかしくなって物の値段が上がったりしそうだったからだよ。オレがあの時、いい人に見えたのならそりゃ間違いだ。オレはどっちかと言えば悪寄りの人間だよ。現にお前をスレイに押し付けに来た」

 

 興味なければ本気で見捨てる、自分と関わりなければ動かない。

 そう言う感じの人間であり、それを悪と言うのならばオレは悪人だろうな。けど、それのなにが悪い?家の近所で事故があった、通り魔が出た、火事が起きたとニュースになれば親近感が沸いてくるが、三つぐらい隣の県でスピード違反の事故があったと、無免許の学生が運転してたと言われてもバカじゃねえかで終わる。遠くの薔薇よりも近くの蒲公英、遠すぎたり高すぎたりすると興味は失せる。

 

「ゴンベエは、そんな悪い人間じゃない……ウーノ様、ゴンベエは私に」

 

「よい……少なくとも、私は彼に救われた。その事実は変わらない。導師への挨拶は導師が目覚めてからで、その前に地の主になっておこう。此処等一帯は穢れに満ちている、私を入れる器も何時穢れるか分かるまい」

 

 アリーシャはオレを弁明しようとするが、ウーノはそこまで気にしていない。それよりもと地の主になろうと必死になっている。

 

「あ、そう言えばウーノを入れる器ってなんだ?」

 

「ああ、ガラハド遺跡から涌き出る清らかな水を凍らせた物だ」

 

 あくまでも知らない面でいないといけないから、面倒だ。ミクリオが氷を取り出してウーノへと見せる。

 

「これならば、私の器になる。しかし、この器を祀る者がいなければ」

 

「それについては、問題ありません……ゴンベエもついてきてくれないか?ブルーノ司祭に会ってほしいんだ」

 

「まぁ、連れてきたのはオレだし危険な目には遭わなそうだから良いぞ」

 

「一言多いですよ、ゴンベエさん」

 

「多くてなにが悪い?痛いのは嫌なんだよ」

 

 ミクリオはスレイが心配なのでと残り、氷と言うかウーノが宿る予定の清水を祀る司祭に会いに教会に向かう。

 しかし、教会には司祭はおらず何処だろうと探してみると見つかった。

 

「この土地を守護せし天族よ、どうか彼の者の願いを聞き届けたまえ」

 

 街のおばさんの為に祈りを捧げているブルーノ司祭。ウーノは熱心な人間だと感心するのだが、おばさんが賄賂をブルーノ司祭に渡すのを見て固まる。ブルーノ司祭は全力で拒むが、受け取って貰わないとおばさんの方がヤバイらしく、仕方なく受け取った。

 

「はぁ……酒でも買うか」

 

「ブルーノ司祭!!」

 

「ア、アリーシャ姫!それに貴方は!」

 

「隠さなくても良いのです……」

 

 アリーシャとオレが出たことにより、金を隠すブルーノ司祭。

 やましいことに使うつもりはないが、見られたくないのは確かで申し訳なさそうな顔をするがアリーシャはそんな事では怒らない。

 

「おっさん、安心しろ。そう言う感じの罪悪感から一気に解放される手段を導師が体張って持ってきたから」

 

「導師、ですか?」

 

「そうです、実はですね……カクカクシカジカ…………と言うことなのです」

 

「な、成る程」

 

「おっさん、イマイチ分かってねえな。もうざっくり言えば新しい天族がこの街に住み着くから、今度からはそいつに祈り捧げとけ。司祭のお前を中心に管理とかしとけばモノホンの加護とか宿る」

 

 アリーシャは地の主のシステムを語るがイマイチ理解できていないブルーノ司祭。

 そんなブルーノ司祭をウーノはガン見している。

 

「どうやら我等の存在を認識していないようだな」

 

「おっさん、アリーシャ、メガネチェンジ」

 

「あ、そうか!その手があったか」

 

「メガネですか?これは私用に作ったもので度が、そう言えばアリーシャ姫は視力が悪かった、コレは!?」

 

「どうも、はじめまして!」

 

「む……今度は我等を認識している。そのメガネの力か?」

 

 見えないものよりも見える物の方が信頼しやすい。

 アリーシャとおっさんのメガネをチェンジし、ウーノとライラを見えるようにする。

 

「もしや、貴女は湖の乙女!?」

 

「はい、私が湖の乙女です。ブルーノ司祭、此方のウーノさんを祀る清水をこれから管理していただけますか?」

 

「は、はい!私に管理しきれるかは不明ですが、精一杯頑張ります!!どうか、末永くよろしくお願いします、ウーノ様!」

 

「うむ……分かっていると思うが、しっかりと祀れ。サボるなとは言わないが、もし我々への信仰を無くす真似をしたのならばこの地に加護は与えん」

 

「ははぁ!!精一杯、頑張ります!」

 

「……」

 

 天族の加護領域とやらは、人々の信仰が強ければ強いほど力を増す。

 互いに共存しあわないといけないが、この状態は共存でなく依存に見えてしまう。 

 しかしまぁ、そう言う感じの世界なんだろうな。現にアリーシャもライラもウーノもブルーノ司祭も疑問を持たない。そうであるのが当然だと思っている。

 

「おーい!」

 

「スレイ!」

 

 教会に戻り、氷をライラが溶かすとスレイがやって来た。

 後ろにいるミクリオは心配しており、寝起きのようだな。

 

「ミクリオから色々と聞いたよ……えっと、ウーノだっけ?」

 

「お前が此度の導師スレイか」

 

「あ、はい……まだまだ未熟な導師だけど、よろしくお願いします」

 

「やれやれ、自分で堂々と未熟と言うか……期待には答えてもらうぞ」

 

「はい!」

 

 スレイを見て、これならば問題ないなと頷くウーノ。

 光る玉になって水の中に入ると自ら青い光が放たれて波紋の様に広がっていく。

 

「何故だろう……今、胸の中がスゥっとした感覚が」

 

「それはウーノさんの加護が働いたからです」

 

「そうか?大して変わってない気もするが……おっさん、大事に祀っておけよ」

 

「はい。あ、アリーシャ様。此方のメガネをお返しいたします」

 

「ああ。すまない、本当ならこのメガネを譲りたいのだが」

 

「アリーシャ、メガネ無しでもライラの事を認識してない!?」

 

「は、そう言えば!?」

 

「ミクリオさんが陪神となったことにより、スレイさんの力が増して従士のアリーシャさんの霊応力も増し、見えるようになったのです」

 

 ウーノが地の主になると同時に色々と発覚する。

 スレイがパワーアップしたお陰で、アリーシャは肉眼で天族が見えるようになった。

 チラリとオレの方を見るので、オレは手を交差して×の字を作りダメだといった。肉眼で見えるなら、見えないウーノに譲ろうと考えているだろうが、誰かに渡してしまえば確実にややこしくなる。アリーシャだから渡したんだ。祭り騒ぎになるが直ぐにライラは加護の力を増す方法をアリーシャから眼鏡を借りたブルーノ司祭に教える。

 

「成る程、助言、誠に感謝いたします」

 

「やれやれ、予想以上に手間がかかるんだね」

 

「……」

 

「どうした?」

 

「加護領域をしたのは良いが、強い穢れを感じる。そう、あっちの方に」

 

 ウーノは眉間に皺を寄せ、王宮がある方を指差す。

 

「あ~それ、アレだ。上流階級のドロッとした感じのやつだ……その辺は浄化がどうこうじゃなくて情勢をどうにかしないといけない。無理に浄化しても根本的な部分を解決出来ないと繰り返して憑魔になる可能性がある」

 

「む、ならば、これ以上の干渉は止しておこう。あくまでもそれは人間の問題である、と。憑魔化したのならばスレイ、君が浄化をしてくれ」

 

「うん、分かった」

 

「すまないな、スレイ。君は穢れを浄化して災厄の時代を終わらせる導師。穢れの原因は恐らく、上層部のいがみ合いや憎みあい……本当はあってはならぬものだと言うのに」

 

 穢れの原因に心当たりがありまくるアリーシャは申し訳ない顔をする。大方隣の国に戦争しろと戦争推進派のトップとか税金上げて私腹肥やしている馬鹿だろ、どーせ。そう言うのは無理に干渉せずに災厄の時代に起きてる災害とかの原因である穢れ浄化して間接的に干渉しとけばいい。

 

「それともう一つ、加護が働かない場所がある」

 

「加護領域の大きさにも限界があるんじゃないの?」

 

「ジイジの加護領域も現に此処まで届いていない。信仰も特にされていないし、これから」

 

「いや、そうではない……穢れと違う謎の結界が私の加護を通さず拒んでいる」

 

「謎の結界?」

 

 そんなもんがこの街にあるとは驚き、いや、ライラとか祀られてたし、水車を利用している街だから変なもんがあってもおかしくないか。

 

「謎の結界、それって何処にあるの?」

 

「このレディレイクがある湖の奥深くにある。清水を氷にしたと言う事はミクリオ、君は水の天族なのだろう。スレイ達を連れて奥深くを調査してくれまいか?」

 

「すまない。調査をするのはいいが……僕はそういった事が出来ない」

 

「空気の膜を作り水中でも呼吸を可能とする術だが、出来ないのか?」

 

「攻撃系の天響術は使えるが、そう言った補助系の術は余り……ライラはなにか知らないのか?」

 

 レディレイクがある湖の奥深くとなれば、恐らくこの地に最も長くいるライラが知っているはずだな。全員がライラをみると、ライラは困った顔をする。

 

「知ってはいますが……その」

 

「もしかして喋れないの?」

 

「いえ、そうではありません。なにも知らないのです。過去に何名か地の主を勤めてくださった天族の方々がいます。その度に、加護領域が働かないところがあると言うのです。数代前の導師は水の天族を連れ、調査に向かいましたが拒まれてしまい……幸い、私達を害するものではないと言うことでずっと放置しています」

 

「害するものじゃないって、そこだけピンポイントでウーノの加護領域を拒んでんだろ?」

 

「はい。申し訳ありません、私は火の天族でして水関係ですと力になれないのです」

 

「お前、湖の乙女だろ……」

 

 常々疑問に思っていたが、そこは普通は水属性じゃねえのか?

 湖なんだから水属性で聖なる水で浄化するとかそんな感じじゃねえの?何故に浄化の炎なんだよ。

 

「しかし、ライラの言う通り特に害意は感じない。ただ純粋に拒んでいるだけで、その中から強い穢れも感じない……と言うよりは小さいな」

 

「小さいとは、結界の事でしょうか?」

 

「うむ……形は上手く分からないが、そうだな。彼処にある台座ぐらいの大きさの結界で、本当に小さい」

 

 アリーシャの質問に答えるべく、ウーノは聖剣が刺さっていた台座を指差す。

 アレぐらいの大きさだとするならば、もしかしたらスレイがパワーアップするための武器が埋まってるんじゃないのか?少なくともスレイの武器は儀礼剣で、殺傷能力とか低い。スレイが火水風土の天族を従えたら抜けるとか、そんな感じじゃないのか?

 

「ライラ、ミクリオがこの短期間で一気にパワーアップする方法はあるか?」

 

「あるにはありますが、しかし」

 

「なら、決まりだろ。此処の事は一先ず置いて、ミクリオがパワーアップして水中を呼吸出来る術を覚えてから調査すればいい。少なくとも、それに害意はないんだから後回しにしとけ……ライラの話が確かなら、今までもなにもおかしな事がなかったんだ」

 

 ウーノを連れ、レディレイクに加護を与えた。ミクリオ達は誤魔化してくれたし、これ以上はなにもすることはない。

 急いで家に帰って洗濯物とか夕飯の準備をしねえと。食って帰るって手もありだが、この世界の飯って色々と値段がおかしいんだよな。なんだ、冷奴が3000ガルドって、舐めてんのか。

 

「……ん?」

 

 スレイ達が見知らぬ男と話している。

 男は招待状らしきものをスレイに渡しているが、アリーシャが身構えている。

 

「私腹肥やす馬鹿か、戦争推進派で戦わない馬鹿か、覇権を欲しがる王族か……まぁ、なんとかなるだろう」

 

 スレイを勧誘して政治の道具にしようとしているのだろうが、興味ないのでオレは家に帰った。




スキット もう一つのパワーアップ?

スレイ「う~ん」

アリーシャ「どうした、スレイ?」

スレイ「やっぱり気になるんだ。レディレイクの湖の底になにがあるのか」

ミクリオ「それは後回しだ」

ライラ「ミクリオさんの言う通りです。今は各地の穢れを浄化しなければいけません」

アリーシャ「ライラ様、私はこの街で育ちましたが、湖の奥底にそんなものがあるとは……私も気になります」

ミクリオ「アリーシャ、君もか……僕が水中でも呼吸出来る天響術を覚えたら、直ぐに歩かせる!それまで辛抱してくれ」

アリーシャ「一緒についてきてくださらないのですか?」

ライラ「水中なので私は戦えませんがもし憑魔が出れば、ミクリオさんの水の力が頼りですよ」

スレイ「え~っと、そのミクリオは」

ミクリオ「スレイ!!」

スレイ「ダメだって、ちゃんと泳げないって言わないと!」

ライラ「まぁ、泳げないのですか!?私、火の天族ですが一応は泳げますよ!!」

ミクリオ「スレイ、どうして言うんだ!」

スレイ「ご、ごめん」

アリーシャ「ミクリオ様、泳げないのですか?」

ミクリオ「ああ、そうだ。僕は泳げない!と言うよりは、泳ぐ必要はないだろう。僕達は今までジイジの加護領域で育ってきて、ジイジの加護領域には海がないんだから」

スレイ「でもこれから先、海辺の街にいって蛸とかの憑魔と出会ったら、水中で戦わないといけないかもしれないし」

ライラ「そうなると、私の炎が……」

アリーシャ「ミクリオ様、こうなれば特訓あるのみです!!安心してください、騎士は鎧を来た状態でも泳げる様に訓練されています!!」

ミクリオ「ま、待てアリーシャ!」

アリーシャ「問答無用!!此処は心を鬼にさせていただきます!!」

ミクリオ「うわぁああああああ!!」

スレイ「……いっちゃったな」

ライラ「いっちゃいましたね。ところで、スレイさんは泳げるのですか?」

スレイ「うん、水辺で遊んでたら泳げるようになったよ……ミクリオ大丈夫かな?」

ライラ「……ミクリオさんがパワーアップするための試練を挑む前の予備試練と思えばよろしいかと」

スレイ「今気づいたんだけど、水中で呼吸出来るようになったら泳ぐ必要ないんじゃ」

ライラ「あ…………て、天響術ばかり頼っていては体が怠けます!!陪神も心身共に鍛えなくてはいけません!」

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