テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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デラボン

「あーーー、疲れた」

 

「すまんな、導師殿だけでなくワシまで送ってもらって」

 

「礼なら言葉じゃなくてよ、この街で商売する為に必要な手続き省くとか商売するのにちょうど良い場所提供してくんねえか?」

 

自転車の荷台に乗り、マーリンドに辿り着いた私達。

ネイフト殿は荷台から降りて、此処まで運んでくれたゴンベエにお礼を言うが現金なゴンベエは別のものを要求する。

 

「それぐらいならば御安い御用ですが、その前に」

 

「薬届けるんだろ?とっとと行ってこい」

 

薬が入った袋を大事そうに持つネイフト殿は何度も私達に頭を下げて、離れていく。

疫病に苦しむ人達に薬を届けるために走っていった。

 

「しかしまぁ、レディレイク以外の街に来るのは初めてだが……レベル的に言えばどうなんだ?」

 

「レベル?」

 

「レディレイクがこの国で一番なら、マーリンドは何番目ぐらいの街かだよ。

オレもだがスレイもミクリオもあんまり土地勘とかどんな街かは知らない……此処って国で何番目ぐらいだ?」

 

本当にレディレイクと家とレイフォルクしか知らないゴンベエ。

スレイもミクリオもマーリンドが国で何番目かが気になり私の方を見る。

 

「すまない、そう言った事は余り考えた事が無かった。

だが、レディレイクから最も近いところにある街だから、かなりの街だ」

 

「……」

 

村ではなく街だからかなりのレベル。

恐らく上から数えたら直ぐに出てくるレベルと言うと、眉間にシワを寄せるゴンベエ。

荷台から三角巾を取り出すと、まるで盗賊の様に逆さにまいて口を隠す。

 

「一応、聞いておくが爺さんが薬届けても焼け石に水だろ?あ、ミクリオ、水くれ」

 

「はい。この街に蔓延る疫病の原因は憑魔。そしてその憑魔の原因は穢れの領域です。

私達の力があれば浄化は可能ですが、地の主と信仰が無ければ永遠に疫病が流行ったままです」

 

「オレ等ふっつーにマーリンドに来てんだけど、地の主になってくれる奴いんのか?レディレイクは……運良くウーノが来てくれたけど、コレから先必要になる地の主になる天族のあてはあんのか?」

 

石鹸とミクリオ様がお出しになる水で手を洗いながら聞いて良い話なのだろうか?

しかし、ゴンベエの言うことにも一理ある。元は私がマーリンドに派遣されるだけの事だが結果的にスレイが、ゴンベエがついてきてエドナ様も協力をしてくれることになった。だが、肝心の地の主となる御方が存在しない。

 

「天族はこの大陸の各地にいます。勿論、このマーリンドにも」

 

「でも、ライラ、この辺はレディレイクやイズチと違って加護を感じないよ?」

 

「恐らくですが、憑魔になってしまわれたのだと思います。

信仰が減れば加護も弱まり、加護そのものが無くなる可能性もあります。

信仰が減り、加護が弱くなり凶暴な憑魔が侵入し地の主は穢れに飲まれて加護領域を展開しなくなり、天族が凶暴な憑魔になり穢れの領域が連鎖的に」

 

「つまりは、各地の地の主だった憑魔を僕達が浄化してもう一度地の主になって貰うと言うわけか」

 

「おい、水圧もうちょい緩めろよ」

 

「僕は水道じゃない!!と言うか、なにをしているんだ!!」

 

ライラ様が具体的になにをすれば良いのかを教えると、手だけでなく肘までついた泡をミクリオ様の水で流すゴンベエ。

 

「しゃあねえだろう、疫病に掛かったら一溜まりもねえんだから。

アリーシャとスレイはその辺は大丈夫だが、オレはどっちかと言えばデリケートなんだよ」

 

「何処がよ。人間数人を運べる人間にデリケートって言葉は間違っているわ」

 

「外面じゃなくて中身だ。取り敢えず、あのドラゴン浄化したらどうだ?」

 

「え、あ、ドラゴン!」

 

ゴンベエは空を指差したので見上げると小さなドラゴンが飛んでいた。

前にあったエドナ様の御兄様よりは小柄なものの、ハッキリと穢れを感じる。

 

「ゴンベエ、下がっていてくれ」

 

「待って、アリーシャ。ライラ、ドラゴンは」

 

「はい……私の浄化の力を使っても元には戻せません」

 

ゴンベエに引いてもらい、槍を構えると手を出し止めるスレイ。

ライラ様は申し訳無い顔でドラゴンを見る。

 

「ドラゴンは浄化出来ないのですか!?」

 

だとすれば、危険だ。

エドナ様の御兄様程の脅威は感じないものの、それでもあのドラゴンは強くて危険だ。

ドラゴンを討伐なんてしたことはないが、出来るのだろうか……いや、するしかない。

 

「はい、ですがアレはドラゴンパピー。

所謂ドラゴンの幼体で、完全なドラゴンになる前ですので浄化可能です!」

 

「なら、決まりよ。スレイ」

 

「やるよ、エドナ!」

 

「デラックスゥボンバァ!!」

 

「え?」

 

まだ間に合うと分かると前に出るエドナ様とスレイ。

地の神依に……と思いきや、後ろから眩い光が放たれてドラゴンパピーを包み込む。

この光はと後ろを振り向くと自転車に乗っているゴンベエは手を前に突き出していて、掌から煙を出していた。

 

「冷静に考えたら見てるだけじゃダメかなって。

疫病とか地の主とかあるから数日は商売出来ねえけども、とっととどうにかこうにかしておいた方がいいだろ。

安心しろ、別に手柄がどうのこうのとかじゃねえから。全てスレイがやってくれたでいいから。あ、まだ倒してないから頑張って」

 

ドラゴンパピーを倒したことを全く気にしないゴンベエが。

まだ倒してないと言われ、元の位置に振り向くとドラゴンパピーは生まれたての馬の様に足を震えさせながらもゆっくりと立ち上がろうとしていた。

 

「調子崩されたけど、ちゃんとやるわよ」

 

「ああ……ハクディム=ユーバ!!」

 

出鼻は挫かれたが、地の神依を纏うスレイ。

ライラ様もミクリオ様も武器を構えて、傷だらけのドラゴンパピーと戦う。

本当ならば苦戦する相手だが、ゴンベエが放ったデラックス・ボンバーにより大ダメージを与えたお陰かアッサリと浄化出来た。

 

「これは、浄化の力……導師か」

 

ドラゴンパピーを浄化すると人に、いや、天族に変わる。

天族の御方はゆっくりと立ち上がり、自分の体を確認してスレイを見る。

 

「えっと、貴方は?」

 

「加護天族のロハン、このマーリンドの地の主……だった」

 

大きく深くため息を吐いた天族の御方、いや、ロハン様。

 

「穢れに飲まれてしまい、あろうことか憑魔になってしまうとは……きっと、意識が無い間にとてつもない疫病を振り撒いたに違いない。今さら地の主になど」

 

「そんな事はありません!!」

 

意識が無い間に起こした罪に苦しむロハン様。

だが、そんな事はない。

 

「お前は?」

 

「自分はアリーシャ・ディフダ。

此度の導師、スレイの従士を勤めております」

 

「従士……そうか、だから俺が見えているのか」

 

「はい。

ロハン殿、貴方が憑魔になったのは人心を荒廃させたのは我等人間に……私達ハイランド王室が原因です。

私腹を肥やす者や戦争に加担するものが多く課税に苦しむ者が増え、連鎖的に人々は穢れを生み出します。それが今のハイランドです」

 

元を正せば我等が祈りを捨てたのが原因だ。

邪な考えを捨て、天族への純粋な祈りを捧げなくなったのは心にゆとりがないためだ。

人々の心からゆとりを奪ったのは紛れもなくハイランドの上流階級の者達で私腹を肥やす為に、戦争をするために行った無理な課税だ。

 

「ですが、必ず人の世を変えてみせます!

ロハン様だけでなく憑魔になられた天族を浄化し、救いだした後に罰を受けます!どうか今一度、加護をお与えください!」

 

「随分と熱心な従士さんだ…………ふむ」

 

「どうかしたの?」

 

「いや、器となっている大樹に戻ってもう一度加護をと思ったが……穢れが一段と強い憑魔が何体かいる。それを浄化しないと大樹を器にして加護領域を展開しても意味が無い」

 

「憑魔……まだいたんだ」

 

「スレイ、いきなりのドラゴンパピーだったけど僕達はこの街に来てから一時間もたってないんだ」

 

「あ、そうだった」

 

もうクライマックスな雰囲気にはなっているものの、マーリンドに到着してから一時間もたっていない。

ロハン様からこの街にいる一段と強い憑魔を倒せば終わりなのだが、まだ始まったばかりだ。

 

「……そう言えば、アイツ、何処にいったの?」

 

どうすれば良いのかが一先ず分かると、辺りを見回すエドナ様。

 

「ゴンベエが、いない?」

 

私も辺りを見回すと、何時の間にかゴンベエがいなくなっていた。

ドラゴンパピーだったロハン様を浄化するべく戦っていた辺りから声がしなくなっていたが、その頃から居なくなっていたのだろうか?

この事をゴンベエにも教えた方が良いかと思い、皆で探そうとするのだがライラ様が止める。

 

「……ゴンベエさんにはこの事を内密にしましょう」

 

「なんで?アイツ、役立つわよ」

 

「確かにあの方は強いです。

恐らく私達が全員で挑んだとしても敵わない程に……」

 

「待て、ゴンベエはそこまで強いのか!?」

 

「あ、はい……ゴンベエは私の師匠を一撃で倒すほどの実力です」

 

余り戦闘をしないゴンベエだが、剣に弓に斧に魔法と色々と出来る。

万能な上にスレイとは別物とはいえ浄化の力を持っているならば、此処は事情を説明して手伝って貰った方が良いのでは?

 

「だからこそです。ゴンベエさんは導師になる程の逸材でしたがあの方は自らで導師になるのを拒みました。ならば、ゴンベエさんを導師の宿命に巻き込むことは出来ません」

 

「確かにゴンベエは拒みましたが、事情を話せば」

 

「ゴンベエさんが協力して頂ければ直ぐに解決します。

ですが、そうすればスレイさんは導師として成長することが出来ません」

 

「スレイの成長、ですか」

 

「はい。ゴンベエさんは導師でもなければ従士でもありません。

力を貸して頂けるのは恐らくマーリンドだけで、此処で頼っていては何れ相見える災禍の顕主と戦っても負けるだけです」

 

導師としてまだまだ未熟なスレイ。

だからこそ、ゴンベエの力を借り続ける事は出来ない。此処で自力でどうにかしないとならない。

 

「分かったよ、ライラ、力は借りない。でも、その事を話して良いかな?」

 

「お話しするぐらいなら……」

 

その事にスレイは納得し、ゴンベエを探すことに。

とは言え、自転車と荷台が目立つので割と直ぐに見つかった。聖堂の前に自転車と荷台が置かれていた。

 

「あの、アレだ、アレ。

流石に薪ストーブぐらいはあるだろ?薪を燃やしてストーブの上にやかんを置いて湯を沸かして湿度あげろ」

 

この中に居るのだろうかと中に入るとゴンベエだけでなく、衛兵や傷付いたり病になった者達が寝込んでいた。

ゴンベエはネイフト殿や街の人達に指示を出しており、薪ストーブを要求していた。

 

「おお、導師殿!それにアリーシャ様も」

 

「爺さん、コイツらに驚いてる暇があるならストーブとっとと調達してこい。

病気になった奴等も横になって体を暖かくして寝ていろ。服がベットリしたら直ぐに着替えるんだ」

 

「あ、ああ……色々とお話ししたいが、すまぬ」

 

私達に気づいたネイフト殿は喜ぶが、直ぐに何処かに去ってしまった。

 

「ゴンベエ、なにをしているんだ?」

 

「売る商品決めるために街の調査してたら、此処に辿り着いたんだよ。

疫病が流行ってるらしいからどんなもんかと見てみれば、この通りなんも出来てなかったから手伝ってんだ。素手出せ」

 

液体が入った柄杓を持つゴンベエ。

言われた通りに素手を出すと柄杓に入れている液体をかけた。

 

「あれ、コレってお酒じゃないの?」

 

透明な液体は清潔に保つ香油、かと思えばお酒の匂いがした。

 

「酒を蒸留して抽出したエタノール擬きだ。

度数は知らねえが、少なくとも50は越えてると思うから効果はあるはずだ」

 

自分の手にもエタノール擬きをかけて手を擦り合わせるゴンベエ。

私達も真似して両手を清潔にする。

 

「ゴンベエ、実はさ」

 

「手伝うなだろ?」

 

「うん」

 

スレイが本題に入ろうとすると、ゴンベエが先に答えた。

まるでわかっているかの様に答えたゴンベエだが、特に気にしていない。

 

「元々手伝うつもりはねえよ、あのドラゴンパピーは襲ってきそうだから対処しただけにすぎねえ。

オレがたまたま立ち寄っただからやっただけで、大陸中に天族の加護領域をなんてことはしねえ。マーリンドかレディレイクと家を往復する生活をするだけでそれ以上もそれ以下もねえ」

 

「そっか……」

 

「ただ、降りかかる火の粉は払う。

もしオレの邪魔になるなら勝手にやらせて貰うだけ……と言うことでスレイは凄く頑張ってくれ」

 

特に不満もなにもなく、ゴンベエは手伝わない事になった。

その後はネイフト殿と若い人達が薪ストーブを持ってきて、ストーブに火をつけて湯を沸かさせた後に、今日はもう遅いのでネイフト殿が手配してくれた宿に泊まることに。

 

「オレはやることあるからパス」

 

だが、ゴンベエは動かない。

お面を取り出して装備して荷台から荷物をおろす。

聖堂にいる人達を助けるために物資をおろしている。

 

「私もなにか手伝えることはないだろうか?」

 

「あるぞ。宿で休んで一日の疲れを飛ばして、穢れを祓ってこい」

 

憑魔と戦わない代わりに疫病に苦しむ人々を助けるゴンベエ。

私もなにかと聞いてみるものの、それよりもと手伝わなくてもいいと拒まれる。

 

「アリーシャ、ゴンベエの言う通りだ。

今のところ憑魔をどうにか出来るのは僕達だけで、今は明日に向けて疲れをとらないと」

 

「……分かりました」

 

何故だろうか?

ゴンベエが私に手伝わなくても良いと言うのも、ミクリオ様が言う通り休んで疲れを取るべきなのも分かる。

だが、胸の内に謎の違和感が疑問がうまれている。今まで一度も感じたことのない不思議な違和感……コレはなんだ?





ゴンベエの術技


デラックス・ボンバー


説明


眩い光を放つ某極悪非道で人間の屑としか言えない正義の味方と同じ必殺技。
加減が出来る技で適当にうっても、シュヴァーンとかクラトスみたいな大物の中ボス以外の中ボスを一撃で倒すことが出来る。ぶっちゃけそれだけ使っていればどうにでもなるバランス崩壊の必殺技。デラボンと省略しても使える
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