「な、なにやってんの?」
「なにって……スレイが戦わないといけない相手にデラボンを」
「それは見れば分かるよ!!」
「相手は災禍の顕主なのですよ!!」
「あ~……スレイが倒さないとダメだったか?」
「いや、スレイとか僕とかそう言う感じのルールはないが……」
だったら問題ねえだろう。
なんかこの辺で一番危険で尚且つオレの次に強い奴が割と近くにいる。
明らかに敵意を此方側に向けていたので、迷いなくデラックスボンバーをぶちかました。
「貴方、分かってるの!?相手は災禍の顕主よ!」
「大声で叫ぶな。災禍の顕主だかなんだか知らんが、所詮は人為的に生まれる存在。天然の災害の方が恐ろしい」
「成る程、確かに人為的な災害ならば何処かに悪人がいるが自然災害は悪人もなにもない」
そう言うことだ。
他の奴等は納得していなかったが、アリーシャは納得してくれた。
「ほぅ、今の一撃は中々だったぞ」
「っ!」
「……」
雑魚相手にはデラックスボンバーは通用する。
そうじゃない相手にはそこそこの攻撃だ……今のデラックスボンバーは本気で撃ったんだけど、生きているとはな。
災禍の顕主と思わしき二足歩行のライオン憑魔はピンピンしている。
「あれが、災禍の顕主……」
「如何にも、我こそが災禍の顕主。
そこの無垢なる穢れなき導師と戦う者だ、アリーシャ・ディフダよ」
「何故、私の名前を!?」
「さて、何故だろうな?」
「いや、アリーシャどっちかと言えば有名人だろう。
少なくともこのライオンさんは今までの様に理性を崩壊して暴れまわるだけの憑魔と違い、人間の様に考えることが出来る。世界を穢れに包んだりするつもりなら情報収集するだろう」
「そうか、確かに言われてみれば」
「ほぉ、貴様は……ナナシノ・ゴンベエか」
「……あ?」
初対面な筈なのにオレの名前を知っているライオンさん。
コーラ的な意味で有名だが、人脈的な意味ではこの国にっつーか、この世界では知り合いがいない。
街の有名人レベルのオレを知っているということは……
「てめえ、裏で色々と糸引いてんな」
「どういう事だ、ゴンベエ!?」
「コイツは1000年前のナナシノ・ゴンベエを知ってるんじゃなくて、オレを知っていやがる。
王家とか貴族とか凄いものを作り上げた発明家、武人でも無いオレを知っているってことはオレの事を誰かから聞いた事になる」
「誰かから…………まさか、バルトロ大臣と災禍の顕主が繋がってるというのか!?」
「いや、多分ローランスとハイランド両方と繋がってる。
ローランスにだって戦争はやめようってアリーシャみたいな人間がいる筈だ。それと同じようにあの糞野郎みたいなのもだ」
「つまりはなんだ、この戦争は全て仕組まれていた……僕達やスレイがやって来ることでさえ、奴の、ヘルダルフの掌の上だと言うのか!?」
そこまでは言ってねえよ。
だが、少なくとも両国を操ったり煽ったりして戦争を助長させているのは確かだろう。
理性のある憑魔なんて見たこと無かったし、元から興味なかったから考えなかったが……そう言うやり方もあるな。
「変人と聞いたが多少は頭が回る者の様だ」
ヘルダルフは両国を操ったりしている事を否定しない。
それはつまり、やっているということか。
「………………う~ん、どうするか」
「どうするもなにも、今此処で災禍の顕主を倒せば災厄の時代を終わらせる事が出来るんだ」
どう考えても負けイベントな感じがする。
天族は火水風土光がいて、光をスレイとするならば、風の天族が仲間になってないのに、如何にもなボスを倒すのはおかしい。ゲーム的な考えで悪いが此処で倒せない(スレイが)
「アリーシャ、貴女は下がっていなさい。
ついさっき、ライラとの神依のスレイがやられたのよ……足手まといよ」
「……」
事が事だけに何時も以上にハッキリと言うエドナ。
確かにアレの相手はなんの力もないアリーシャには無理だな…………どうにかしてアリーシャをパワーアップさせる方法って無いんだろうか?スレイとアリーシャの違いは霊応力だけで、それ以外の大きな違いはないはずだ。
「え、なに?やられたの?」
「ええ……流石と言うべきかしら」
「恐らくだが、僕とエドナの神依でも」
「お前等、てんこ盛り出来ないのか?」
神依は色々とやっていることが仮面ライダー電王と一緒だ。
自分になにか憑依とか融合的なのはブレイドでもしているし、キバでも似たような事をしている。
「てんこ盛り……それって、ライラとエドナとミクリオの神依を同時に使うってこと?」
スレイの中にエドナ達は入ることが出来る。
神依の原理は知らんが、三人を纏めて入れることが出来るんだったら纏めて出すことも出来る筈だ。
「そんな、無理です!!神依にも属性があり、互いの長所を潰し合うだけで」
「だったら、風の天族を加えるか同じ属性の天族揃えてのコンボとかにすりゃいいだろ?」
「風の天族……風で炎を、炎で水を、水で地を、地で風を強化して支えるなら出来そうね」
「同属性の天族を揃えた神依も、同じ属性を使うから相性で潰し合わないから使えないわけじゃなさそうだ」
まぁ、どちらにせよスレイにかかる負担は倍増どころの騒ぎじゃないだろう。
それ以前に目の前にいる奴が此処から抜け出す事を許してくれるかどうかすらも怪しい。
20年位は現れていない導師が、ライオンの天敵が現れたんだ。殺すならば弱いときを狙うしかない……狙わなさそうだけど。
「地水火風を纏めた神依か、それならば我と対等に戦えるかもしれぬな」
「つーことで、オレ達を見逃してくれよ。
出来ればお前もどっかにいってくんねえか?雨を降らそうにも、お前が邪魔で止んじまうんだよ」
「貴様、我が裏で者共を操り戦争を起こしたのだぞ?今此処で引くと思っているのか?」
「……良いのか?」
「なに?」
「お前の目的は知らんが、災禍の顕主なんてやってるんだ。
世界征服とか両国の王家を滅ぼすとかそう言う感じだろう……それならば、徹底してやらないと。
先ずはある程度はスレイの知名度や功績を高めたりする人達を増やすんだ」
戦争なんて今時は効率が悪すぎるんだ。
この世に金や宗教と言う概念があるんだから、それを上手く利用しないと。
「それでは地の主が増えて、穢れの侵入が妨げられるではないか」
「リスク無しで戦争なんて出来ねえだろ。
スレイによって救われる場所があると言っても、スレイはたった一人だ。あ、人間的な意味でだぞ。
それならば救われない村なんかに憑魔を放つ。殺すんじゃないぞ、生き地獄を味わわせるんだ。危険すぎて外に出れない隔離状態にする」
「今と同じでは?」
「いやいやいや、そこで自作自演をするんだよ。
知名度が高い奴に倒させ、導師なんぞ天族なんぞ糞の役にも立たないって言わせて……甘い汁を吸わせる。
危険な猛獣を打ち倒したりして格安で商品を販売してくれるキャラバン隊を連れてきて、導師はいても役立たない。天族達が加護を与えないとか言って天族関係の物を破壊し、not導師、not天族の状態を作り出す」
今は宗教に導師に頼らなければならない絶望的な時代だ。
肝心の導師と協力する天族は五本の指で数えるぐらいしかいないんだ……導師じゃないけど、救ってくれる人がいる。
導師は待ってたってこないし、天族は加護を与えない。
「ある程度は優れた人格を持った強かったり魅力があったりする人間がそれなりの正論をぶちかます。
待っていた人とは違うかもしれないけど、助けてもらった救世主で話の通じる優れた人格者が言うことだったら、正しいと思うもんだよ……危機的状況なら尚更な。
忘れるな、国の偉いさんは色々と腹の探りあいをしているが世間は今、導師フィーバーなんだ。導師様が災厄の時代を救ってくれると思っているんだ。ローランスは知らねえけど、ハイランドという国は国と宗教が密接に繋がっていて、スレイは宗教が味方してくれている。そういう時は宗教とかの崩壊も狙わねえと。経済面と心での支配は暴力で解決できない、手に入れれば素晴らしく役立つ」
後は導師なんぞ不要教と導師教が出来て、争わせる。
そこでパワーアップしたスレイ達とライオンが戦って、ライオンが勝利して実は悪でしたと言って、全体を絶望に叩き落とす。うん、我ながら良い作戦だ。
「ゴンベエ、その……今、思い付いたのか?」
「たりめーだろう」
良い作戦だが、割とガバガバなところがあんだぞ。
ちゃんと入念に計画練るならば、国でも太刀打ち出来ない商会を作ったり国よりも遥かに優れた村とか文明を作って圧倒したりする作戦にするわ!!
「貴様、中々の知将だな」
「前から思っていたが、どうして穢れないんだ!!」
ライオンはオレを認める。ミクリオは怒ってるっつーか、引いている。
あ、ミクリオだけじゃなくてライラ達も引いている。
「という感じの作戦もあるんだけど、引いてくんない?此処で引いてくれるなら、まだまだ良いものあるよ?」
「今の策よりも良いものだと?」
「ああ……オレはお前と戦わないと言う最高のカードだ……アステロイド」
論よりも証拠だ。
アステロイドを八分割してライオンに向かって放つと、ライオンは腕を交差させて防いだ。
「オレは腕の方だけはハッキリと自信がある。
お前がオレとアリーシャを潰しに来ない限りはオレはお前を倒しにいかない。
ああ、勘違いして貰ったら困る。お前自身が殺しに来たら倒すし、部下を放ってきたら部下をぶった斬る」
悪い交渉ではない。
転生者がオレTueeeeeeしてこないんだから、圧倒的なまでにお前に有利になっている。
これ以上に無いほどに良い交渉なんだけどな?
「貴様、光の天族か?」
「その前にオレの交渉について返事をしろ、ライオン」
「貴様との交渉など、呑む筈も無かろう!!真・獅子戦吼!!」
ライオンは腕を引いて、突き出すと同時に獅子を思わせるかの様な衝撃波をオレに放つ。
「ゴンベエ!!」
「確かに貴様の光は中々のものだ。
だが、導師でも従士でも天族でもない、ましてや異国の民ならば用はない!!此処で死ぬが良い!!」
オレを吹き飛ばしたライオンは吠える。
吠えたお陰か抑えている力を解放し、更に強い穢れを纏う。
「今までは本気じゃなかったのか!」
「このままではまずいです、アリーシャさん御下がりください!!……アリーシャさん!?」
今の時点でもヤバかったので慌てるスレイ。
ライラは一番弱いアリーシャを引っ張ろうとするが、アリーシャは動かない。
それどころか若干穢れを放っている。
「ゴンベエ……嘘だ……嘘だ、君がこんな所で死ぬはずが無い。
マルトラン師匠を一撃で倒したり、ドラゴンパピーを一撃で瀕死寸前に追い詰めたり……またなにかの悪い冗談だろ!!
何時もみたいに、やってくれ。ヘルダルフは此処では引かない。スレイと一緒にヘルダルフを、災禍の顕主を!!………ゴンベエ!!」
人を勝手に殺すな。
オレがやられた事に放心状態になるアリーシャ。
「アリーシャさん」
「無垢なる者が穢れれば強大な憑魔となる。
導師でなく姫故に期待はしていなかったが、これは面白いことになった」
「笑止、笑ってる暇は何処にあると言うんだ?」
「!」
この程度でオレを倒そうなんざ、百年早い。
ハートを半分破壊するぐらいの威力の技なんぞ、そんなに痛くない。ヘビーブーツを履いて、ハイリアの盾を構えておけば完全に防げる。
やり返すべくオレは炎を身に纏い高く飛び上がった。
「此処で死ぬ………ハッキリと言ってやる。それは、お前だぁあああああああ!!」
「ぐぅ、ぬぉおおおおお!!」
鳳翼天翔をライオンに向かって放つと、地面を削りながら後退していく。
「さて、オレに喧嘩を売ったんだから覚悟してるんだろうな?
スレイと真正面から殴りあうのは構わんが、オレを無実の罪で巻き込んだ事は許されねえ事だ」
「……思い出した……いや、そうだった」
本当は抜きたくないが、抜くしかない。
腰につけているマスターソードを掴むとアリーシャの槍とは比較できないほど強く綺麗な青白い光を放った。
「その眩き光……我が領域の穢れを祓っているだと!?
先程の光と言い、その剣と言い、天族でもなければ導師でもない……貴様は、何者だぁ!!」
「何者って何時も言っているだろう、名無しの権兵衛だ。
いや、こういう時はこう答えた方がいいか……オレは勇者だよ」
ゴンベエの術技
アステロイド
説明
光で出来た正方形の立方体を作り出し、三角錐に分割して撃つ技。
三角錐に分割出来る数に限界はなく、分割しなくても撃つことが出来る。
ゴンベエの見た目と一番しっくり来る技で、数少ない多数の敵を一度に倒す技
説明
相手が秘奥義を発動した際にカウンターとして発動される秘奥義。
要はラタトスクの騎士のエターナル・リカーランスと同じなのだが、体力全回復に加えて物理攻撃・術攻撃 物理防御・術防御が2倍になると言う効果を持っているチート。