テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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にゃんと立派なニャゴヤ城

 予想以上にアッサリと旅立つ許可が降りた。

 屋敷のメイドさんに殺してやろうかと言いたげな敵意を向けられたが、アリーシャが来てくれないとより面倒になる。つーか、本当にアリーシャの身の安全が心配ならば今すぐに騎士を止めるように小言の一言でも言って精神的に追い詰めやがれ。

 

「今更ながら聞くが、その格好は?」

 

「ゼンライ殿が祀られていた場所を、イズチを見つけるのが本来の旅の目的だ。

だが、名目上は私と共に各地を巡ってハイランドの特色や特産品を知識に入れつつ技術を伝える……大丈夫だ。何時もの鎧はちゃんと隠し持っている。いざという時の王家の証も」

 

「どんだけ作りたいんだ……」

 

 蒸気機関が優れた発明品だと見抜いたのはいいが、蒸気機関は電化製品以上の諸刃の剣だ。一個や二個ならば作ったところで特に影響は無いが、レディレイク中に蒸気機関が配備されたとかになれば確実にレディレイクは終わる。

 川を使って物を運ぶ、川の水で水車を回すなんかは産業革命以前にある。蒸気機関もまぁ、産業革命より前からはあるが、蒸気機関が無いと機関車が作られなかった。

 電気の文明を知っているから実感は薄いが、蒸気機関の時点でハイランドとローランスでは恐ろしい発明なんだろうな。アリーシャに色々と渡しているし、わざわざ学生服みたいなのに着替えさせているし。

 

「成果を上げねえと、このままだと水戸黄門になるな」

 

「水戸黄門?」

 

「隠居した国の偉いさんが国でなく街や村の悪事を働いている役人をお供に頼んでシバき倒した後に、印籠と言う……まぁ、王家の家紋が入った物を見せるうちの国の実話を元にした物語……実話の方はあんまり知らないが、水戸黄門ならうちの国の大半の人間は知ってる程に有名だ」

 

「そんな話が……」

 

「まぁ、つってもうちの国の実話を元にした話って……似たの多いんだよな」

 

 時代劇あんま見ねえけど、身分を隠した偉いさんが悪人をシバき倒す系多い。

 将軍しかり金さんしかり黄門しかり……悪人を取り敢えずぶっ殺しまくる江戸時代って、何気にカオス。いや、三人の中で一番殺してるのって将軍か?

 

「前に来たときとは、比べ物にならないな……」

 

 色々と談笑していると、マーリンドに辿り着いた。

 流石に宛もなく旅をするわけにはいかず、間者を探すウーノに質問攻めをしまくるのはまずい。

 此処には加護を与えている天族だけでなくノルミン天族とかいうのもいるから、色々と聞ける。

 

「おお、ゴンベエにアリーシャ姫!」

 

「ネイフト殿、ご無沙汰です」

 

「爺さん、大丈夫だったか?」

 

 町中を歩いていると、ネイフトがオレ達に気付く。

 

「ああ、問題ない。導師殿が我等の身を心配し、避難させてくれた……それよりも、御無事でなによりです」

 

「……一応は聞いとくが、どういう風に話が伝わったんだ?」

 

「姫が悪評と進軍の手引きをしたと……このマーリンドの住民は誰一人、その様な事を思ってはおりませぬ。

導師殿と共に疫病を打ち払った貴女が悪評を流し進軍の手引きをするなど、絶対にありえないこと。姫と導師ならばこの災厄の時代を終わらせることが出来ると心から思っています」

 

「……そう、か……皆の期待に答えれるように精一杯頑張るよ」

 

 痛い……アリーシャには今のネイフトの言葉は物凄いまでに痛い。

 スレイがハイランドで一番最初に導師として穢れを浄化し、天族を元に戻して地の主を祀ったのがこのマーリンドであり、そこでアリーシャが足手まといどころか邪魔になっている事に気付いた場所であるから余計に痛い。

 

「……」

 

「……マーリンドに連れてきて、悪かった」

 

 ネイフトと別れると俯くアリーシャに謝り、手を握る。

 スレイだったら、主人公ならカッコいい言葉の一つや二つ送って励ますんだろうが、オレにはそんな事は出来ない。助けを求めてる人間を無責任には救えないし、救わないから、出来ることはコレぐらいだ。

 

「……」

 

「アリーシャ?」

 

 これでもかと言うぐらいに力強く手を握るアリーシャは無言で返事をしない。

 手を離そうとしても、指と指の間に指を入れているのでアリーシャに掴まれたら離せない。これじゃ目的地につかないじゃねえかと思い、無理矢理前に進もうとするとアリーシャは普通についてくる。

 

「熱々やねぇ」

 

「この若さは人間だけの特権だな」

 

 目的地である天族の器となっている大樹に辿り着いた。

 アリーシャと手を握ってやって来たのでアタックとロハンのおっさんはニヤついているが、アリーシャは気にしない。何時もならば慌てたりなんか反応するが、それを一切しない。

 

「噂や話は色々と聞いている。従士をやめたと言うのもだ」

 

「先に言っとくが、アリーシャの眼鏡は掛けたら天族を認識できる眼鏡だからな」

 

「そうなのか?なら、無事でよかったと言わせてくれ。穢れなき人間で、災厄の時代を」

 

「おっさん、そういうことを言うな……従士をやめた理由も含めて、色々と知っているなら敢えてなにも言うな。フレンドリーに接するおっさんで済ませておけ」

 

「……確かに配慮が欠けたな」

 

 これ以上、下手なフォローを入れるだけ入れ続けるのは傷口を抉るも同然の行為だ。アリーシャにだって色々と思うところがあり、心に溜まったものが爆発するかは分からん。

 

「それで、今日はどないしはったん?この辺、もうなんもおらへんで?」

 

「ああ、ちょっと色々と聞きたいことがあって来たんだ……ゼンライって天族が祀られた遺跡を探している」

 

「ゼンライ……まさか、雷神と唱われた光を操る高位天族のゼンライ殿のことか?」

 

「見た目がスゲエ爺の天族だ」

 

「あ、ゼンライはんやね。ゼンライはん祀られてた場所やったら物凄く近いで。えっとな」

 

「待て、場所は教えないでくれ」

 

 直接の場所を知っているので教えようとするアタック。出来たらそれを聞いて、イズチに向かいたいがそれだとアリーシャが教えないように努力しているのが無駄になってしまう。

 その辺について詳しく説明をすると、約束で喋らないならば教えられないなとロハンとアタックはゼンライが祀られてた場所を教えない。

 

「そのゼンライについて詳しく書かれてる書物とか無いのか?

そう言うのを経由して、自力で探し当てたい……それだったら、なんも問題ない」

 

「大分、裏技な行為だが……まぁ、自力で探し当てるなら問題ない、か?

だが、天族に関する書物だなんてこの街でも天遺見聞録ぐらいしか無いんじゃないか?」

 

「せやなぁ~けどあれ、ウチ等ノルミン天族に関して全く書かれてへんから使いもんにならん可能性高いで?」

 

 出やがったな、天遺見聞録。なんか色々と胡散臭い天族に関する事が書かれている胡散臭い書物。ノルミンに関して書かれていないとなると、かなり中途半端な書物……もしくは、あえて書かなかったかのどっちかだな。

 

「ノルミン天族とかで思い出したが……他にも人型じゃない天族とか見えない奴には見えない存在って居るのか?」

 

「そら、居るに決まっとるやん」

 

「例えば?」

 

「有名なところで言えば、かめにんやね~」

 

「かめにん?亀型の天族か?」

 

「かめにんはかめにんでそれ以上でもそれ以下でも無い」

 

 つまりジャスタウェイと同族か。

 今の今まで無視していたが、改めて謎な存在とか世界観だな、この大陸。

 

「トータス、トータス!」

 

「噂をすればやって来たぞ。アレがかめにんだ」

 

「コスプレだな」

 

「だぁれが、コスプレっすか!!」

 

 都合よく現れたかめにん。高級な亀のコスプレもしくは擬人化的な格好をしており、他の人達には見えていないっぽい。

 

「アリーシャさんは居るっすか?」

 

「アリーシャは私だが、なにか?」

 

「お手紙を預かってるっす!受け取りのサインをよろしくっす!」

 

「お手紙?」

 

 まだ旅立って半日しかたっていないのに、いきなりの手紙に首を傾げるアリーシャ。

 国のお偉いさんがアリーシャに対して伝え忘れた事があるから手紙を寄越した……と言うわけではなさそうだな。

 

「スレイが大丈夫かどうかの手紙を出してきたんじゃねえのか?」

 

 グレイブガント盆地で別れて以降、スレイの動向を掴むことが出来ていない。殺された線もあるが、流石にそれは低くローランスに行ってると考え、それ以上は深く考えなかった。スレイもアリーシャも互いに有名な人物なので、なんか騒ぎを起こしたりすれば直ぐに居場所がわかる。それを頼りにしておけば、生存確認が出来る。

 時の人という意味ではスレイの方が上だが、調べやすさではアリーシャの方が上で、生存していると判明したから手紙を出したとかそんなんだろう。かめにん、普通の人に見えてないっぽいからアリーシャの知り合いで手紙をかめにん使って送れるのスレイぐらいだし。

 

「スレイは、今どこに……?」

 

 スレイの事も心配だったアリーシャはサインをして、手紙を受け取ると即座に開けて中身を確認する。と言っても中は一枚の便箋だけで、物とかそういうのはなく開けた瞬間に異世界に来る的なのもない。

 

「どないしたん?ライラはん達、今どこにおるん?」

 

「オレ、この国の文字読めねえから言葉で頼む」

 

「それが……コレはスレイからの手紙なのだろうか?」

 

「守秘義務ってもんがあるから、差出人は教えられないっス」

 

「いや、それスレイが差出人じゃないと自白してるもんだからな」

 

「し、しまったっす!」

 

 手紙を読んで頭に?を浮かべるアリーシャ。スレイでないなら、ライラ達でもない。後、知っている天族はウーノと目の前にいる二人だけだが、ついさっきまでウーノと一緒にいた……マジで誰だ?

 

「読み上げてくれ」

 

「えっと……【初夏の日差しが一層眩しく感じられる今日この頃、貴殿等は如何お過ごしか?】」

 

「あ……」

 

 最初の一文を読み上げるとなにかに気付いたアタック。と言うことはアタックの知り合いか?

 

「【汝等を見たとき、我は驚いた、親から子へと血を継げば何れは形は変わる。しかし汝等は巡り巡って元に戻った。

更に導師が世に現れて我は確信した、これは運命というものなのだろうと。だが、運命というものは時には残酷である。

我は情けない、清く正しく美しくあろうとする乙女が流す涙を拭くことも出来ぬ己が。我が使命を果たす時は着実と近付いているが今すぐではない。乙女よ、汝が力を欲するならば語り部の勇気を探せ。奴ならばきっと乙女の力になる筈だ】……差出人は書かれていないな」

 

「どう考えても導師御一行様じゃねえな」

 

 内容が物凄く暑苦しくて苦手だ。

 スレイがこんなの書いてきたらゲロ吐くわ。

 

「それ、フェニックス兄さんやで」

 

「フェニックス?」

 

「ウチらノルミン天族最強のお人や」

 

「ノルミン天族……私はアタックさん以外のノルミン天族とは会ったことは御座いませんが?」

 

「あんな、これ皆に内緒にしてほしいんやけどな……エドナはんの傘にあったノルミン人形、アレがフェニックス兄さんやねん」

 

 あ~そう言えば、傘になんかついてたな。

 

「バレバレで思わず声かけそうやったけど、兄さん、形から入る御方やからあえて無視したんや。

あんな感じやったら他のノルミン達にも一発でバレそうやけど……知らんかったふりしとかんとアカンから黙っててや」

 

「分かりました……」

 

 差出人の正体が判明した……知り合いに一発でバレる文章で書くか普通?

 フェニックスは案外うっかり者なんだなと思っているとアリーシャはまじまじと手紙を見ている。

 

「この語り部の勇気はいったい……」

 

「語り部は恐らく、あの語り部だな」

 

「御存知なのですか!?」

 

「あくまでも噂程度だが……人と天族に纏わることを全てを知っている者がいて刻遺の語り部と呼ばれている。

刻遺の語り部は、それこそ世界に隠された出来事も知っている……しかし、語り部の勇気の方は悪いが、分からん」

 

「奴と書かれているから、人物だろうが……アタック?」

 

 語り部の方に関して考えていると、モジモジし始めるアタック。こいつ、本当に色々と知ってやがるな。

 

「ごめんな……ウチ、フェニックス兄さんがなにしろって言うたか分かったんよ」

 

「本当ですか!?」

 

「せやけど、話すことは出来ひんねん……そう言うルールやさかい」

 

「まーた、それか……」

 

「け、けどな!もしアリーシャはんが勇気を見つけることが出来たらアリーシャはんは強くなるんは確かなんよ!」

 

 余りにもざっくりとしているアタックの説明に呆れるしかない。

 フェニックスとかいうノルミンも回りくどい説明をせずに、細かく詳しく説明をしてくれれば良いのに何故に面倒なことにしやがるんだ。

 ただでさえゼンライを探してんのに、語り部の勇気とかいう奴を探せっていうのか?そいつから、アリーシャが持っていない力を手に入れる事が出来るのか?

 

「これも置いておかないといけないか……あ、かめにん」

 

「はいはい、なんすか?」

 

「かめにん以外にも天族的な存在って居るのか?」

 

「天族的じゃないっス、かめにんはかめにんなんすよ!」

 

「で?」

 

「ええっ!?……え~っと、ええっと……あ、ねこにんがいるっす!!」

 

 ジャスタウェイならともかく、かめにんはどうでもいいと聞くと、今度はねこにんが出てきた。

 このノリだとうしにんとかかえるにんとかいぬにんとかがいそうだな。

 

「世界は、まだまだ不思議で溢れているのだな」

 

「今は世界不思議発見の時間じゃねえよ……いや、待てよ」

 

 かめにんはノルミン天族や普通の天族を肉眼で捉えている。

 ロハン達が見られている気付いていても特に驚きを見せていないから何だかんだで天族の一種だろう。

 

「かめにんって、お前だけじゃないよな?」

 

「勿論、かめにんは他にも沢山いるっす!」

 

「……ねこにんも沢山いるか?」

 

「ねこにんもねこにんの里に沢山居るっす!」

 

「……そのねこにんの里にはどうやったら行ける?」

 

「ゴンベエ?」

 

「人の集落じゃ、どうあがいても限界がある。

オレ達の知りたいことを刻遺の語り部しか知っていない可能性もある……だが、天族の集落なら色々とある」

 

 オレ達人間があくまで知らない、気付かないだけで天族はずっと実在していた。

 人間と天族は再び歩み寄る関係だが、天族同士ならば話は別だ。恐らく、天族独自の繋がりやコミュニティが存在している。多分、遺跡や書庫を巡るよりも早くゼンライが祀られている遺跡の手掛かりを見つけることが出来る。

 

「ねこにんの里の行き方を、地図でもなんでも良いから売ってくれ」

 

「毎度あり!!って、言いたいんすけどね……」

 

「人間は入ったらダメなのか?」

 

「そうじゃないんス。基本的に一見さん御断りなんすよ」

 

 一見さん御断りの里って、里として機能しないだろう。

 アタックやロハンがコネを持っていないかを聞いたが持っていない。ウーノや導師一行も持っていない。

 

「コレでねこにんの里に行けないだろうか……」

 

 王家の紋章が入ったナイフを取り出すアリーシャ。それで通じるのは人間社会だけで、天族には……いけるか?ウーノはゼンライは人の世を統べる者以外を通さない結界を貼ったりしているとか言っていた。過去に人間と天族に繋がりがあったのは確かで、王家の者が来た可能性は高い。

 

「かめにん、オレ達をねこにんの里に運んでくれないか?」

 

「だから、一見さんはお断りっす」

 

「ねこにんの元に連れていってくれ……そこから、交渉するから」

 

「それぐらいなら良いっすよ……多分、近くにいるから直ぐっす!」

 

 こっちについてこいと言わんばかりに走り出すかめにん。オレとアリーシャは追いかけた。





スキット 豊作への遥かなるロードマップ


アリーシャ「眼鏡……眼鏡はダメだな。炭酸水は……問題なさそうだ」

ゴンベエ「なにやってんだ」

アリーシャ「ゴンベエから教えて貰っても問題なさそうな物を一応は纏めている。名目上はゴンベエに色々と教えて貰う事になっているから、定期的に手紙を出さなければならない」

ゴンベエ「オレ、ペニシリンの作り方しか教えねえぞ?」

アリーシャ「その、ペニシリン?はなんなんだ?」

ゴンベエ「薬だよ……流行り病を確実とは言えないが、大抵の物はどうにでもなる薬。作るのに手間、と言うより人数と運が関係しているから今の今まであんまり手を付けてなかったが」

アリーシャ「流行り病を治せる薬!?そ、そんな物があるのか?」

ゴンベエ「全部じゃないし、憑魔が作り出した病気には効かねえよ。憑魔が強化した病気なら効くがな」

アリーシャ「それでも凄い薬じゃないか。作り方は」

ゴンベエ「今は教えないし、教えたらダメだろう」

アリーシャ「何故だ?」

ゴンベエ「食べたこともない聞いたこともない変わった見た目の料理をお前は美味しそうに食べる事が出来るのか?」

アリーシャ「それは……難しいな。食べたこともない料理は食べなければ美味しそうに食べれない。誰かが毒味をしなければ」

ゴンベエ「それと同じで、本当に使える薬か適当な奴等で実験するぞ。医学の進歩なんてトライ&エラーでミス=死亡な世界だから、なんも言えないがな……」

アリーシャ「ならば、信頼を得れば良い。ゴンベエが知っている人体実験をしなくていい技術を教えていって試させれば」

ゴンベエ「まぁ、それが一番だけど……」

アリーシャ「ゴンベエは、その内教えると言っていたじゃないか。今がその時だと私は思う……君を政治に巻き込むのは心苦しい。だが、流行り病を治せる薬が有れば、今まで救えなかった人達を救えならば救いたいんだ」

ゴンベエ「電気の文明は、無しか……何気にキツいな……もう、プリンに醤油を掛けたら雲丹の味になるって送るのはダメか?」

アリーシャ「プリンに醤油!?…………ダメだ」

ゴンベエ「……じゃあ、先ずは紙の作り方だな」

アリーシャ「紙か……一般の人でも買えないわけではないが、書物等になればそれなりの値段になる。もし、大量生産が出来れば、書物が簡単に手に入り、教科書が量産されてハイランドの民の識字率等が上昇する。悪事にも利用できないな」

ゴンベエ「そっちの方の紙は水酸化ナトリウムで植物煮込めば簡単に出来る。オレが言っているのは、紫陽花を擂り潰した物を染み込ませた紙だ」

アリーシャ「紫陽花を染み込ませた紙?」

ゴンベエ「はい、今回教えるのはこれだけだ」

アリーシャ「それだけ!?紫陽花を染み込ませた紙なら私でも作れそうだが」

ゴンベエ「馬鹿言うな……その紙を持ってハイランドの土壌を調査するんだよ。地面にぶっ刺したら、紙の色は赤か青になる。それを記録しとけって書いておけ……でないと、ハイランドの耕せない土地は何時までたっても耕せない……穢れが無いのもいいが、ハイランドを豊かにしねえと」

アリーシャ「その為の第一歩が、紫陽花を染み込ませた紙なのか」

ゴンベエ「これ一つで全てどうにでもなる便利な道具は作れないし、あったらあったで迷惑だ……安心しろ、最後にはどうにでもなる便利な道具や物、技術にはなる。これは豊かなハイランドへの遥かなるロードマップだ……電気使えないのキツいけど」

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