「ループだと?」
オレの質問に首を傾げるアリーシャ。ザビーダもよく分かっていない。
「別にそこまで難しい話じゃない。えっと、ザビーダは今の導師には」
「一応、会ったには会ったぞ」
「そうか……
「おいおい、油断も隙もねえな」
あっさりと引っ掛かるザビーダだが、まだ質問の意図を理解していない。
「あの、どういう意味でしょうか?」
「コイツ、過去に導師が実在したかどうか
「実在した、ですか?
ゴンベエ、過去に導師はちゃんと実在している……どうしてそんな今更な事を確かめるんだ?」
「今更だからだ」
アリーシャの言うとおり、本当に今更なことだ。
過去に導師が実在してたなんて、天族と会う前に、スレイが導師になる前に調べておくもんだ。だが、今だからこそ見つめ直して気付くところもある。
「導師や天族知りたきゃ、天遺見聞録を」
「それじゃダメだ……ライラでもだ。
エドナならちゃんと答えてくれそうだが、他だと多分無理だ」
「……なにが知りたいんだ?」
「今の時代は災厄の時代と呼ばれ穢れが満ちている。
そんな時に天族が見える人間が王都にやって来て、湖の乙女の器となり導師となりました……これと似たの今まで何回あった?」
「ゴンベエ……どういう、ことだ?」
「……ライラはスレイに色々と教えていた。
見た目こそ大人の女性だが、レディレイクで一番のジジババよりも年齢が上だ。
過去に違う誰かが器になって、聖剣を手に穢れを打ち払う旅に出た。今、スレイがやろうとしているパワーアップをした。そう考えるのが妥当だろう」
「それは、分かるが……それがなにを意味している?」
「過去に導師が何人もいて、どうして今は災厄の時代になってるんだ?」
「それは……私達が天族への感謝の気持ちを忘れたから」
スレイとオレしか肉眼で天族を見える人間はいない。見えないものを人間は信じないので、祈らなくなって天族は呆れて加護領域を消しました、おしまい……で、終わるほど甘くはないぞ。天族の方が穢れに弱いのをザビーダ探しの道中助けた天族に聞いたぞ。
「天族に祈らないから災厄の時代、導師が居ないから災厄の時代、両国の上層部が屑揃いだから災厄の時代……だけじゃねえだろ?
オレはレディレイクの地の主であるウーノが地の主をやる際に、ウーノは地の主について理解していた。地の主のシステムも神依も、浄化の力も大分前からあるんだろ?それも10年20年なんてもんじゃない、100年以上も前からよ」
「痛いところついてきやがるな。
お前の言うとおり、今の導師がやってることをやるまで何回か改良とか手順とか踏んだが、今のシステムになったのは大分昔のことだ」
「そうか……はぁ、ヤバいな」
「なにがヤバいんだ?」
「導師スレイが苦難を仲間と共に乗り越えて災禍の顕主を鎮めました。
めでたしめでたし……と、おとぎ話や童話ならそれで終わる……だが、それで終わらないのが現実だ」
「?」
この世界が元いた世界視点で見ればフィクションだ。だが、今は現実であり物語が終わってもオレの人生は続くし、アリーシャの人生も続く。物語終わった時点ではハッピーエンドかもしれないが、その後は誰も知らないので、地獄ではその辺をちゃんと考えろとしつこく言われている。過去に転生者がハーレムエンドで物語を終え、その後、遺産相続で犬神家の一族並みに揉めたことがあった。後、誰が正妻とか誰の子供とか、誰の父親として出席するとかそういうのでも揉めてた。
「仮にスレイがヘルダルフも浄化して助けるって言って、全員を助けたとする……全員を助けたりしても50年位しか平和を保てないぞ」
「5、50年!?たったそれだけしか保てないのか!?」
「まず、スレイ達の戦ってる相手は悪魔とか妖怪とかそういう感じのジャンルだ。
なんやかんやで悪魔になってしまったとか妖怪になってしまった奴をシバき倒して元に戻しているだけだって、それ以上でもそれ以下でもない」
人間の悪とか国のゴタゴタとは関係ない奴を退治しているんだから、やってることは害虫駆除と同じだ。
そしてええ加減にこれを聞かないといけない。
「穢れのない、天族と人間が共存している世界って、どんな社会だ?」
「社会?世界でなく、社会?」
「お前もそうだが、スレイ達も形を持っていない。美しい景色とか言葉とかそんなんばっかだ」
スレイがやっていること自体は悪でもなんでもない。むしろ+方面のことでありオレがなにかしないとヤバいとかそんな事になってないので特に問題ない。だが、オレにはなにも見えない。
穢れが無くなった天族達と共存している社会はどういう感じになっているんだ?
「アリーシャさ、仮にスレイがヘルダルフやっつけてローランスにもハイランドにも地の主を置きまくって大陸中に加護領域を展開することに成功するだろ……その後、どうすんだ?」
「どう、する……」
「ザビーダも、意見を出してくれねえか?
もしスレイやオレ達みたいに、皆が天族を見えるようになった社会ってどんな社会かを」
「社会ねぇ……風来坊の俺には一番縁遠い世界だな」
安心しろ、それはオレもだ。
授業ではちゃんと点数を取れるものの、現代の若者が全くといって興味を持たない政治経済。今の今までその辺について考えておらず、穢れを浄化するとか地の主を祀るとか災禍の顕主をシバき倒すとかしか考えていなかったので改めて考えることになった、が
「ダメだ」
アリーシャは開始数分でギブアップをした。
「天族の方々が普通に畑を耕しているイメージが出来ない」
「あ~……俺も無理っぽいな。
もし税金を払えとか農民みたいに働けって言われたら、逃亡するな」
「……お、おう」
つい最近まで税を支払っていなかったのでザビーダの言葉が痛い。
しかしまぁ、割とあっさりとギブアップを出すのは……あ~、うん……話の方向性を変えてみるか。
「ならば、こうしてみよう。
アリーシャがなんやかんやで世界一偉い王様になりました。さて、どうします?」
地獄の転生者養成所で一度は考えさせられる問題をアリーシャにぶつけてみる。
これは物凄く面倒な問題であり、この問題に関してこれといった答えを出した奴は数万人居る転生者候補生の中でもたったの数名だけだ。色々と考えさせられる非常に面倒な問題だ。
「いきなりだな」
「宝くじが当たって三億手に入れたらなに使うっていう妄想で話題を膨らますのと同じノリでやれば良いんだよ……難しくは考えてほしいがな」
「お、面白そうじゃねえか」
「なら、考えてみろよ」
もしもたらればの話は危機的状況でするんじゃなく、暇潰しとかそういうので話すのは良いぞ。
話題の方向性を変えてみると今度は色々と考えるアリーシャ。
「先ずは上流階級の人間を調べあげる。
バルトロの一派の様に戦争推進派を抑えたり、裏で横領や悪評をしている者達の罪を暴いて、堂々と裁く。そして、高くなっている税を軽くして導師の仕事をサポートを」
「アリーシャ、アリーシャ、それ違う。それはマイナスを0にするものであって、0をプラスに変えるもんじゃねえ」
「?」
「横領はやってはいけないことだ。
戦争もやっても効率が悪く、利益を出すのに何十年もかかる。
高くなっている税金は戦争だなんだと色々とあるから高いだけで、基本的に安いだろ?」
何処ぞのお兄様じゃないが、当たり前のことを当たり前の如くするのは難しい。
それは分かっているのだが、それはあくまでもやっちゃいけない事をやるなと言い、やらないだけである。
世の中には越えてはならない一線があり、その一線を越えると屑、越えなければ普通の人で、その一線の内部で良いことをしなければならない。
「新しい皆がそれ待ってましたなにか出せつってんだよ」
「確かに横領は悪いからすんなって話だな……お前、さっきから色々と否定してばっかだけど、なんかあんのか?」
「wwwあるわけねえだろうwww、って危ねえな!!」
「真面目な話してんのに笑うんじゃねえよ!」
「つってもな……ぶっちゃけ、どうすれば良いんだ?」
ザビーダが怒ってペンデュラムで攻撃してきたが、避ける。そして考える。
医療費タダとかマイナンバー制度とかしか浮かばねえぞ。
「アリーシャ」
「私がどうかしたか?」
「アリーシャは家庭環境的な意味では知らないが、生活環境は優れている。本人も至って真面目で勤勉で容姿も性格も優れている」
「ど、どうしたんだ急に!?褒めてもそんな、なにもでないぞ」
「そんなアリーシャがお手上げな時点で、もう無理だぞ?」
「え?」
結局はどんな世界でも努力はしなければならない。いや、努力はして当然であり求められるものは結果で過程は二の次だ。アリーシャは容姿、金銭や生まれた土地的な生活環境に恵まれており、立派な心と勤勉さを持っている。
世の中、努力でどうにも出来ないことが幾つかは存在している。国籍、性別、金、他にも色々とあるのだが代表的なのはこの三つである。
「勤勉で国の首都育ちで生活環境に恵まれている奴ですらなにも出来ない。
うちの国の神事が男性しか出来ない性別の壁とかはあるから、ある程度は納得出来る。だが、それでも導師関係はダメだろう。スレイみたいに天族を肉眼で捉えられる奴しかなれないのはまずい……現に今、それを証明している。スレイ死んだらどうすんだ?」
一部のマニアな世界ならば特定の人物にしか出来ないは問題ないが、宗教なんてマニアも糞もあるかってもんで開祖ならまだしも、それ以外の特定の人物がどうのこうのはまずい。
「そうなったらライラは無理矢理にでもお前を導師にするかもしれねえな」
「勘弁してくれよ……でだ、それってやっぱダメだと思うぞ。
最初以外で特定の人物にしか出来ないとか特定の人物がいないと出来ないってのは、本当にダメだぞ……自転車操業になる。あ、やば」
これはアリーシャが自力で答えを導き出さないといけないのに、うっかり言ってもうた。
「自転車操業、結局それはどういう言葉なんだ?」
「今している仕事をやめてしまえば、それで終わりになる。
つまり導師が、特定の人物が頑張らなくなったら終わってしまう。
世の中は賢い奴が難しい事をするよりも賢い奴が馬鹿でも難しい事を出来るようにしないとダメなんだ。
例えば今はスレイしか出来ないことを、スレイの力なしでこの街の住人で出来るようにするシステムを作るとか」
「それは導師に世界中の人間が天族を見えるほどの霊応力を手に入れる方法を作れってか?そいつはオススメ出来ねえな」
「いや、そうじゃない……なんて言えば良いんだろうな?」
こういう時に上手く説明できない自分は馬鹿だと思ってしまう。
なんて言えば良いんだ?歴代の導師は自分達にしか見えない道を勝手に歩いて、その道があると見えるようにしていない?道じゃない道を歩いていて、工事して整備していない……教科書を作っていない?
料理なら教科書通りの作り方をすれば、その料理はちゃんと出来る。味はその本を出した人みたいに完璧じゃないが、一定以上の味を出すことが出来る……ああ、ダメだ。これじゃない。似ているけれど、なんか違う。
「そう焦んな……お前の言いたいことはなんとなくだが分かる。
お前の危惧している通り、今の導師が人として成長して災禍の顕主も救ってみせると救って、俺達天族が全員の肉眼で見えるようにしたら……確実にロクな事が起きない。悪いが、天族の代表と人間の代表が仲良くしようぜと握手をしている姿を想像することはできない」
「安心しろ、オレもだ」
そもそもこの国の王様の名前を知らないし。
「数百人居る村に対して天族が一人いて崇めろ称えろ祈れは共存でなく、依存だからな……あれ、これ答えじゃね?」
「かもしれねえな」
この大陸の人間はずっと昔から天族に頼りきっている。これをどうにかしないといけない。
天族と仲良くしましょうじゃなくて、天族居なくても問題ねえ!って状態にする……うん、多分、これが答えだ。困ったら天族や導師に頼るんじゃなくて、自分達でどうにか出来るようにする。
それこそ導師の力もなにも借りずに、健康で元気で普通の生活が出来る人間が努力すればどうにか出来るように……それやったらヤバいんだけどな。
「俺、もう行くわ。お前の話を聞いて、他の天族に色々と意見を聞きたくなった……」
「そう、ですか……怪我をなさらぬ様にお気をつけください」
「ありがとう、アリーシャちゃん……俺はどっちかと言えば、アリーシャちゃんの味方だ。またな」
その後も色々と話をした後、ザビーダはオレ達と別れた。
ザビーダにとってもオレ達にとっても今回の出来事や会話はかなりの経験になり、色々と考えさせられるものだった……特にアリーシャは今回の話は難しかった。
今の今までそういうのを考えてこなかっただけに、天族と人間が共存している社会とはどういう社会なのか分からない。導師のシステムは間違いじゃないけど正しくもないと理解してしまい色々と頭を悩ませた。
「本当、これから先どうなんやろ……」
戦争を起こしたりするバカや災禍の顕主なんて明確に見える悪がいるから、今はまだ問題ない。
最終的にスレイやアリーシャはそいつらをどうにかこうにかしなければならず、それを終えた後はどうなるのだろうか?天族を普通の人間みたく受け入れろと言うのか? 天族>人間的な感じになっているから、例え普通の人達に見えたとしてもフレンドリーに接することは出来るのか?ゼンライの爺さんが天族の代表になって上下関係は一先ず置いて、これから仲良くしましょうの握手をしてくれるのか?王族の方はそれを認めるのか?そもそも見えるようになったら天族の術の危険性を感じるんじゃないのか?
「オレが考えることじゃないか」
戦闘能力999で政治力とかカリスマ性とかそういうのに欠けているオレはこんなもんを考えることじゃないな。
知りたい情報は知れた、これからやらないといけないことも出来た。いよいよ、行かなければならない。遂に吹かなければならない。
「お、おい!あんたらの薬を飲んだうちの子供が!」
「あ~はいはい、ちょっと待ってろ」
だが、その前にこの村のことをしておく。
薬を飲ませた村の人達は苦しみだしているが、これは特に問題ない。この村で流行っている病は肺炎で、サルファ剤を飲ませれば治る。薬を渡した以上は見捨てるわけにもいかないので、2日滞在してサルファ剤を飲ませ続け、肺炎を治した。
「物凄く時間が掛かると思っていたが、割とあっさりと見つけられてよかった。
世界は狭いのか広いのか、どっちかは謎だが……とっとと帰ってペニシリン作りするぞ。青カビとか米や芋の磨ぎ汁とか色々と用意しないと」
聞きたいことはもう聞けた。知りたいことを知れた。考えなければならないことが出来た。行かなければならないところ時代が出来た。
後はアリーシャにペニシリンの作り方や使用方法を教えれば終わりで、それをする時間はたっぷりとある。原作が終わっても、オレ達は普通に生きているんだからゆっくりと時間をかけてペニシリン作りに励む。
今回は事前に旅をすると決めていたので風のオカリナを使ってパッとワープして帰れるようにしている。家にマーキングしているのであっという間に帰れるなと風のオカリナを取り出すと腕をアリーシャに掴まれる。
「……帰りたくない……」
アリーシャには天族と人間が共存する社会についての考えやスレイが世界を救っても50年後にはまた同じ状態になるという話はかなり堪えた。マオクス=アメッカが嘘の様に思うほどに落ち込んでいる。
「ザビーダと会って、色々と意見とか話を聞いただけだ。
なにかこれだってもんは見つかってねえし、それらしい答えも出てねえ。それに50年も平和を保障出来るのは……って、ダメか」
励ましの言葉なんて物は見つからない。ネガティブじゃなくてポジティブと言っても無駄だ。
導師が頑張ればなんとかなるという希望は一時の希望でしかない。ザビーダとした会話は今の導師のシステムの不完全なとこや、天族と人間が共存する社会は作れないの否定ばかりで、なんの代案も出さなかったものの、アリーシャの胸に刺さる考えや言葉は多かった。
「……家、来るか?」
なに一つ、答えを出すことが出来ないし、諦めなければ信じあえば、皆が頑張ればと言った綺麗な言葉ではもう隠せない。そういった言葉を使っても今のアリーシャには効かなくなってしまっている。
一先ずは家に帰りたいので、誘うとアリーシャはコクりと頷いた。
スキット 二人の関係
ザビーダ「ところで、お前達って親族かなにかか?」
アリーシャ「いえ、私達は別に夫婦ではありませんが……そう、見えるのでしょうか?」
ゴンベエ「どう見ても、血が繋がってないだろう」
ザビーダ「……ん?……まぁ、いいか」
アリーシャ「どうかしましたか?」
ザビーダ「いやいや、気にしちゃダメだよぉ!!それよりも、血は繋がってないんだな」
アリーシャ「私はこの国の人間でゴンベエは海外の」
ゴンベエ「生まれも育ちも摂津の国で、別に位が高い家系でもない家だ。数年前までは出雲の国の黄泉比良坂を越えた方で色々と学んでいたんだよ」
ザビーダ「ほぅほぅ……赤の他人、じゃないよな?鎧も背負っている剣も瓜二つだから……破局!?」
アリーシャ「……過去は過去、今は今ですよ?」
ザビーダ「いやまぁ、そうだけどよ……本人達否定していたけど、それっぽく見えるんだよ。で、御二人のご関係は?」
ゴンベエ「下世話だな……絶賛ハニトラされています」
アリーシャ「ゴンベエ!?」
ザビーダ「うっそだろ!?マジで!?」
ゴンベエ「これが事実なんだよ」
アリーシャ「違います、その様なことは……確かに国の重役達にゴンベエが持っている技術を伝授、或いは本人を王都に住ませろと言われましたが、決してそんなのでは」
ゴンベエ「政治の道具にされているだろう」
ザビーダ「見掛けによらず大胆だね、アリーシャちゃん!」
アリーシャ「そ、その様な事は決してしていません!!……そういう事をしろと言う意図はありましたが」
ゴンベエ「意図っつうか、それしなきゃオレ達晒し首だぞ?」
ザビーダ「……重くねえか?」
アリーシャ「……ハイランドの上層部は、私やゴンベエを厄介者として扱っていますので。先のグレイブガント盆地でのいざこざで力で制圧するよりも懐柔した方が良いと手を変えてきたのだと思います」
ゴンベエ「んなことしても、レディレイクに住まねえぞ?」
アリーシャ「私としては、川辺付近で住むよりもレディレイクに住んだ方が良いと思うのだが、レディレイクなら水車付きの家を簡単に作れる。私が用意を」
ゴンベエ「んなことしてみろよ、確実にお前関係で呼び出される」
アリーシャ「私もゴンベエ関係で呼び出される」
ザビーダ「……二人って、付き合ってんの?」
ゴンベエ「ちげえよ」
アリーシャ「確かに私やゴンベエの様な年頃になれば色恋沙汰で盛り上がりますが、今は災厄の時代であり、人の世も荒れています。恋愛に現を抜かす暇はありません」
ゴンベエ「けど、こういう事やってると、結婚適齢期過ぎるんだろうな」
アリーシャ「大丈夫だ。確かに愛する人との結婚は女性にとって幸せだが、なにもそれが全てではない。こうやって一緒に色々な物を見るのも一つの幸せだ」
ゴンベエ「言うねえ……どうしたザビーダ?」
ザビーダ「……
ゴンベエ「色々とおかしいだろう」
アリーシャ「ザビーダ様、ゴンベエと私は如何わしい関係ではありません!手を繋いだりベッドで寝たりしますが、一切如何わしい行為はしておらず、ゴンベエが手を出すこともしません!」
ザビーダ「じゃあ、アリーシャちゃんはこいつが付き合ってって言ったらどうすんのさ!?」
アリーシャ「時と場合によります」
ザビーダ「即答……やべえ、聞きたいけどそれ聞くと全女性天族を敵に回しそうだ」
ゴンベエ「オレ達は知人以上恋人未満みたいなもんだよ」
ザビーダ「絶対に違う!」