テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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糠味噌にパチンコ玉

「いやぁ、新鮮だな!まともに港につけた」

 

 過去に来てから遡り踏んだり蹴ったりな船旅だったが、遂に港町に辿り着いた。

 ロクロウは普通に港についた事を喜んでいる。コイツら、オレ達が来る前になにやってたんだ?

 

「ここが港町……」

 

「……ヤバくね?」

 

 如何にも中世の港町と思わせる風貌の港町、ゼクソン港と呼ばれているらしい。

 オレはこの街に来て、直ぐにヤバいと感じた。

 

「はっ、海賊船が港に入れば」

 

「問題ないみたいだぞ」

 

 アイゼンが知り合いらしき人物と話をしている。

 何度か知り合いらしき人物はアイゼンに頭を下げており、アイゼンも何度かコクりと頷いている。

 

「海賊に加えて、闇っぽいの見れたな」

 

「……闇、か……」

 

 チラッと聞こえるアイゼンと男の会話。

 ノースガンド領が荒れたからとか荒らしたとか、売るならば確保するなら今だという話が所々で聞こえる。

 

「裏で市場操作……は、ダメだな。となればインサイダー取引みたいな事をしているのか」

 

「インサイダー取引?」

 

「凄くざっくりと言えば公開前の極秘情報を入手し、それを利用して資源の独占とかをして高値で取引する。

何処かをわざと襲撃して、世間の市場操作をしているかと思ったが、それをやれば味方以外は全て敵になるから……入手不可能な情報を提供しているといったところだな」

 

 冒険家に近く人間臭いところもあるせいか分かりにくいが、恐ろしいことをしているな。

 ただまぁ、何故海賊にそれを任せているかが気になる。アイフリード海賊団は冒険団に近いから、話は通じるし理不尽も少ないだろうが……それでもというべきリスクが多い

 

「そういえば、海賊の船が到着したというのに誰も騒がない。いったい、どうして……」

 

「これが海賊の船とすら分かっていない?……やばい、やばいぞ」

 

 アリーシャがアイフリード海賊団を知っているということは後世にまで名を残す存在だ。

 今いるこの時代がアイフリード海賊団達が暴れまわっていた時代だとするならば、名前以外にも色々と残す。つーか、情報があるはずだ。船の形とか、独特でバレるのに……町の奴等は気付いていない。船関係で色々と縛られていると見るのが妥当か?

 

「おい、アメッカ」

 

「な、なにかあったか!?」

 

 二人だけの世界に集中していたせいか、何時の間にかベルベット達と距離を取ってしまった。

 アイゼンの声で距離に気づき近付くと人を数人殺してそうな顔でアイゼンは口を開く。

 

「お前、アイフリードが今何処か知らないか?」

 

「アイフリードが……すまない、私達も知らない」

 

「そうか……ところで、ベルベット達の船だがあれも海門要塞を抜け出した。今後は探索船として使わせてもらう」

 

「好きにして、勝手に乗ってきたものだから」

 

「探索船って?」

 

「詳しいことはベンウィックが説明する。

ついでに少し休む……今の間に武器や物資の補給、他にもすることをしておけ。王都に向かえば何時戻れるかわからん」

 

「了解……ザワークラウト注文しとこ。てか、この辺ってどこら辺なんだ?」

 

「えっと……確かこの辺りだよ。この後、向かう王都はここ」

 

 アイゼンからしばし休めと休息というか準備時間を貰えた。

 船長代理も大変なんだと思いつつも、オレは今何処にいるのかと何処に向かっているのかを聞くとライフィセットが地図を取り出して指差してくれた。

 

「……ライフィセット、王都は何処だ?」

 

「ここだけど、もしかして間違ってた?」

 

「いや、合っている……恐ろしいまでに……」

 

 徐々に徐々に顔を青ざめていくアリーシャ。

 この辺ってなんかあんのか?とベンウィックの元にいったベルベット達と程よく距離を保ち、声を聞こえない様にしてから話を聞く。

 

「私達の時代で皇都ペンドラゴ、ローランスの首都がある場所だ」

 

「つまり、お隣さんは1000年以上も?」

 

「いや、ハイランドと同じで王家(トップ)は何度か変わっている……場所は変わっていないが、まさかこの時代にもあるだなんて」

 

「アメッカ……驚くのはそれだけか?」

 

「え?」

 

「天族が見えて当たり前の人達、憑魔と戦う為の組織、海賊をやっている天族、なにかある業魔と歴史に名を刻む海賊団。

初っぱなからのインパクトが恐ろしいぐらいにデカ過ぎるせいか、気付きにくいが……ぶっちゃけ此処って現代(いま)と変わらなくね?」

 

「!?」

 

 100年200年という生半可な時代じゃない、1000年という桁違いの時代を遡った。

 鎖国して独自の進化を遂げていた日本も海外との交流をし、たった200年で急成長して生活水準とかが高い国になった……蒸気機関もない水車とかがやっとなハイランドと1000年前を合わせると、恐ろしいぐらいに違いや違和感を感じない。本当に1000年前かと言いたくなるぐらいにだ。

 

「……」

 

「怖いか?」

 

「……行く……」

 

 武器も眼鏡も失ったし、船に残ってオレが全部を見るという手段も一応はある。

 今も昔も変わらないという事実に衝撃を隠せないが、アリーシャはそれでも前に進んだ。

 

「異大陸で思い出したが、お前等どうやって此処に来たんだ?」

 

 そしてなんかの地雷を踏んだ。

 ベストというかなんというか、異大陸に関する事を話していたのかロクロウはオレ達を見て首を傾げる。

 

「皆が、あえて触れんかったのを触れるかのぅ?」

 

 そうだそうだ。マギルゥの言うとおりだ、空気を読めロクロウ。

 

「考えなくても簡単だ。

オレ達の船は異大陸を知る技師が作っていて、異大陸の技術も幾つか加わっている。ならば、異大陸の人間で色々と知識を持つお前がなにかを作り、海にやられた、そんなところか?」

 

「……一応のために言っておくが、オレが本気出せばかなり恐ろしいの作れるからな」

 

 フォローを入れてくれるアイゼンには悪いけど、それだけは言っておく。

 元を正せばアリーシャと一緒にいるのはオレの身の安全を保証するためだから……忘れないようにしないと。

 

「恐ろしいものって?」

 

「そうだな……風が不要な世界を渡ることの出来る船、馬車よりも早く、馬車のように休むことなく陸を走る乗り物、空を飛ぶことが出来る乗り物、隠された鉱石を発見する探知機、A地点から遥か遠くのB地点に誰でも簡単に声を届ける道具、土木作業には持ってこい、人を殺すにはもっと持ってこいのお手軽で強力な塗るだけで良い液体の爆弾、貫く事が難しい障子、音の爆弾、食材を冷やすどころか氷すらも作れる箱、2000時間も灯りを灯せるガラスの球、声のみを記録する円盤、風景を絵のように残す写し絵の箱……おし、忘れろ」

 

「いや、忘れられないだろう!」

 

 転生特典に頼りまくりとはいえ、作れない物は……現代の技術じゃないでも出来ないとかそんなんじゃなければない。

 改めて欲しい知識を与えてくれる転生特典の恐ろしさを理解する。これ本当にやべえな。

 

「風が不要な世界を渡ることが出来る船だと!?」

 

「あ、それに反応するか」

 

「というよりは、そんな物まで作れるのか……手綱をしっかりと握らないと……」

 

「空を飛ぶ乗り物……乗ってみたいな」

 

「貫く事が難しい障子か……切ってみたいな!」

 

 少年と大人の感想が違うぞ。つーか、障子の方に関しては今すぐにでも作れるんだよな。固まる前のプラスチック残ってるから、紙に塗ればカーボンみたいなの作れるから……。

 

「空を飛ぶ乗り物……それがあれば空からの襲撃が出来るわね。空からなら聖隷達も手薄だし、なによりも現れるなんて誰も思わない。確実に息の根を」

 

「ワシとしては、写し絵の箱というのが気になるのぅ」

 

「作るにしても時間も材料もないから、基本的に作らねえよ」

 

 このままだと作れと言われそうだから、先に言っておく。

 ベルベットは作れと言う目線を向けるが……気球は作りたくない。めんどいとかそういう次元じゃないぐらいにめんどい。布が本当にやばい。同じ素材で厚さも均一にした超大型の布を用意しないといけない……あれは死ねる。

 

「余り、余計なことは言わない方がいい……此処でも、同じ目にあってしまう」

 

「だろうな……だが、一応のために言っておかないと無茶を言われるし、もしかすれば作らないといけない日が来るかもしれない」

 

 余計なことを言い過ぎたのでオレを心配してくれるアリーシャ。

 船は無理でも蒸気機関の車とかを作ろうと思えば割と簡単に作れる。この時代が現代と大差変わらないというならば、ストーブと石炭があるからそれでどうにかなる。

 

「……そんなことには絶対にさせない、ゴンベエは守ってみせる、絶対に……」

 

 オレの右手を両手で握るアリーシャは真剣な顔をする。守ってみせる、か……それは此方の台詞なんだがな。

 

「やれやれ、若いのは羨ましいのう」

 

「?」

 

「言っとくが、普通に言ってるだけだから悪意も裏もなんもねえぞ」

 

「そっちの方が尚のこと、恐ろしい」

 

 マギルゥが色々とニヤつくのだがアリーシャに裏は無い。

 本当に純粋なまでに自分の事を心配してくれているだけでそれ以上でもそれ以下でもない。

 とにかく材料無いので作れないと話を終わらせ、ベルベット達が乗っていた船は異大陸に出港して探索する為に使うことを教えられた。

 

「お宝よりも、美味しい魚の方がいいわ」

 

 ベルベットは異大陸の探索はどうでもよさげだった。花より団子といったところだが、お宝は割と大事だぞ。下手すれば純金とか宝石の相場を崩壊させる可能性があるが上手く使えば億万長者だ。

 

「準備は終わったか、いくぞ」

 

 アイフリード海賊団がどうして船を停泊出来るのか、町の人達はどうしてあの船をアイフリード海賊団の船だと分からないのか、その理由を準備時間中に聞いたりしているとあっという間に準備時間は終えた。

 

「ではでは、改めてローグレスへ!!」

 

「……あんたも来るのね」

 

 王都に向かって歩き出すオレ達なんだが、マギルゥは何故についてくるのだろうか?オレとアリーシャは色々と見たいから、アイゼンは船長の居場所を知るために、ロクロウとベルベットは誰かを探していて、ライフィセットは天族で色々と便利だからと連れてこられているが、マギルゥは何故来るのだろうか……なにか隠してるのか?

 

「まぁ、そういうでない。ワシ、これでも結構色々と出来るぞ」

 

「囮として最悪じゃない……今度は見捨てるわよ」

 

 本当にオレ達が来る前になにがあったんだろうと思えるほど物騒な会話をするマギルゥとベルベット。

 その内、嫌でも分かるんだろうなと少しだけ気持ちがドヨンとしながらも前に進む。

 

「気をつけろよ、王都前とはいえ業魔は色々と居やがる」

 

「……加護領域が何処にもない。天族が皆に見えるのならば、地の主の信仰も増えるはずなのにどうして無いんだ?」

 

 この辺り一帯を歩きながらも感じる穢れや憑魔の気配。

 人間は目に見えるものに対しては正直な生き物で、天族が見えるならば、天族なんて居るかと言う奴等が沢山いる現代よりも遥かに信仰が優れている。この辺が王都付近だったら、加護領域の一つや二つ展開されていてもおかしくはない。

 アリーシャはその事について疑問を抱くが、大方まだシステムが完成してないとかそんなんだろう。ザビーダがチラッとまだ浄化の力が無かったとか導師のシステムは何度も何度も改良されたりしてるとか言ってたし。

 

「アメッカ、他所は他所、家は家だぞ。

ハイランドでは当たり前かもしれないが、この国じゃまだ未発見とか使ってないなんてあって当然だろうが」

 

「……どういうこと?」

 

「各地……大体一つの村に一人の天族つまり、聖隷を祀って信仰する事によって憑魔……ああ、業魔から身を守ってくれたりするんだ」

 

「……ここで言う聖主みたいなものなのね」

 

「聖主?」

 

「説明は後にしておけ、業魔の群だ!」

 

 アリーシャは文化の違いをベルベットと共に感じていると、憑魔の群がこっちに向かってくる。

 明らかにオレ達を狙っている憑魔の群で、やる気かとマギルゥ以外が構える。

 

「マギルゥ、下がっていてくれ」

 

「うむ、か弱い魔女は下がっておくぞ……じゃが、良いのか?」

 

「なにがだ?」

 

「アメッカも下がっておった方が良いぞ?」

 

 魔女と言っているが、天族でもなんでもない普通の人間であるマギルゥ。

 武器らしい武器も持っておらず、普通に下がってくれたが下がれと言ったアリーシャに汚い笑みを浮かべる。

 

「って、ロクロウの剣は飾りかよ!」

 

「悪いな、大事な剣だが抜くに抜けん。というか、お前もか」

 

「一人ぐらい、こういうの出来る奴がいた方がいいだろう!」

 

「おう、援護頼むぜ!」

 

 如何にもな剣を背負っている癖に小太刀二刀流で戦うロクロウ。

 背中の剣は飾りかと思えるぐらいに綺麗な剣技で業魔の群を斬っていき、オレは弓矢で援護する。

 ベルベットは籠手から出る剣と化物の様な左腕、アイゼンは素手、ロクロウは小太刀、アリーシャは槍と見事なまでに近距離での戦闘のメンツで、ライフィセットはライラの様に札で戦うが基本的に天響術で支援したりしばいたりしている。

 この状況でオレまで剣を使えば明らかにバランスが悪い。取りこぼしはないが、ライフィセットに負担がかかりそうだから此方でいく。

 

「……この距離でこのレベルならばボウガンの方がいいか」

 

 黄昏の光弓でなんの力も込めていない普通の矢を撃って倒したり瀕死寸前に追い詰めることが出来る。

 物凄い強い憑魔はいない。現代でも割とよく見たのもいて、これならば威力が一定だが最強であるボウガンを使った方が良い。

 黄昏の光弓をしまって、ボウガンの皮を被ったマシンガンを取り出す。

 

「おーし、全員下がれ。

これ本当に危険だからTASの如くボウガンを扱うからマジ下がれ」

 

 ボウガンだけは本当に危険なので、下がってもらおうとするのだが誰も下がってくれない。

 

「しゃあねえ」

 

「ゴンベエ、アメッカが!」

 

 精神的に疲れるが、ベルベット達の隙間からボウガンを撃つかと構えるとライフィセットは叫ぶ。

 何事かと見ると他の面々は軽々と戦っていた業魔に……現代で戦ったことのある雑魚の憑魔に苦戦していた。

 

「なにやってんだ、お前!」

 

 それぐらいのならば何時も軽々と倒していただろう。

 直ぐに鳥の憑魔の脳天を撃ち抜いて、ベルベット達の方も一気に片付ける。

 

「危険地帯過ぎるだろ、王都付近。物資運ぶ時とかどうすんだ?」

 

「対魔士達が護衛についているよ」

 

 核で包まれて焼け死んだ世紀末よりも恐ろしげな1000年前。

 導師的なのが護衛をしなければならないとなれば、現代の方がまし……なのだろうか?

 

「すまない、助かった」

 

「助かった、じゃないわよ……あんた、普通の人間?」

 

「ああ、そうだが……」

 

「だったら、さっさと船に戻って。足手まといで邪魔よ」

 

「なっ!」

 

「おいおい、もう少しオブラートに包んでやれよ。

アメッカ、お前の槍捌きは……まぁ、悪くはない。だが、これから向かうところは、そんなただの槍じゃどうにもならん。

雑魚の業魔なんて目じゃない奴等がウヨウヨと居やがるから、ベンウィック達と一緒に異海の探索の方をしていた方がいい」

 

 業魔に苦戦していたアリーシャに苦言するベルベットとロクロウ。

 

「今でこそ、聖隷は霊応力が低い人間でも見れる。

だが、それだけで人間自体に特別なにか大きな変化があったわけじゃない……聖隷と契約した対魔士ならばまだしも、普通の人間に業魔は倒せん。いや、あれだけ戦えただけ立派な方か」

 

「……」

 

 アイゼンは一応は誉めるが、見方を変えれば足手まといだと言っている。

 オレが貸した槍ならば余裕で倒せていたが、船にあった刃物としては上質の槍だと限界があるか。

 

「聖隷と契約した人間が業魔と戦える?」

 

「なんだ、お前達のところでは違うのか?」

 

「いや、あってる筈だが……その辺のシステムとか知ってる奴等は少ないんだよ」

 

 霊応力が高い人間がライラの器となり、導師に。その後にライラを経由したりして従士なり陪神を増やす。

 それ以外にどうにかこうにかする方法を一切知らないので、これは有力な情報と言えば情報だ。

 

「けどそれやったら、アメッカの方が死ぬかもしれねえ」

 

 スレイはミクリオを陪神にした時ぶっ倒れた。ライラの器になった時も意識を失っていたらしく、普通に見えるスレイがそれならば、普通に見えないアリーシャが器になればどうなるか分からん。

 

「色々とお前達には悪いが、アメッカは同行させてくれないか?アメッカの分のフォローもオレがする。その気になれば四人に分身できるし」

 

「お前、聖隷かなにかじゃないのか?」

 

「そんな大それたもんじゃねえよ」

 

 何度聞かれても名無しの権兵衛と答えるだけだ。聞いた奴がどんな意味か分かっていなくてもだ。

 アリーシャを連れていく事を言えば好きにしろと王都に向かって歩き出すベルベット。

 

「じゃから、言ったじゃろう?下がっておかなくてもいいかと」

 

 全員が歩き出す中、マギルゥはアリーシャにそう言う。

 マジの魔女かどうかは不明だが、この中でこの時代の人間であるマギルゥは分かっていた。アリーシャじゃ、憑魔一体を相手にするのでもやっとだと。

 

「……また、なのか?……」

 

「……行くぞ、アメッカ」

 

 今まで一緒にいたのは絵にかいたような善人のスレイで、酷いことは言わない。エドナが毒舌ぐらいで、それ以上はなかったが今回は違う。ベルベットはハッキリと、ロクロウは遠回しに邪魔だと言う。

 ハッキリと言われ、マーリンドでの出来事を思い出すアリーシャの右手をオレは握る。この手は差し伸べる優しい手じゃない。無理矢理前に歩かせる厳しい手だ。

 ベンウィック達のところに戻って異海の探索をするのが、一番安全だが、身の安全を得るために過去に来たんじゃない。絶対にこの手は離さないと歩く速度を合わせず、前を歩く。

 

 




スキット そういうのではない

アリーシャ「…弱い……」

ゴンベエ「ちゃんと歩け……悪いな、アメッカのフォローやアメッカが入れないといけないフォローは全部いれる」

ベルベット「勝手にしなさい。それで死にそうになっても、どうでもいいわ」

ゴンベエ「ああ、それはそれと割り切るし、割り切らせる。此処に来ると決意させた以上は無理矢理にでも前を歩かせる。あ、目の前にちょっと段差あるから気をつけろよ」

アリーシャ「うん……」

アイゼン「……此処に来る前はどうしていた?」

ゴンベエ「憑魔に有効な槍を使っていた。同じ性質の剣はあるにはあるが、アメッカは槍使いで剣士じゃない……」

ロクロウ「やっぱ撃ち落としたのはまずかったか」

ゴンベエ「そこまで気にすることじゃない……いずれと言うか限界は来ていた。さっきやりやった奴等よりも遥かに格上相手には普通の槍も同然だ」

ライフィセット「今から向かう王都には、退魔士達が沢山いるよ……あれぐらいの業魔を簡単に蹴散らす退魔士達が沢山」

アリーシャ「……そうか……」

ライフィセット「アメッカは退魔士じゃないの?」

アリーシャ「私は基本的な力が弱いからな……そのせいで前も足手まといに」

ライフィセット「前?」

ゴンベエ「聞くな」

アリーシャ「いや、別にいいよ。前までここで言う退魔士の従者をしていた。色々と停滞していた世界がやっと動き出したと喜んで協力したが、私が弱いせいで彼の邪魔をしてしまって……私自ら従者をやめることを提案した」

アイゼン「彼、と言うことはお前じゃないのか?」

アリーシャ「ゴンベエは違うよ。ゴンベエは退魔士なんてなるかと堂々と拒否している……」

マギルゥ「堂々と拒否しているのならば、何故ゴンベエと一緒に旅をしておる?」

ゴンベエ「その後にも前にも色々とややこしい事に巻き込まれた、主にオレが。で、色々と知りたいとなってここまで来た……下手な詮索はよしてくれよ」

マギルゥ「うむ、ただのバカップルとしておこう!」

アリーシャ「……マギルゥ、先ず大前提でおかしい。私とゴンベエはそう言った関係ではない」

ゴンベエ「前にも似たことを言われたが、違うとだけはハッキリと言えるぞ」

マギルゥ「いや、手を繋いでそんな甘ったるい胃に重いものを見せつけてる時点でバカップルじゃろうが!!手の繋ぎ方とか特に」

ゴンベエ「気のせいだろ。あ、そこ糞あるから気をつけろ」

アリーシャ「今、蹴らなかったか?」

ライフィセット「あれが普通じゃないの?」

ベルベット「そんなわけないでしょ……多分」

アリーシャ「そう見えるのも無理がないかもしれない。私自身、ゴンベエに依存している……だが、そういった感情は無いと断言できる」

マギルゥ「ならば、その手を離してみい」

アリーシャ「依存しているとはいえ、それぐらい出来る……」

アイゼン「今度は服を掴んだか……」

ベルベット「……バカらしい、さっさと行くわよ」

ロクロウ「確かこういう時は、え~と、あれだ。末永く爆発しろ!だったな」

ライフィセット「なんで爆発なの?」

アイゼン「お前にはまだ早い」

アリーシャ「それは知らない側の住人で良いんだ……そして何度も言うが違う」

マギルゥ「逆に考えるんじゃ……そうだったらどうだろうとの」

アリーシャ「……ダメだ、想像できない」

アイゼン「想像できないんじゃなく、今と大して変わらないから……これ以上は下世話な話が」

ゴンベエ「もう大分前からだぞ」

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