テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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電気はないけど、元気はある。

「あ~、逃げる前に地図買っておけばよかった」

 

 転生して一週間。この世界の文明での生活に馴れて…来ると思ったら、大間違いである。

 現代っ子にとっていきなりの中世に転生なんて無理。女子力高めの男子だろうが、中世レベルになったのならばどうあがいても女子力が通じない。

 

「アリーシャに見つからない様にしないと」

 

「私がなんだと言うんだ」

 

「!?」

 

 買いたいものとか色々とありレディレイクに再び戻ってきた。

 アリーシャに見つからずに欲しいものを手に入れようと思った矢先、アリーシャに見つかってしまった。

 

「ゴンベエ、私がなんだと言うんだ?」

 

「見つからない様に買い物をしに来たんだ。見つかっちまったらしょうがねえ……じゃ、オレは買い物をしてくる」

 

「待て」

 

 綺麗な笑顔とは裏腹に青筋を立てているアリーシャ。

 これは怒っているなと厄介な事になる前に逃げようとすると首根っこを掴まれたが、直ぐに外す。

 

「んだよ、怒ってるのか?オレが帰った後に何かあったの?オレが原因で何かあったの?」

 

「怒ってはいない。だが、ゴンベエが原因で一騒動だ。今まで誰も抜けなかった聖剣をアッサリと抜いたと思えば戻して……大慌てでゴンベエを探したんだ」

 

「言っとくが、オレは導師でもなんでもねえよ。宗教の教祖とか頼れるリーダーとかそう言うの向いてねえし、自分でもやりたくねえ」

 

 あの聖剣にはなんかの術らしきものが掛かっていた。

 ライラが許可したら抜ける的な術で、抜いた奴が導師だと言うんじゃなくて抜くことを決意して許可貰ったら導師なのが真実だろうな。

 

「ゴンベエが導師ではないとライラ様が仰っていた」

 

「あ、筆談が出来たんだな」

 

「ああ…だが、無闇に会話は出来ないと基本的には私にしか語りかけてくれない。とにかく、一度大聖堂の方へと来てくれないか?司祭達が君に会いたがっている」

 

「嫌だね」

 

 アリーシャは白だが、もうなんか見えるぞオチが。オレはアリーシャの頼みを断り、市場がある方へと足を運ぼうとする。

 

「待ってくれ!」

 

「災厄の時代で、どいつもこいつも救世主望んでるんだろ? 誰も抜けなかった聖剣を抜くことが出来る奴が例え本物じゃなくても導師にしようと言う考えが見え見えだ。神様仏様を心の拠り所にするのは悪いとは言わねえが、そう言うことをするのはいけねえ……今まで過去に導師の名を騙った奴っているか?」

 

「…」

 

 アリーシャはオレの質問に返事をしない。

 導師の名前を騙った馬鹿が過去にいて、詐欺したか導師と言う心の拠り所が欲しいと思っているか、どっちかは知らんがどっちかは有ったと言っているみたいなもんだ。地位なんかじゃない明確に分かる凄い人が自分達を助けてくれるなんて分かれば希望を持てる……が、助けるなんてしねえ。

 

「つーか、導師ってなにするの?」

 

「…伝承や伝説が確かならば、はるかな神話時代、世界が闇に覆われると、いずこより現れ光を取り戻したと言われている。この災厄の時代を終わらせ、嘗ては栄えた枯れた土地を復興したりするのが導師の仕事だと思うが…詳しいことは私にも分からない」

 

「んだよ、もっと具体性の分かるもん残しとけよ。邪悪な魔王的な奴をぶっ倒せば良いとか、そう言うのを、闇を祓うって無理だからな」

 

 闇も視点を切り替えれば光の一種なんだよ。

 邪悪な存在がいるからこそ人々は立ち上がれるし、争うからこそ人は進歩する。スマホなんかが良い一例だ。携帯電話は元を正せば軍の通信道具かなんかだった筈だ。

 

「闇をマイナス、光をプラスと考えれば…プラスは足しても割っても引いても掛けても変化する。それと同じようにマイナスも足しても割っても引いても掛けても変化するもので、打ち払うなんて神様にでも無理だ」

 

「……つまり、どういう意味だ?」

 

「0は数学上は存在しているけど、物理的現実的には存在していないししちゃいけない」

 

「ますます意味がわからない」

 

 人類史で一度も成し遂げられていない世界征服をして究極の絶対王政をするとか…うん、まぁ、いいや。

 とにもかくにも導師のやることが余りにも曖昧で余計に胡散臭くなってきた。

 

「つーか、オレは用事があるんだ。仮に司祭とかライラに祈ってる奴等に出会っても知らんぷりだ」

 

「っ……そう、か……」

 

 オレがどうあがいても来ることはないと分かり落ち込むアリーシャ。

 導師が欲しいのか、それとも自分の手が弾かれたのかどっちに落ち込んでるかは知らん。

 

「ゴンベエはなにを買いにレディレイクへ?」

 

「飯の材料と、出来れば鉄が欲しい」

 

 来れないならと別の話題を振ってきたアリーシャ。

 こいつ暇なのか?…いやまぁ、騎士や警察が暇ってのは良いことだから良いんだけども。この街の住人ならば鉄が何処に売ってるか知っているだろうと欲しい物を述べると難しい顔をする。

 

「ゴンベエ、レディレイクは王都だ。流通が盛んで確かに色々なものが売っている。だが、鉄鉱石となれば、此処よりも鉱山がある街の方が」

 

「そのレベルはいらねえよ、アリーシャの指から肘ぐらいの長さの四角い鉄の棒が欲しいんだよ」

 

「それぐらいならあるが……何に使うつもりなんだ?」

 

「磁石を作る」

 

「……磁石なら、少し値がはるが売っているぞ?」

 

「それ方位磁石だろうが」

 

 オレが貰った転生特典、知識だったらどんな事でも教えてくれると言うよくわかんねえ特典。

 これの使い方がやっと分かった…要はキテレツ大百科だと言うことだ。ドラえもんの秘密道具はくれねえが、代わりに似たような効果を持つ自分で作るキテレツ大百科だ。

 

「とにかく、鉄パイプ…後は地図だな。この辺の土地勘全然無いからな…一番大きな山にいかないと」

 

 雨が降るとかそう言う運要素はどうにでもなる。

 問題は鉄パイプを入手しない限り、どうにもならない…出来れば異常に遠いところに山があるとかなければ良いんだが。

 

「この辺で一番高い山……レイフォルク、じゃないだろうか?」

 

「レイフォルク?」

 

「この辺で一番高く聳え立つ山、霊峰レイフォルク。ドラゴンに関する伝承でも出てくる場所で、普通の山と違い草木が一つもはえていない…だが、雲をも越える高い山だ」

 

「雲をもって、雪積もっているのか?」

 

「此処は北国じゃない、雪はふっていない」

 

 雲を貫く高さって、下手すりゃエベレストよりも高い山だ。

 空気薄いし、北国じゃなくてもエベレストよりも高いんだったら雪の一つでも降ってそうなイメージがあるんだがな。

 しかしまぁ、雲をも越えると言うのが本当だったらそこならば確実に雷を落とすことが出来るな。ハズレを引いたら恐ろしいからとオレは武具屋に行くと廃材らしき鉄棒を貰った。

 

「あの……」

 

「なんですか、アリーシャ様?」

 

「これを磁石にすることは可能ですか?」

 

「いえ、それは無理です……鉄だけで磁石は不可能です」

 

 鉄棒を磁石にすると思ったアリーシャは武具屋のおっさんに鉄で磁石を作れるか聞いた。

 ハッキリとおっさんは無理と言う…電気による文明が無いから無理なのか?少なくとも現代じゃアホほどマグネットがあるから、量産出来ると思っていたんだが…まーいいか。

 

「だ、そうだが?」

 

「まぁ、このやり方は危険すぎるからな。なにするか気になるんだったらついてこい」

 

 オレがいったいなにをするのかが分からないアリーシャは疑う目を向ける。

 天族とやらが見える以外は胡散臭いし、平気で暴言を吐いたり疑ったりするからか、オレに疑心暗鬼する。ぶっちゃけそれがどうしたって思うけど、これから先この街利用するからアリーシャを敵に回すとめんどそうだ。

 

「鉄棒で磁石……」

 

 貰った鉄棒を一本ずつ持つアリーシャ。火の用心と言って拍子木を叩くかの様にカチンカチンと擦り合わせるが、今はまだ、ただの鉄なのでくっつかない。磁石とかを擦れば磁力を帯びるが、それで出来る磁石は求めていない。

 

「今はまだくっつかねえよ……てか、来んのか?ついてこいつったけど、マジで来んのか?」

 

「え……ダメ、なのか?」

 

「ダメじゃねえけどよ…あんま口外しないでくれよ、割と命懸けの要素もあるんだから」

 

「問題ない……それより、ゴンベエの方は大丈夫なのか?」

 

「問題ねえよ」

 

「いや、そっちじゃなくて食材も買いに来たんじゃないのか?」

 

「あぁ、そうだったな」

 

 食材の方がメインだった…まー、飯を作るのが面倒だから一日ぐらい問題ないんだけどな。

 こう言う自堕落な生活続けてたら、その内、変な病気になるんだろうな…

 

「カビがはえたミカン売ってねえか?」

 

「逆に聞こう、そんなの売るか?」

 

 武具屋から市場に移動し、カビのはえたミカンが無いかを聞くと店主に殺意の籠った目を向けられる。

 そんなのが売っていたら商売は出来ないし、店の名前は落ちて一瞬で潰れると怒っている。

 

「ゴンベエ…確かに北国の方にはカビのはえたチーズを食べると聞いたことがあるが、流石にカビのはえたミカンはお腹を壊すぞ」

 

「食わねえよ、抗生物質の元になるんだよ。あ、今の無し。無しな、聞かなかったことにしてくれ、本当に忘れてくれ」

 

 あんまり余計な事を言うと、蟻のように集ってくる奴等がいる。

 技術は分けあうじゃなくて独占し、上手い具合に売らないと…つーか、金稼ぐ方法考えないとな。

 

「……タケノコ」

 

 飯を何にするか考えながら色々と食材を見ているとタケノコを発見する。

 タケノコは下拵えすんの面倒だけど煮込んでも炒めても炊き込みにしても食える…が、そこじゃない。

 

「おっさん、これ何処で仕入れてる?」

 

「業者を教えるとでも?」

 

「そうじゃない…タケノコがあるって事は、竹がどっかにあるって事だろ?悪いんだけど、竹を仕入れてくれねえか?」

 

「それぐらいなら構わないが…水筒でも作るのか?」

 

「色々と竹細工作るんだよ…」

 

「籠ぐらいなら此処でも手に入るぞ?」

 

「籠じゃない…物凄い竹細工だよ」

 

 竹があれば、色々と竹細工を作ることが出来る。

 少なくともこの世界で一番必要…とは言いがたいが、あった方が絶対に良いアレを作るのに必要だ。

 

「はぁ…なんかなろうみたいな事をしてんな…」

 

 市場のおっさんは竹を入荷してくれると言ってくれた。

 これでどうにかなるなと一安心するが、オレは今の自分の状況がなろうの主人公みたいな事をしていると思い、落ち込む。そしてアリーシャの案内の元、オレはレイフォルクに向かった……

 

「なろうと言うよりはDr.ストーンだな、これは」




スキット ドラゴンの伝説

アリーシャ「ライラ様にはゴンベエの事を一言、告げておけばよかっただろうか…」

ゴンベエ「どうせ一度はレディレイクに帰るんだから、後で良いだろ」

アリーシャ「確かにそうだが…」

ゴンベエ「後の事を考えることもそうだが、今も大事だ。レイフォルクって山なんだろ?山に詳しくねえから、何があるか分かんねえぞ、なんかある?」

アリーシャ「レイフォルクはドラゴンに関する伝承がある…」

ゴンベエ「ドラゴンね…ライラみたいなのが居るって事は伝承は事実でドラゴンいるかもしれないな」

アリーシャ「なっ、それならレイフォルクに行くのはやめておいた方が!」

ゴンベエ「別にドラゴンぐらい、どうにかなるだろう」

アリーシャ「どうにかって…ドラゴンは破滅の使徒、災厄の象徴ともされている。どうにかだなんて…」

ゴンベエ「破滅の使途って、また大層なもんだな」

アリーシャ「ゴンベエの国では違うのか?」

ゴンベエ「蜥蜴に翼がついた奴をドラゴンと言うならそんなもんは存在しない」

アリーシャ「ドラゴンがいない?」

ゴンベエ「同一視して良いかはよくわからんが、うちの国ではドラゴンっつーか龍は蛇みたいな感じで伝説はそれなりにある。有名どころで言えば、定番のドラゴン退治だな…つっても、ドラゴン退治の伝説なんて何処にでもあるけど…て言うか、アレってドラゴンと言うよりも怪物だな」

アリーシャ「何処にでもって…ゴンベエの国のそのドラゴンはそちらの国の導師の様な人が倒したのか?」

ゴンベエ「伝説が事実なら神様が倒した」

アリーシャ「神様が…そうか…もし本当にドラゴンがいたら、この国なら導師が倒してくれるだろうか…」

ゴンベエ「いや、倒したっつっても、酒飲ませて酔い潰れてる間に首切ったから」

アリーシャ「酔い潰れた!?」

ゴンベエ「なんならうちの国は龍を水の神と見てるとこあるからな。
あ~でも、嘘をつかれて騙された女が憎しみで龍になったり、ムカデを殺して欲しいって人間に頼んでお礼に不思議な御宝を渡した龍も居るみたいだぞ」

アリーシャ「良いドラゴンもいれば悪いドラゴンも居る、と言うことか…レイフォルクにはどの様なドラゴンがいるのだろうか」

ゴンベエ「…ドラゴン居る前提になってる…」
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